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3章 冒険者養成校
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結構手ごたえがあったからか、二人ともだいぶ機嫌がいい。今日が始まる前は大丈夫、と決心した感じだったが、ようやく気が抜けたらしい。さて、こんな日でも依頼は達成しなければいけない。
「今日はあたしも依頼受けに行くよ。
ずっと二人に任せきりだったからさ」
「んー、じゃあ久しぶりに三人で行く?」
まあ、三人でさっさと依頼終わらせて、今日は早めに休もうか。どうするか決まったところで、早速ギルドに。まあ、俺たちに受けられるのは薬草拾いがせいぜいだろう。後は、今日はどの種類の薬草か。
「こんにちはー!」
元気よく入るフェリラについて、ギルドに入る。久しぶりに外出れて嬉しいのはわかる。わかるが、ここにそのテンションはたぶんあってないぞ。ほら、他の人もは? という顔でこっち見ている。
「あら、三人で来るのは久しぶりですね!
本日はこちらの依頼がありますよ」
すっかり顔見知りになってしまったオリーさん。俺たちに気が付くと、すぐに話かけてくれた。正直助かった。
「ありがとうございます」
依頼を受け取ると、面倒なことになる前に退散しよう。そう思って、外に出ようと歩き出す。だが、その前には誰かが立ちふさがっていた。あれ? この顔見たことあるぞ。たしかフェリラの村で、獲物横取りしてったやつじゃ?
「なあ、姉ちゃん。
こいつらなんかと組まねぇで、俺たちと来いよ。
Gランクなんて、碌な生活送れねぇだろ?」
相変わらず漂う小物臭。あ、リキートも気が付いたようだ。一度目を見張った後、思い切り嫌そうな顔をした。さて、フェリラはどう出るのか。
「あら、以前よりもずいぶんといい生活を送っているわ。
えーっと……、バカシオン?」
「ぷっ」
いや、そこで笑うなよ、リキート。そして煽るな、フェリラ。前は俺がリキートに注意されたが、フェリラの方がまずくないか? あれ絶対わざとやってるだろ。ほら、顔真っ赤にしている。
「ガルシオンだ!!!
なんなんだ、お前!
ちょっと治癒魔法使えるから俺たちが誘ってやったのに、調子のりやがって!」
あーあ、すぐ暴力に走る。そういうのよくないよな。ふるわれた拳を受け止めてもいい。だけど、それでCランク? よりも強いって思われても面倒。だから。
「フェリラ!」
ほい、と膝カックン。そしてバランスをくずした時に、グイっと腕を引っ張る。よし、ちゃんと回避できたね。
「は、ハール!?」
「ん?」
なんでフェリラは顔赤くしてるんだ? って、なんか逆切れしてないか、こいつ。
「こ、この!」
「おいおい、その辺にしとけって。
ギルド内で争いは厳禁だ。
それに、こいつらあの村にいたやつじゃないか?」
あ、相手も思い出したみたい。途端にニヤニヤしやがった。もともと俺たちのことを下に見ていたのはわかるが、すごいバカにされているな、これ。まあ、確かにCランクパーティとGランクパーティじゃ、天と地ほどの差があるか。
「……?
あ、ああ!
あいつらか」
思いだした途端大爆笑。うん、こいつら絶対頭弱いだろ。Cランクなら、おそらく強さはあるのだろうが、頭が弱ければなぁ。
「ふーん。
じゃあこいつの治癒魔法も大したことないか」
途端にしっし、と手を振る男。いや、まあ解決したならいいんだが、なんか釈然としない。結局馬鹿にされ切って終わりかよ。この場にいる人達が全員俺たちを指さして笑ってる。
「は、魔獣を横取りすることしかできないお前たちと違って、僕たちは魔獣を倒せる強さがある。
本当に大したことがないのはどっちか!
そうやって姑息なことばかりに頭使って、果たしてお前たちが得たお金のどれくらいが、正当なお金なんだろうな」
「は!?」
リキート、煽ってる。それは完全に煽っているよ。ほら、相手の人もぴくぴくしてる。おかしいな、今日はさっさと依頼こなして休むはずだったんだが?
