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859:繊細さ
しおりを挟む「マティス?降ろして?」
「まだいいだろう?」
「いや、着替えないといけないし。」
「あれか?ドーガーに教えたやつ?」
「ああ、それでいいか。ん!」
愛しい人は私から離れると同時に、
いつもの服に変わった。
顔に塗ったものもとれている。
「・・・・。」
「どうした?」
「やっぱり声出ししないとダメだよ。」
「そうか?」
「うん。んー、いまは緊急事態だからいいか!」
「ああ、そういうことだな。」
自分が納得できればいいんだ、愛しい人は。
「え?モウ?」
「早着替えですよ!さ、これらは、おじい様が責任をもって面倒見てね。
当方ではなにも致しません。いいですね?」
「わしもしない。」
「あ、そうなん?んー、べつにいいけど。ほんと何もしないよ?」
「かまわない。それで?ここは?」
「ウダーっていうとこ。ルンバの村!
あれ?ルンバがいないな。あ!トウモロコシ畑か!!
呼んでくるね。マティスは待ってて!
オーロラ!行くぞ!!」
「おう!」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
オーロラと2人で走っていった。
追わないと!いや、先にテルマに念押しだな。
(オーロラ?頼むぞ?子供のふりもしなくていいからな!)
(わかってる!)
オーロラは本当にいいな!
「テルマ?」
「これはマティスが移動させたんだな?」
「そうだ。ここはピクトだ。」
「ピクト!の、ウダーか?」
「そうだ。知っているか?この山はいい鍛錬場なんだ。
その向こう、海と砂漠の間に私と愛しい人が管理する領地がある。」
「テルマ様!!どういうことですか!!」
「何もない!ここはどこですか!!」
2人が騒いでいる。
「テルマ?これはなんだ?」
「管理者だ。」
「?」
「ルポイドの管理者だ。」
「エデトではなく?」
「何もしないがな。管理者と呼ばれるものだ。」
「お前の国のことだ。関わり合いはしないが、
愛しい人を悲しませるな。
友人として、お前の元気がないから連れ出しただけだからな。」
「ありがたいな、友人というのは。」
「それを悲しませるな?」
「わかっている。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
ん?
ルンバが子供たちを家に帰してる?
もうお仕事終わりなの?
「おーい!!」
子供たちにお菓子あげたいから、
慌てて声をあげた。
「モウ、さんか!」
なんでさんづけなんだろ?
呼び捨ててでいいのに。
「ルンバ!ご無沙汰です!元気ですか?
で、わたしのこと、呼び捨てでお願いします。」
「いや、さん付けだ。俺の繊細さが際立つからな。
モウさんだ。マティスは、ま、マティスだな。」
「なんか、わたしだけが悪徳商人っぽくなるね。」
「それが狙いだな。」
「・・・ムカつく!」
「それで、なにを連れてきたんだ?」
「いや、ちょっと友達とその見張り?」
「見張りな。で?それは?こっちを威嚇してるんだが?」
「え?こりゃ!オーロラ!
この人はそんなに悪い人じゃないから!
ルンバ、自称20歳のムカつく村長だよ?」
「ひどい紹介の仕方だな。」
「そう?彼はオーロラ。コットワッツ領国、領主セサミナ様の
傍付き見習いだよ。筆頭ルグの息子だ。
ほら、挨拶を。」
「・・・・オーロラです。」
「ウダー村村長のシェジェ、シェジェフカルンバだ。」
「シェジェ、シェジェフカルンバっていうのでひとくくり?」
「そうだが?」
「長い名前だ。やっぱりルンバだね。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
気合せではないが、2人でけん制し合ってる?
「なに?」
「いや。それで?行商か?コーヒーの奴か?」
「ちょっと食料調達の旅?
また、山に入らしてもらおうと思って。
コーヒーの、カンターウォーマーはあるよ。」
「商売はしないのか?」
「マティスがすると思う。」
「お前は?」
「ちょっと、戻んないといけないの。」
「1人で?」
「うん。それで、子供たちにお土産はあるんだ。
それ、あげてもいい?」
「お前たちが来れば、なにかもらえると思ってしまうぞ?
毎回渡せるのか?」
「あー、そうか。そうだね。じゃ、ルンバに預けておくよ。
ご褒美っていうお菓子でもないけど、
甘いお菓子は疲れも取れるからね。
畑仕事頑張ってるからね。」
「それが仕事だからな。」
「ご褒美はいるよ?」
「それはお前たちが高値で買いあげてくれればいい。」
「ごもっともで。」
クッキーの詰め合わせと干しダルク、
飴玉セットを渡す。
クッキーは固めだが、結構日持ちはするものだ。
「山に入るのは今から?月が沈むぞ?野宿か?」
「うん。」
「入山料、1人30リングだ。」
「2人で30じゃなかったけ?」
「値上がりした。」
「あっそ。」
「爪靴は1つ15な。2つだから30。
合せて60リングだ。」
「・・・・。」
「なんだ?」
「爪靴はいらない。」
「だったら、山には入れないな。」
「ひどくない?」
「そうなんだよ、今は。」
ザ!インフレ!!
