いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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「ど、どうした!!」

うむ。便所ではなかったな。


「守衛殿!いらしたようだ。
メディング殿?少し時間をもらいたいんだが?」
「マティス殿!でかいな声だな!その背負子もでかい!
ん?モウ殿は?」
「護衛だからセサミナ様についている。
いま、私はモウモウ商会の行商人としてきた。
少し相談事があるんだが?
ああ、私のことは呼び捨てでいい。」
「・・・・無理なことを。こちらへ。」



「あの守衛は?」
「何かしましたか?」
「あなたが留守だと。それで、別の者を紹介すると言われた。
なので、念のため大声で呼んだんだ。」
「は!くだらない!」
「ワイプに相談したのか?」
「・・・・。まだそこまではいかない。
相談事になるほど大事なら、天秤院に行く。」
「そうだな。だが、気を付けろ?
悪意があれば天文院でもいいだろう。
が、あれには悪意はなかったぞ。」
「悪意、悪意ね。なるほど。
仕事の邪魔をしているわけではない。
わたし以外のものを紹介するだけ。
それで、己に金が入る。悪意はないな。」
「なるほどな!」
「それで?何用なんですか?
後ろの2人は?」
「隠匿の依頼だ。で、水と火をつかえるところに。」
「?わたしの私室でもいいか?」
「マティス様!匂いが出ます!」

黙ってついてきているアバサが慌てて言う。

「それは、茶でとれる。」
「「へー。」」
「匂い?取れるんだな?」
「ん?もち
「マティス様!!確定的なことは言わないで!!」
「あ!たぶん!」

「・・・。後ろの2人。
モウ殿の弟子か何かか?」
「はははは!そうだな!」
「「ええ!弟子です!」」

「・・・・それは断言するんだな。
なにかあれば、モウ殿に責任が行くぞ?」
「はは!何かあればな!」


通された所は部屋と言うより屋敷だ。
砂漠の家や、タロスの家よりも広い。

「様々なものの隠匿を掛けるんだ。
確認しないといけないだろ?」

井戸もある。
ポンプと、樹石のコンロを売る。
冷蔵庫・冷凍庫もあったが、あるなら買うという。
人気でなかなか手に入らないそうだ。

帳簿はつける。
カンターウォーマーは持っていた。

スープを温めカレーの元をいれればいい。
米と卵はできたものを。
保温器に入れていたという形だ。
これも売る。砂落ちもだ。


「これの隠匿をお願いしたい。」

カレーの元を出した。油紙をめくればすぐに香がする。

紙皿も念のため見せておこう。
器型にしたものにアイスも入れる。
そしてブラスを削いだだけのスプーン。


「!レレリ?腹下しか?」
「香だけだ。火を入れるからな。」
「これは?紙?」
「一番安い紙をとかして、形を整える。
表面に食用膠を塗って乾かす。
使い捨てだ。いずれは紙ではなく別のもので作ろうと思う。
水を用意し、洗う手間を考えれば、
こちらを使うほうが安い。
が、陶磁の器で食べるほうが高級感はあるな。
この紙皿は屋台で売るときに使うつもりだ。」
「屋台?資産院前でやった?」
「知っているのか?
いま、資産院は忙しいのだろ?
この匂いを漂わせれば、皆出てきて食べるだろう。
1杯1リングだ。その前、隠匿をしておこうと思ってな。」
「モウ殿が作った?」
「元はな。が、これは、ここにいるアバサとルーがここまで商品にした。
彼らの名前で隠匿を。
かけるのはこのカレーの元になるものだ。」
「かれえ?なかになにが?」
「それを教えるわけにはいかないから隠匿だろ?」
「単品ならいいが、複合物だろ?
その中に隠匿されたものがあるかもしれない。」
「そうか。アバサ?ルー?どう思う?」
「とにかく食べましょう!
チーズとオンセン卵はこのみで。」
「辛いですから、水を。マティス様?氷使っていいですか?」
「そうだな、食べようか。」


「肉?豚?と、玉葱だけ?」
「肉は金額に反映します。なので、高級店とかだと、
もっといい肉を使えばいい。サイとか、ボットとか。
そうなるとそのまま金額も上がる。
これは1リング。これでも、領国では高い。
王都で屋台式?なので、この価格、1リングです。
販売許可は申請しませんよ?今回だけです。」


メディングはカレーの元を粉々にしながら、
中身を確かめている。
カレーもだ。紙皿にいれ、4人分。

「早く食べろ、冷めるぞ?我々も食べるから。」

「・・・・辛い!が、うまいな!」
「「よかった!!」」
「リリレと?香子?後はなんだ?」
「そこは色々です。マティス様?やはり隠匿はいいです。
真似したって、この香辛料の配合はわからないし、
好みもあるし。
小麦粉を固めているのもわかりますよね。」
「それは分かる。」
「具材は何でも。それがカレーです!」

愛しい人が力説していたことを話している。
そうだな、これは隠匿しないほうがいいか。
真似されてもかまわない。
アバサとルーが作ったものとわかればいいんだから。
モウモウ商会はそれを仕入れ売ることにしよう。


結局、隠匿はせず、メディングにカレーをごちそうしただけだ。
アバサとルーがそれでいいというのならかまわないだろう。
紙皿はまだ試作段階だし、知っているものも多い。
他の者が隠匿することはできない。


カレーのことで話が盛り上がっている。
カレーうどんの作り方も話した。
次回食べたいと言われたが、白い服を着ないようにとだけ注意。
その時の話で皆が笑った。
アイスもうまいと好評だ。
香がいい。アルウスだと言えば、驚ろいたようだ。
これも隠匿はしない。
ただ、使う量に注意すればいい。
多くとっても解毒剤だ。問題はないだろう。





愛しい人抜きで話を進めてしまった。
屋台形式にするというのは話したが、
その後の段取りは愛しい人抜きだ。

愛しい人中心ではなくなっている?
あれ?
いや、愛しい人の心は今以上にわかる。

!

(愛しい人?どうした?)
(マティス。ちょっとね)

ルグとオーロラの話聞いた。

(ルグの判断に任せばいい)
(うん)

メディングのところにいる言えば、
彼はそういうのうまいよね、と喜んだ。




「マティス殿?月が昇るまでに売るのか?
準備は?今からだな?米はそこで?
・・・・。わたしも行こう。」
「どうして?」
「2度目の販売だと文句を言われても、
生産院監修だと言えばいい。だれも文句はつけれない。
それはワイプでもだ。」
「いいな!メディングも団員だな!!」


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