性剣セクシーソード

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二章

フラグを立てるだけの簡単なお仕事

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 デカフグリ。

 僕達が一週間彷徨い続け、辿り着いた町の名前だ。
 それ程大きくはないのだが、どうやら主要都市を結ぶ道の中間地点らしく、町は商人をはじめ、多くの人で溢れていた。

 中間地点――デカフグリ。

 デカフグリ……。何だかとてもソワソワするのは何故だろうか。
 空耳かと思いつつ、モミさんに確認をする。
「名前ですか? デカフグリですよ?」
 念のためニーヤにも確認する。
「え? デカフグリだってば」
 念には念を。ペロ様にも言わせてみる。    
「デカフグリ」

 どうやら間違いはなさそうだ。
 わざわざ三人に聞いて(言わせて)謎の満足感に満たされていると、モミさんが口を開いた。
「これだけ人が居ると、お仕事もそれなりにありそうですね」

 そう、僕達は無一文だ。
 本当は前の町で路銀を稼いでおくのが正しい選択だったんだろうが、その選択肢は無かった。
 あの悪夢のような出来事を一刻も早く忘れたかったから。
「アタシ楽なやつがいいな。一時間金貨一枚くらいで」
 両手を頭の後ろで交差させながら、ニーヤが気だるそうに呟く。
 金欠の原因が自分だとは微塵も思っていない様子。
 そのメンタルの強さを少し分けて欲しい。
 まぁ、僕にニーヤを責める資格はない。
 そもそも僕はこの旅で、一銭たりともお金を払っていないのだ。

 異国のお金など持って無い――無い袖は振れないと言ってしまえば身も蓋も無い話だが、気にしなくていいと言ってくれる彼女達に、それでも負い目を感じていたのは正直なところ。
 異世界でヒモ生活――決して理想的ではない。
 であるからして。
 僕はここらで恩返しをしておこうと決めていた。


 
 僕達が向かった先は、町の酒場だった。
 とは言っても酒を飲みに来たわけではなく。
 大抵の酒場には、外に看板が立てられている。
 そこには色々な紙が貼られているのだが、その内容は仕事に関するモノが多い。
 人が集まる場所に、自然と情報は集まる。
 言ってみれば、酒場がハローワークのような役割を果たしているわけだ。

「ん~。何かパッとした仕事はないね。これとか安すぎでしょ。誰がやんのよ」
「でも、こっちではどうでしょうか? ニーヤにもってこいのお仕事だと思いますよ」
 僕も負けじと貼られた紙に目を通すが、残念な事にこの世界の文字には馴染みが無く、当初よりマシにはなったものの、僕の識字率は未だ底辺を彷徨っている。

「何か僕に出来そうなのあるかな? 単純な仕事とか、えっと――力仕事とかでも」
 単純な仕事。
 僕はそれを、昔は何よりも毛嫌いしていた。
 効率化された社会で、そんな職業に就くのはみっともない事だと思っていた。
 どんな仕事でも、誰かの役に立っている事なんて考えもしなかった。
『職業に貴賎なし』なんて言葉を知ってはいても。
 自分に何が出来る訳でもないのに、思い上がって、勘違いして。
 出来る事をやる。
 そんな単純な事さえも出来なかった。
 だから、今はやるんだ。
 優れた頭脳も腕力も無い、何にも出来ない僕にも出来る事を。

「――特にないわね」
「ええっ!?」
 切って捨てるような言葉に、思わず声が漏れた。
 いや、そこは何かしらあろうよ!? 何かさせようよ!?
 めっちゃ意気込んでた僕が馬鹿みたいじゃないか! 
「残念ですが、あるのは技術職ばかりですね。単純な仕事となると職人の下働きなどがありますが、とても一日二日で終わるようなモノではありませんし――」
 そう言って、モミさんが一枚の紙に視線を写す。
「これしかないかな……」
「みたいですね……」
 二人が浮かない顔で眺めている紙。
 その紙に書いてある字を、現代風に訳せばこんなところだろうか。

『急募! 女性限定! 簡単で稼げるお仕事です!』 

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