いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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763:センサー

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「ははははは!赤い塊モウでもおどろくんだな!!」
「うん。たいてい驚くとおもうよ?」
「だろうな。」
「あ、食べて!食べて!飲み物あるよ。
コーヒーはにがいから、これ、オレンジジュースかな?冷たくて甘い。
あと、試作品だけど、これに炭酸いれたのがある。
あとで、げっぷがでる。
隠密活動に支障が出るかもしれんけど?ま、お試しでね。
あとは、お菓子系ね。
あー、ハンバーガーとかポテチとか?
食べ過ぎに注意だよ?」

オロちゃんはルグをみる。
ルグが頷くと、うれしそうにした。

「彼、8歳です。」
「貴様!!!」
「モウ様はわかっておられる!
モウ様に隠し事はない。一切だ。いいな?」
「・・・・・。」
「いや、おばちゃんセンサーが出てるから。
このセンサー、感知機能は同世代の人ほとんど持ってるから!
わかるから!いいから!いいから!もっと食べなさい!」
「・・・・。」

子供はおばちゃんの”いいから”攻撃と
”もっと食べなさい”攻撃を防げない。
世の真理だ。

オロちゃんは黙って食べ始めたが、
顔は笑ってるよ?

「ルグ?あなたはどうしたい?」
「わたしは彼と家族になりたい。父となりたい。」
「そうか。でもね、彼みたいな子、これから先いっぱい出会うよ?
わたしはね、砂漠の彼ら、そう、砂嵐の彼らね。
あれらは見捨てた。
セサミンは、労働力が手に入ったと、運がいいとね。
今後ほんとうに砂嵐で誰かがやってくれば、そうするだろう。
でも、あの砂漠まではいかない。
それはセサミナの管轄外だ。線引きがハッキリしている。
それ出来る?」
「・・・・オーロラは運がいい。
そして、これからそのような子が現れれば、
その、しかるべき保護をします。
彼は、特別です。そして、わたしを求めている。」
「求めている?」
「ええ。」
「何の話をしてるんだ!!」
「ん、ここ、ついてるよ?拭きなさい。
いいでしょ?タオルっていうの。」

タオルを渡せば、大人しく拭いている。
肌がさ、やっぱ子供肌なんよ。
ちょっと荒れてるけど。
栄養不足?ビタミン不足?
ほんと、食べささないとダメだわ。

「ルグ?それは後だ。
そして、彼ともっと話し合う必要があるよ?
で、あなたの家族共ね?」
「はい。」
「だから!なんの話だ!!」

早食いだな。
ほとんど食べ終わってる。

「先に仕事の話しよう。
この契約書、次の雇い主に見せることにしているんだよね?
なかなかに賢い話だ。
この契約以上のものを提示しないといけないから。
あってる?」
「そうだ!コットワッツに出来るのか?」
「その前にいろいろ話を聞きたい。
それには別に報酬を出そう。
そう言われたことは今までない?」
「ない。」
「そうか。なにがいい?できることはするよ。
悪いが、金以外、命のやり取り以外。」
「!い、移動の話と呼寄せの話を俺に!!」
「ああ。それ、ルグから聞いたのね?
いいよ?でも、それを理解できるかどうかはしらんよ?
話を聞いて、ん?てなれば終わりだ。
それには、まず、そうだね。
ルグの傍にいていろいろ理解したほうがいい。
そのうえで、話そう。それでいい?」
「それで!!」
「モウ様!!」
「ん?いいよ。特別だ。
わたしも線引きはできる。彼だけだ。」
「契約書を書け!!」
「ん。」


石の契約をするときに使う紙とつけペンを
呼寄せる。
そこのセサミンの机にあるからね。
それをわざとフヨフヨ飛ばして、こっちに移動させた。

縦書きにしようかな?巻物風。
達筆で書けるかしら?


契約書

語り手を甲とし、聞き手を乙として、
甲の移動・呼寄せの説明に関して、次の通り契約を締結する。


(契約内容)
第1条 乙は、甲にこれまでのこと、最初の記憶から今までのこと、
生活、仕事等を嘘偽りなく話すことを条件に、
甲は乙に移動・呼寄せの説明(以下「移動」という。)をする。
(契約期間)
第2条 乙が甲に話すのはこの契約締結後。
甲が乙に移動を説明をするのは、乙が希望しときに、1度だけ。
(契約の解除)
第3条 甲は、本契約期間中であっても、乙が本件業務を実施することが困難
であると認めたときは、本契約を解除することができる。
乙も同等条件である。
(第三者委託)
第4条 乙は、本件契約を第三者に譲渡することはできない。
乙はこの件を、コットワッツ領国 ルグ氏のみに相談することはできる。
(秘密保持)
第5条 甲は、乙に関する個人情報を取り扱うに当たっては、乙の同意を
得た利用目的の達成に必要な範囲内で取り扱うものとする。
2 乙は、本件契約の履行に当たって知り得た甲の情報を
取り扱うに当たっては、外部に漏らすことはできない。

この契約の成立の証として、本契約書とする。

追記:

本契約書がなくても契約は履行されるものとする。


甲 へのへのもへじ
乙 この契約書を燃やせしもの          


「はい。いやー、久々に文字かいたよ!
故郷でも手書きはほぼなかったし、つけペン難しい!
でも、なかなかいいんでない?
てーだるー!!これは、わたしの署名ね。
へのへのもへじ。
間違ってないか、ルグ読んでみてね。」
「え?この文字は読めません!」
「あなたは読める?」
「文字が読めるのは貴族だけだろ?
ここの領主だったら読めるんじゃないのか?
お前は貴族?」
「ううん。超庶民。異国の文字だからね。
で、わたしは異国の石使い。
読めるようにしようか?
この契約書に書いている内容を理解できるように。
あとはこの大陸の文字一般。数字も。
これはずっとね。
算数は勉強しないといけないけよ?」
「・・・・いくらで?」
「おお!素晴らしい!
何事にも対価は必要だ。それをわかっているね。
そうだな。今までの契約主と完全に手を切って?
で、あなたは自由になって?
ルグとしなくても、あなたの腕なら、また新たに探せるでしょ?
あなたは、自由だ。
が、契約が重なっていたらダメなんだ。
宣言を。いま、自分は何物にも縛られないと。」
「いま?どことも契約してないぞ?」
「違う、宣言して?

”自分を縛るものは何もない
これから先、全ての意思決定は自分で決める
己を理不尽に利用することはできない”

ってね。」
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