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14話

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 「まぁ、セイジュ君の面白さは来週の王妃様主催のお茶会でわかるよ」

 「ますます、よくわからんな」

 「くっくっく、まぁ楽しみにしてなよ」

 コルグが来てなくてなおかつ俺が極力目立たぬようにしていたため、滞りなくアンジェリーナの誕生パーティーが終わり俺は公爵家が用意してくれた馬車で帰った。俺が帰った後、ハンスとリカルド王子が別れ際にこのような会話をしていたことも知る由もなく。

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 「失礼いたします。セイジュ様をお連れいたしました」

 「ああ、入ってもらってくれ」

 アンジェリーナの誕生パーティーが終わり1週間と少々たったある日、俺は治療院からそのまま公爵家へと連れられてきていた。

 「し、失礼いたします」

 「うむ、急にすまんなセイジュ君」

 「い、いえ!とんでもございません。あの…本日は…」

 公爵家のへ通された俺が中に入るとそこにはハスクとカリーナそれと見たことがない綺麗な女性がいた。

 「ふむ、実はな…おっとそうだその前に、こちらのお方はエスメラルダ王妃様だ」

 「へ?え…えぇ!?た、大変失礼いたしました!」

 「公務ではないから構いませんよ。それよりも…」

 女性を紹介されよもやの王妃だとしると体中から脂汗が吹き出し、俺は急いで膝をついて挨拶をしようとするとエスメラルダ王妃は優しい笑顔でそれを遮りハスクに話の先を促した。

 「あなた私からお話いたしますわ。ねぇ?」

 「へ?は、はい」

 「あなたが作ってくれたこれなんですが」

 「は、はい。あの…申し訳ございません、お気に召しませんでしたか?」

 「ふふっ、いいえ?とても満足しているわ!」

 「そ、そうですか…はぁ~…気に入っていただけてうれしいです。ありがとうございます」

 「ふふふ、それでね?一つ聞きたいのです」

 「なんでしょう?」

 ちらちらと王妃をみながら少し満足げに俺に話しかけるカリーナが嬉しそうに尋ねてきたが俺はいまだに公爵家の面々とあうと緊張するのにこの国の王妃を前にして盛大にてんぱっていた。

 「これがなくなってしまったら次も作っていただけるのかしら?」

 「あ、はい。その瓶の量だと2週間ほどの分量しかないと思いますので、お使いいただきお気に召していただいたようだったらすぐにお渡たしできるよう次の分も作っておりますし、セルジュ様からカリーナ様とアンジェリーナ様がお好きな季節ごとの花をお教えいただいておりますので、それぞれの季節などで香りを変えて楽しんでいただければとは思っておりますが…」

 「そうですか!さすがね!」

 「ありがとうございます。新しいものは明後日にはとおもっておりましたが、それで大丈夫でしょうか」

 「えぇ!もちろんですわ!」

 「カリーナ?」

 「あっ!そうでしたわ…そこで本題なのですが、明後日でもその次でも構わないので王妃様の分も作ることは可能かしら?無理なら無理で

 「カリーナ…」

 話を気分よく終わらせようとしたカリーナにジト目で王妃が声をかけしぶしぶ今日の要件を伝えてきた。

 「あ、あの、ハスク様やカリーナ様には子供の時分からいつもよくして頂き平民の私が作ったものもお使いいただけてうれしく思いますが…さすがに王妃様に私の作ったものをお使いいただくなんて…恐れ多すぎて…」

 元来の小心者の俺はカリーナとアンジェリーナが使って問題なかったとしても、もし万が一王妃になにかあったらと体中から冷や汗なのか脂汗なのかわからないほどの大量の汗が吹き出し必死に声をだして答えた。

 「そうよねぇ、王妃様にもしも何かあっては大変ですものねぇ!」

 「カリーナあなた…はぁ~…セイジュ君とおっしゃったかしら?」

 「は、はい!」

 「あなたもあなたの母も、ここのメイドもそしてカリーナやアンジェリーナもが使っても問題なかったのでしょう?それにうちのメイドなどにも試させて問題なかったら使うのでどうでしょう、私にも1つおつくりただけるかしら?」

 「いっ!?お、お渡しするのは可能なのですが…平民の作ったものなどをお城にお持ちしても大丈夫なのでしょうか…」

 「こちらにお届けしていただければ取りに来させるので問題ありませんわ。では明後日たのしみにしています」

 「へ?あ、はい…ありがとうございます」

 優しい笑顔だが有無を言わせず王妃に言いきられ俺は断り切れず引き受けることにした。

 「ちなみに私はバラが好きなのですが?」

 「バ、バラにございますか…白と赤、それとのバラの香りをご用意できますが…」

 「え?」

 「へ?」

 俺の言葉にカリーナと王妃が驚いた顔をし間抜けな声をあげた。

 「セ、セイちゃん?私の聞き間違いでしょうか?今ピンクのバラとおっしゃったかしら?」

 「奇遇ね、カリーナ私もそう聞こえたわ」

 「アンジェリーナ様へのプレゼントしたものの香りはピンクのバラの香りですが…」

 「えぇぇぇ!?そうだったのですかっ!?」

 「は、はい。昔お小遣いで母へバラをプレゼントしようと思ったんですが、赤と白ばかりで他の色がなかったので」

 「ま、まさか…セイちゃんが?」

 「はい。品種改良をして作りまして今年気に入ったピンクの花が咲いたものがいくつかありましてそれを使いましたが…」

 「セイちゃん!!!」

 「は、はい!?」

 俺の話を聞き、わなわなと震えたカリーナがバッと俺に駆け寄り興奮した顔で俺の両肩をがっしりと抑えてきた。

 「そのバラ!株はたくさんあるのですか!?」

 「えっと鉢に入れてはありますが…」

 「そ、それを!言い値でいいので譲ってくださる!?」

 「へ?」

 「どうなんですのっ!?」

 急に突拍子もないことを言われ困惑する俺にさらにずいずいっと顔を近づけカリーナが詰め寄ってきた。

 「カリーナ落ち着け!セイジュ君が怖がっておるぞ?」

 「え?あ…ごめんなさいね?」

 「い、いえ……それで…バラですが申し訳ありませんが…」

 「そうですわよね…セイちゃんが苦労したものですものね…」

 「いえ、母が気に入ったものはすでに母の寝室に飾ってあるのでそれ以外の物でしたらカリーナ様に差し上げるのは問題ないのですが…少々鉢が大きいので私一人では運ぶことができないのですが…」

 ハスクにとがめられ我に返ったカリーナに俺は事情を説明した。

 「え?よ、よいのですか?」

 「はい?カリーナ様が気に入ったものがあればよいのですが…お見せすることもままならず申し訳ありません」

 「い、いいのよ?そうよね!運び出せないものね!…そうだわ!我が家から庭師を向かわせるわ!それでいいかしら?」

 「よろしいのですか?私は問題ありませんが…」

 「セイちゃんが問題なければ全然問題ありませんわっ!」

 「大ありです!カリーナ…まさか独り占めする気ではないでしょうね?」

 「え?エスメラルダ様、セイちゃんはさしあげるとおっしゃったのですが?」

 「バラですのよ?独り占めはよくありませんと思いますが?」

 「え?」

 ピンクのバラが世に存在していなかったことを初めて知った俺が盛大に冷や汗をかいている中、その後も言い合う二人に困惑し死にかけている俺をみかねてハスクがアンジェリーナを呼び救出してくれ俺はぐったりしながら自宅へと帰った。なお、公爵家ではその日の夕食時にハスクとアンジェリーナから説教されたカリーナがちいさくなって反省の弁をのべたそうだ。
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