いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
813 / 869

813:家族

しおりを挟む
「ただいま!
小屋ができてたよ、観察小屋!
陸鳥がいなくなったら回収するんだろうね。」
「そうか。砂は?」
「うん、取ってきた。
これなんぞ?って月石君たちは興味なしだった。
コクに一応聞いたら、陸鳥に必要なものなんだって。」
「ああ、姉さん?テール殿とファンロ殿に手紙は書きましたが、
外に出れないんですよ。ビャクに頼みたいんですが、
かまわないですか?」
「あ、そうか。トリヘビってどれくらいのもの運べるの?
手紙限定?」
「?くわえれる大きさなのでは?」
「そっか。ビャクはいまお仕事中なんだ。
だから、この籠に手紙と、クッキーとか、入れて送るよ。
コーヒー飴とコーヒープリンも。
わたしが作ったってわかるでしょ。
目の前に表れても、トリヘビ?いつの間に!ってなるよね?」
「そうなるとはおもいますが、どこにいるかわかりますか?」
「そうだぞ?お前がいつも心配する便所にいるときだったら、
大惨事となるぞ?驚いて。」
「おお!それもそうだ。
んー、考えろ、考えろ。
んー、時間差。お荷物お届け、時間指定、お受け取り場所指定。
いや、この場合環境指定。
椅子に座っているとき限定!
よーし!わかった!これだ!!」

不思議空間状態に待機。
ファンファンとテール君が椅子に座ってリラックスしたら、
膝の上にあらわれると。
なんじゃこれ!ってならないようにわたしの似顔絵付き。
これでいいんじゃないの?
うん、応用も利くね!この方法は!


「姉さん、これは今回だけの方がいいですよ?
あくまでもトリヘビに頼んだということです。
今回は外にでれないからですよ?」
「ん?」


セサミンがそういうのならそうなんだろう。
なにかを準備するにも、限度があるってことかな?

・・・・・・?
ああ!あったな!未来に手紙を送る話。
そのひとは未来がわかる人で、
とっくに自分は死んでるんだけど、相手の落ち込んでいるときに
手紙が届くようにしたって奴。
わたしだったら、いろいろ準備してしまう、かな?
可愛い姪っ子たちが結婚すときとか?
もし、そのときにわたしが死んでいたら発動すように、とか?
不思議空間がわたしが死んでも維持できていること限定だけど。
ああ、これはゆっくり準備しよう。


「もちろん。じゃ、準備しないとね。
ん?2人は送って、今からツイミさん送るのね?」
「そうだ。樽便は準備している。
飴もプリンもある。
ムムロズのことだからニックも聞きたいそうだ。
一緒に行こう。」
「そうだね。じゃ、ちょっと待って。
籠の準備、似顔絵書くから。」


館にセサミンだけになるが、
ドーガーもルグも、オーロラもいる。
大丈夫かな?
いや、ちょっとな、今はまずいな。

「コットワッツに戻る?
セサミンも領地のこともあるだろうし、
ルグも奥さんのところに帰んないと。
オーロラのことの話もしないとね。
ドーガーもペリフロにさみしい思いさせちゃいけないしね。」
「そうですね。では、戻りましょうか。」
「緊急の連絡が来ればわかるように音石君と月石君に
頼むから。」
「わかりました。」

タフト街道で活躍してくれた彼らの報酬も払わないと。
でないとそれこそブラック商会となってしまう。
契約はきっちりとね。
うん、イリアスの湖のところで一大エステリゾートを作ろう。


セサミンたちに手土産をもたせ、コットワッツ組を送る。
オーロラは残った。わたしが止めた。
さきに話してこいと。

「オーロラ?先に話してくるだけだ。」
「うん。」
「きちんと挨拶するようにな?
気の制御はマティス様の指示に従えばいい。」
「うん。」
「行ってくるぞ?」
「・・・・・。」
「送りの言葉は?」
「いってらっしゃい。」
「ああ、待っていてくれ。」

