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第8章 救出編

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 「コルネどう?」

 「マインありがとう…もう大丈夫」

 ザラタンでの航海をし8日、5日目に驚異的な回復を見せたコルネが目を覚まし装置からでてマインが毎日検診とヒールをしていた。

 「ん?」

 「ブルルル」

 「グルルルル」

 海中から海上へ出たときにセナと迅風そしてグラニールが何かに気づいたようだった。

 「セナ様どうなさいましたか?いつものが来たのですか?」

 「レイファさん、そのようですが今回はすこし数が多そうです」

 「かしこまりました。皆さんに知らせて参ります」

 「お願いします」

 レイファが慣れたようにメンバーへと伝えた。

 「よぉーし!私とルフちゃんが頂きますよ!」

 「アンズーがいるんだから私も負けないわよ」

 「私たちも参加したいんだけど」

 「エリスもカトリーヌもダメです!」

 「そうよ!グラニールと迅風を出すのは反則でしょ!」

 不定期に魔物の群れがおそってくる中、初日にエリスは迅風にカトリーヌはグラニールとともに迎え撃ち、コニーとスカーレットは自慢の従魔の見せ場を完全に奪われ、それ以降グラニールと迅風は反則となり実質コニーとスカーレットが迎え撃っていた。

 「空を統べるのはグラニールですのに!」

 「迅風だって速さと火力では負けませんよ!」

 「迅風もグラニールもセナ様の従魔です!自分の従魔でなければ反則ですよ!」

 「そうよ!コニーの言う通りだわ!二人ともセナ様や迅風、グラニールの優しさに頼りすぎよ!」

 「ぐぬぬ!お二人だってセナ様のご厚意で従魔を手になさったくせに……エリス、これは私たちもセナ様とガルフォード様に要相談ですわね…」

 「向こうについて拠点ができたらそうしましょう!」

 「どうでもいいけどルフもアンズーも水の中の魔物には対応できないのが難点よね」

 「ぬ!マインきましたね!!」

 「いつもどおり海中の魔物はいただくわ!おいで私のサーペント!」

 「シャーーー!!」

 「いい子ね、今日もおねがいね」

 話に割り込んできたマインが自身の従魔、サーペントを召喚し鼻先をひとなでして指示をだすとサーペントは勢いよく海中へと潜っていった。

 「エリス…従魔がいないのは……もう私とエリスそしてアイリーンとコルネだけですわね…」

 「くっ!グラニールと迅風に愛着がありすぎて与えてもらう機会を失ってしまってましたね……」

 「そうですわね……とりあえずセナ様にご相談いたしましょう」

 カトリーヌの言葉を受けセナの元へと二人は向かった。

 「というわけでなんですの」

 「このような状況でこのようなお話をして申し訳ございません!」

 「いえいえ、皆さんが張り切ってくれているので航海も順調ですし大丈夫ですよ」

 「話の腰を折って申し訳ございませぬがセナ様おひとつおうかがいしても?」

 「はい、ヤオさんなんでしょう?」

 「レイファとオリファがこちらにブラウニーとボガートを呼び出したのはよろしいのですが…数が」

 「ああ、彼らはいい環境だと仲間を呼ぶ習性があるらしくって結構増えているようですよ、ここのほかにリストニアの家と冒険者ギルドにいて家を守ってくれているのやアイリーンさんの城などにも結構いるようです」

