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727:三竦み
しおりを挟む「セサミン、お疲れ様。お仕事はキリがついたの?」
「ええ。
それで?わたしが悪の組織の総帥なんですか?」
「うん!世界征服だよ?みなでゴムのパンツを履くんだ!」
「また!その満面の笑みはやめてください!
・・・しかし・・・。それはいいですね!」
「でしょう?」
「セサミナ?ワイプをこき使うなら、助力するのに問題はないぞ?」
「はい!兄さん!!」
「そこ、3兄弟!止めなさい!」
「「「はーい。」」」
「師匠は?こっちに来て大丈夫ですか?
いま、コットワッツの館に出入りするのはまずいですよ?」
「いえ。移動で来てますから。」
「そりゃそうか。それでどうですか?
お話しますか?」
「ええ。お願いします。」
「誰か同席してもらいますか?」
「お任せします。」
「わかりました。月入りのちょっとまえに。
えっと、ちょっとっていうのわかります?あ、マティスが分かるか。
晩御飯は樽便で送ってますよ。」
「はい。」
「師匠?」
「はい。」
「わたしは師匠の一番弟子です。
師匠が考えての行動なら、なんら問題は無いんですよ?
それが世間でいうところの悪でも。
師匠さえ良ければね。
あなたが、黙りなさいというのなら、この話を聞いたものすべてに、
わたしが、記憶を飛ばしましょう。
うん、たぶんできる、はず。
もちろん、わたし自身にも。
このことを突き詰めなくても今まで通りだ。
そして一番重要なのが、わたしと話したところで、
なにもかもにたぶんがつく。
確定的なことは誰もわからない。
わたしたちは世界を動かしているわけではない。
組織の歯車の一つだ。
代わりはあるとは言わないが、すぐに出てくる。
師匠の言葉です。
うぬぼれてはいけない。
ただ、己の心の安寧の為、
お気楽マンボの為、
労働の報酬をもらっていたかどうか?
ただ働きなんぞ言語道断。
それをはっきりさせたほうがいいと思うだけです。」
「ええ。まさしくその通りですよ。
ただ働き!恐ろしい言葉です。
オキラクマンボ?ああ、意味は分かりますね。
それも重要です。
ええ。確認のためです。」
「はい。」
「ああ、先に2人で手合わせしてからでもいいですか?」
「?」
「ニック殿とやったように。」
「ああ!
やっぱり、師匠は何もかも把握しているんだ!
で、その真相を知るわたしを闇に葬り去るのですね!
手合わせにかこつけて!」
「「ワイプ!死ね!」」
うわ!マティスとニックさんの気だ。すごい!
それにどうってことない師匠がすごい。
わたしは、セサミンを守るべく、気を纏い、
扉近くに移動した。
それと同時に、ドーガーとカップが移動して来る。
館内ではわかるだろう。
敷地の外にはでていないはず。
膜張っているし。
「「セサミナ様!」」
なぜか、三竦み状態の3人の前にカップ。
それらを警戒しながらドーガーがセサミンの前に立つ。
「残りの2人は?」
セサミンが冷静に聞き返す。
「え?あ!あて身で寝ています。」
わたしもセサミンもなんの焦りもないから、
安心したようだ。
「気付いた様子?」
「いえ。あの2人はまだ気の読み取りはできないです。」
「驚きました。お三方が本気を出すほどの何かが
出てきたのかと。」
「んー、本気なの?
んー、わからんちん。」
「そうなんですか?」
「んー?ガイライ?」
「お傍に。」
「「「うわッ!」」」
ニックさんたちが気をそれなりに出せば、
ニバーセルで一番気配に、音に敏感なガイライは
気付くだろう。
主であるわたしは平常だから、気配を消したままだった。
「本気なの?」
「モウの考える本気というのがおそらく、我々の考えるものと違うのでは?」
「殺しちゃうよ?っていうの?」
「闘いを始めるときは常にそうですよ?」
「うそん!」
「ああ。あなたの言う本気は滅するということですか?」
「そうそう、それ。」
「それではないですね。」
「そうだよね。それ、ニックさんのはもらったよ?
