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二章
三度目の死。意外な横乳
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――ここはどこだろう。
ああ、前にもこんなあったっけこんな感覚。
あれは――初めて死んだ時かな。
それとも――アミルに殺された時かな。
デジャブってやつか。
三度目の死。
どうせなら、やっぱり卒業してから死にたかったな。
死後の世界でも出来るのかな。
桜十文字――結局何の事か分からなかったな。
もう一度生まれ変わったら――。
――ん?
待てよ。デジャブ?
死んだ時に感じたデジャブ?
それっておかしくないか?
だって、一度目も二度目もないじゃないか。
結果的に、両方とも、僕は死んでなかったんだから――。
「こ、ここは……」
生きてた。やっぱり生きてた。多分、ここは死後の世界じゃない。
だって死後の世界なら裸の天使とか女神とか絶対いるもん。いてもらわなきゃ困る。
こんな薄汚い場所とか希望がないじゃないか。
「目が覚めたか」
声の主は、さっきまで戦っていた相手。人喰らいの凶手だった。
「ここは俺のアジトだよ。どうした? 探していたんだろう?」
ここがアジトだって?
だったら何故、どうしてこいつが平然と座っているんだ。
「あの幼女を囮にして、赤い髪の女が追跡役か。なるほどよく考え付いたものだ。すっかり騙されてしまったよ」
「彼女達に何をした!」
「何をしただって? 何もしてない。そもそも赤髪の女はここにはいない。大方途中で罠にでもはまっているんだろう。沢山仕掛けてあるからな。だから――」
――失敗したんだよ、お前達は。
男は勝ち誇った笑みを浮かべて笑った。
失敗した――。
僕達は失敗した。
「さて、今度はこっちが聞かせてもらおう――」
「――だからどうしたってんだ」
失敗した? それが何だって言うんだ。
僕はまだ生きている。
彼女達も生きているはずだ。
なら、何も恐れる事は無い。
「まだそんな眼が出来るのか。自分の姿を見てみろ、手も足も出ないとはまさにこの事だろう?」
僕の手足には、頑丈そうな枷がはめられている。
これでは立つのもやっと、走って逃げる事も出来ない。
ましてや、まともに戦う事なんて。
「だからどうしたって言うんだ。そう言えば、お前布を替えたんだな? 僕の小便の味はどうだった?」
手も足も出ないが口は出る。
男との距離はおよそ五メートル。
「貴様――そんなに死にたいのか?」
「まぁあのまま死ななくてよかったよ。だって僕を殺した男が小便まみれじゃ。小便まみれの男に殺されたら格好悪すぎるだろ?」
男の目が、哀れむように見下したものから怒りへ変わる。
そして怒りは判断力を奪い――隙を生む。
「このっ――」
男が、手元の斧に視線を移したその一瞬。その一瞬を待っていた!
手枷足枷をはめられて、まともに戦う事は出来ない。
だが、剣は出る!
「いっけええええええええええええ!」
腰から抜いたセクシーソードが、光の弧を描く。
その軌道は衝撃波となって男に襲い掛かった。
この距離なら――もらった!
「え……?」
壁に入った亀裂から覗く夜の闇が、衝撃波の威力を物語る。
フルパワーでこの至近距離。人が反応出来る速度じゃないはず。
だが――避けられた。
「な、何で……?」
顔を覆っていた布、そして衣服も破れ、僅かに血も流れ出ている。
完全にかわされたわけじゃない。
でも、僕はかわされた事に驚いているわけではない。
驚いたのは――別の理由。
破れた服の隙間から、控えめに自己主張する膨らみに。
布で隠されていた顔が、少女のソレだった事に。
「……見たな?」
「えっ!? いや! 見てない! 見えてない! 横乳だけ! てっぺんまでは見えてない!」
「ち、違う! 顔の話だ!」
逆上しているのか、みるみるうちに顔が赤く染まっていく。
「いや……いい。どうせお前は死ぬんだ……」
「えっ!? ちょ――!」
目の前の少女が斧を大きく振り上げる。僕にそれを防ぐ術《すべ》はない。
――ああ。今度こそ死ぬ。
くそっ! どうせなら全部見せろよ! 何で横乳だけなんだよ!
未練が残るだろ! 化けて出ちゃうだろ!