 「な、なんと……」

 「どおりで…森やここの周りも整備もすすんでいるはずですわ…」

 「セナ様をはじめとし、お二方とカトリーヌ様、そしてメディーに相談したうえで開発整備をしております」

 「さ、さすがでございますな」

 恭しく一礼するレイファにあきれたようにヤオが言った。

 「んー、やはり全員に従魔をつけましょう」

 「セナ様?」

 「これから先なにがあるかわかりませんし従魔がいたほうが個々の戦力としてもいいと思います」

 「そうにございますな」

 「まだ従魔をもっていないメンバーとメディーを連れて魔界に行ってきていいですか?」

 「こちらは我らにおまかせくださいませ」

 セナの言葉にヤオとタオ、レイファとオリファが頷きセナは5人をつれ魔界へと向かった。

 「セナ様どうなさいましたか?」

 「あ!セナ様!!」

 「ガルフォードさん、ガジャちゃんこんにちわ、実はですね……」

 魔界につきガルフォードへ用件を伝えた。

 「ふむ、皆様の特性にあった魔獣をみつくろいましょう」

 「おお!おねがいできますか!」

 「おまかせくだされ!!」

 自身の提案に嬉しそうにするセナを見てガルフォードはやる気をだぎらせこれまでに集めた魔獣の資料を広げエリスやカトリーヌのことをきき数体の魔獣をピックアップした。

 「さすが魔獣研究の第一人者ですね!たすかります!」

 「いえいえ!我が研究をそのように認めて下さり感謝の極みにございます!魔獣への道はガジャが案内いたしますゆえご安心なさってくだされ!」

 「なにからなにまでありがとうございます!早速いってきます!」

 地図で示された一番遠い場所へセナはみんなを連れて転移していった。

 「セナ様があらたな魔獣を多数つれてこられる!受け入れの準備を急ぐか!」

 見送ったガルフォードはブラウニーやボガートに声をかけせっせと新たな魔獣のスペースを確保するため動き出した。

 「セナ様!ザラタンをいつまでもあけっ放しにしておくわけには行きませんからリストアップして頂いたのを片っ端から集めちゃいましょう!」

 「ん?それもそうだね、アリアのことが何かわかって連絡がくるかもしれないし少し荒っぽくなるかもだけど急ごうか!」

 「はい!」

 「メディー……」

 自身の欲望をいかもにそれっぽく正当化しセナをうなずかせたメディーに他のメンバーは流石メディーとあきれていた。

 「おじい様!ただいま戻りました!」

 「おお!無事にもどって……」

 「おじい様どうなさったんですか?」

 「セ、セナ様もしやあの地図に書いた魔獣すべて手に入れておかえりに?」

 「はい!全員が従魔登録終わってますが主が僕のままのも居ます。ちょっと数が多くなってしまって申し訳ありませんがお世話の方をおねがいできますか?」

 「へ?も、もちろんですじゃ!このガルフォード謹んでその大役お受けいたしますじゃ!」

 「私もがんばります!」

 「ありがとうございます。ガジャちゃんもありがとう」

 「えっへっへ、んだから私も全力ががんばります!」

 「は?ガ、ガジャよ……どういうことじゃ?」

 「ん?セナ様にお願いしたらこの子を私の従魔にしてくれたの!」

 「な、なんと!セナ様よろしかったのですか!」

 「もちろんです!ガジャちゃんとガルフォードさんのボディーガードとしてもらってください」

 「な、なんと……重ね重ね有難き幸せ…」

 「セナ様!もどりましょう!」

 「ガルフォード様申し訳ありませんが城のこともよろしくお願い致しますわ」

 「ああ、もちろんじゃ!おまかせくだされ!」

 魔獣を手に入れたことで満足したメディーがセナへ催促する中、ガルフォード達に礼を言いセナ達はザラタンへともどった。

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 「今回は随分多いですね!」

 「でも早くやらないと見かねたグラニールと迅風がきちゃうわ!」

 「海中もサーペントだけじゃちょっと辛いかしら」

 「ケルピーちゃん!ヒッポキャンプちゃん!海の中をお願いします!」

 「わたくしたちは空へ行きますわよ!スレイプニル!」

 「私たちも出遅れるわけにはいきません!行こう!ペリュトン!」

 「なっ!?」

 「え?居ないと思ったら!」

 コニーとスカーレットが上空で苦戦し、マインもサーペントの様子を少し心配そうにしているのをグラニールと迅風が見守る中、メディーの声が響き渡ると2頭の馬の鳴き声がきこえ、それに続く様に8本の足をもち純白の馬体に足首と額に生えた立派な角から炎を吹き出している迅風と同程度の巨体の馬にまたがったカトリーヌと虹色に輝く巨大な羽をはやした鹿にまたがったエリスがさっそうと空を飛び次々と魔物を倒していった。

