685 / 841
685:非情
しおりを挟む
「ルカリ殿の配下というのは優秀ですね。
是非とも紹介していただきたい。」
「いや、おそらく、お前ではダメだ。
もちろん、わたしも。
ルカリにしか扱えないだろう。」
「そうなのですか?では、それはまた考えましょう。
それで、わたしは動けません。ツイミを連れて行ってください。
ムムロズの屋敷で食事ということは、
モウ、モウモウ商会と取引をしたいということでしょう。
わたしか、ツイミがいるだけでモウの心持が違いますから。
この場合、税に対してですよ?」
「モウは余程故郷でつらい目に合ったとのだな。」
「それはどうなんでしょうか?話を聞く限りは、
筋の通ったことばかりなんですが、大前提に面倒だと。」
「ははは!モウらしい。
ツイミはどうすればいい?送れるのか?わたしは遠いのか、
モウの気配は探れない。」
「・・・・わたしも無理ですね。
連絡して呼んでもらいましょう。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
嘘だな。モウの気配は落ち着けばわかる。
そこに行くこともできる。
隠しておいたほうがいいということか。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
嘘ですね。
わたしの弟子だ。わたしの所有物。
どこにいても把握できる。当然、そこに、ツイミを送ることもできる。
ツイミもモウの為ならなんでもできるのですから。
黙っていたほうがいいということか。
同じように考えるものですね。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
あはははははは!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「タンダート。
今からわたしは戻るが、なにかあるか?」
「いや。なぜ呼ばれた?
父も母も一緒に?」
「お前が戻ったことが知れ渡っている。
その前に、スクレール家の所有地をお前が戻ってこないという前提で、
他の貴族共が値踏みをしているそうだ。
それが嫌なら臨時会合に出るように言うつもりだったが、
詳しくはワイプに聞いてくれ。」
「また移動?」
「そうだ。呼んでもらう。なんだ?」
「あの焼き菓子まだあるか?」
「はは!気に入ったか?
ここに。ではな。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「父と母になにも影響はないんだな?」
「それは、ありません。
廃家ではなく死亡なので。
なにも権利がない。
問題はあなただ、スクレールの資産を引き継いだあなたね。
リガーナ殿の死亡によってあなたに資産が移った。
それと同時にスクレール家の当主もあなただ。
廃家ではないんですよ。
そしてあなたが王都に戻って来ている話は皆が知るところに。」
「どこから?」
「火事騒ぎの後、何人かがあなたを見ている。
リガード殿が死んだというのなら、
廻りは何も言わない。
責務がないからだ。
だが、あなたに資産が移っているのでね、
対象がリガーナ殿からあなたに移ったとだけ。
タンダート殿、どうしますか?
廃家にするなら資産は王都に返還されます。
相続人を作れば、その方に。
これは石の契約が必要です。」
「このまま何もしなければ?」
「王族としての義務が発生します。
戦争時の軍行参加、収入に対しての納税、
これは今はありませんでしたが。
そして王都に住んでいることが必要になる。
行方知れずということなら、そんままうやむやにできたんですが。
それでも、土地は勝手に使われていましたけどね。
王都に拠点を置けますか?」
「無理だ。」
「売ることはできますよ?
昨日でしたらおすすめはしないんですが、事情が変わりました。
ナソニールが解体になります。
まだ内緒ですよ?
さすがリガーナ殿ですね。」
「母上?」
「母さんと呼びなさい。
そうね、いずれはという話はありましたから。
あれを繰り返すというのはやはり良くないんですよ。」
「あれですか?」
「ええ。」
モウの言う通り近親婚ということか。
産婆あたりから聞いていたということなのか?
「あなたはご存じなの?」
「いえ、ただそういうことがあると最近耳にしました。
実際目にしましたし。言われるまでなにも思わなかった。
しかし、説明されれば、そうなるなと。」
「ま!説明できる方がいらっしゃるのね?