泣いてしまった。」
「聞いています。それでも、敵相手ではまた違いますよ?」
「そうか。経験はしたくないね。」
「お守りしますので、ありませんよ。」
「そうだね。これ、ほっといていいもんでもないから、
止めて?」
「はい。」
『3人とも止めろ!』
ニックさんとマティスはすぐに距離を取り、こちらを向く。
が、師匠はそのままだ。
気がどんどん膨れていく。
歯止めが効かないのか?
闇落ち?
うふふふ。
久々のパターンだな。
どこまで行ったんだっけ?
パターンK?あれ?ま、いっか。
「このまま鍛錬に行くよ!
コットワッツ砂漠中央だ。
後は任せた!」
「応!」
「「承知。」」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「マティス!送ってくれ!」
「ダメだ。」
「どうして!!」
ニックが叫ぶ。
「本気のやり取りだ。
私もそうだが、だれにも見せたくないだろう?
特にワイプは。」
「だからだ!月が出ているんだぞ!
もしものことがあったらどうする!
ワイプはおかしいぞ!」
「ワイプがおかしいのはいつものことだ。
発散できてないからだろ?
それに、愛しい人も少し疲れているほうがいい。」
「ガイライ!セサミナ殿!いいのか!?」
「後は任せると、わざわざ言っている。
今の問題は?」
「カップのことでしょう。
これはコットワッツの問題でもあるので、大丈夫ですよ。
姉上が戻って来た時に問題が終わっていればいいのですが。」
「お前たちもおかしいぞ!!」
「ニック殿。わたしたちは臣なのですよ。
先程の言葉は、主の言葉だったんです。
場所も目的も、こちらへの指示も入っている。
なんの憂いもないんです。」
「それで、モウちゃんが怪我でもしたらどうするんだよ!」
「愛しい人は鍛錬だといったんだ。
鍛錬での負傷は治せる。」
「ワイプは本気だぞ?俺だっていっぱいいっぱいだったんだ!
死んだらどうするんだよ!」
「私も死ぬだけだ。」
「マティス!おかしいだろ?
緑の目なんだろ?なんで、モウちゃんを守らないんだよ!!」
「ニック。彼女を守る為の緑の目ではない。
彼女と共に生きたいと願っての緑の目だ。
彼女は死ぬつもりはないんだ。」
「そんなのはわかっている!
心配じゃないのか!」
「いや、傍にいたいが、戻って来た時に、うまい料理があるほうが喜ぶだろ?
それに、私がいればワイプも本性を出せない。
ニック?落ちつけ。
ん?ドーガー?カップ?」
「はい。」
「なんでしょうか?」
ニックはガイライに臣の腕を捧げているんじゃないのか?
主が何とも思っていないから、
ドーガーたちは冷静だ。
「ガイライ?ニックは?」
「ああ。わかるか?返した。」
「ニック?愛しい人は受け取らないぞ?」
「わかってるよ!
臣の腕は縛るんだ!心を!
それで、安心感が出るんだよ!
モウちゃんのことで、焦りは厳禁だ。
だが、すべてに安心感が出るのもダメだ。
誰か、何もない状態で傍にいないといけない。」
「それで?返したのか?」
「・・・・そのほうがいいと、リーズナが。」
「なるほど。
焦りな。いまはお前だけが焦っているぞ?」
「!」
「皆が皆な安心しているのも問題か。
さすが、先生だな。
だが、ニック。
大丈夫だ。愛しい人だ。
鍛錬に関してはワイプに問題も無い。
例え本気の物でもな。
愛しい人にもいい経験だ。
ワイプが死んでしまっても問題ない。
喜ばしいことだ。」
「・・・・・本気でやり合う2人を見たい。」
「そうだな。それは、愛しい人がいいと言えば見せてくれるだろう。」
「行くんだな?」
「いや、後でだ。」
「?」
「いいから。大丈夫だ。」
「・・・・。」
「ニック殿?本当に大丈夫ですから。」
セサミナが少しほほえみながら言う。
「そうか?」
納得するニック。
「・・・・私の大丈夫はダメなのか?」
「ダメでしょうね。」
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