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9話
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「そうです。こちらが少ないときはこちらから借りてしまえばいいんです」
「なるほど!わかりましたわっ!」
俺はあのあと公爵様からの許可が下りてアンジェリーナの課題を手伝うことになり…リハビリが終わってから3日間毎日このようにアンジェリーナの部屋で足し算と引き算を教えている。
「はい?」
「はいるよ?アンジェ」
ノックとともにドアが開きアンジェリーナの許可を聞く前にハンスが部屋へと入ってきてニヤニヤしながらアンジェリーナをみたあと俺に挨拶をしてきた。
「やぁ、セイジュ君いつもアンジェの世話をしてもらって悪いね。ああ、座ったままでいいよ」
「世話などと恐れ多いです。いつも良くしていただいておりますので少しでもお役に立ててうれしいです」
「お兄様!また私をおからかいになられて!もう!!」
「あはははは、そんなつもりはないよ。それよりセイジュ君」
「なんですか?」
「ちょっとこれをみてくれないかい?」
「?」
ハンスがそういいながら少し大きめな上等な羊紙にびっしりと何かが書かれたものをみせてきた。
「少し桁が多いがどうだろうか?わかるかい?」
「少し時間がかかりますができると思いますが…」
「え゛…セイ…大丈夫ですの?…無理せずともよいのですよ?」
「ふむ。アンジェの言う通り無理なら無理でいいんだよ?」
「いえ、もう一枚紙を貸していただければできると思います」
「ふむ、それならこれを自由に使って構わないからちょっとやってみてくれないかな?」
「わかりました」
俺はハンスから手渡された夥しい数字が書かれた紙と計算用に使う何も書かれていない紙を数枚うけとり解き始めた。
「うん、ハンス様できました」
「え?も、もうかい?」
「?はい。数回見直しをしたのでたぶん大丈夫だとは思うんですが…」
「見直しまで?…そ、そうか…うん…ありがとう」
「いえ」
「そ、それじゃぁ私は行くよ。セイジュ君ありがとうね?」
「いえいえ、これくらいは全然大丈夫です」
「そ、そうか…うん、それじゃね」
5分ほどでハンスに回答をわたすとなぜか驚いた顔をしていたハンスが何度も用紙をみて部屋を去っていった。
正直桁が多いだけで単純な足し算と引き算が混ざった問題だったのでそこまで時間はかからなかっただけなんだがなと思いながらも俺はハンスを立ち上がって見送った。
「アンジェリーナ様?どうなさいましたか?」
「……へ?…え、えぇ大丈夫ですわ。それより本当にすべてできたのですか?」
「え?ああ、先ほどのですか?はい、できましたよ?」
「す、すごいですわね…」
「桁が少し多いだけでやり方は今アンジェリーナ様がやっていることと変わりませんよ」
「そ、そうなのですか?で、では!私もそれくらいできるようになりますか?」
「お慣れになればできると思いますよ?アンジェリーナ様はご理解するのもお早いですし」
「え?そ、そう?」
「はい。応用もすぐにおできになられると思いますし、あれくらいならばすぐにおできになられるのではないですかね」
「あれくらい……そ、そうですか…私が…そんなすごいことができるようになるのですか…」
なぜか目を見開いて絶句し固まっていたアンジェリーナが我に返り俺に尋ねてきたことを俺は素直に思ったまま答えるとアンジェリーナはうつむきながらブツブツとつぶやいた後、ゆっくり顔をあげると少し紅潮しながらも目を輝かせていた。
「終わりましたわ!」
「はい。答えも間違っている個所はないと思います!お疲れさまでした!」
1時間後、5枚の課題をやり終え達成感に浸るアンジェリーナに俺は労いの言葉と笑顔を向けた後、帰り支度をし立ち上がった。
「セイもう帰るんですの?」
「はい?もう夕方ですしちょうど課題も終わったようですから」
「そう…また教えてくださいませね?」
「僕で役に立てることがあれば必ず」
俺の言葉を聞きアンジェリーナは嬉しそうに笑い見送ってくれた。
