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784:職務質問
しおりを挟む「これは、これは、クラビット殿、トウキン殿。
御子息、ご令嬢が軍隊長になられるとは!
なかなかにない経験ですね!素晴らしい!」
セサミンは立上り、わたしたちはその後ろに。
傍にいる従者は、イスを引けと顎で指示する2人に首を振った。
領主の方が上。
その領主が立上り座っていない。
座るようにと促してもいない。
自らイスを引いて座ることはしない。
使えない従者だと思っているのか?
自分の立場を認識できたのか、
ため息をついて、話し始めた。
「セサミナ殿は、投票は白紙でしたな?」
「ええ!こうして両家が共に軍を担うことになるとは!
考え抜いての白紙投票!正解でしたね。
他の領主もそう言っていましたよ?」
「ふん、地方領国はみな口がうまい。
誰も国のことを考えていないな!!」
「だから領国統治者なんですよ?
国が安泰であればいい。国のことを考える?
それをなさるのが、王族貴族、
ええ、あなた方です。本当に素晴らしい!
これからのご活躍期待しております。」
「そうだ!国のことを考えている。
なのでな、赤い塊モウをタレンテ軍よこせ。娘、軍隊長の指名だ。」
「・・・・。」
「それはクラビット軍にだ!強い守りがいる。
剣のマティスでもいいぞ?地方領国の護衛より余程待遇がいいぞ。
すぐにでも、スダウト軍に来るように。2人ともだ。」
「は!こちらも当然、2人ともだ!!
「・・・・。」
(おなか痛い)
(顔が痛いです)
(2人とも、鍛錬が足りないな!私が聞いてやろう!)
((さすが!お兄ちゃん!!))
『発言よろしいか?セサミナ様?』
セサミンがこくりと頷く。
この手合いにマティスはびくともしない。
緑目とかも関係ない。
昔からなのだろう、立場とか、そういうのはどうでもいいようだ。
お間抜けだなとか、馬鹿だなとかも思わない。
見下しているわけでもない。
早い話が無頓着だ。
『コットワッツ領主セサミナ様が護衛、マティスだ。
後ろの従者の方々に少しお聞きしたいことがある。
護衛としてだ。お応えいただけるか?』
後ろの従者はわたしたちと同じように、
プルプルしている。
護衛が、護衛として聞きたいことがあるという。
一種の職務質問みたいなものだろうか?
頷くだけだった。
『では、お聞きする。
従者としてのお立場、心中お察し申し上げる。
どうしてこうなった?いろいろと大丈夫か?』
ブッぼホっ!
全員!アウト――!!!!
聞きたいことはそれなんだけど!
そんな直接聞いちゃダメ!!
「も、申し訳ない。少し、むせてしまいました。
わたくし、タレンテ家従者、フェクトと申します。
ルパラ様、いえ、軍隊長ルパラ様から
モウ殿と話がしたいと。
それで、その、モウ殿をお探ししておりました。
それがどうして、こうなったかは、皆目見当もつきません。」
「わたくしはスダウト家従者、エマリアと申します。
スダウト軍タゼリー隊長をお守りするのは、
このニバーセル国においては、剣のマティス殿、赤い塊モウ殿しかいないと。
それで、わたしどもの方でも探しておりました。
まずはお雇いできる条件を聞かなければと。
それが、その、クラビット様が話をつけると。」
2人の馬鹿父はまだわかっていない。
ほんと、大丈夫か?
『なるほど。セサミナ様?従者の方々は仕事のようです。
では、こちら2人、よろしいですか?』
「マティス?念のため聞きくが、なにをする気だ?」
『いま、この中での上位は我が主セサミナ様。
そしてその護衛、私マティスは不敬を理由に切って捨てることもできる。
先程の会合と同じだ。
ニック殿、リーズナ殿ほどに猶予は与えられない。
なので、無礼者2人を切って捨てる!!』
ボン!とさらに気を上げた。
ピンポイントに。倒れ込む2人。
それ、練習しよう。
「それはいいんですが、場所がね。
まだしないといけないこともある。
天秤院に報告しに行くのも面倒だ。
とりあえず、返事はしておきましょうか?
気を失っている?
