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13話

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 「やぁ、セイジュ君。会場にいなかったようだがどこに行ってたんだい?」

 「ハンス様、こんばんわ…それがですね…」

 アンジェリーナがチラチラと俺を睨みながらもほかの参加者に話しかけられると満面の笑顔で対応しつつもジリジリと俺に近づいてくる中、ニヤニヤしながら俺とアンジェリーナを交互に見ながらハンスが話しかけて俺は先ほどの話をした。

 「へぇ、娘の誕生日そっちのけにするほどの品物をつくってしまったのか君は」

 「そんなにすごいものでは…ただ日ごろからお世話になっているのに手ぶらというわけには…」

 「あはははっ!君は4年前となんらかわらないね」

 笑顔だが探るように少し鋭い目で俺を見ながら訪ねたハンスにあたふたする俺を見て思わずハンスも苦笑したようだった、4年の付き合いになるがこの人は何を考えているのかわからず、いい人だとは思うがいまだに少々苦手だ。

 「それで?母の分もつくることになったのか」

 「はい。というより元々お許しがいただければカリーナ様の分もと準備だけはしていたので」

 「くっくっく、義理堅いね」

 「6年も色々無償で支援して頂いているので…さすがに良心の呵責が…」

 「こちらは妹のを守ってもらい勉学の成果も著しいから逆に安いものだと思うけどねぇ。くっくっく」

 元々前世でも小心者で目立たなかった俺が異世界にきてしまいましてやこの世界のお偉いさんと日々合わなければいけないというだけで胃がきしむ思いなのにこの人はそんな俺の反応を見ていつも実にいい笑顔を浮かべるなとぐったりした。

 「お兄様、セイなにをこのような端でお二人で楽しそうにしておりますの?」

 「ん?やあアンジェ。いやね?彼がしばし会場から離れていた理由をきいていただけさ」

 「誕生パーティーに席をはずすなんてな要件があったのか、私もぜひ理由をお聞かせ願いたいものですわ!」

 「え?いや…それがですね…」

 「くっくっく。おちつきなよアンジェ、彼は父と母にで呼び出されていたようだよ?」

 「え?そうなんですの?お父様とお母さまがご一緒に呼び出すほど?それほどの要件がセイにあったのですか?」

 「ああ、それがね?っくふ……」

 楽しそうに笑いをかみしめながらハンスが理由を話し、話が進むにつれアンジェリーナの瞳に怒りの炎がともりイライラした表情を露骨にしだした。 

 「というわけで彼には罪はないのさ…あはははははっ!」

 「笑い事ではありませんわっ!娘の誕生日プレゼントが気に入ったからと自分にも寄こせなど!しかも今日という日にですのよ!?」

 「まぁまぁ、それほど衝撃的な物だったということだよ」

 「もう!信じられませんわっ!」

 「あの…ハスク様にはアンジェリーナ様にお使い頂いて問題ないと言っていただけましたし、早くお許しをいただけて僕はよかったと思っております」

 「もう!セイが作ったものなんですからそんなことは当たり前じゃない!」
 
 「落ち着きなよ。彼は元々母の分も作る準備をしていたようだしアンジェの分も新しいものを準備していたようだよ?」

 「え?そうなんですの?」

 「はい」

 それからハンスはいまだに少しニヤニヤしながら俺が二人に普段使いようの品を用意していることを伝えると自分の分はうれしいが母の分も用意していたことに少々複雑な表情をしながらも最終的には笑顔をうかべ俺はほっと安堵の息を吐いた。

 「来客を両親に任せ主役がこのような端で密談しているのはあまり感心しないな」

 「リカルド様!?」

 「くっくっく。それはすまなかったねリカルド、すぐにもどるよ」

 言葉とは裏腹に自分も混ぜろと言いたげな表情で声をかけてきたのがこの国の第1王子のリカルド=ホーネットで俺はガチガチに緊張し冷や汗が噴出し固まってしまっていた。

 「ん?彼は…たしか」

 「ああ、だよ。セイジュ君こちらは一応私の幼馴染でこの国の第1王子のリカルド様だよ」

 「ハンス…お前、様をつけるのはいいが適当すぎるだろ…」

 「お、お初にお目にかかります!あ、あの私は!」

 「ふふっ、そのような礼はいらないよ。気楽にしてくれ」

 「そ、そのようなわけには…私はただの平民の身ですので」

 「ふふっ、なるほどお前の言う通りの者のようだな」

 「だろ?面白い子なんだ」

 「お兄様もリカルド様もセイをおいじめになられるのはおやめになってくださいませ!」

 「そう怒るなアンジェリーナ、なにも虐めてなどないよ」

 「そうだよアンジェ、君のにそんな失礼なことをするわけがないじゃないか」

 「なっ!?お兄様!!なにをいっておられますのっ!そ、それに例のとはなんですの?」

 俺を見ながら興味津々な瞳で笑顔を浮かべるリカルドとここぞとばかりにアンジェリーナをからかうハンスにまんまと乗せられるようにアンジェリーナが予想通りの反応を示し二人はさらに楽しそうな笑顔を浮かべた。

 「ん?そういえばコルグはどうしたんだい?」

 「ああ、あいつは今日は留守番だ」

 「へぇ~、珍しいね」

 「父上が珍しく怒気をはらんだお言葉で今日の参加を許可しなかったのだ」

 「くっくっく」

 「笑い事ではないぞ…お前の父が圧をかけたのであろう?」

 「公爵が国王に圧などかけれるわけないじゃないか」

 「おかざりな王族などそんなものさ」

 「あいかわらず達観してるねぇ」

 「セイ、お兄様方は難しいお話をなさっておられるようですし私たちは向こうにいきましょう」

 軽口をたたきあう二人を見てこれ幸いとアンジェリーナが俺の手を引き料理のあるほうへ歩き出そうとした。

 「おいおい、ちょっとまってよアンジェ、リカルドがセイ君に聞きたいことがあるようだよ?」

 「なんですの?手短にお願いいたしますわ」

 「ふふっ、すまんな。セイともうしたか?1つ聞きたいことがある」

 「なんでございますか?」

 俺たちを引き留めたリカルドが目をつぶり一つ呼吸をしゆっくり開けると真剣ですべてを見ようとするような目で俺を見据え訪ねてきた。

 「私の愚弟のコルグを覚えているな?その際、なぜ?」

 「え?すみません…そ、それはどういう意味でしょうか…」

 「私が代わりに説明するよ?」

 「ああ、たのむ」

 質問の意味がまったくわからない俺に苦笑しながらハンスが話し始めた。

 「君はコルグに足蹴にされ、それをかばったコルグからアンジェリーナを守ろうとして殴られたよね?」

 「庇ったというより、元々私が悪かったのでアンジェリーナ様は関係ないのです。罰を受けるのは私ですから」

 「ふっ…そうか…わかった」

 俺の言葉を聞きなぜか王子は納得した顔した。

 「たしかにお前の言う通りだ」

 「ん?」

 「彼はアンジェリーナのナイト様だということだ」

 「あはははははっ!だろ?」

 「なんなんですのっ!!」

 納得する二人を見ながら納得できないアンジェリーナが顔を真っ赤にして地団太をふむのを俺は訳も分からず見ているしかなかった。 
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