 「カ、カトリーヌ!エリスもなんですかそれは!」

 「なにってセナ様から賜った私たちの従魔よ?ねぇ?」

 「ええ、そうですわ。これが私の従魔、魔界の軍馬スレイプニルですわ!」

 「ヒヒィーーーン!!!」

 「私のはペリュトンっていうの」

 「キュィーン!」

 「いつのまに……じゃ、じゃああの海で暴れまわってる馬たちは?」

 「あれはメディーの従魔たちのケルピーとヒッポキャンプですわ」

 「ちょ!メディーだけ多すぎない!?」

 「それは……メディーがあれもこれもとセナ様にねだって……セナ様が折れたから……」

 「え゛……さすがメディーね」

 「とめられぬものがありましたわ……」

 「そ、そう……」

 目をそらし気まずそうにいうエリスとカトリーヌの言葉を受けコニーもスカーレットもそれ以上触れるのをやめた。

 「全員が従魔を賜ったのでこれからが本番よ!」

 「え?アイリーンとコルネも?」

 「ええ、あとでお教えいたしますわ、それよりも今は」

 「そうね!さっさと終わらせましょう!」

 気合を入れなおし襲ってきていた魔物たちをせん滅した。

 「お疲れ様でした。回収した魔物は?」

 「いつもの場所にあつめておきましたよ」

 「さすがね!」

 出迎えたオリファが嬉しそうにボガートたちを引き連れて倒した魔物が集められた場所へと向かった。

 「お疲れ様でした」

 「あれくらい私とルフちゃんなら余裕ですよ!」

 セナの元へ戻った一向にセナは笑顔で出迎えねぎらいの言葉をかけコニー達は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

 「あ!それよりも!メディー!!」

 「ん?なんですか?」

 「何体セナ様から賜ってるんですか!多すぎませんか!?」

 「そんなことはありませんよ?きちんと自分で管理できる数です」

 「メディー?ちなみに何体いるの?」

 「秘密です!おいおい皆さんに紹介していきますね!」

 「アイリーンを見る限り…ひどそうね」

 「そうですね……それで?コルネとアイリーンはどんなのを賜ったのですか?」

 スカーレットの問いに後ろで聞いていたアイリーンが思わず目線をそらしたのをみてそれより深く追求するのをやめコニーは話題を変えた。

 「私のはこの子達」

 「え!?超可愛い!」

 「触れないほうがよろしいですわよ」

 「え?」

 「その花が頭から咲いている小人はマンドラゴラともしまして猛毒をおもちになっております」

 「え゛……で、ではこちらのリスは……」

 「この子はカーバンクル、危険が及ぶと自身の周りに強力な結界をはる」

 「ほー!どちらも見た目に反して強力ですね!」

 「アリアを取り戻したらもう二度と攫われること……いえ、危険なめになど合わせない!」

 「コルネ……」

 悲痛なまでのコルネの決意を聞き一同は不安をごまかしていた気持ちを引き締めなおした。

 「私の従魔は少々特殊ですので気軽に呼びだせませんの」

 「え?アイリーン何を賜ったのですか?」

 「アイリーンさんのはすごいですよ!魔界3大魔獣の1つヘルですから!」

 「え゛……実在していたんですか……」

 「コニー?」

 「ヘルは古文書では幻覚と死をつかさどるとしか記載されていない伝説中の伝説の魔獣です……とうぜん姿も謎です」

 「は?」

 「ちなみにヤオさんとタオさんには同じく3大魔獣の1対フェンリルがいますよ!」

 「はぁ~!?」

 「ねぇメディー?もしかしてあなたも?」

 「ええ、そうですわメディーはヨルムンガンドをお持ちになっておりますわ」

 「!?そんなの出されては私のルフちゃんがかすんでしまうじゃないですか!」

 「なんかすごそうね」

 「すごいなんてもんじゃないですよ!セナ様もセナ様です!」

 「え?」

 「なんてものを涼しい顔してつかまえてきてるんですかっ!」

 「いやぁ……いろいろあってね?たまたまであったからつい」

 「ついじゃないですよ!まったくもう!!」

 「皆さんお話はその辺で、セナ様陸地がみえました」

 興奮するコニーをさえぎりレイファがいうと一同は進む先をみると陸地がみえそれから1時間後セナ達はその地に到達した。
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