殴りかかってきたそいつを難なくかわすリキート。そして流れるように相手のほほに、一発入れる。思いっきり入ったようで、相手は軽く吹き飛んだ。
「おおー……」
「何をしているんですか」
けんかか? と周りがはやし立てる中、凛とした声がギルド中に響いた。この声、プラハさん? こんな大きな声出すの初めて聞いた。
「ちっ」
「いいですか、ギルドでの争いごとは禁止されています。
今回、リキートさんのパーティは免除しますが、ガルシオンには相応の罰を受けてもらいます」
「は!?
なんでだよ」
「なんで?
あなた方がこちらでトラブルを起こしたのは何度目ですか?」
ぎろりと睨むプラハさんに、忌々しそうに男性がこちらを見た。そもそも向こうがこっちに引っかかってきたことが原因なんだが。そして俺たちもプラハさんに呼び出されてしまった……。
「いいですか、ギルド内部での争いは厳禁です。
今回は初回ということ、向こうから仕掛けてきたこと、これらを考慮します。
次からはあちらと同様に罰を課しますので」
「はい。
すみませんでした」
「反省していただけたならいいです。
それはそうと、皆さん冒険者養成校を受験しましたか?」
「あ、はい」
かなり急な話題転換。多少なりとも落ち込んでいたから、思い切り面食らう。それでも何とか、返事をするとなぜかこくりとうなずいた。
「明日には結果がでていると思います。
またこちらにいらして、私に声をかけてください。
それから、本日はもうお帰りください」
「え、でも、今日の依頼はまだ何も……」
「本日は、というより試験結果が出るまでは構いません。
宿を追い出したり、違約金を頂いたりはしませんから。
そもそも、こちらに受けることを相談してくだされば、措置についてお話いたしましたのに」
「す、すみませんでした」
どうやら、俺らのような低ランクの冒険者は基本的に養成校の受験は推奨されているらしい。まあ、本人の意思が最優先らしいため、言葉にして勧められることはあまりないが。
そのため、そこを受けるためならば、Fランク、Gランクの依頼ならば報酬の1割回収がなくなるらしい。知らなかった……。
それと毎日依頼を受けないと宿を追い出される、というのもその期間は適用されない。かなり受けやすい環境が用意されている、と。
知らなかった……。
「今日はあたしも依頼受けに行くよ。
ずっと二人に任せきりだったからさ」
「んー、じゃあ久しぶりに三人で行く?」
まあ、三人でさっさと依頼終わらせて、今日は早めに休もうか。どうするか決まったところで、早速ギルドに。まあ、俺たちに受けられるのは薬草拾いがせいぜいだろう。後は、今日はどの種類の薬草か。
「こんにちはー!」
元気よく入るフェリラについて、ギルドに入る。久しぶりに外出れて嬉しいのはわかる。わかるが、ここにそのテンションはたぶんあってないぞ。ほら、他の人もは? という顔でこっち見ている。
「あら、三人で来るのは久しぶりですね!
本日はこちらの依頼がありますよ」
すっかり顔見知りになってしまったオリーさん。俺たちに気が付くと、すぐに話かけてくれた。正直助かった。
「ありがとうございます」
依頼を受け取ると、面倒なことになる前に退散しよう。そう思って、外に出ようと歩き出す。だが、その前には誰かが立ちふさがっていた。あれ? この顔見たことあるぞ。たしかフェリラの村で、獲物横取りしてったやつじゃ?
「なあ、姉ちゃん。
こいつらなんかと組まねぇで、俺たちと来いよ。
Gランクなんて、碌な生活送れねぇだろ?」
相変わらず漂う小物臭。あ、リキートも気が付いたようだ。一度目を見張った後、思い切り嫌そうな顔をした。さて、フェリラはどう出るのか。
「あら、以前よりもずいぶんといい生活を送っているわ。
えーっと……、バカシオン?」
「ぷっ」
いや、そこで笑うなよ、リキート。そして煽るな、フェリラ。前は俺がリキートに注意されたが、フェリラの方がまずくないか? あれ絶対わざとやってるだろ。ほら、顔真っ赤にしている。
「ガルシオンだ!!!