従者の方々?返事、伝えておいてもらえますか?」
「「はい。」」
気を失った、2人に手を出すこともせずに従者2人は返事をした。
「まず。
この2人への返事は、あり得ないです。
会合でこういうことを知らないとわかりましたので、
ここで不敬罪や資産請求するのは、さすがに聞こえが悪い。
何も知らない子供に言うようなものでしょ?
良かったですね、ニック殿をはじめ、ランサー殿、
そしてリーズナ殿に助けてもらえて。
2度目はありません。
軍絡みでなにを言われるかわかりませんよ?
早々に親族会議をなさる方がよろしいかと。
ああ、これはいらぬことでしたね。
そして、赤い塊モウを軍隊長が呼んでいる?
今、彼女はわたしの護衛です。
軍隊長でもそのようなことはできない。
それは我らが王でもです。
コットワッツ領民としてなら、まず、書簡を送ってください。
それに返事するしないはわたしの判断一つです。
直接彼女に何かするのでしたら、
このコットワッツ領主セサミナ、
容赦はしませんよ?
ふふ。これ、先ほどのモウの言葉ですね。
かっこよかったですよね?
で、この2人を雇える条件ですか?
これは、そうですね。
コットワッツ領民で、領地管理者なので、
わたしが領主ですし、その前に兄弟ですし、
姉上はわたしの姉であり主ですし、
それに、お互いが緑目で対象がお互いなんですよね。
その対象の広義な範囲にわたしが入っているといっていいのか、
どうなのか?
兄上?姉上?どうなんでしょう?」
にこりと振り返りわたしたちを見る。
首をかしげて。
「「かわいい!!
好き好き大好きだからだ!!」」
2人でむぎゅーっと抱きしめた。
あははははははは。
「そういうことです。では失礼いたします。」
人をよんで、倒れた2人を運ぼうとしているのを
みもしないで館に入っていく。
「これで、2人が緑目だという噂は拡がります。
会合が終わればすぐにでも公開しましょう。」
「そうだね。でもさ、
緑目の迫害って実際のところどうなの?」
どう対処するかの取り決めがあるというのは聞いた。
「ニバーセルでは噂話程度なんですよ。
実際に軍部の隊長がそうだったっていう話を聞いたくらいで。」
「ああ、ガイライも言ってたね。
おお!ガイライって呼び捨てにしたらダメなんじゃないの?
あ、いまは隊長じゃないのか。ああ!ニック隊長?」
「護衛ですから気にしなくていいですよ。」
「そっか。そういうのほんと難しいね。
ん?オーロラ?どうした?」
オーロラが近くにやってきた。
速いな。
ルグは?あ、走ってくる。
「大変だ!糞が!!!すっごい出た!!!」
「おお!モリモリ?」
「もりもり?モリモリ!!あ!いいか?この言葉は?」
追いついたルグに聞いている。
「人前ではダメだ!!その前に!そういうことはいわなくてもいい!!」
「いやいや、大事だよ?体の変化だ。報告してもらわないと。
いままでは?食べたら出た?
毎日出てた?」
「モウ様!」
「ルグ?常識に囚われちゃダメだって!
赤ちゃんだって毎日うんち出てるかどうか確認するでしょ?
消化器官のこともあるし。」
「!」
「毎日なんて出ないよ?」
「ん?便秘気味?」
「?」
「んーその前に毎日ご飯食べてた?」
「毎日なわけないないだろ?」
「ほれ、ルグ?ここからだ。」
「ああ、申しわけありません。」
「ん。奥方にも相談しなさい。
一般的な健康管理のことを。
そう言えば、砂トカゲってうんちしてた?
マティス知ってる?」
「・・・・。知らない。」
「ね、姉さん?それは、その重要?」
「重要だよ?これは、後で、講習だな。
ああ、オーロラ?そんな感じで報告してね。
でだ、できれば、小さな声で。
なぜなら、不浄な話は嫌がられる。
大事なんだけどね。廻りが聞き耳たててるのわかる?」
「ん?ほんとだ!」
会合の館の席に着くまでの長い廊下。
うんちの話は、ま、よろしくないよね。
あとで、うんちの成り立ちを説明しないとね。
さ、ナソニールの競売が始まる。
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