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728:労い
しおりを挟む(私はこのまま愛しい人に付く、お前は?)
(この後の動きを確かめます)
(わかった)
(会話せず、殺さず、かかわらず、でお願いしますね)
(面倒な)
(後始末の方が面倒ですよ!)
モウとマティス君が外に出ていった後、
ノトンはすぐに天文院へと戻っていった。
その後すぐに商人風の男たち10人ほどが出ていく。
そんな者たちは入都した記録なぞないのに。
門番も何も言えない。
この者たち以外に外に出るものいないので、
完全に門を閉じてしまった。
モウが渡した、焼き菓子をじっと見ている。
皆で分けるつもりなのか、
残っている門番の数を数えているな。
モウが皆で分けてくれと言ったから。
意識しなくても、モウの言葉は軽い言霊になっている。
いや、意識しているのか。
「すいません。」
休憩室に入ろうとするとこで
声を掛けた。
「え?ワイプ、殿?どうされましたか?」
「いえ、私の弟子が外に出たかどうか確認したいんですが?」
「モウ殿?」
「ええ。そうです。出ました?」
「先ほど。」
「なんだ。それは残念。
月が沈めば、また来るのでいいか。」
「・・・・。」
「?なにかありましたか?」
ここで、今の騒動を話すか、黙っているか。
手に持った焼き菓子を、見つつ話し出す。
「モウ殿は、ワイプ殿の弟子なのですね?」
「ええ、そうですよ。一番弟子です。
で、夫のマティス君、剣のマティスね、あれは末席です。
それが?」
「モウ殿は、その、お強いんですよね?」
「そりゃ、自慢ではないですが、わたしの実力は置いといて、
鍛錬のワイプの一番弟子ですよ?
軍部ルカリ殿との手合わせがありましたが、
ま、ルカリ殿が
こちらに花を持たせててくれましたが、5分と言っていいでしょう。
それが?」
「モウ殿、彼女はその、仕事を理解してくれる方です。
権力や、地位、それに逆らえない立場の仕事を理解している。
労いがあるのですよ。」
「でしょうね。彼女はこちらの来る前の故郷で、
かなり仕事関係で苦労している。
理不尽なことでも、それが仕事だと割り切る必要もあると思っていますね。
なので、ごく普通にそれに対しての労いがある。
当たり前のことだといいますね。それが?」
「・・・・・。
先ほど、天文院ノトン殿からの通達で、足止めを。
その後、連れていかれようとしましたが、
名乗りを上げないものにはついていけないと、
あなたの名前を出して、応戦しようとしました。」
「おや!それは面白い。誘拐ですね。
呼んでくれればいいのに。
問答無用で資産召し上げが出来たのに!」
「・・・・・。
こちらはノトン殿と把握出来ているので、
それができるわけもなく、退都していただきました。
そのときに、手間を掛けさせたと、この焼き菓子を。」
「ああ!それはなかなかにうまいですよ?
それとコーヒーがよく合う。
カンターウォーマー、資産院で扱ってますから。」
「・・・・・。
ええ、そのようで。」
「お買い上げで?」
「違います!・・・・。」
「どうぞ?ここで聞いたことは言いませんから。」
「10人ほど、後を追っています。
徒歩なので馬で迎えに行けば間に合います。」
「ああ!心配無用ですよ。
門外にマティス君がいますから。
迎えに来ているはずですよ。」
「!なんだ!じゃ、問題ないですね。あはははは!」
「いや、逆にその出ていった10人?
