いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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858:元老院

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結局は、モウ殿とのやり取りを話すことになってしまった。

「どうやって頭の中で会話したかはお前もわからないんだな?」
「声が聞こえただけです。モウ殿の。
ただ、聞いてほしいとだけ。
父上が自分とツミール殿にも守りの気をまとわせたのは、
あの部屋に何かがいるのかもと。
商売上の損得で引くのではなく、命のやり取りがあるのではと
おっしゃっていました。
我ら3人は商売に関しては素人ですが、
父上は命のやり取りに関してはテンジョウの人だから、と。」
「テンジョウ?」
「モウ殿の言葉は時々、音に聞こえる言葉と、
頭の中で理解する意味とが違うのです。
テンジョウと聞こえたのですが、それは、なんというのでしょうか、
精通している?うーん、高い能力がある?手の届かない位置にいる?
そういう意味だとおもいます。」
「・・・・・。」
「それで、説明を乞えと。
理解できないのは、己の力不足で、
それでも納得いかなければ、連絡を寄こせと。」
「そう言ったのか?連絡方法があるのか?」
「・・・・それを考えるのも鍛錬だと言われました。」
「あはははははははは!!!」
「父上!」
「いや、なるほど。そうだな。
ニックが気に入るわけだ。」
「父上?命のやり取りがあるのですか?」
「・・・・そうだ。
あの2人に守りの気なんぞまとわせない。
守る対象ではないからな。」
「では、誰が?」
「リリクの手だろうな。」
「リリクがモウ殿を守るのですか?なぜ?」
「モウは守りの気だと思っているが、違うな。
この話、聞いておいてよかった。」
「?どういうことですか?」
「理解できなければ、お前の力不足だ。」
「・・・・。」
「ほら、はやくその焼き菓子をよこせ。
コーヒーも入れろよ。あと、その酒もな。
少し呑むかな。」
「・・・・。」
「なんだ?」
「説明を!」
「今は言えないな。」
「ちくしょう!!」
「あははははははは!!!」




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

エデトが元老院にやってきた。珍しい。

「テルマ!少し話しがしたいんだが?」
「どうぞ?」
「いや、2人で。」
「無理だな。」
「・・・・。2人とも、下れ。」

常に、この2人がいる。
それが元老院だ。


「それは出来かねます。元首といえど、これは元老院の決まりでごさいます。」
「・・・。部屋の外に。」
「失礼いたします。」

間抜けな話だ。
部屋の外ならいいという。
防音ができないと思っているからな。
それはドルガナの石だからだ。
他の石は完全に防音する。特にモウからもらった石はかなりの広範囲にだ。


エデトはドルガナの石で防音を掛けた。
丸聞こえだな。

「モウ殿に相談があるのですが、連絡とれないですか?」
「相談か?あれは石使いとして動きはしないぞ?」
「いえ、その、えー、夜の、方の。」
「うまくいったのではないのか?」
「そうなんですが、そのシモーネが相談したいというのです。」
「どんなこと?」
「言えないと。」
「女官ではいけないのか?」
「恥ずかしいと。」
「・・・・。臨時総会が終われば、
ニバーセル国軍の体勢も固まる。
それにかこつけて挨拶にでも行こうか?
セサミナ殿に手紙を出すようなことでもないだろう?」
「そうですね。」

また、石を出す。
今度はモウの石だ。
彼女が言うように、ドルガナは少し黒い。砂の色だ。
モウが出してくれた石はなぜか砂が一粒もついていない。
きれいな半透明な色だ。

「ん?」
「父上!モウが撃たれたと!」
「なに?!?」
「臨時会合終了間際に撃たれたそうです。
血が出て、倒れ込み、マティス殿が支えたのですが、
その周辺に冷気が吹出したと。
その後、緑の目を見せ、モウ殿も緑の目だと公表し、
血が付いた己の手を見ながら、微笑んでいたとか。
その後、移動したと。」
「・・・・・。それで?」
「その後の報告は、憶測ばかりです。
セサミナ殿以下、だれも館から出てこないが、
押し寄せたものに対し、面談を行なったとか。」
「?」
「くわしくはわからずです。が、治療の為、
ここに来ると。」
「?ここにか?なぜ?」
「わたしを治療したのがモウの曾祖父、赤い塊だからですよ!
その連絡方法を聞きに。」
「いや、モウだろ?え?」
「そうなんですが、オトリ、リース、ジット、ナガミからも同じような報告です。」
「ナガミもか?」
「ええ。」
「来るのは間違いんだな?」
「そのようです。」
「来るのなら好都合だ。」
「父上?」
「わかっている!!」

声が聞こえなくなり、おかしいとでも思ったのか、
2人が入ってきた。
その後すぐに、報告という形でモウの話が届いた。


「移動で?マティスができるのだな?
とにかく、砂漠口で待っておこう。」

モウが移動でできることは隠しようがないが、
赤い塊がモウだということはエデトとわたししか知らないことだ。



リリクが石の取引を破棄してきた。
向こうにしてみれば、この異常な石の値上がり。
契約した違約金を払っても儲けはでる。
こちらに損はなかったが、では何処から買うかという段になって、
ドルガナから連絡が来た。
あの夜会以降もそれまでと変わらずの付き合いだ。
砂漠石の取引以外。
が、これが一番大きな取引。
父はかなりの優遇をうけていたようだった。
その見返りは?
父の研究の成果だったのだろう。
あの虫唾が走る、おぞましい研究。

操りの糸がことがばれたときよりも、
父が一線を引いたといった時の方が驚いていた。
ドルガナ、パラベンは。

そのあとだ。
リリクが違約金を払い、
ドルガナが今までの1/3の金額で売ると言ってきたのは。

飛びつくわけにはいかない。
より安く、より確実な砂漠石の入手先を確保せねばな。

モウの国の砂漠石を買うのが一番いいはずだ。
ドルガナはそれがダメだった場合だな。


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


愛しい人の声が聞こえる。

氷全部??
ダメだ!!

