『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

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3章 冒険者養成校

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 あの日から2週間。毎日頑張った。来る日も来る日も基本俺、たまにリキートが薬草を摘み、たまに洗濯しに行き、何より大変だったのはフェリラの勉強だった。筆記もある、とのことであの日から勉強を開始したのだ。

 ただ、フェリラはそもそも一部しか文字が書けない! そこから始まった。2週間で間に合うわけないだろ、というのが正直な感想だった。ただ、そこは宿につられた俺たちの強さを発揮。フェリラの回復魔法を無駄遣いしながら、徹夜しつつ詰め込んだ。だ、大丈夫、だよな……?

「あああ、日の光がまぶしい……」

「久しぶりに外出たもんな」

「うん……」

「でもなんとか詰め込み終わった、はずだ!
 本当によく頑張った、僕たち」

 二人ともだいぶ消耗しているな。俺はまあ、体力はあるのだろう。そこまで疲れ切ってはいない。こんな状態で果たして実技大丈夫なのか、こいつら?


「おお、人がいっぱいいる……」

「そりゃそうだよ。
 絶好のチャンスなんだもん」

 絶好のチャンス、か。正直俺はリキートについてきただけだから、あまりピンとこない。でも、フェルラもここまで真剣な顔をしているのだ。きっと同じ気持ちなのだろう。

「行こう」


 三人でパーティとして受付を済ませる。Gランクのうちにパーティを組むのは珍しいが、でいないことはない。だから、俺たちはすでにその申請をしていた。リーダーはもちろんリキート。毎日依頼をこなさないと追い出される宿だが、毎日俺かリキートが依頼を3人分達成することで、追い出されずに済んだのだ。そして、冒険者養成校はギルドカードで試験の受付をしているため、自然に三人一緒に受付をすることになった。

 さて、最初の試験は筆記。これはわかるものもあれば、まったくもってわからないものもある。ひとまずわかるもの、つまり最低限の知識問題は確実にとる。そして、一番大切なのはこれだろう。

 フェリラの勉強を見ているとき、思ったことがある。ここを受けるのは、恐らくフェリラのように文字が書けない人も多いのでは? と。そのうえで筆記試験を取り入れているのだ。そこまでは問題の正解数は重視されていないのではないか。

 そう考えてからはひたすら文字をかける、理解できる、最低限の知識を持っている、それを示せるようにした。幸いにも俺もリキートももとの出があれだから、文字は一通りかけるし、最低限の知識もある。この大陸、お金も同じなら、文字も一緒。おかげでフェリラに教えることができた。

 そして、そのうえでおそらく最も重要な問題。『あなたにとって冒険者とは?』。こういう明確な答えがない問い、あると思ったんだよね。ここをしっかりと回答する。長々とした回答は必要ない。一つ、大切なことを書けばいい。だぶん筆記はそれでどうにかなるだろう。

「ハールって頭いいよね。
 本当に最後に答えのない問題出た」

「ハールのおかげで焦らずに解けた!
 ありがとう」

「うん、二人ともどうにかなったみたいでよかった。
 次は魔力測定か」

 さて、どういう風に魔力測定をするのか。これは数人ずつ呼ばれて測定を行っていくらしい。ここに来る人、魔力持っていない人ばかりだから、そんなに時間かからないとかなんとか……。でもそんなことないな、うん。一人一人結構かかっている。

「ね、二人は最後の質問なんて書いたの?」

「うーん?
 僕は……端的に言うなら力」

 力……。一人で生きていく力を求めて、家を出てこうして冒険者養成校を受けているのだ。確かにぴったり。

「フェリラは?」

「あたしはね、自由。
 ……ハールは?」

「俺……?」

 どうして、あんなことを書いてしまったんだろう。少し、いやかなり後悔している。でも、ふとその言葉が浮かび上がってしまった。そして書いた瞬間に時間が来てしまったんだよな……。

「あたしはさ、あの村であんたたちに拾ってもらった。
 そこからばたばたと毎日過ごして、あまり話す時間なかったろ?
 だから、あまり二人のこと知らないなって思ったんだ」

 だから、教えてくれたら嬉しい。そういうフェリラは真摯に俺に向き合っていて。何となく、この言葉から逃げたくない、ってそう思った。

「憧れ……」

「え?」

「では次の三人、入ってきて」

「ほら、行こう」

 よし、ちょうどいいタイミングで呼びだしが来た。さすがにこれ以上聞かれたくなかったから、危なかった……。

「では一人ずつこちらに座って」

 指示に従い席に座る。それぞれの前に担当者と思われる人がいた。そして、俺と担当者の間に置かれているもの。これ、もしかしてずっと前にちらりと聞いた、魔力を測るやつ?

「これを使って、ここに血を垂らして」

 それにしてもなんだ? この盤は。まあやってみればわかるだろう。ぴっと切って言われた通り盤の中央に血を垂らす。すると、徐々に盤が光出した。その光は徐々に全体に広がっていく。おお、きれい。少しだけギルドカードのことを思い出した。どうしてこうも血を垂らさせたがるのか。

 隣を見ると、盤の光り方はそれぞれ違っていた。俺は盤の大半が割と強く、そして一部が弱く光っているが、隣のフェリラは六分の一の部分が光っている。さらに隣のリキートはもっと多くの場所が割と強く光っている。

「こ、これは……」

 あれ、顔を見合わせて皆さん、どうしました?

「あの?
 どうだったんですか?」

「あ、ああ……。
 君たちはパーティを組んでいるんだったか?」

「はい」

 いや、そうか、とか言っていないでちゃんと説明してくれないか? 二人とも不審な目で担当者見ている。やっぱりそういう気持ちになるよな。

「えーっと、ハール君、だったか?
 君は、その、全属性持ち、だ。
 ただ、光属性と闇属性はあまり強くない。
 ほとんど使えないだろう」

「……え?」

 ぜんぞくせい? だけど特殊属性があまり使えないと。ああ、はい。了解です。なんか中途半端だな。

「ほかの試験は明後日以降。
 本日の試験を通っていたら、また呼び出す。
 まあ、君たちは大丈夫だと思っていい」

「ありがとうございました」

 結局、フェリラは光属性のみ、リキートは基本属性4つという結果になったみたいだ。ま、俺の属性以外はやっぱりか、という感じか。


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