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30話
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「飾りつけはこんなものかなぁ」
「まぁ!セイ素敵にできたじゃない!」
「そう?ありがとうお母さん」
家族での旅が中止になり、アンジェリーナと学園前まで行きアンジェリーナを見送った際、数名の学生にみられアンジェリーナは学園でのパーティーでそこそこ大変な目にあったと公爵家のパーティーの手伝いを急遽しに行った際聞かされ今日は我が家でやる誕生祭パーティーの日、父は従業員の子供たちが尋ねてきた際のお菓子を大量に買い込んでしまったためいつもの自宅ではなく、最近立った倉庫で行うことになった。
「お父さんこういうお祭り大好きだから…」
「そうなの?」
「ええ、今日も大量のお菓子を用意してたでしょ?」
「うん、うちで働いてくれてる人の家族分よりだいぶ多いね」
「今でこそそこそこ生活が楽になったけど、お父さん昔から孤児院の子たちなんかに少しでもって配ってたのよ」
「そうなの!?」
「ええ、セイちゃんが怪我してからは特にね。現に今は治療院や孤児院に寄付までしてるわ」
「お父さんすごいね」
「そうね、あんな見た目だけど子供も好きだしほんとうに優しい人なのよ」
当時の苦労した話も笑顔で話す母も父に負けず劣らず素敵な人なんだなと心から思った。
「じゃあ、お菓子を届けに行くのかな」
「旅に出る予定だったから配る手配をしてたんだけど、なくなったからどうせならお菓子をもらいに来るついでに少しでも一緒にパーティーをって声をかけたから倉庫でやることにしたみたいよ?」
「そか…じゃあ、僕も多めに料理を作ってみるよ!できれば持ち帰りもできそうなの!」
「え?そうね、それはいい考えだと思うわ」
俺の言葉に一瞬おどろいた母だったが嬉しそうに頷いた。
今のうちの店は公爵家おすみつきで色々手広くやれていてかなり大きな商会になっているが、父と母はあまり生活水準をかえず相変わらずつつまじく生活してるのも俺的には尊敬していた。
=======================================
「セイ!院の子供たちがきたぞ!」
「わかった!今持っていくからお父さんはお菓子を配ってて!」
「わかった!お前が来たらはじめるからな!」
色々準備に追われているといつのまにか時間がたっていて夕方少し前に孤児院の子供たちが10名ほど訪れていた。
「モンドさん、いつもいつもご慈悲をありがとうございます」
「やめてくださいよシスター様、微々たるものですし」
「いえ、いつもご寄付やこのような祭りなどの際も…」
「気にしないでくださいって!私が好きでやらせてもらってることなんですから!ってそれよりほかの子達はどうしたんですか?」
「流石に全員でくるのはご迷惑なので…年が上の子達は院で食事の準備などをして待ってもらっているんです」
「迷惑だなんて!来年は必ず全員で祝いましょう!」
「モンドさん…ありがとうございます」
あまり裕福ではないとわかる少しボロな修道服をきた瘦せたシスターが涙ながらに父に頭をさげていた。
「お父さん、来てない人の分も持って行ってもらっていいかな?」
「おお!セイそうだな!そうしよう!」
「そんな!」
「人数分ちゃんと用意してありますから、ね?」
「ああ!」
俺の提案に笑顔で頷いた父と申し訳さそうにしているシスターに母が笑顔でいうとシスターも折れたのか素直にうなずいてくれた。
「よぉーし!じゃあ僕の新作料理も先にもっていってもらうね!」
「お?気合いれて作ってたやつだな!」
「うん!冷める前にどうぞ!」
俺は自家製の窯をつかって焼き上げたピザを数枚こべつに箱に入れ持ってきた。
「いい匂いだな!」
「大皿料理だからみんなで別けながら食べるんだよ」
父は箱から漏れ出る匂いを嗅ぎ満面の笑みで頷き3人の若い従業員を呼び寄せた。
「おい、お前ら悪いがこの荷車に料理とお菓子を積み込んで院まで届けてやってくれ!セシリー、セイと一緒に料理を用意してやってくれ」
「親方!こんなにいいんですか!?」
「ああ、お前らの分も入ってるんだ多めにもってけ」
「ありがとうございます!」
3人の若い従業員はごしごしと涙を袖でふいたあとシスターと院の子供達と笑顔で荷車をひいて帰っていった。
