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59話

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 「というわけでだ、司教よどうだろうか?教皇様に打診してはくれんか?」

 「お願いいたします」

 「もちろんでございます!すぐにでも文をお出ししお考えいただくよう申し上げさせていただきます」

 「すまんな恩に着るぞ司教」

 「司教様ありがとうございます」

 「いえいえ!ハンス様とセイジュ様のお心遣いこちらこそ感謝いたしております」

 ハスクはハンスとセイジュの提案により教会へと二人を引き連れきており今後の協力を仰いだ。

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 「うまくいきそうだな」

 「そうですね」

 「しかし話を聞いて驚いたぞ」

 「くっくっく!セイが市民にも使えるものを建てたくその際は教会に力になってもらうことはできないかと言ってきたのですよ」

 「セイよいい考えだ、これが成功すれば費用こそ莫大に使ってしまうが後々のことを考えれば安いものだ」

 「ありがとうございます」

 「かまわん、話を聞いて1ヶ月少々、すでに我が家もグラドスもその恩恵を受け始めておるよ」

 「そうですね!我が家の増築した特別浴場はすでに女の園とかしておりますしね」

 「ああ、カリーナが毎日意気揚々としておるよ」

 カリーナが新しく作ったセイが設計した浴場に貴族の婦人たちを集めお茶会を開いているのを思い出しハスクは苦笑せずにはいられなかった。

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 「まぁ!カリーナ様!今日のお召し物も素敵ですわね!」

 「ふふっ、ありがとうございます」

 「見たこともない斬新なデザインで柄も素敵ですわ」

 「アメリア様もお綺麗ですわ~」

 「ありがとうございます」

 もはや3日、4日に1度開かれるホルマトロ家の新しい浴場で浴場専用の服装に着替えた面々がカリーナとアメリアを見てうらやましそうにしていた。

 「まさかとは思いますがカリーナ、そのデザインは」

 「ふふ、デザインもずっとお勉強なさっていたようですわよ?」

 「やはりそうなのね」

 「さすがセイ様ですわ」

 エスメラルダが尋ねるとカリーナは自慢げにいいメリダはうっとりとセイジュのことを思い出していた。

 「それにしてもこの岩の板が肌にいいなど思いもよりませんでしたわ」

 「それにあの熱した岩にハーブ水をかけて汗をかき、そのあと体に泥を塗られた時はどうしましょうかと思いましたわ」

 「ふふふっ!でも効果はすごいでしょ?」

 「びっくりよね…あのザラついた布で体をこすられたときとか衝撃的で他の方に見られなかったのが唯一の救いでしたわ」

 カリンの母アヴリルが垢こすりを初めてやった際、自身から出た量を思い出し恥ずかしそうにした。
 そしてそれは他のメンバーも同じだったようで全員が恥ずかしそうにうなずいていた。

 「当家にもセイジュ様が同じものをくださって週に1度は使わせていただいているけどやはりホルマトロ家の浴場は格別すごいですわ」

 マチルダの母ケイシーが改めて周りを見渡し感心したように言った。

 「はぁ~ホルマトロだけではなくグラドスまであの方の恩恵をお受けするとは思わなかったわ」

 「アヴィ、我が家はもっと前から恩恵をうけているわよ?うちの者たちのあの肉体と強さ…もはや人ではないわよ」

 「そうね闘技大会でエドワードを見た時おどろいたわよ」

 アヴリルがうらやましそうにケイシーへといった。

 「皆それぞれそれなりの恩恵を受けていると思うわよ?」

 「なによリナ、私とラルは特に受けてないじゃない」

 「そうでもないわ?だってセイちゃんから皆に預かっているものがあるんですもの」

 「え?」

 「これの型とそれぞれの生地よ」

 「え!早く言ってよね!」

 自信の浴場用の服装、ビキニにパレオをさしていったカリーナにエスメラルダをはじめとした母親だけではなくカリンとメリダ、そしてリカルドの妻のソフィアまで驚いていた。

 「そんないい方されたら渡したくなくなっちゃうわね!」

 「隠していたあなたが悪いんでしょ!」

 もったいつけるカリーナにアヴリルが抗議した。

 「それと、エスメラルダ様とソフィーお姉さまにセイちゃんからプレゼントも預かっております」

 「え?」

 「お二人ともお誕生日がお近いですから誕生日プレゼントらしいですわ」

 「まぁ!セイちゃんったら!相変わらず優しい子ね!」

 「私までもらってもよろしいのかしら」

 「ええ、お二人に是非にとおっしゃられておりましたわ」

 「有難く頂いたします」

 うらやましそうなアヴリルとケイシーをよそにエスメラルダもソフィアも嬉しそうにしていた。

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 「まぁ!綺麗だわ!」

 「このようなみたことのないものを頂いても本当によろしいのですかね」

 「ああ、彼からの心遣いには裏がないから受け取っても大丈夫だ」

 城に返り品の安全確認がおわり二人でセイジュからのプレゼントをあけてみるとそこには見たこともない花がそれぞれ入っていた。

 「お母様、お姉さまそれぞれに紙がついてますわ!」

 「え?…まぁ!セイちゃんったら!!うふふふっ」

 「お母様?何が書いてあったのですか?」

 「この花の名前と花が持つ意味についてよ」

 「教えてください!」

 「ええ、この花の名前はカサブランカというそうよ?百合の女王なんですって」

 「ええ!素敵です!」

 「ふふ、それで意味はね?高貴と雄大な愛ですってセイちゃんが私をイメージしてえらんでくれたようよ?」

 「まぁ!素敵すぎますわ!!」

 嬉しそうにカサブランカをみるエスメラルダにうらやましそうにメリダがいった。

 「君の花はなんなんだ?」

 「はい…スイレンという水辺に植える花だそうです」

 「そうか見たことのない花だな」

 「ええ」

 「それで?意味はなんなんだい?」

 「そ、それはその…」

 リカルドの問いかけに恥ずかしそうにしているソフィアが書かれている紙をリカルドに手渡した。

 「ふむ、優しさと心の純潔か…たしかに君にぴったりだ」

 「あ、ありがとうございますリカルド様」

 満面の優しい笑顔でいったリカルドにソフィアは照れながらも礼をいった。

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 「セっくん!おかえり!」

 「うわっ!マリーちゃんただいま」

 「えっへっへ……どう?」

 「え?なにが?」

 「私とセシリアおばさん綺麗になったと思わない?」

 「ん?母さんは元々綺麗だしマリーちゃんも元々可愛いんじゃないの?」

 「はぅ!?そ、そういう返しがくるなんて……!」

 家に入ったセイジュに久しぶりに会えたマリーが抱き着き、突然目の前でくるりとまわってみせたがセイジュの何気なく言った感想に心撃たれ腰砕けとなっていた。

 「ふふふ、セイちゃん?今日マリーちゃんと二人でサウナと岩盤浴をして擦り合ったりパックをしてみたのよ」

 「あぁ!そうだったんだ!それでどう?気に入ってくれた?」

 「ええ!最初あんなにボロボロと汚れが落ちるとは思わないで恥ずかしかったわ!」

 「そうそう!先におばさんがやってくれてなかったら私はずかしさで死んじゃうところだったよ!」

 「半月に1度軽くやるだけで十分だよ、やりすぎると逆効果になるからね」

 「ええ、わかってるわ」

 「えっへっへ!肌もピカピカ!髪もツヤフワ!最高だよ!ありがとうセっくん!」

 「うわっ!あぶないよ!でも気に入ってくれてよかったよ」

 「うん!」

 嬉しそうに笑っているマリーをみて自分もうれしくなり笑顔で夕食をすませることができた。

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 「セイ!教会から助けを求められた!一緒に行けるか?」

 「どういうことでございますか?」

 「ああ、孤児とともにマーリンも攫われた!」

 「えぇ!?」

 「ハンス様!私も手伝います!」

 「エドワードすまん恩に着る!」

 「いえ、それで敵の情報は?」

 「荷馬車に黒ずくめの男が教会から西にむかったらしい」

 「西ですか……」

 「とりあえず我が家からも兵をだす!今準備中だ!」

 「では我が家からも出してもらえるよう連絡をします!」

 エドワードがそういうと俺の工房の見張りをしていたであろうグラドス家の人間に使いを頼んだ。

 「ハンス様、エドワード様こちらを」

 「これは?」

 「新作の装備品です!」

 ハンスとエドワードは驚きはしたもののセイジュの用意した鎧などを装備した。

 「西に向かったということは街を抜け森にいったとおもいます」

 「ああ!」

 「あの森にはいくつか洞窟があるので日が沈むまでそこにいる可能性があります!洞窟の位置は僕の地図にかきこんであります!」

 「わかった!」

 ハンス、エドワードとセイジュは工房を見張っていた両家の兵の1人を使いとして走らせほかの兵とともに一足先に西の森へとむかった。
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