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758:シアター
しおりを挟む「兄さん、楽しそうですね。」
「うん。よっぽど、わたしのこと心配してたんだ。
気付かなかったよ。」
「姉さんは?その、兄さんが動き回っているのは心配じゃないですか?」
「あはははは!それはないな。
だって、常にマティスの気持ちはわかるから。」
「そうなんですか!」
「うん。前より結構はっきりわかるね。
マティスはもっとくわしくわかるようだけど。」
「なるほど。」
「どちらにしろ、モウモウ商会の仕事を頑張らないとね。
カレーの元を売るのはいいことだと思う。」
「ええ、そうですね。」
「しかし、そうか、ルーはナソニールの関係者か。
ん?じゃ、ツイミさんとはいとこ同士なんだ。」
「?」
「親が兄弟でその子ども同士のこと。娘ちゃんたちともいとこになる。
ん?あれ?そうだよね?」
「いえ、そういうのはあまり意識したことはないです。
おじ、おばの子共、甥、姪ぐらいですか?
子供同士の関係を意識しません。」
「へー、そうなんだ。」
そりゃ、近親婚が普通にあって、多妻多夫も普通なら、
余り意識はしないのか?
わたしもそうか。
そんな話をしつつ、銃のお遊び、競技としての話で盛り上がる。
遊びの話だから、相手がセサミンだから話ができる。
金を出すから話してくれと言われても、話さないだろう。
相手が楽しく話を振ってきても、ここまで話さない。
逆に相手の言い分を聞いて、ヘーホーハーだ。
軽く食べれるもの、ジャンクな奴らを用意して、やっとシアターのお披露目。
正面から投影するのではなく、砂漠石自身が映像を出す。
テレビのようなものだ。
映像の伝達?画面に相当する薄く伸ばして、少し湾曲した砂漠石大先生に、
ホワイトボードを持ち出して説明をした。
理屈なんてわからないが、こうなるという結果だけを力説。
さすが大先生だ。
少しバージョンアップしたべっかんこの衣裳で、感謝の舞を捧げた。
この気持ちはマティスに筒抜け。
是非にと見たいと言われたので、
一緒に踊るならとマティス用の衣装も作る。
ダブルべっかんこだ。
舞を捧げる、奉納するというのは本能だな。
全身で感謝を表現する。
いや、ほんと、このままだと砂漠石が枯渇する。
代替案を考える、消費電力と言うか石力を押さえる方法を考えていかないと。
小型化と省エネは必要ですよ。
技術的なものは砂漠石先生にお願いで、あとは、トックスさんたちだ。
リクライニングシートとかね。
イスの角度は好みがあるから。
これで準備万端。
マティス対トラ、マティス対ルンバ、これらに音声はない。
わたしの小芝居入り。
これはまだ
マティスは見ていない。
師匠たちと一緒に見ればいいだろう。
トラの方はトラサイドでの話。
前半はトラの静止画像で説明をする。
ルンバの方はマティスは仇を追う修行者の話だ。
豪華2本立て!
終わった後に買ってもらえるようにパンフレットと、
ちょっとしたグッズも作ってある。
デフォルメしたトラのキーフォルダー。
闘いの名場面を切り抜いたポスターやブロマイドとかね。
~生きた証~
「大兄!大兄者!勝負です!!
「我は眠いのだ、小兄者たちに遊んでもらえ。」
「遊びではありません!今度こそ勝ちますよ!!」」
「うむ。その言葉を聞くのはそうだな、1万5百23回目だな。」
「「「ぶははははははは!!!!!」」」
小兄たちが笑う。
今度こそ勝てるとはずだと小さきものと呼ばれるトラが怒っている。
5頭の赤いトラ。
それがここ荒野の支配者だ。
彼らが吠えれば大地が揺れる。
誰も彼らの前には現れない。
運悪く、彼らの領域にはいれば、それは一瞬にて、
胃袋へと消えていくだろう。
それは、同じ種、薄トラとて同じこと。
なので、赤トラのことはほとんどの者が知らない。
遠い昔、2本足で歩く生き物がかなりの数で狩に来た時だけだろう。
それも、昔話で聞いただけだ。
赤いトラ。
はじめて光を目にし、次に目に映るのは、
先に光を受けたであろう、兄達。
そして己の赤い色。生きる証。
ああ、違うのだな。
遠くへ行かねば。
ここにいれば、目立ってしまう。トラと言えども、幼き体では、
他の動物に食べられ、同胞の血肉になる。
だれからの教えはなくとも、それは本能でわかる。
魚が海の中で息をするように、鳥が飛ぶように。
大人と同じようになれば、目の前の兄弟たちも、
生きるために喰い合うのだ。
が、生まれし、このひと時は、兄弟としてじゃれ合った。
奥へと奥への進んで、同じ色を持つ赤いトラに巡り合えた時は、
一目散に飛びついた。
ああ!兄者たち!!
