いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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680:長丁場

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陸鳥の血肉は臭い。
匂いが服に付くとそれを処分しないといけない。
皮を持っていると陸鳥には乗れない。
陸鳥が皮を見ると襲ってくる。

荒野で離した陸鳥を呼び寄せるのに使うこともある。
近くに来れば隠せばいい。
このことは街道で護衛業をしているものしか知らない。

陸鳥の卵はあれがそうだと。
言われてみれば見たことがない。
変動後初めて見た。

飼育を試みたが、
その時は卵は産まないし、チャクは食べるが
衰弱して死んだ。
糞尿はしているだろ?あの山のようにはなっていなかったが。
その場所?
匂いがひどかったからな、何とか処分したよ。

はははは!誰も持ち出しなんかしていない。
子供がいたずらで遊んでいたがな。



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


こちらも知っていることは全て話した。

陸鳥が食べる砂のこと
糞尿の塊
ギーの卵、偽卵の話



「・・・・食べられないな。」
「ギーの卵も糞尿の中にあるということを公表すれば、
ちょっと抵抗はありますね。食べればそんなことは言えないんですが。
ギーの卵の採取方法を隠匿、ああ石を使うのではなくごく一般に
秘密にするかですね。
陸鳥の卵が食べられるとわかったところで、
卵採り以外の者はやっていない。
卵採りは卵採りの仕事だと決まっているからだ。
よそから来たものはそもそも陸鳥と接触したところで、
食われるか、巣までは探ろうとしない。
探ったところであの匂いだ、買った方が安い。
そうなると、それを知る中門の売り上げはあがるでしょう。」
「が、10倍にはいかない。」
「でしょうね。陸鳥の卵の正体を知ってそれに代わる代替ができただけだ。
しかも、採取に手間がかかる。
あの匂いは空気より軽く水に溶ける。
なので、目に沁みたでしょ?
表面を崩せばすぐに匂いはあがってくるが、風で飛ばすことができる。
お便所で掃除をしてもなんとなく臭うことはあるでしょ?
あれ、天井に匂いがたまってるんですよ。
換気すればいい。で、天井も掃除です。」
「換気?」
「風を送ればいい。砂漠石を使ってもいいし羽根を回してもいい。」
「羽根?回す?」
「直接風を送るか、羽根を回すほうがいいのか、
これは実験してないからわからないですね。
コットワッツの商品でハンドミキサー有りますよね?
厨房にはなかったかな?
あれの大型版。
ん?大型の冷蔵庫を作るなら冷気を循環させた方がいいかも?」
「?」
「ね?話の中にうまくいけば儲かる話が沢山ある。
陸鳥の皮と習性をうまく使えば人の移動手段が確実に手に入るかもしれない。
あの速さと集団では盗賊も襲えないでしょ?
客は乗せないけど、荷物の定期便とかね。
デルサトールの西の砂漠では3番城がそういうのやってるそうですよ?
砂漠際を駱駝馬を高速で走らすとか。
ここでも街道の真ん中は高速専用だ。
だけど、門外を走らせればそれ以上に早い。
ふふ。すごいって飛びついたらダメですよ?
なんせ、陸鳥は性格が悪い。そういう生き物なんだ。
ひとを食べるから。」
「え?」
「雑食なんですよ。ギーを食べる、肉を食べる。
だったらなんで人は食べないって思うの?動物、一緒でしょ?
アヒルは魚と人以外食べるって聞くけどそれも怖いよね。
ひとも雑食だ。何でも食べる、食べることができるおいしいものはね。
でも、糞用を食べるギーが吐き出したものを食べるかっていうとまた別だ。
ギーも糞尿以外食べているかもしれないけど、そこまでは知らない。
そもそも糞尿はその生き物の不要分であって、
まだまだ栄養素はある。だから、肥料にも使うでしょ?
臭い匂いがするから敬遠するんだ。
何度も言いますが、ギーの卵、うまく販売してくださいね。」
「・・・・。」
「さ、次はザスのことについてお話ししたいんですが?」
「その前に、あなたはあの糞尿の山が欲しいと。それは?」
「それは商売の話だ。陸鳥関係で話せるのはここまで。
これ以上は話せない。それはなぜか?
うまくいけば儲かるから。」
「その話を売ってほしいのだが?」
「いくらで?」
「話による。」
「1000億だ。」
「はっ!」
「だって、モウモウ商会は生粋の商売人じゃない。
あなた、どこまでこっちのことを調べた?
かなりのことを調べてるはずだ。
ピクトの3日祭りの失敗はしってる?
アガッターのことは?
ミフェルのことも?
石使い赤い塊との関係も?
マティスのことも知ってるよね?
緑の目のことも。
わたしたちがコットワッツ、セサミナに力を貸したのは
彼がかわいい弟だからだ。
ガイライをかまうのは彼がわたしの息子だからだ。
身贔屓だけなんだ。
あなたに手を貸すいわれは何一つない。」
「商売はしないと?」
「商売はしたい。ただ、金額でないんだ。それを承知してもらいたい。」
「護衛赤い塊が出したような条件?」
「そうなると思います。
その話に行く前にザスの話を。よろしいか?」
「関係があるのか?」
「いや、直接には。ただただ、わたしの心の安寧を求めるのみ。
わたしは臆病で卑怯者だ。後悔しないようにあらゆることをしておきたい。
それは決して世界平和や皆の為でもない。
それに手を貸すいわれにはあなたにはない。
だけど、あなたは何を思って10倍の売り上げを成そうとした?
わたしたちの振る舞いの端々から儲かる手立てが見えましたか?
だがそれで10倍にはなりようがない。
やはり、わたしの話になにかあると思っている。
駆け引きなしに直接そういっていただいてよかったですよ。
わたしも駆け引きとなるとまだまだ未熟者。
お互いがそうです。
もう少しお話をしてもいいですよね?」
「もちろんだ。」


これは2人での話の応酬。
マティスは常にわたしと皆にお茶屋お菓子を補充している。
ツイミさんはわたしたちの話を書き起こしている。
長丁場になるので、音石君には複数で頼んではいるが、
誰かが、書き起こし、その要所要所に疑問点を書き込むほうが、
あとで議論しやすい。

マティスは話が始まる前に薄い膜を張ってくれている。
声は聞こえるが、なんとなく聞き取りづらいのだ。
ドロインさんのところで張った膜だ。

後で聞けば、膜の厚みをところどころ替えたそうだ。
すごいな、応用力。

ザスの依存性のこと、中の青い花が問題だということは
ここを見張っている隠密に知らせる必要はない。


「ザス。
これの見解は中毒性はないと。
わたしが恐れているのは依存性だ。
それがないと生きていけない。趣向品ではない。
それを手に入れるため、犯罪を犯す。
親も子もどうでもよくなる。そして体と精神が壊れる。廃人だ。
ザスの中毒性の症状は聞きました。
まさしく体に毒物が入ったということでしょう。
眠気はなくなり、食欲もなくなる。死を待つばかりだ。
依存性はそれ以上に問題だ。
それがあるかないか。
わたしはあのザス以外に含まれている成分がある割合を超えるとそうなると、
素人ながら判断しました。持ち込まれたものを
素直に楽しむのはかまわないでしょう。
カリク殿?あなたに聞きたい。
あなたは、わたしがあれだけ嫌悪したザスを吸いながら待っていた。
どうして?
モウモウ商会との取引とは今後一切ないと、
我らを軽んじられたか?
それとも、一時の食事の間をやめることはできなかったか?
それが依存性だ。
ザスを見た時点であの取引は相手の言いなりだった。
あなたのことは今回初めて知りました。商人とはこうなのだと。
だけど、あれは、あなたらしくない。
どうして?お教え願いますか?」
「・・・・モウ殿が護衛を降りると言ってくれなければ、
あの金額で買うことはできなかったでしょう。
20番門に入ったザスはまさにあの金額の10倍です。
あの時点で顔役は務まらないと判断しましたよ。
ただ、まだ先だと。あと5年踏ん張ろうとう。
シシに与え問題ないと判断し、何十年ぶりにザスの香りをたのしみました。
今までで一番心地よい。
かなり昔にもっと良き香りが出るように細工を考えていたものを、
引っ張り出して来ましてね。
それで吸えば、顔役はムムロズに譲り、好きなことをしていこうと。
テンレにも勧めれば、あはははは!子供のころのように父さまの香りだと。
クインタも素直になり、
もう何も憂うことなく、自分の好きなことをしていこうと。
それから、あなた方が来るまでずっと。
今思えばおかしい。これが依存?」
「今は?」
「今は全く。」
「わたしの故郷の麻薬と呼ばれるものの話をしましょう。」

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