とりあえず、講堂に送る。
さてと。

オーロラが不安そうだ。

「オーロラ?
これは厳しいことを言うかもしれないけど、
ちょっと聞いてくれるかな?
全ての人が、全ての人を受け入れ愛してくれるわけでもない。
当然自分も全ての人を愛せるわけでもない。
親でも子でも受け入れがたいものがある。
それでも、人は生きていける。
生きていくことはできるんだ。
でも、楽しく生きていきたいだろ?
誰かに嫌われたっていい、拒絶されてもいい。
まずは自分を受け入れて、自分を愛しなさい。
自分は誰からも愛されないって思うなら、
まず誰か、物でもいい、自然や風景でもいいなにかを愛しなさい。
それだけで、人生楽しく生きていける。」
「・・・・?
俺は楽しい?」
「もちろん。すでに、オーロラは楽しく生きている。」
「?」
「あれ?愛ってわかる?」
「好きってことだろ?」
「ちょっと違うな。
好きのさらに大きいものだ。
そのひとが幸せになってくれたらうれしいなっていう気持ちかな?
あー、これ、ものすごく簡単にいってるからね。
しかも一般的に。」
「じゃ、誰が俺を愛してるの?」
「ん?ルグが愛しているだろ?
で、オーロラも愛しているだろ?
愛ってのは男女間だけの話限定ではないんだ。
誰でも、なんにでも。
わたしも、オーロラの幸せを願ってる一人だ。」
「モウは緑目なのに?」
「マティスのこと?マティスは別格なんだ。
比べるものでもないんだよ?」
「・・・・・。マティスを殺したらモウは怒るだろ?
俺を嫌いになるだろ?俺を殺すだろ?
だから、それは嘘だ。」
「ん?話がえらい飛ぶけど、
大前提にそんなことしないで?
で、そうなったとしても、わたしはなにもしないよ?」
「え?」
「だって、マティスが死んだら、わたしも死んでいるから。」
「!」
「マティスはわたしだ。わたしはマティスだ。」
「・・・・。」
「うん。でね?
えーと。なんでこんな話しているかっていうと、
ルグの奥さんはいい人だ。ローチ、ルグの息子さんね。
彼も賢い、いい子だ。
だけど、だからといって、
ルグのようにすぐに受け入れてくれないかもしない。
これは、どうしようもない。
それに、雨の日には赤ちゃんができるんだ。双子だって。
2人だよ?ああ、素敵!
だけど、奥さんは命を懸けているんだよ。
だからね、こう、なんていうんだろ?
手がいっぱい、考えることがいっぱい、
だって、自分の体から命が産まれるんんだ。
余裕がないと言っていい。
いつもより大事にしないといけないんだよ。
でも、ルグがこっちに来てくれてるから、
不安がたまってるかもしれない。
他のことは考えられないかもしれない。
オーロラを受け入れられないかもしれない。
時間が解決してくれるはずだけど、それはいつとは言えない。」
「・・・・迷惑ってこと?」
「かもしれない。
そんことはないよって、いい切れない。」
「ルグと家族になれないの?」
「ルグとは家族だよ?既に。
ルグはルグの家族とオーロラと、みんなで家族になりたいんだよ?」
「・・・・。
仕事は?契約もしてない。」
「それは後でいいよ。
ルグの傍にいるっていう奴が延長してるって思っとけば。」
「じゃ、ただ働き?」
「それはいかんな!それまで、衣食住、面倒見るよ?
もちろん、一般的な給金もでる。
一般的なだよ?
それにまだわたしの話も聞いてないしね。
まだ聞かないだろ?」
「聞かない。」
「うん。なにか要望ある?食べたいもの?」
「・・・・なんでも。」
「じゃ、なんでも。
不安にさせたいわけじゃない。
それだけ家族になるってことはすごいことなんだよ?」
「それは、うん、わかる。
ルグが、俺を家族にすることで、その、奥さんとローチが
嫌がったらルグは悲しむだろ?
だったら、俺は家族にならなくていい。
ルグと仕事はできるから。
それはいいだろ?」
「もちろんだ。ああ、オーロラ、おいで?抱きしめさせて?」
「え?いやだよ、また吹っ飛ぶ。」
「マティス?いいよね?」
「少しだけな。」
「ほら、いいって。おいで?」
「うん。」


期待させちゃだめだ。
不安がらせてもダメなんだけど、賢いんだ。
そういこともあるって思ってくれればいい。

これは、オーロラのことを想って?
ちがうな。
ただ、ただ、わたしが悲しくなりたくないだけだ。


「良し!終わりだ!離れろ!!」
「「え?もう?」」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...