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864:理論武装
しおりを挟むあ!話に夢中で葡萄の奴、出すの忘れたよ!
おやつは出したけど。
ロールケーキ!
美味しゅうございました。
しかし、余程のことだよね。
食の優先順位が下るなんて!
いや、おかみさんとの話が先ですよ?
葡萄の奴、おすそ分けしよう。
もう遅いかな?
大丈夫よね?
そう思って、おかみさんのところに戻ったのがいけなかった。
おかみさんと親方が話をしている。
それが聞こえてしまったのだ。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「あんた?モウちゃん、緑目だって。」
「ああ、そうだな。それは聞いたし、見せてもらった。マティスもだな?
夫婦でお互いが緑目って、ははは!
驚いたよ。何ら変わらない。
それで、話している間はそんなことどうでもいいから、気にならなかったな。」
「・・・・。」
「ん?どうした?」
「・・・・・。
わたしが生まれる前、隣の家の子が緑目だったらしいの。」
「?そうか。なんの緑目?」
「知らない!
なんの緑目かもわからなかったって。」
「モウちゃんみたいな?普通だったってことか?」
「普通?普通よ?
普通に生活してたって!親から聞いた話よ?
だから、だれもなんとも思わなかったらしいの。
でもね、
池でおぼれている子が目の前にいたのに助けなかったの!
石を拾ってたの!
助けてって叫んでたのに!
それに気付いたその子の親が助けたって!
ちょっと手を出せば助かったらしいの!
でも、その子は、緑目の子は何もしなかったって!
おぼれた子の親も、その子の親も責め立てたらしいわ。
どうして?って!
そしたら、その子も言ったらしいの。
どうして?って。この石を拾うほうが大事じゃないかって。」
「・・・・・。その子は、石が緑目の対象?」
「それもわからないの。あげく、もっとあるかもしれないから、
みんなで集めようって。」
「その時言ったのか?」
「みたい。まだおぼれ子も、助けた親も濡れているのに。
その親子はすぐに領地替えしたらしいの。」
「まさしく緑目だな。その後の話は?」
「親も知らないみたいだったわ。
ほら、ニバーセルの隊長が緑目だって話が出たときに、
聞いた話。そういえばって。」
「ああ!たしか、戦か?対象は?
だから、軍でも活躍できるって。
緑目は不思議だな。
?
それがどうした?」
「・・・・。
もし、もしもよ?モウちゃんや、マティスさんの目の前で、
何かがあったら、
モウちゃんはマティスさんを、
マティスさんはモウちゃんを優先するってことでしょ?」
「そう、そうなるのか?ん?それで?」
「怖いと、そう思ったの!
例えば、わたしがおぼれたとしていて、
目の前にモウちゃんがいて、
助けを求めても、マティスさんが、えっと、遠くから、
そうね、すぐに来てくれって、呼んでいたとしたら、
モウちゃんはわたしを助けないで、マティスさんのところに行くのよ?
それで、わたしが死んでしまっても、
どうして助けなかったのって聞いても、
マティスさんが呼んだから、そっちが優先だって、
あの笑顔で言うのよ?
怖い!」
「・・・・お前、大丈夫か?」
「え?」
「俺は、モウちゃんがおぼれていても、
お前がなにか必死に呼んでいたのなら、お前の元に行くぞ?
お前も同じだろ?俺の元に来るだろ?」
「!」
「おれは緑目ではないが、怖いか?」
「あ!あああああ!!!どうしよう!
