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しおりを挟む街に戻ってきた更紗は、昼から夜間担当の門番にギルドカードを提示する。
「サラさん、お帰りなさい。無事で何よりです。今日お一人と言うことは、パーティー外れたんですか?」
「テルさん、ただ今です。そうなんです、パーティー外れました。これからレベル上げをしてから、違う街に移ろうかと」
「そうですか。頑張って下さいね」
「はい。それじゃあ」
テルからギルドカードを受け取った更紗は、そのまま真っ直ぐギルドに向かい、受付カウンターの前に立つ。お昼前のせいなのか、ギルドの受付カウンターには人がいなかった。
「カンナさんただいま」
「サラちゃんお帰りなさい!無事で良かった!」
ニコニコ笑うカンナ顔を見て更紗も微笑むと、依頼の書類を取り出した。
「まだお昼だから、大丈夫です。気にかけてくださって有難うございます。今日の採集の素材買い取りお願いします」
「良いのよ、そのくらい。依頼書を預かるわね。それじゃあ素材をこのカゴに入れて。終わったらギルドカードお願いね」
カンナの言葉に頷いて、更紗は束ねた薬草と、他の素材を入れていく。カゴが一杯になったところで、投入するのを止める。全て出したら自分用の素材が無くなってしまう。
「今回はこれでお願いします」
カゴの横にギルドカードを置くと、カンナがカゴとカードを受け取った。
「はい。いつも状態の良い素材を有難うございます。これだと、薬草が5本1束で銅貨10枚。で、20束だから銀貨2枚、シャボンの実20個は銀貨2枚、シャボンの花20枚は銀貨1枚、ココの実は10個……良く見付けたわね。ココの実は、結構見付けるの大変なのよ?これはかなり状態が良いから、1個銀貨1枚で、銀貨10枚ね。全て合わせて銀貨15枚よ」
ギルドカードを更紗に返したカンナが、小さな巾着をカウンターに置く。
受け取って、更紗はマジックバッグに入れた。
「有難うございます。じゃあ、そろそろ帰ります。あ、そうだ」
更紗はマジックバッグから小瓶を取り出すと、カンナに手渡した。
「サラちゃん、これは……ポーション?」
「いいえ。ポーションの瓶ですが、中身は髪を洗う液体の石鹸が入ってます。使ってみて感想聞かせてください」
「良いの?有り難う!早速今日使ってみるわね!」
カンナの喜ぶ顔を見た更紗は手を振ってギルドを後にした。
これからお昼を食べるかと思った更紗は、屋台の串肉を10本程買って食べながら歩く。これからルトの店を訪れるためだ。
「はふ……っ。美味しい♪」
串肉のタレが絶品で食が進む。5本をあっという間に食べてしまった。
「残りはルトさんへ差し入れにしよう」
もうじき自分の武器が出来上がると思うと、少し浮き足立つが、冷静さは欠かしていない。背後に見知った人の気配がする。
このままではルトの店に迷惑がかかると考えた更紗は、素早く路地裏の小屋の陰に身を潜めた。
「居ない……。失敗か。白神は何か隠している筈なんだけど」
更紗は呟く声にやっぱり、と思う。そう、元パーティーメンバーの鳥居陣だ。
気配が消えてからも暫く小屋の陰に潜み、様子を窺う。
「何故、鳥居くんが……?」
失敗と言っていた。この話は、真理亜だけに話したことはあるが、二人だけの秘密にして他のパーティーメンバーには一切話していない。
何処かで話を聞かれていた可能性を考え、精神を落ち着けるように、深呼吸を繰り返した。
────5分くらい経ってから、複雑な路地裏を迷い無く、すいすいと更紗は歩く。無事にルトの店に着くと、ノックもせずに素早く小屋の中へと入った。
ふう、と大きめの溜め息を吐く。
「お帰り、更紗。何かあった?」
不意に声を掛けられ、ビクンッ!と更紗の肩が跳ねる。
「も、元パーティーメンバーのリーダーが彷徨いてて、撒くのにちょっと手間だった。はい、これ差し入れ」
「有り難う。更紗の後を付いてきても、余程の才能が無ければココには簡単にたどり着けないから大丈夫だよ。武器は出来上がってる。奥においで」
ルトはクスクス笑いながら奥に入っていく。その後ろを追い掛けるように、更紗は付いていった。
付いていく途中、ルトは差し入れの串肉を頬張りながら歩いていく。
作業に集中していてお昼を抜いてしまったルトは、尻尾をゆらゆら左右に動かしながら食べている。とても機嫌が良い。
「後は更紗が魔力を流して使用者を固定してしまえば終わりだよ」
串肉を食べ終わったルトがキッチンへと向かい、カップを二つ持ってきた。
「串肉旨かったよ。少し休憩してから奥の部屋へ案内するから」
「うん。……返事、今しても良い?」
「分かった。取り敢えず座ろうか」
キッチンの側にあるテーブルの椅子に腰を落ち着けたルトは、更紗を向かいの席へと促した。
「ルトさん、私ね。ルトさんと一緒に旅に出たい」
「良いのかい?勿論、俺は更紗が好きだから嬉しいよ。でも、これは俺の我儘でもあるんだよ?」
「良いの。最初はあんな出会い方だったけど、私もルトさんが好きだし、一緒にいたいって思うから。連れてって」
ふにゃっと笑う更紗を見たルトは小さく笑い、更紗の頭を撫でた。
「分かった。有り難う。そうと決まったらまずは武器を作り上げてしまおうか」
そう言ったルトが席を立ち、更紗の手を然り気無く引いて奥の部屋へと入って行くのだった。
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