振り下ろされる斧を凝視する事は出来ない。
目を瞑り、横乳を恨んだ。
ああ、前にもこんなあったっけこんな感覚。
あれは――初めて死んだ時かな。
それとも――アミルに殺された時かな。
デジャブってやつか。
三度目の死。
どうせなら、やっぱり卒業してから死にたかったな。
死後の世界でも出来るのかな。
桜十文字――結局何の事か分からなかったな。
もう一度生まれ変わったら――。
――ん?
待てよ。デジャブ?
死んだ時に感じたデジャブ?
それっておかしくないか?
だって、一度目も二度目もないじゃないか。
結果的に、両方とも、僕は死んでなかったんだから――。
「こ、ここは……」
生きてた。やっぱり生きてた。多分、ここは死後の世界じゃない。
だって死後の世界なら裸の天使とか女神とか絶対いるもん。いてもらわなきゃ困る。
こんな薄汚い場所とか希望がないじゃないか。
「目が覚めたか」
声の主は、さっきまで戦っていた相手。人喰らいの凶手だった。
「ここは俺のアジトだよ。どうした? 探していたんだろう?」
ここがアジトだって?
だったら何故、どうしてこいつが平然と座っているんだ。
「あの幼女を囮にして、赤い髪の女が追跡役か。なるほどよく考え付いたものだ。すっかり騙されてしまったよ」
「彼女達に何をした!」
「何をしただって? 何もしてない。そもそも赤髪の女はここにはいない。大方途中で罠にでもはまっているんだろう。沢山仕掛けてあるからな。だから――」
――失敗したんだよ、お前達は。
男は勝ち誇った笑みを浮かべて笑った。
失敗した――。
僕達は失敗した。
「さて、今度はこっちが聞かせてもらおう――」
「――だからどうしたってんだ」
失敗した? それが何だって言うんだ。
僕はまだ生きている。
彼女達も生きているはずだ。
なら、何も恐れる事は無い。
「まだそんな眼が出来るのか。自分の姿を見てみろ、手も足も出ないとはまさにこの事だろう?」
僕の手足には、頑丈そうな枷がはめられている。
これでは立つのもやっと、走って逃げる事も出来ない。
ましてや、まともに戦う事なんて。
「だからどうしたって言うんだ。そう言えば、お前布を替えたんだな? 僕の小便の味はどうだった?」
手も足も出ないが口は出る。
男との距離はおよそ五メートル。
「貴様――そんなに死にたいのか?」
「まぁあのまま死ななくてよかったよ。だって僕を殺した男が小便まみれじゃ。小便まみれの男に殺されたら格好悪すぎるだろ?」
男の目が、哀れむように見下したものから怒りへ変わる。
そして怒りは判断力を奪い――隙を生む。
「このっ――」
男が、手元の斧に視線を移したその一瞬。その一瞬を待っていた!
手枷足枷をはめられて、まともに戦う事は出来ない。
だが、剣は出る!
「いっけええええええええええええ!」
腰から抜いたセクシーソードが、光の弧を描く。
その軌道は衝撃波となって男に襲い掛かった。
この距離なら――もらった!
「え……?」
壁に入った亀裂から覗く夜の闇が、衝撃波の威力を物語る。
フルパワーでこの至近距離。人が反応出来る速度じゃないはず。
だが――避けられた。
「な、何で……?」
顔を覆っていた布、そして衣服も破れ、僅かに血も流れ出ている。
完全にかわされたわけじゃない。
でも、僕はかわされた事に驚いているわけではない。
驚いたのは――別の理由。
破れた服の隙間から、控えめに自己主張する膨らみに。
布で隠されていた顔が、少女のソレだった事に。
「……見たな?」
「えっ!? いや! 見てない! 見えてない! 横乳だけ! てっぺんまでは見えてない!」
「ち、違う! 顔の話だ!」
逆上しているのか、みるみるうちに顔が赤く染まっていく。
「いや……いい。どうせお前は死ぬんだ……」
「えっ!? ちょ――!」
目の前の少女が斧を大きく振り上げる。僕にそれを防ぐ術《すべ》はない。
――ああ。今度こそ死ぬ。
くそっ! どうせなら全部見せろよ! 何で横乳だけなんだよ!
未練が残るだろ! 化けて出ちゃうだろ!
振り下ろされる斧を凝視する事は出来ない。
目を瞑り、横乳を恨んだ。
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