戻って来るんじゃないですか?」
「え?」
かなり嫌そうな顔をする。
そりゃそうだ。
大門、通用門と閉じている。
門を叩けば、対応しないといけない。
大抵は、月が沈んでから来いと言えるが、
おそらくは命からがら戻ってくるということは想像できる。
やはり、剣のマティスの実力は皆が知っているからだ。
大会で棄権したとしても、その戦いぶりを見れば、
さすがとしか言えないだろう。
「彼女もそれがわかって、それを渡したんじゃないですか?」
「ああ、なるほど。」
「お話、ありがとうございます。
ああ、では、あとで、カンターウォーマーを届けましょう。
お代は結構ですよ。いまのお気遣いの感謝のしるしです。」
「あ、いえ、買わせてもらいますから。」
「?そうですか?では、遠慮なく、5リングです。」
資産院、わたしから物をもらうというのは
みな嫌がりますね。
別にそれで納税額が増えるわけではないのに。
ルビスとチュラルに届けるように連絡して、
天文院に。
その後、資産院に戻って、
ナソニールの資産管理、
スクレール家の資産洗いだし。
ツイミがこちらに来てくれていてほんとうによかった。
ソヤもだ。
わたしだけなら死んでますね。
「ツミール?」
「・・・。」
オート院長が、女装しているツイミの脚が開いてくるのを注意して、
そして、ツイミは苦笑いだ。
この3人で、今後の方針を決めていく。
タンダートが年明け土地を売るなら、
いくつかは資産院で確保しておきたい。
時期をみて転売すればいい。
リガーナ殿の方式はなかなか理にかなっている。
リガーナ殿は資産院に来てくれないだろうか?
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
(呼吸法を変えるんですよ、細く長くね)
(なるほど)
(そうすることによって、腹筋が鍛えられます)
(では息そのものをしないというのは?)
(いいですね!やってみましょうか!)
(・・・・死ぬよ?)
((あ!))
王の呼び出し、面談と、想定していたことが起こったが、
問題は無い。
モウにはとにかくマティス君と一緒にいるようにだけ指示する。
王族の面談というものになれていないと
開始までの時間が長く、退屈だろう、と、
セサミナ殿、ガイライ殿と話しかけているようだ。
では、わたしも。
マティス君と鍛錬の話。
リーズナ殿の話。
彼の行動は本当に疑問だ。
傍付きが単独?それは知らないな。
(・・・・・どこかで制御がかかる。師匠?)
(なんですか?)
(あなたは、実質このニバーセルの予算を握っていると言っていい。
だけど、節々でおかしいところがある。気付いていますか?)
そうだ。
わたしはニバーセルの予算を担っていると言っていい。
ニック殿が辞めたのは把握していたはず。
これからの軍育成に憂いたはずだ。
が、平和そのものなら仕方がないと。
軍の行動はあまり関心がなかった。
いや違う。
忘れていた?
副院長になったのは?
10年?いやもっと前?
ダードに院長がなってから?少ししてから?
?
毎年、収支の帳尻を合わすのに奔走していたはず。
?
王との交渉は?
いや、あれが初めてだ。それは間違いはない。
あんな疲れること、シュークリームなしに乗り切れるわけがない!
が、その他のことは?
はっきりと断言できない。
妖精の世話役?
王が?
言い切る?
そんなこと可能なのか?
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
また、モウがくだらないことを言って喜んでいる。
マティス君もニック殿も。
なんなんですか?
ゴムのパンツで世界征服って。
いえ、便利ですけどね。
セサミナ殿も嬉しそうだ。
セサミナ殿は本当にいい顔で笑うようになった。
話し合いは必要です。
ついでに手合わせもしたいですね。
また、モウはくだらないことを嬉々として言う!
ああ、いいですね、この手合いの気は。
?
最近ではいつ?
?
最近?いえ、久しぶりなのでは?
暗部が解体になってから?
そうではない。
副院長になってから?
そんなに現場に出ていない?
ガイライ殿の気で、軍経験者のマティス君とワイプ殿は
素早く距離を取る。
わたしは?
わたしは、軍に属していない。
最初から暗部であり資産院だ。
?
実働はあった?
ないとおかしい。
が、記憶がない。
配下に任せっきり?それもないな。
わたしが出張るほどの物はなかった?
それもない。
ニック殿が言うほどわたしはなまっていない。
が、記憶がない。
ほんとうにただ働きか!
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