わたしは産婆たちからそういうことが多いとだけ。
なぜという問いには答えられませんでしたよ。」
「そうですか。では、この話、これ以上はできません。」
「わかりました。」
「母さん?」
「リガーナ?」
「なんでもないわ。タンダート、あなたがお決めなさい。
わたしにはもう何も権利はないの。
ただ、助言はできるわ。よく考えなさい。」
「わたしはここ、ニバーセルには住めない。
売ってしまってもいいですか?」
「もちろん。生きる場所を見つけているのね?
住めなくても、母と父がいる場所です。たまには帰って来なさいよ?」
「ええ。」
「売るのはいいけれど、今はダメよ?新年が来てから。」
「リガーナ殿?それはどうして?」
「わたしの母から言われていたことよ。母は祖母からの教えだと。
雨の日前は忙しいし、新年前も忙しいでしょ?
大きな決断、判断で良い結果はでないって。それは必ず守りなさいと。
タンダート、あなたも守ってね。」
「わかりました。」
新年の話しか。
誰もが気付いていないわけでもないが、
どうしてかということまでは、気にはしない。いや、わからないか。
ん?では新年が来てからか売却?
面倒な!!
「そうしますと、混合いはじめに臨時会合が有ります。
それにご出席を。
王族、貴族がすべて揃います。
軍部が新体制となり、ナソニールのことも決まる。
その時はなにも言わなくてよろしいですよ。
ただ、帰ってきて、資産を受け継いだとだけ。
売ってほしいという話になるでしょう。
それこそ、リガーナ殿を訪ねてきた輩が。
金を出すとしてもはした金でしょう。
譲れとだけいうでしょうね。
リガーナ殿の助言に従って、その場では返事をしないでください。
高値で売って売り上げについては納税を。
今はどこに逗留ですか?
下町は出てください。それこそ周りに迷惑がかかる。
王都内の宿に。」
この件、オート院長は席を外している。
タンダートがここに戻ったという話は火事の後、
資産院に債権が譲渡された話よりも早くに広まった。
あの女だろう。別に構わない、口止めはしていないのだから。
逆に良かったかもしれない。
流せる情報は流せるのだから。
オート院長はわたしよりも非情だ。
是非とも紹介していただきたい。」
「いや、おそらく、お前ではダメだ。
もちろん、わたしも。
ルカリにしか扱えないだろう。」
「そうなのですか?では、それはまた考えましょう。
それで、わたしは動けません。ツイミを連れて行ってください。
ムムロズの屋敷で食事ということは、
モウ、モウモウ商会と取引をしたいということでしょう。
わたしか、ツイミがいるだけでモウの心持が違いますから。
この場合、税に対してですよ?」
「モウは余程故郷でつらい目に合ったとのだな。」
「それはどうなんでしょうか?話を聞く限りは、
筋の通ったことばかりなんですが、大前提に面倒だと。」
「ははは!モウらしい。
ツイミはどうすればいい?送れるのか?わたしは遠いのか、
モウの気配は探れない。」
「・・・・わたしも無理ですね。
連絡して呼んでもらいましょう。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
嘘だな。モウの気配は落ち着けばわかる。
そこに行くこともできる。
隠しておいたほうがいいということか。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
嘘ですね。
わたしの弟子だ。わたしの所有物。
どこにいても把握できる。当然、そこに、ツイミを送ることもできる。
ツイミもモウの為ならなんでもできるのですから。
黙っていたほうがいいということか。
同じように考えるものですね。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
あはははははは!
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「タンダート。
今からわたしは戻るが、なにかあるか?」
「いや。なぜ呼ばれた?
父も母も一緒に?」
「お前が戻ったことが知れ渡っている。
その前に、スクレール家の所有地をお前が戻ってこないという前提で、
他の貴族共が値踏みをしているそうだ。
それが嫌なら臨時会合に出るように言うつもりだったが、
詳しくはワイプに聞いてくれ。」
「また移動?」
「そうだ。呼んでもらう。なんだ?」
「あの焼き菓子まだあるか?」
「はは!気に入ったか?