ルポイドでアイスを振舞った後、
大量にアイスを作っておこうと氷も量産したではないか!
それらすべて風呂に入っている。
砂に埋もれたようだった。

死んでしまう!!
いやだいやだいやだ


いつか思いもよらないことをしでかして、
愛しい人が死んでしまう!!
ずっと傍にいる?
ドロインが言うように彼女をしばりつけることができればいいのに。
いや、そんなことをすれば、彼女が彼女ではなくなる。
どうすれば?

マティス!!

すぐにうるさい3人が声を飛ばしてきた。
気か?そこまで届くのか?
情けないとニックが嘆く。
わかっている。
私が強くなればいいんだ。
そうだ。
わたしが焦ることがいちばんの命取りだ。

下町で鍛練することになった。
彼女は聞こえないと思っているのか、
ニックとガイライに私のことを頼んでいた。
彼女にも心配をさせてしまったようだ。

しかし、一番の問題は、彼女だ。
もっとこう、落ち着いた行動をとれるようになればいいのでは?
私が言うか?いや、言えないな。
おそらくわたしも同じなのだと思う。
同じように行動してしまう。
だれかほかに、ルグとか?ツイミとか?
こう、母君のような方がいいのか?

まさしく、ネリー殿だな!!
きっと一般的な行動というものを教えてくれるに違いない!

─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


砂漠だ!
結構中だよな?
問題ないというモウはまだ具合が悪そうだ。

ニックより強い?モウが尊敬しているのか。
無礼がない様にというが、理不尽なことがあれば守るといってくれた。

ルグもモウも俺を守るという。
カルーチもだ。


オオイは泣きながら守れなくてすまないといっていた。
シクロストははやく自分を守れるようになれと。
はやく強くならないといけないと常に思っていた。
管理者の話はモウも知らないことのようだ。
ドーガーが言うように書き出していったほうがいいな。



マティスが打合せ通り吹き飛ばされた。
そんなに?
俺もか!
わざとじゃない、本当に腕を払うだけで飛ばされた!

モウが叫ぶ!
爺!何やってんだ!
2人で構えるが、後ろの2人の反応が遅い。
なんだ?

モウから上出来だと言われ、
マティスの満足そうな気配がわかる。

「オーロラ?
マティス様はな、モウ様に褒めてもらうことが一番の喜びなんだ。
それを決して邪魔するな?
あと、ワイプ殿が落ち込んでいることとかな。
これは関わるな。
わたしの指示下にいないときは、
モウ様とマティス様の指示を仰げばいい。
が、2人をお守りするのも役目だ。
頼んだぞ?」
「守るの?あの2人を?あの2人が無理なら、
俺も無理だぞ?」
「それはない。
なんだろうか?少し無防備になるときがある。
そういう時だ。」
「ふーん。」
「オーロラ?今仕事中だぞ?」
「あ!はい!!」
「そうだ。」

ルグが言うとおりだな。
馬車に乗れば、2人の従者が睨んでくる。
マティスはモウのことが心配でそんなことは気にもかけていない。
同じように睨んでおくか。

下りれば、モウは吐いてしまった。
え?いつの間に腐ったものを喰ったんだ?
背に触れるマティス。
また叫ぶ。
どうしたらいいんだ!

なんとか館に入り横になるモウ。
ああ。しんどそうだ。どうして?

従者はこちらになにも言わないし、
何もしない。
ただ、睨んでくるだけだ。
それを部屋の外に出す爺。
2人は少し笑っていた。

膜を張る?
モウはまた、吐いた。病気なのか?チュウニ病?
聞いたことのない病だった。
近い症状で効く薬草はあったか?
これも書き出さないと。

マティスはモウにかかりっきりだ。
こういう時だな?守るのは。
爺の前に出る。

爺が俺を探っているな。
ん?病気か?首が太い。
なんだ、病気なら勝てるか?

気を充ててきた!!

(マティス!!)
(ん?ああ、気合せだろ?相手をしてやってくれ)
(わかった!!)

強い。
本当に。
強いというより、大きい?
病気なのに!!
おっさん以上に何もできない!


「お茶にしよう!」

元気なモウの声で
気合せは終わった。

モウと、マティスが褒めてくれる。
うれしい。すごくうれしい。


腹に力か。
こう?

モウがなんか言ってる。ひとりごと?ここで?
変だぞ?なんか、なんか、わ、笑いが!
え?マティスと爺はまさしく腹に力を入れている。
鍛錬か!
く、苦しい!



黙って食べる。
声を出せば笑ってしまいそうだから。


病のことを話せば、その薬草を取りに行こうという。
少しずつでも取っておけばよかった。


エデトとやらは、まさしく国の頂点だな。
セサミナと同じだ。
が、少し甘いか。
ただの子供だと思っている。
笑いかけられても、うれしくもない。

爺!!!
息が止まる!おっさんの比ではない!!
マティスが前に出てくれて、やっと息がやっとできた。

モウがまた故郷の技を出した!!
すごい!

爺はあの布の塊に沈んでしまった。
2人とも何とも思ってないのか?
普通に話している。

それで、どうして爺と出かけることになるんだ?
この2人も?
モウに褒められるのはやはりうれしい。

あ!こういうのはマティスが嫌がるのでは?
?そうでもないみたい。
モウと同じような気配だ。
うん。いいな。

モウも故郷の技を教えてもらおう!
書き出してくれるかな?





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