いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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砂漠に移動しても師匠の気の流れ?放出?は変わらない。

マティスが何も言わずに送り出してくれたんだ、
思う存分やり合っても問題ないということ。
だけど、後できっと拗ねるね。
四方にカメラを飛ばしておこうか。
動きに追従するように改良済みだ。


コットワッツ砂漠の中央と言うのは、
面積的に中央なだけであって、
砂漠石の原石が出て、
今、2人の砂漠の家として再生しているサボテンの森からは少し離れている。
思う存分やり合ってもサボテンの森には影響はないだろう。

月もいい具合に登り始めている。

はじめてだったであろう砂漠の月の光を浴びた師匠は、
何もかも吹き飛ばしたいと言っていた。
それだけストレスがたまっているということだ。
そりゃそうだ。
問題山済み。
お金は降って湧いてくるわけではない。
軍のこと、銃のこと、それから戦争。
お金がそれこそ湯水のようになくなっていく。
お金がないというのはつらいのだ。
それも、自分の食費とかではない。
他人の為のお金だ。それを管理調達する。
それが仕事。
ニバーセルは良き仕事人を抱えている。
素晴らしい!
ラーフィングよ、感謝しろよ。


『ワイプ!あなたが望んだ手合わせだ!
わたしが死んでも、それでマティスも死んでも、
あなたが死んでも、
なにも問題は無い!!』

「!」

うれしそうなこと!






旋回する棒が見えない。
受ける。
沈むからだ。
体術は不得手だというが、そんなことはない。
蹴りが来る!


え?
ナイフ仕込んでる!?
正に暗部!

棒を支点に蹴り込んでいくが
かわされ、防戦一方。
が、何でもありなんだ、Gを放つ。


「破!!!!」

え?
片足を砂に打込んだだけで耐えれるの?

Gの上位、ジョージは?

「てゃ!!!」

ダメか!
所詮、気圧の圧だけ。
滅の気は乗せていないし、師匠からもない。



あああ、笑ってる。



「ぁぁぁぁぁぁぁぁ」


来る!!




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘






わたしがただ働き?
このわたしをタダで使っている輩がいると?

マティス君はいいんですよ、あれは。
では、だれ?
いつ?

思い出せ!
記憶は消えていないはず!
帳簿から違和感のある数字を探し出すように、
わたしの記憶を探し出せ!
違和感だけを!!




ん?


明るい
砂地?
砂漠?



『・・・・なにも問題は無い!!』


問題は無い?
素晴らしい!!!


ああ、楽しい!!

棒術?
相当なものですね!

しかし、まだまだ。
ほら、棒だけに気を取られてはいけません。

これを避けたか!

気!
押さえるだけ?
これは?
甘い!!

気と言うのはこういうものですよ?

「ぁぁぁぁぁぁぁぁ」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


ドーーーーーーン



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



「おまえは副院長だろ?」
「今そんな話をしていないでしょ?これ、お粗末すぎる不正なんですが?」
「そうだな。うまく廻してくれ。」
「面白くないんですが?」
「だから、お前ならうまく通せるだろ?」
「なにを言ってるんですか?
それに、もうすぐ新年になるこの時間まで面会できないなんて!
さすがに新年早々は天秤院も休みなので、
振る舞いが終わればすぐに天秤院に行きますよ?
でないと、こちらの仕事に支障がでます!
その間に身辺整理はしてください。」
「ははははは!」
「?
医家を呼びますか?」
「ほら!月が昇る!」







この内容は

王の為

ニバーセルの為

中央の為

グラシオル大陸の為だ

その報告が正しい

それに基づいて運営を

そして疑問点は

この時にまとめて

院長であるわたし

ダードにだけ報告をするように





「・・・・・。」
「下がっていいぞ。」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


これ?
毎年?

師匠の考えていたこと?思い出していることが流れてくる。

新年の月の出と共に命令しているの?
王の言葉は?
この後?

セサミン達に新年の王の言葉ってどんなんなん?って聞けば、
至極単純。

「なんなん?」
「あれ?方言かな?どんなの?ってこと。」
「ああ。姉さんの言葉は意味はわかるんですが、音が面白い。」

変なところで感心されてしまった。

王の言葉。
様々な決め事の報告。
これは、会合で決まった内容。
今回なら砂漠の労働がOKってことだ。
で、
みんなでがんばろうねーってことだけ。

それが聞こえてくるとか。
いやいや、まずは遠く離れている王さんの
言葉が聞こえてくることに疑問を持とうよ。
そういうものだと?
そうなのね。


じゃ、新年の月の出と共に王の言葉の前に命令?

ルンバが言う高いところに登るっていうのは?
これは、村単位で行なう行事だから、
高いところに登るっていう指示が大優先だ。
で、出稼ぎに出ている人たちは、
村の習わしで高いところに行くんで、その集まりは後で出ます!
と、回避してたってこと?
恐ろしく単純だ。
いや、これは、師匠の記憶。
なにか抜け落ちはないか?
2人だけ?
マンツーマンが条件?

甲と乙で考えようか?

部屋に甲がいて、乙が後で入る?
甲が月を背にする?
又はその逆?
甲は座って乙が立ってるとか?
この逆も?

いや、違うな。
そんな細かな条件があるはずがない。
何年もやっていたんだ。
年末は納税の仕事があるから余計なことはできない。
無茶苦茶忙しいはず。
月が昇る光を見ながら命令される?





月が昇ると言われて、師匠はそれを見ているはずだ。

この場合、立場上の上下関係も加味されるか?
月を見ている人たちに対して、
大きな声で、マッパでダンスと叫んでもダメだろう?