ぼくは、強くなります。どうか、どうか、お傍に!
それからは、強くなるために兄者たちに挑戦しては、
ひと撫でで地面に転がされていった。
そんな日々が続く。
だが、それは、とてもやわらかい日々だった。
遠くの森で、次々に同胞の気配が消えていく。
我々ではない赤トラが出たのか。
ここまで来れば、容赦はしない。
それはお互い様だから。
「兄者!二本足です!!」
一番最後にこの群れにやってきた、小さきものが騒ぐ。
いや、十分、我々と同じ力を蓄えた。
一番年長者の我よりもだ。
時が来たのだな。
ここ何年も相手をすることも出来なかった。
「お前たちは黙って見ていろ。」
次に群れを統べるものに、全てを託す。
「騒ぐな、大兄者の雄姿を目に焼き付けておけ!」
十分に大兄とやっていける者が、
小さきものを制する。
二本足が気を上げた。
ほう!なかなか!
二本足単独で見たのははじめてだ。
こやつらは我々と同じ群れを成すが、喰わぬのに、
同胞を殺すという。愚かな生き物だ。
最後に見たのは、我が小さきものと呼ばれていた時だ。
我らが身にまとう生きた証を欲するという。
我が大兄者と呼び、育ててくれた兄者は、
大多数の2本足を蹴散らし、最後に散っていった。
その身を奪うように持ち去って行ったのは陰から見ていた2本足。
来るものは拒まず、
逃げるものは追わぬ。
それが我らだ。
爪が掠る。
赤い!我らの色!強き者の証!
それに意識が動いた一瞬!!
はははは!良き人生!
我の生きた証は燃え尽きるまで続くだろう!!
「大兄者!!!!!!嫌だ!!!!!!」
『この荒野の主、トラよ!すばらしき戦いだった。
これはそちらも望んだものだ。
よくぞ最後まで見届けたな!
が、これ以上はできない。悪いな!
撤収!!』
他の二本足が叫ぶ。
そうだ、大兄者が望んだ闘い。
まさにすばらしき闘いだった。
小さきものは今までになく気を上げている。
いつの時代でも同じか。
わたしも、大兄者もそうだったように。
これで、さらに強くなる。
また、新たに小さきものがやって来るのだろう。
それまでに、今の小さきものが、
小兄と呼ばれるように育てなくては。
わたしが大兄となったから。
我らはこの荒野の主。
我らの生きた証が欲しいのなら、いつでも来るがいい。
それを持って帰れるかは己の腕次第だ。
~終わり無きもの~
いつのころだろうか?
仇を討つのが、飯を食うのと同じぐらい日常のことだった。
沈む月を数え、その数が増えていくほどに、
仇の手がかりは減っていく。
なんの仇なのだろうか?親?兄弟?友人?
いや、違う。
あれを討たなければ次に進めないと、己で決めたのであろうか?
その仇がやっと目の前に。
外れの村のまとめ役をしていた。
ただ、私がいつ追ってきてもいい様に鍛練をしていたという。
「遅いぞ!!待ちくたびれたわ!!!」
「よく言う!いざ!尋常に勝負!!」
彼もまた、闘いの中で生きるもの。
その中で、生きる意味を見出すもの。
己の背丈以上の長い剣、それを難なく操る。
戻りが遅いこともなく、意のままに。
風が止むという、月が沈み切るまでの一時での勝負。
滅の気を乗せない、純粋な手合わせ。
そうだ、仇でもなんでもない。
ただ、目標としていたんだ。
己の力を確かめるために。
「せぃっ!」
「参った!!」
また私は旅に出る。
己よりも強きものを仇とし、挑む旅に。
私を仇だという者もいるだろう。
虚しいことだというか?
いや、それは己で決めること。
今はこれを極めるのみ。
また、違うことに目が行けば、それを極めればいい。
ああ、日々に感謝。
虚しさなど、塵ほどにない!
武者修行に旅立つ若者!
いつの日か、愛するものを見つけ、
その者を愛することを極めるだろう。
日々精進、日々に感謝。
生きる本質は何も変わらない。
~終劇~
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