ここに。ではな。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「父と母になにも影響はないんだな?」
「それは、ありません。
廃家ではなく死亡なので。
なにも権利がない。
問題はあなただ、スクレールの資産を引き継いだあなたね。
リガーナ殿の死亡によってあなたに資産が移った。
それと同時にスクレール家の当主もあなただ。
廃家ではないんですよ。
そしてあなたが王都に戻って来ている話は皆が知るところに。」
「どこから?」
「火事騒ぎの後、何人かがあなたを見ている。
リガード殿が死んだというのなら、
廻りは何も言わない。
責務がないからだ。
だが、あなたに資産が移っているのでね、
対象がリガーナ殿からあなたに移ったとだけ。
タンダート殿、どうしますか?
廃家にするなら資産は王都に返還されます。
相続人を作れば、その方に。
これは石の契約が必要です。」
「このまま何もしなければ?」
「王族としての義務が発生します。
戦争時の軍行参加、収入に対しての納税、
これは今はありませんでしたが。
そして王都に住んでいることが必要になる。
行方知れずということなら、そんままうやむやにできたんですが。
それでも、土地は勝手に使われていましたけどね。
王都に拠点を置けますか?」
「無理だ。」
「売ることはできますよ?
昨日でしたらおすすめはしないんですが、事情が変わりました。
ナソニールが解体になります。
まだ内緒ですよ?
さすがリガーナ殿ですね。」
「母上?」
「母さんと呼びなさい。
そうね、いずれはという話はありましたから。
あれを繰り返すというのはやはり良くないんですよ。」
「あれですか?」
「ええ。」
モウの言う通り近親婚ということか。
産婆あたりから聞いていたということなのか?
「あなたはご存じなの?」
「いえ、ただそういうことがあると最近耳にしました。
実際目にしましたし。言われるまでなにも思わなかった。
しかし、説明されれば、そうなるなと。」
「ま!説明できる方がいらっしゃるのね?
わたしは産婆たちからそういうことが多いとだけ。
なぜという問いには答えられませんでしたよ。」
「そうですか。では、この話、これ以上はできません。」
「わかりました。」
「母さん?」
「リガーナ?」
「なんでもないわ。タンダート、あなたがお決めなさい。
わたしにはもう何も権利はないの。
ただ、助言はできるわ。よく考えなさい。」
「わたしはここ、ニバーセルには住めない。
売ってしまってもいいですか?」
「もちろん。生きる場所を見つけているのね?
住めなくても、母と父がいる場所です。たまには帰って来なさいよ?」
「ええ。」
「売るのはいいけれど、今はダメよ?新年が来てから。」
「リガーナ殿?それはどうして?」
「わたしの母から言われていたことよ。母は祖母からの教えだと。
雨の日前は忙しいし、新年前も忙しいでしょ?
大きな決断、判断で良い結果はでないって。それは必ず守りなさいと。
タンダート、あなたも守ってね。」
「わかりました。」
新年の話しか。
誰もが気付いていないわけでもないが、
どうしてかということまでは、気にはしない。いや、わからないか。
ん?では新年が来てからか売却?
面倒な!!
「そうしますと、混合いはじめに臨時会合が有ります。
それにご出席を。
王族、貴族がすべて揃います。
軍部が新体制となり、ナソニールのことも決まる。
その時はなにも言わなくてよろしいですよ。
ただ、帰ってきて、資産を受け継いだとだけ。
売ってほしいという話になるでしょう。
それこそ、リガーナ殿を訪ねてきた輩が。
金を出すとしてもはした金でしょう。
譲れとだけいうでしょうね。
リガーナ殿の助言に従って、その場では返事をしないでください。
高値で売って売り上げについては納税を。
今はどこに逗留ですか?
下町は出てください。それこそ周りに迷惑がかかる。
王都内の宿に。」
この件、オート院長は席を外している。
タンダートがここに戻ったという話は火事の後、
資産院に債権が譲渡された話よりも早くに広まった。
あの女だろう。別に構わない、口止めはしていないのだから。
逆に良かったかもしれない。
流せる情報は流せるのだから。
オート院長はわたしよりも非情だ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
349
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる