いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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751:軍

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この2人は出ていくのだろう。

「わたし見送ってくるよ。」

愛しい人はきっちりと仕事をするのだろうな。
では、私もしないとな。
彼女は仕事をする人が好きだから。


「セサミナ?ここにいろ。
ルグ?あれと手合わせをするのだろ?
立ち会おう。」
「兄さん!姉さんは?」
「あの2人はダメだ。野心があるのはいい。
が、仕事としても、お前を守るという気がない。
どうとでも使えばいいと思ったが、傍に置けばお前の負担になる。
ダメだ。」
「わかっています。それはわたしの力不足なのでしょう。」
「違うだろ?お前の何を見てお前の力量がないというんだ?
わからないというの別にかまわない。
それをあれらはわかろうとしなかった。それが問題なんだよ。
時間があればいいが、今はダメだ。
戦争がある。お前が率いるお前の軍を作らないといけない。
コットワッツ軍だ。
戦争があると言わなくてもいいが、
ただ、喧嘩に強いだけなどではダメだ。
訓練と鍛練をさせろ。
ラルトルガのようにはなるな。持っていき方だ。」
「はい。それは考えています。」
「ルグ!まずは、その侵入者をどうするか考えろ。
負けるようなら話にはならんからな。」
「はっ。」
「ドーガー?」
「は、はい!」
「気を付けろ。2度目はないんだ。
今回の件は、私も同じようにしでかしたかもしれん。
お互い気を付けよう。
わからない事は聞く。想像する。考える。
特に、彼女が1人で喜んでいることをだ。
聞かないとわからないからな。
あの時聞いておけばよかった。悪かったな。」
「ああ、マティス様!!
二度とこのようなことはないと誓います!」
「そうしてくれ。
ルグ?お前がオーロラ姫を起せよ?
おそらく、起きろではダメだろうな。」
「え?どちらでもいいとおっしゃってましたが?」
「ほら、考えろ。
彼女がうれしそうにあの言葉を言ったんだ。
そっちのほうが強いに決まっている。」
「・・・・わかりました。やってみます。」
「兄さん?」
「ん?」
「兄さんは変わらないですか?」
「ああ、彼女の緑目だな。変わらない?
いや、変わった。憂いが無くなったよ。
お前も不安になるな。彼女に聞け。なんでもな。」
「はい。」


変わったんだと思う。
欲が出てきたのだ。
彼女がいればいい、だけではなく、
彼女とよりよく過ごしたいと。
それは、コットワッツ、ニバーセルの安泰だ。

・・・・・。
愛しい人が最初から言っていたことだな。
ははははは!

ダメならコットワッツ兄弟で大陸をまわるのもいい。
なんにでもなれる。




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

『起きろ!』
『おい!起きろ!』

蹴りを入れても揺さぶってもダメだ。


「ダメだろ?ほら!」


あの言葉?
ドーガーめ、にやにやするな!!

はー。ため息が出る。

「心を込めろよ!」

なにに!どーやって!!
妻に言うように言えばいいのか?

『あなたは
眠れる森の美女
暁の姫君
皆が愛するオーロラ姫

いいえ、わたしのオーロラ
わたしの為に目を覚ましてください!』


起きた!
すぐさま臨戦態勢にはいるのはさすがだな。



「ルグはあれだ、演技がうまい!」
「そうですね、オート院長をもだましていましたから!」
「そうだ!それだ!」

そこ!拍手いらん!!


「シクロス?いや、シクロストだったな。
あれから、かなり時間が立っている。腹が減っているだろ?
少し用意している。
便所はそこだ。もう一度手合わせをお願いしたい。」
「緑目のモウは!」
「彼女は今仕事中だ。」
「!マティス!剣のマティスだな?
やはりお前も緑目!あはははは!夫婦で緑目とは!
似たもの夫婦か!お似合いだな!!」
「ふふふふふ。そうなんだ。」
「ま、マティス様?なぜそこで喜ぶんですか?」
「いいだろ?夫婦で緑目!いいな!
夫婦でお間抜けワイプの弟子だと言われるより余程いいではないか!
お前!いいことを言うではないか!」
「「ああ。」」

マティス様の喜ぶところはそこなんだな。

「ふふ。腹が減っては何もできないからな。
ほら、ここにこい。」

マティス様が上機嫌だ。
シクロストはこちらを見る。
ああ、わかるよ、その気持ち。

「シクロスト。どちらにしろ、手合わせは途中だろ?
毒なぞ入ってないし、問題はないから。
相手をするのはまずはわたしだ。
そのあと、マティス様に挑戦するなりすればいい。
モウ様と違って相手はしてくれるだろう。」

しぶしぶといった様子でこちらにやってきた。
どちらにしろ、ここはマティス様の支配下だ。
逃げることも何もできない。
それは肌でわかる。

「では、軽くドーガーと鍛錬しておこうか?
個人的な鍛錬で槍はさほどしてないだろ?それは私もだからな。」
「はい!お願いします!」

マティス様とドーガーは基本的な鍛錬から始めていく。

「・・・・本当にあれが、剣のマティスなのか?」
「そうだな。すこし雰囲気が変わられたな。良いようにだ。
さ、これはサンドイッチだな。パンにいろいろな具材が挟まったものだ。
コーヒーも入れよう。」

以前のマティス様なら、天井崩壊でモウ様がお怒りになった時点で、
ドーガー共々この世にはいないだろう。
こんなことを言っては失礼だが、いや、言わないが、
余裕ができた感じがする。
モウ様が緑目になって対象が自分だとわかったからだろうか?

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