モウちゃんが怖いなんて!」
「いったのか?」
「ううん。だって、モウちゃん、ふふふふ。
いつもと一緒で、ふふふふ。可愛いことで悩んでるのよ!」
「ん?なんだ?」
「いやだ!そんなの内緒よ!うふふふふ!」
「なんだそれ?で?お前は?どうだ?怖いのはなくなったのか?」
「ええ。ありがとう。大丈夫。
ええ。みなが同じなのよ。ほんと。あんたがいてくれてよかった。
あんたにはなせてよかった。あ、ああ、あのね?」
「ん?」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
そうしておかみさんはわたしへのアドバイスを実行していた。
こっちも照れたので戦線離脱。
愛を伝えるのは大事なことなのだ。
少し一人になりたくて、
最初に作った"がばちょ"の空間、元タロスさんの家の地下に潜った。
地下の空間はそのまま。
ここにあったであろう、土はどこかに。
なので、空間だけが残っている。
螺旋階段もだ。
ざっくりと作っただけなので、残したままなのだ。
こう、階段箪笥のようなものを作りたい。
薬箪笥みたいなのも。もちろんからくり付き。
親方に相談するつもりだ。
しかし、緑目というのは気を付けないといけないな。
おかみさんや親方が受け入れてたからいいようなものの、
他でもおなじなわけがない。
おかみさんは親方のたとえ話に納得したが、
親方は”なにか必死に”呼んでいればといった。
どちらを助けるか、選択問題、トロッコ問題に近いのか。
この場合はわたしとマティスは他を優先だ。
対象を優先した場合その結果で対象が悲しむことを選択しないだけだ。
ここ大事。試験に必ず出るレベルだ。
人の、今までの経験則から形成された倫理観は通用しない。
たまたま、悲しまないことが優先なだけ。
それがなければ、わたしはマティスが何もかもの優先になる。
おぼれていた子を助けず、助けも呼ばず石拾いに熱中した子のように。
人の集団生活の中では異質だろう。
気をつけないと。
自分ではなく、相手に対してもだ。
常識、倫理が通用しない、それが緑目。
緑目、青目、赤目、薄い紫、茶色、
あとはグレー、ヘーゼル、アンバー?
ここでは緑目だけが特殊だ。
一通り見たような気がする。
ん?赤目はないな。
アルビノだと赤いのか?紫もそれに近い条件らしいが、
セサミンはそうなのかな?
いや、ここでは遺伝子レベルで違うからアルビノとか関係ないんだろ。
どんな姿型にもなれるだろう。
そう見せることもできる。
男の姿も、女の姿も思いのままだ。
が、その”思い”がないからできない。
んー?媒体があればいい?
魔法のスティックとか変身ベルトとか?
それを使うからできると思い込む!
ん!無理か?
わたしのお願いで加工できるのは、
過程はおいといて、そうできることを知っているからだ。
だから、ダイヤの原石からブリリアントカットもできるし、
おいしいお酒も出せる。
知っているから。かなりあやふやでもだ。
結果を知っているから。
魔法の絨毯はそうなったらいいよねという思いと、
重力をどうにかしてるんだよね?というでたらめ科学のたまものだ。
姿を消すことも、認識を変えているだけ。
透明人間になったわけではない。
気配を消した人間の服を認識できないのは、
そのものを認識できないだけ。
手に取ったものは一瞬で認識できないようになるだけ。
勝手に消えていくのなら、浮かない限り廻りは全て消えていくのだろう。
空気感染?伝達?それもあるかな?
ややこしくなるな。
いや、声が届くのはそう考えるか?その人までのルートができていると考える?
テレパシーではないな。
ワイヤレスイヤホンだけど、空気でつながっている有線イヤホン?
ややこしい?
いや、そこはサックっと臨機応変に。
質量、重力、すべての物体は原子でできている(とおもう)
ものは増えない、減らない
何処からか来て、どこかに行ってるだけだし、
原子から作っちゃうし、重力も調整できるし、
認識もミノフスキー粒子?ジャマー?
おお!!ロックだ!これ!!
なんだっけ、なにを張り付けて変身する?コピー?
あのお方ができるんだもの!できる!!
ハニーにロック、バベルもいるよ!!ロデムが好き!
善き哉!
理論武装完了。
世界平和のためでもない、人の為でもない。
わたしの勤めを果たすために、よりよく生きるために。
すべてのことに感謝。
いや違うな、すべてのことには無理だ。
感謝できることにだけだ。
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