「あいつらも孤児院の出だからな」
「そうだったんだ…」
「あいつらにとっちゃ院にいるみんなが家族だ。たまに家族団らんもいいだろ」
「そうだね…お父さん、今日の誕生祭は今までで一番たのしい誕生祭だよ」
「お?そうか!それはよかった!」
孤児院の人たちや、従業員の家族たちなど次々とあいさつに来た人たちに料理やお菓子を配り終え、すっかり日が落ちたころ、ガランとした倉庫に家族3人テーブルに残った料理を囲んで食事をはじめることにした。
「二人とも遅くなってすまん」
「いいのよ、ね?セイ」
「うん、もちろんだよ」
「ありがとうな…ああ、すっかり料理も冷めちまったな」
「あのみんなの笑顔で十分満足してるわ。あなた、セイお仕事いつもがんばってくれてありがとうね、2人が頑張ってくれたおかげで今年はこんなに素敵な誕生祭をやれたわ!」
「セシリー…」
「そうだねお母さん」
母の言葉に父は感動の涙を流しつつ、俺たち家族は満足気に乾杯をしようとグラスを掲げた。
「それじゃあ、遅くなったがいただこう!かんぱ」
「失礼いたします」
「い?…このような時間にどうなさいましたか!セルジュ殿」
今まさに乾杯というときに突如セルジュがやってきて深々と一礼をしてきた。
「今宵はこちらでモンド商会様の誕生祭パーティーが開催されていると聞きまして」
「なんだ!セルジュさん、それでわざわざ来てくれたんですか?折角ですしちょっと料理は冷めてしまいましたが一緒に食べましょうよ!」
セルジュの言葉を聞き、父と母は驚いていたが俺はセルジュがわざわざ来てくれたので立ち上がり迎え入れようとした。
「セイジュ様、ありがとうございます。それではお言葉に甘え参加のほどを…」
「セイ!お招きありがとうございますわ!」
「くっくっく…突然おしかけてすまないね」
「セイちゃん!誕生祭おめでとうございます!お招きいただきありがとうございますわ!」
「へ?…えぇぇぇぇ!?」
セルジュが俺の言葉に笑顔で一歩横にずれると簡素だが身ぎれいなアンジェリーナ、ハンス、アメリアがニコニコと入ってきた。
「ぷふっ、どうしても来たいと駄々をこねた子がいてねぇ。モンドも奥方も突然の訪問申し訳ない」
「い、いえ!このようなところで…!」
「へ?あ、いえ!ど、どうぞお座りになられてください!」
いつものニヤニヤ顔でちらっとアンジェをみたあと父と母に声をかけると我に返った両親は焦りながらも必死に席を作り座るように勧めた。
「ほかの家のパーティーを早めに切り上げてしまってね。このような時間だがきてしまったよ」
「え?そのようなことをなさって大丈夫なのですか?」
「ああ、毎日毎日パーティーだとさすがに息を抜かなければやってられんよ」
「そうですわ、毎日毎日あのように囲まれていては体がもちませんわ」
理由を言ったハンスにアメリアもパーティーの様子を思い出し苦々しい顔で同意した。
「あ、すいません少々窯にいってきます」
「お?ピザかい?あれはうまかった」
俺は窯でグリル料理をしていたことを思い出し窯へむかおうとするとハンスが公爵家のパーティーで初出ししたピザを思い出し笑顔をうかべた。
「お待たせいたしました。少量しか作っておらず申し訳ありませんがお召し上がりください」
俺はピザとグリルチキン、そしてビーフシチューとパンをハンス、アメリア、アンジェリーナ、そして父が別に用意した席にすわって待機していたセルジュへと差し出した。
「この黒っぽいスープはなんだい?」
「それは牛肉をつかったシチューというものです」
「ほー」
「まだ改良が必要ですが、とりあえず家族で食べてみて感想を聞こうと思ってたものです」
「開発中のものを食せるのは貴重だね」
「ハスク様、毒見はなさらず大丈夫なのですか?」
出された料理に興味津々で色々たずねてくるハンスをよそにアメリアは香りをかぎ満面の笑みを浮かべ、アンジェリーナも料理を凝視していた。
「本日は信頼のおけるモンド商会でのパーティーとなっておりますのでハスク様より許可をいただいております」
父からの問いかけにかわりにセルジュが答えた。
「というわけだ。モンドそろそろはじめようじゃないか」
「そ、そうですか…では申し訳ありませんが皆さまグラスをお持ちください。よろしいですか?では誕生祭に乾杯!」
はたから見たら公爵家の面々とグラスを重ねるなど不敬以外なにものでもないが3人は満面の笑みで両親と俺のグラスにチンといい音をさせながらグラスを重ね俺たちは食事を開始した。
「まぁ!セイ素敵にできたじゃない!」
「そう?ありがとうお母さん」
家族での旅が中止になり、アンジェリーナと学園前まで行きアンジェリーナを見送った際、数名の学生にみられアンジェリーナは学園でのパーティーでそこそこ大変な目にあったと公爵家のパーティーの手伝いを急遽しに行った際聞かされ今日は我が家でやる誕生祭パーティーの日、父は従業員の子供たちが尋ねてきた際のお菓子を大量に買い込んでしまったためいつもの自宅ではなく、最近立った倉庫で行うことになった。
「お父さんこういうお祭り大好きだから…」
「そうなの?」
「ええ、今日も大量のお菓子を用意してたでしょ?」
「うん、うちで働いてくれてる人の家族分よりだいぶ多いね」
「今でこそそこそこ生活が楽になったけど、お父さん昔から孤児院の子たちなんかに少しでもって配ってたのよ」
「そうなの!?」
「ええ、セイちゃんが怪我してからは特にね。現に今は治療院や孤児院に寄付までしてるわ」
「お父さんすごいね」
「そうね、あんな見た目だけど子供も好きだしほんとうに優しい人なのよ」
当時の苦労した話も笑顔で話す母も父に負けず劣らず素敵な人なんだなと心から思った。
「じゃあ、お菓子を届けに行くのかな」
「旅に出る予定だったから配る手配をしてたんだけど、なくなったからどうせならお菓子をもらいに来るついでに少しでも一緒にパーティーをって声をかけたから倉庫でやることにしたみたいよ?」
「そか…じゃあ、僕も多めに料理を作ってみるよ!できれば持ち帰りもできそうなの!」
「え?そうね、それはいい考えだと思うわ」
俺の言葉に一瞬おどろいた母だったが嬉しそうに頷いた。
今のうちの店は公爵家おすみつきで色々手広くやれていてかなり大きな商会になっているが、父と母はあまり生活水準をかえず相変わらずつつまじく生活してるのも俺的には尊敬していた。
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「セイ!院の子供たちがきたぞ!」
「わかった!今持っていくからお父さんはお菓子を配ってて!」
「わかった!お前が来たらはじめるからな!」
色々準備に追われているといつのまにか時間がたっていて夕方少し前に孤児院の子供たちが10名ほど訪れていた。
「モンドさん、いつもいつもご慈悲をありがとうございます」
「やめてくださいよシスター様、微々たるものですし」
「いえ、いつもご寄付やこのような祭りなどの際も…」
「気にしないでくださいって!私が好きでやらせてもらってることなんですから!ってそれよりほかの子達はどうしたんですか?」
「流石に全員でくるのはご迷惑なので…年が上の子達は院で食事の準備などをして待ってもらっているんです」
「迷惑だなんて!来年は必ず全員で祝いましょう!」
「モンドさん…ありがとうございます」
あまり裕福ではないとわかる少しボロな修道服をきた瘦せたシスターが涙ながらに父に頭をさげていた。
「お父さん、来てない人の分も持って行ってもらっていいかな?」
「おお!セイそうだな!そうしよう!」
「そんな!」
「人数分ちゃんと用意してありますから、ね?」
「ああ!」
俺の提案に笑顔で頷いた父と申し訳さそうにしているシスターに母が笑顔でいうとシスターも折れたのか素直にうなずいてくれた。
「よぉーし!じゃあ僕の新作料理も先にもっていってもらうね!」
「お?気合いれて作ってたやつだな!」
「うん!冷める前にどうぞ!」
俺は自家製の窯をつかって焼き上げたピザを数枚こべつに箱に入れ持ってきた。
「いい匂いだな!」
「大皿料理だからみんなで別けながら食べるんだよ」
父は箱から漏れ出る匂いを嗅ぎ満面の笑みで頷き3人の若い従業員を呼び寄せた。
「おい、お前ら悪いがこの荷車に料理とお菓子を積み込んで院まで届けてやってくれ!セシリー、セイと一緒に料理を用意してやってくれ」
「親方!こんなにいいんですか!?」
「ああ、お前らの分も入ってるんだ多めにもってけ」
「ありがとうございます!」
3人の若い従業員はごしごしと涙を袖でふいたあとシスターと院の子供達と笑顔で荷車をひいて帰っていった。
「あいつらも孤児院の出だからな」
「そうだったんだ…」
「あいつらにとっちゃ院にいるみんなが家族だ。たまに家族団らんもいいだろ」
「そうだね…お父さん、今日の誕生祭は今までで一番たのしい誕生祭だよ」
「お?そうか!それはよかった!」
孤児院の人たちや、従業員の家族たちなど次々とあいさつに来た人たちに料理やお菓子を配り終え、すっかり日が落ちたころ、ガランとした倉庫に家族3人テーブルに残った料理を囲んで食事をはじめることにした。
「二人とも遅くなってすまん」
「いいのよ、ね?セイ」
「うん、もちろんだよ」
「ありがとうな…ああ、すっかり料理も冷めちまったな」
「あのみんなの笑顔で十分満足してるわ。あなた、セイお仕事いつもがんばってくれてありがとうね、2人が頑張ってくれたおかげで今年はこんなに素敵な誕生祭をやれたわ!」
「セシリー…」
「そうだねお母さん」
母の言葉に父は感動の涙を流しつつ、俺たち家族は満足気に乾杯をしようとグラスを掲げた。
「それじゃあ、遅くなったがいただこう!かんぱ」
「失礼いたします」
「い?…このような時間にどうなさいましたか!セルジュ殿」
今まさに乾杯というときに突如セルジュがやってきて深々と一礼をしてきた。
「今宵はこちらでモンド商会様の誕生祭パーティーが開催されていると聞きまして」
「なんだ!セルジュさん、それでわざわざ来てくれたんですか?折角ですしちょっと料理は冷めてしまいましたが一緒に食べましょうよ!」
セルジュの言葉を聞き、父と母は驚いていたが俺はセルジュがわざわざ来てくれたので立ち上がり迎え入れようとした。
「セイジュ様、ありがとうございます。それではお言葉に甘え参加のほどを…」
「セイ!お招きありがとうございますわ!」
「くっくっく…突然おしかけてすまないね」
「セイちゃん!誕生祭おめでとうございます!お招きいただきありがとうございますわ!」
「へ?…えぇぇぇぇ!?」
セルジュが俺の言葉に笑顔で一歩横にずれると簡素だが身ぎれいなアンジェリーナ、ハンス、アメリアがニコニコと入ってきた。
「ぷふっ、どうしても来たいと駄々をこねた子がいてねぇ。モンドも奥方も突然の訪問申し訳ない」
「い、いえ!このようなところで…!」
「へ?あ、いえ!ど、どうぞお座りになられてください!」
いつものニヤニヤ顔でちらっとアンジェをみたあと父と母に声をかけると我に返った両親は焦りながらも必死に席を作り座るように勧めた。
「ほかの家のパーティーを早めに切り上げてしまってね。このような時間だがきてしまったよ」
「え?そのようなことをなさって大丈夫なのですか?」
「ああ、毎日毎日パーティーだとさすがに息を抜かなければやってられんよ」
「そうですわ、毎日毎日あのように囲まれていては体がもちませんわ」
理由を言ったハンスにアメリアもパーティーの様子を思い出し苦々しい顔で同意した。
「あ、すいません少々窯にいってきます」
「お?ピザかい?あれはうまかった」
俺は窯でグリル料理をしていたことを思い出し窯へむかおうとするとハンスが公爵家のパーティーで初出ししたピザを思い出し笑顔をうかべた。
「お待たせいたしました。少量しか作っておらず申し訳ありませんがお召し上がりください」
俺はピザとグリルチキン、そしてビーフシチューとパンをハンス、アメリア、アンジェリーナ、そして父が別に用意した席にすわって待機していたセルジュへと差し出した。
「この黒っぽいスープはなんだい?」
「それは牛肉をつかったシチューというものです」
「ほー」
「まだ改良が必要ですが、とりあえず家族で食べてみて感想を聞こうと思ってたものです」
「開発中のものを食せるのは貴重だね」
「ハスク様、毒見はなさらず大丈夫なのですか?」
出された料理に興味津々で色々たずねてくるハンスをよそにアメリアは香りをかぎ満面の笑みを浮かべ、アンジェリーナも料理を凝視していた。
「本日は信頼のおけるモンド商会でのパーティーとなっておりますのでハスク様より許可をいただいております」
父からの問いかけにかわりにセルジュが答えた。
「というわけだ。モンドそろそろはじめようじゃないか」
「そ、そうですか…では申し訳ありませんが皆さまグラスをお持ちください。よろしいですか?では誕生祭に乾杯!」
はたから見たら公爵家の面々とグラスを重ねるなど不敬以外なにものでもないが3人は満面の笑みで両親と俺のグラスにチンといい音をさせながらグラスを重ね俺たちは食事を開始した。
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