いや、だれもそれを試していない。
みなが、ものすごくある意味まともだからだ。
理性が優先される。理性と言うより倫理?

命令系統はかなり制御されている。
だから王が絶対的立場で、その上が中央だ。
疑問も起こらない。
ん?だったら下剋上はない?
心持か。
師匠の?
一応上司として扱っていたから?
仕事人間は操りやすいな!

告発する人は矛盾、不正が許せない人。
いや、許す、許さないの問題ではないな。
不正はダメ。
それが集団生活をする上でのルールだ。

しかし、
疑問におもわない人はそのまま。
疑問に思っても面倒だと思う人もそのまま。
疑問に思っても円滑に進むのならこのままでいいやと思う人も。
大半がこれか?

不正をされることによって己の仕事が増える人。
師匠がそれだ。


で、疑問に思い、調べ、告発しようとしても先にコントロールされる。


そりゃ、ストレスがたまるな。

新年の月の光の利用法。

銃もなんら問題なく開発できるな。
だって、技術だもの。
それはまずいと、自分の上司が止めない限り問題は無い。
しかもその上司を上司と認めているかどうかも重要。
が、領主主導で進んでやるんだ、問題なしだな。

領主は領主の仕事をするから領主なんだ。
ラルトリガの領主、ファンファンことファンロも、
領民に半分の確率で行なわれる間抜けなことをやっても、
早く終われーっと思われるだけで領主だと思われている。

なにも新年でリセットがかかって忘れるわけじゃない。
そもそも疑問に思わない。
疑問に思って開発、進化していくことも問題は無い。
年越しの開発は無理だと思っていたけど、
それは大丈夫なんだ。そりゃそうか。
いまの環境に満足していれば、
進化の進みが遅いのは当然だ。
わたしが思い違いをしているだけ。
歴史に詳しい人ならばわかっただろう。
これからどんどん進んでいくその一歩手前なのだから。

師匠もわたしも正義の味方でも、監査役でもない。

なにが問題か?

師匠がただ働きしていることだろう。
そしてしわ寄せが来ている。
戦争が始まるのに目に見えての資金不足。

それによって、砂漠石の産出地、コットワッツが狙われていること。
取れなくなったとしても、20年分の石は狙われる。
全部使ったよってことにしたほうがいいのかも?
いやダメだ。
必要な石だもの。
日常生活において使うものだ。
ライフラインのエネルギー。
砂漠石が手に入らなくなっても、
コットワッツは20年間は問題なく運営できる。
ん?
備蓄エネルギーってことか。
だったら、他領国もそれくらい持ってるんじゃないの?
ああ、コットワッツは砂漠石で確保していただけってことか。
他は金とかリングとか?


賢領主と呼ばれるセサミナが
たった20年?
しかもそれは次の産業を見つけるために使うつもりだったはず。
たとえあと2年の猶予があったとしても、
数年分ぐらいしか集められないだろう。
ピクトのように子供も導入するか?
いや、それに対しては、はなから否定していた。
テルマは、香木は孫の代まであると言っていた。
孫の代。それは孫が元首になるまで?
違うな。孫が石になるまでだ。
あの国は別格に長寿。
200年か?いや、もっとだ。
コットワッツは?
貯蓄している砂漠石、合わさりの月の日にでる砂漠石が、
20年分だという。
お傍付きのドーガーは集めているのは知っていた。
なぜというの知らなかった。
変動があるというのはセサミナとあの兄2人は知っている。
完全な秘密ではない。
セサミナだけが本当に知っていることがあるということ。
それこそが領主の引き継がれる力なはず。
なるほど。
20年分。
王都にばれずに集められるだけ集めた砂漠石。
それがばれても問題ない石の量。
それは変動後に使うためのものだ。
だから、それを使うことも問題ない。
だって、使っても、まだあるもの。本当の備蓄が。
20年分は次の産業を開発するだけの資金。
他に備蓄、及び資産があって当然。
さすが、我が弟!
賢領主だ。

いや、違うな。
マティスはセサミナに話したと言っていた。
20年分の石”しか”集められなかったというのは少ないのでは?と。
その時のセサミナに嘘はなかったらしい。
領主として隠したか?
大好きな兄ににも?
主であるわたしにも?
20年分の石、合わさりの日に砂漠が分けてくれる石は膨大な量だった。
が、それは使ってもいい石。
他にあるはず。
が、そんなそぶりはなかった。
忘れている?
危機的状況になって初めて思い出すとか?
だったら平時に集めることはできない。

やはり、20年分のみ。
だったら、少ないな。
集めたけど、20年分しか思い出せない?
本当にこれからの600年間、石は出ないのか?


ナソニールは?
もともと備蓄はない?使った?奪われた?
もしくは完全に忘れている。
コットワッツの備蓄は領主だけが知っている。
あることすらも他の人は知らない。
平時には領主も思い出さない?
なぜなら、疑問に思わないもの。

王都、中央も備蓄まで奪うことはしない。
別に、世界を滅ぼそうとしているわけではない。
ちょっと余剰にあるであろうものを自分が使いたいだけだ。


それはどこの世界でもあるだろう。
国を運営している者たちが贅沢をする。
庶民には到底手の届かない世界。
それをうらやむことはある。
それを目指すことも。
度が過ぎれば反旗を翻す。
だが、大抵は、そのまま。
己の分を知っているから。

これはわたしもだ。
他人のことなんていいも悪いもどうでもいいのだ。
まずは己のこと。


いやまて。
だったら王都としての備蓄は?
どこかにあるはず。

いや、ないんだ。
すでに。
だから、あるところから奪おうとしている?
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