「そうか。うん。トウミギ栽培、頑張ってください。」
これは、あたると思う。
トウモロコシ粉も考えるか?粉類が少ないから。
そう言えば、
小麦って何処で作ってるんだろう?
一応、わたしの分と、
見張りの分も入れての金額を払う。
入り口で待ってろと言われた。
戻る道中また、オーロラが声を飛ばす。
(モウ?)
(ん?遠慮なくどうぞ?)
(あれ、王族だぞ?)
(らしいね)
(知ってるの?)
(本人から聞いたよ)
(エデトとか爺より扱いが雑だな)
(だって、ルンバだもの!)
(尊敬してないの?)
(どこに尊敬する余地がある?)
(じゃ、爺は?年?)
(んー、そうだね、年齢だけではないんだけど、あとどこだろ?)
(王族だから尊敬してるわけじゃないの?)
(いや、王族とかは関係ないよ?年齢も。
年配の方は基本、敬うよ?人生の先輩だから。
あとは、んー?エデトも、テルマも友人だ。
そうなるとルンバも友人だね)
(みんなか?言葉遣いが違うけど?)
(集団生活をするにおいて、礼儀は必要だよ?
エデトは、あの時は元首として来てくれたから。
おじい様は、いつもあんな感じかな?
膜張ってたし。外には聞こえないからね。
わたしだって、ルンバの廻りに人がいて、
村長として応対してくれてるんだったら、
ルンバの立場を尊重するよ?)
(難しいな)
(ね?わたしもそう思う)
考え込むオーロラ。
わたしも考えるよ。TPOが大事なんだと思う。
何の略だ?
時と場所と場面ってのは覚えてるんだけど。
(60リングって600銀貨?)
(そうだよ。じゃ、6人分だといくらでしょうか?)
(60が6個だろ?だから、7,8,9・・・・)
(ふふふ。あとで九九を教えてあげるね)
(?)
「お待たせ~。
ルンバが爪靴もってきてくれるよ!」
戻ると、テルマは従者もどき2人とおしくらまんじゅうをしていて、
マティスはその周りをスキップしていた。
「なに?楽しそう!!」
「マティス!その動き何?技か?」
「いや、スキプのおさらいだ。
テルマは知らん。あれらが管理者だそうだ。」
「「え?」」
もどきがか?
普通の人ではないとは思っていたけど、
管理者?
なんか思ってたんと違う、って奴だ。
でもなんでおしくらまんじゅう?
「おじい様?それら、その、連れてきてよかったの?」
「付いてきたいと言ったのはこれらだろ?」
「でも、こんな遠くに来るとはおもわなかったとか?
荷物もないし。うーん。なんか、悪いことしちゃったね。
帰そうか?」
「・・・・。帰りたいか?」
テルマの腰を押している?
いや、しがみついている管理者達に聞いている。
いや、なんで管理者なの?
なんか翻訳間違い?
「「帰りたい!!」」
「わしはまだ戻らんぞ?」
「「ダメです!一緒に!!」」
「だったら一緒だ。そのつもりだったんだろ?」
「なにもないから、聞こえない!!」
「山を超えているから、届かない!!」
「「荷物がないから!!なにもできない!!」」
聞こえない?届かない?
電波?
ナソニール側だといいのかな?
荷物があればいいの?
アンテナ?
「その持ってこようと思ってた荷物、
持ってこようか?」
「荷があればいいのか?」
見上げて頷く2人。
そう数えていいのだろうか?
人ではないのだ。たぶん。
姿かたちは人なんだけど。
ルポイドで見たときよりも、
違和感が大きい。
「マティス?どう思う?」
振り返れば、オーロラと2人で、スキップの練習?
すでになんだかわからない、踊りを躍っていた。
完全にリンクしている。
2人で楽しそうだから、そっとしておこうか。
「モウ?頼めるか?」
「かまいませんよ?
これはおじい様だからするんですよ?
おじい様?その2人?としっかり取引してくださいね?」
「!」
権力者は取引、契約というものを
忘れることがある。
権力者に従って当然だと息を吸うことのように当然だと思っているから。
当然とすら思っていないな。
テルマの場合、力押しで従えさせてることはできるが、
駆け引きは不得手か?
「取引だ。
ルポイドに戻るまで、わしの指示に従え。
そうすれば、荷を取り寄せてもらおう。」
渡したら、いまちょっと涙目でパニクってる2人が、
ルポイドにいるときのように小生意気になったら?
めんど臭くならない?
それに、
取り寄せるけど、渡さないってなったらどうするんだろう?
「おじい様?それだと取引にはならない。
わたしは、おじい様に頼まれて、あのとき、馬車に乗せようとしていた、
荷物を取り寄せる。
が、それをおじい様に渡すとは言ってない。
それに、あんた達?
おじい様もあんた達に渡すとは言ってないよ?
大丈夫?」
「「「!!!」」」
だめだこりゃ。
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