========================================
「失礼します」
「珍しく慌てておるがどうしたハンス」
セイジュに問題を解かせたあとそのままハンスは父ハスクの執務室へと訪れていた。
「お父様これを見ていただけますか?」
「なんだこれは…ふむ、ずいぶん難しい問題をやっておるのだな」
「ええ、これは学園の上級クラスでやっている問題の一部です」
「おいおい、大人びているとはいえお前はまだ8歳だ学園に入るまでまだ7年もある。それなのにもう上級の問題をやっておるというのか?」
ハンスの言葉を聞きハスクは驚きながら問題を見直していた。
「お父様…それを解いたのは私ではありません」
「ほう、では誰が?」
「セイジュ君です」
「なぬっ!?」
問題を解いた相手がセイジュだとしりハスクは驚き勢いよく立ち上がった。
「さらに驚くべくは…彼はこの問題のすべてを5分足らずでといたということ…」
「彼は6歳だぞ!しかも平民だ!そのようなことにわかには!!」
「驚くのも無理ありませんが事実なのです…なにせ私の目の前で解いて見せたのですから…」
「天才というやつか……」
「そうですね…実際彼の能力は未知数です…事実最近借りている本は学園に入ってから習うことがほとんどの内容のものばかりです」
「な、なんと…」
「それで…お父様は彼をどうなさいますか?」
「……ふむ」
ここまで話したハンスが探るようにハスクを見ながら尋ねるとハスクは真剣な表情に変わり少し考え込んだ。
「正直今は判断できんな…私より触れ合って居るお前からみて彼はどうだ?危険分子となりえるか?」
「どうですかね?アンジェ次第なんじゃないですか?ほら彼アンジェのナイト様ですから」
「ふははははっ!そうだな!」
「セイジュ君はアンジェをかばい今の状況にあるのに我が家を恨むどころか感謝していますからね」
「ふむ」
「大丈夫ですよ、あれだけ裏表なく考えていることがまるわかりな子そうそういませんしね」
「ふっ!そうだな。逆に彼との縁をつないだアンジェに将来感謝すことがあるやもしれんな」
「そうですね!」
二人はセイジュの人となりを思い浮かべ現状問題なしと考えクスクスと笑いあった。
「なるほど!わかりましたわっ!」
俺はあのあと公爵様からの許可が下りてアンジェリーナの課題を手伝うことになり…リハビリが終わってから3日間毎日このようにアンジェリーナの部屋で足し算と引き算を教えている。
「はい?」
「はいるよ?アンジェ」
ノックとともにドアが開きアンジェリーナの許可を聞く前にハンスが部屋へと入ってきてニヤニヤしながらアンジェリーナをみたあと俺に挨拶をしてきた。
「やぁ、セイジュ君いつもアンジェの世話をしてもらって悪いね。ああ、座ったままでいいよ」
「世話などと恐れ多いです。いつも良くしていただいておりますので少しでもお役に立ててうれしいです」
「お兄様!また私をおからかいになられて!もう!!」
「あはははは、そんなつもりはないよ。それよりセイジュ君」
「なんですか?」
「ちょっとこれをみてくれないかい?」
「?」
ハンスがそういいながら少し大きめな上等な羊紙にびっしりと何かが書かれたものをみせてきた。
「少し桁が多いがどうだろうか?わかるかい?」
「少し時間がかかりますができると思いますが…」
「え゛…セイ…大丈夫ですの?…無理せずともよいのですよ?」
「ふむ。アンジェの言う通り無理なら無理でいいんだよ?」
「いえ、もう一枚紙を貸していただければできると思います」
「ふむ、それならこれを自由に使って構わないからちょっとやってみてくれないかな?」
「わかりました」
俺はハンスから手渡された夥しい数字が書かれた紙と計算用に使う何も書かれていない紙を数枚うけとり解き始めた。
「うん、ハンス様できました」
「え?も、もうかい?」
「?はい。数回見直しをしたのでたぶん大丈夫だとは思うんですが…」
「見直しまで?…そ、そうか…うん…ありがとう」
「いえ」
「そ、それじゃぁ私は行くよ。セイジュ君ありがとうね?」
「いえいえ、これくらいは全然大丈夫です」
「そ、そうか…うん、それじゃね」
5分ほどでハンスに回答をわたすとなぜか驚いた顔をしていたハンスが何度も用紙をみて部屋を去っていった。