なんなんだ、お前!
ちょっと治癒魔法使えるから俺たちが誘ってやったのに、調子のりやがって!」
あーあ、すぐ暴力に走る。そういうのよくないよな。ふるわれた拳を受け止めてもいい。だけど、それでCランク? よりも強いって思われても面倒。だから。
「フェリラ!」
ほい、と膝カックン。そしてバランスをくずした時に、グイっと腕を引っ張る。よし、ちゃんと回避できたね。
「は、ハール!?」
「ん?」
なんでフェリラは顔赤くしてるんだ? って、なんか逆切れしてないか、こいつ。
「こ、この!」
「おいおい、その辺にしとけって。
ギルド内で争いは厳禁だ。
それに、こいつらあの村にいたやつじゃないか?」
あ、相手も思い出したみたい。途端にニヤニヤしやがった。もともと俺たちのことを下に見ていたのはわかるが、すごいバカにされているな、これ。まあ、確かにCランクパーティとGランクパーティじゃ、天と地ほどの差があるか。
「……?
あ、ああ!
あいつらか」
思いだした途端大爆笑。うん、こいつら絶対頭弱いだろ。Cランクなら、おそらく強さはあるのだろうが、頭が弱ければなぁ。
「ふーん。
じゃあこいつの治癒魔法も大したことないか」
途端にしっし、と手を振る男。いや、まあ解決したならいいんだが、なんか釈然としない。結局馬鹿にされ切って終わりかよ。この場にいる人達が全員俺たちを指さして笑ってる。
「は、魔獣を横取りすることしかできないお前たちと違って、僕たちは魔獣を倒せる強さがある。
本当に大したことがないのはどっちか!
そうやって姑息なことばかりに頭使って、果たしてお前たちが得たお金のどれくらいが、正当なお金なんだろうな」
「は!?」
リキート、煽ってる。それは完全に煽っているよ。ほら、相手の人もぴくぴくしてる。おかしいな、今日はさっさと依頼こなして休むはずだったんだが?
殴りかかってきたそいつを難なくかわすリキート。そして流れるように相手のほほに、一発入れる。思いっきり入ったようで、相手は軽く吹き飛んだ。
「おおー……」
「何をしているんですか」
けんかか? と周りがはやし立てる中、凛とした声がギルド中に響いた。この声、プラハさん? こんな大きな声出すの初めて聞いた。
「ちっ」
「いいですか、ギルドでの争いごとは禁止されています。
今回、リキートさんのパーティは免除しますが、ガルシオンには相応の罰を受けてもらいます」
「は!?
なんでだよ」
「なんで?
あなた方がこちらでトラブルを起こしたのは何度目ですか?」
ぎろりと睨むプラハさんに、忌々しそうに男性がこちらを見た。そもそも向こうがこっちに引っかかってきたことが原因なんだが。そして俺たちもプラハさんに呼び出されてしまった……。
「いいですか、ギルド内部での争いは厳禁です。
今回は初回ということ、向こうから仕掛けてきたこと、これらを考慮します。
次からはあちらと同様に罰を課しますので」
「はい。
すみませんでした」
「反省していただけたならいいです。
それはそうと、皆さん冒険者養成校を受験しましたか?」
「あ、はい」
かなり急な話題転換。多少なりとも落ち込んでいたから、思い切り面食らう。それでも何とか、返事をするとなぜかこくりとうなずいた。
「明日には結果がでていると思います。
またこちらにいらして、私に声をかけてください。
それから、本日はもうお帰りください」
「え、でも、今日の依頼はまだ何も……」
「本日は、というより試験結果が出るまでは構いません。
宿を追い出したり、違約金を頂いたりはしませんから。
そもそも、こちらに受けることを相談してくだされば、措置についてお話いたしましたのに」
「す、すみませんでした」
どうやら、俺らのような低ランクの冒険者は基本的に養成校の受験は推奨されているらしい。まあ、本人の意思が最優先らしいため、言葉にして勧められることはあまりないが。
そのため、そこを受けるためならば、Fランク、Gランクの依頼ならば報酬の1割回収がなくなるらしい。知らなかった……。
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知らなかった……。
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