正直桁が多いだけで単純な足し算と引き算が混ざった問題だったのでそこまで時間はかからなかっただけなんだがなと思いながらも俺はハンスを立ち上がって見送った。
「アンジェリーナ様?どうなさいましたか?」
「……へ?…え、えぇ大丈夫ですわ。それより本当にすべてできたのですか?」
「え?ああ、先ほどのですか?はい、できましたよ?」
「す、すごいですわね…」
「桁が少し多いだけでやり方は今アンジェリーナ様がやっていることと変わりませんよ」
「そ、そうなのですか?で、では!私もそれくらいできるようになりますか?」
「お慣れになればできると思いますよ?アンジェリーナ様はご理解するのもお早いですし」
「え?そ、そう?」
「はい。応用もすぐにおできになられると思いますし、あれくらいならばすぐにおできになられるのではないですかね」
「あれくらい……そ、そうですか…私が…そんなすごいことができるようになるのですか…」
なぜか目を見開いて絶句し固まっていたアンジェリーナが我に返り俺に尋ねてきたことを俺は素直に思ったまま答えるとアンジェリーナはうつむきながらブツブツとつぶやいた後、ゆっくり顔をあげると少し紅潮しながらも目を輝かせていた。
「終わりましたわ!」
「はい。答えも間違っている個所はないと思います!お疲れさまでした!」
1時間後、5枚の課題をやり終え達成感に浸るアンジェリーナに俺は労いの言葉と笑顔を向けた後、帰り支度をし立ち上がった。
「セイもう帰るんですの?」
「はい?もう夕方ですしちょうど課題も終わったようですから」
「そう…また教えてくださいませね?」
「僕で役に立てることがあれば必ず」
俺の言葉を聞きアンジェリーナは嬉しそうに笑い見送ってくれた。
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「失礼します」
「珍しく慌てておるがどうしたハンス」
セイジュに問題を解かせたあとそのままハンスは父ハスクの執務室へと訪れていた。
「お父様これを見ていただけますか?」
「なんだこれは…ふむ、ずいぶん難しい問題をやっておるのだな」
「ええ、これは学園の上級クラスでやっている問題の一部です」
「おいおい、大人びているとはいえお前はまだ8歳だ学園に入るまでまだ7年もある。それなのにもう上級の問題をやっておるというのか?」
ハンスの言葉を聞きハスクは驚きながら問題を見直していた。
「お父様…それを解いたのは私ではありません」
「ほう、では誰が?」
「セイジュ君です」
「なぬっ!?」
問題を解いた相手がセイジュだとしりハスクは驚き勢いよく立ち上がった。
「さらに驚くべくは…彼はこの問題のすべてを5分足らずでといたということ…」
「彼は6歳だぞ!しかも平民だ!そのようなことにわかには!!」
「驚くのも無理ありませんが事実なのです…なにせ私の目の前で解いて見せたのですから…」
「天才というやつか……」
「そうですね…実際彼の能力は未知数です…事実最近借りている本は学園に入ってから習うことがほとんどの内容のものばかりです」
「な、なんと…」
「それで…お父様は彼をどうなさいますか?」
「……ふむ」
ここまで話したハンスが探るようにハスクを見ながら尋ねるとハスクは真剣な表情に変わり少し考え込んだ。
「正直今は判断できんな…私より触れ合って居るお前からみて彼はどうだ?危険分子となりえるか?」
「どうですかね?アンジェ次第なんじゃないですか?ほら彼アンジェのナイト様ですから」
「ふははははっ!そうだな!」
「セイジュ君はアンジェをかばい今の状況にあるのに我が家を恨むどころか感謝していますからね」
「ふむ」
「大丈夫ですよ、あれだけ裏表なく考えていることがまるわかりな子そうそういませんしね」
「ふっ!そうだな。逆に彼との縁をつないだアンジェに将来感謝すことがあるやもしれんな」
「そうですね!」
二人はセイジュの人となりを思い浮かべ現状問題なしと考えクスクスと笑いあった。
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