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3章 冒険者養成校
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(やっぱり接触を図るとしたら、第一皇子かな)
先ほどの話を聞いて、話題の中心は主に皇后と第一皇子だということが分かった。つまり、今の皇族で力を持っているのはその二人、皇后はあり得ないので、第一皇子しかいない。
『どうやってですか?』
(そこが問題なんだよな。
接触できさえすれば、俺が第七皇子だっていう証明は簡単なんだが)
『そうなのですか?』
シャリラントの言葉にうなずく。そう、身分の証明自体は簡単なのだ。今まで疎ましい気持ちしかなかったが、これ以上の証明はない。魔力を通すと浮かび上がる皇国の国章。これは皇族の直系しか出ないと言っていた。そして、おそらく行方が分からなくなっている皇子は俺くらいだろう。
問題はどうやって皇后にばれずに接触するか……。そういえば、養成校の卒業時に剣術、魔法大会があるという話をしていた。それに王族が来るとも。王族ならばこれの意味が分かる可能性が高い。ばれるようにするのは恐らくできる。
だが、それだとほぼ確実に皇帝にも伝わるだろう。なにせ他国に皇族が保護されるのだ。どうするべきか……。
いや、待てよ。別にばれてもいいのでは? 今は俺にも力がある。おそらくそうやすやすと殺されることはないだろう。問題はシャリラントが奪われた時か。
(なあ、シャリラント。
もしもこの本体が奪われたら、俺はお前の力を使えないのか?)
『そうですね……。
以前も言った通り、そちらの剣は私たちの依り代です。
ですが、すでにあなたが私の主となっていますので、正直その剣がなくてもあなたの側にいることはできます。
まあ、その分負担は増えるかと思いますが』
まあ、それでも側にいてくれるならば心強い。
(というか、これが依り代というならば、これ自体に何か意味はあるのか?)
『ありますよ。
なにせそれは神の創造物ですから。
はぁ……、安心してください。
その剣はあなた以外何者にも扱えませんから』
(え、それはどういう?)
『神剣は使い手を選ぶ。
相性が悪い人間はそもそも神剣に触れません。
皇国の人間はほぼ無理でしょうね』
(からかったのか?)
『いいえ。
あなたが奪われたら、と言ったから答えたまで。
まあ、せいぜいできるだけ小さくなりましょう。
ほかの人にばれないくらい……』
そういえば、こいつ形を変えられたか。それなら、やはりこそこそする必要ないな。とにかく皇宮の内部に入るのが先決か。さすがにあいつらも数年ぶりに帰ってきた皇子を即殺すことはないだろう。相手にとって、おそらく俺は無力な存在だし。
あの商会にいたときもかすかにしか聞こえていなかった、俺を探しているという噂。今では全く聞かなくなっている。まあ、どこぞで野垂れ死んだと思われているだろう。それに、先ほどの話ほど国が衰弱しているならば、おそらく他国にまで介入する余裕がない。
とにかく皇帝、皇后が俺に構う前になんとか第一皇子に接触を図ろう。いくらでも手出しできただろうに、傍観したあいつも許したわけではないが、あの二人を罰することができるならば耐えられる、はずだ。それに俺は玉座はいらない。手は取りやすいはずだ。
よし、方針は決まった。とにかく今は潜んで力をためよう。そして、大会の時にどうにか王族の目に留まらねば。
『あなたがそう決めたのならば、喜んで手伝いましょう』
(うん、ありがとう)
正直、シャリラントが側にいてくれるという安心感もあって、行動に移せる。本当に、ありがたい。
『あのお二人は?』
(二人は……、まあきっとこの国で冒険者としてやっていくよ)
『そうですか』
俺の個人的な事情に二人を巻き込めるわけがない。だって、二人は自由を求めているんだ。それを邪魔する権利は誰にもない。皇国では何があるかわからないから、一緒に来てほしいなんて、言えるわけがない。
だから。あの人たちに再会して、こうして考えられるきっかけをくれた二人がちゃんとここで自由に生きて行けるように。そのためにも頑張ろう。
――――――――――――――――――――
翌日、いつものように教室に向かう。そして、時間ぴったりに先生が入ってくると、教壇に立った。本当に、ここは学校をなぞらえている。教えてくれる人が現役の冒険者だったり、王宮の魔法師だったり、豪華だが。
「さて、前回は全員で同じダンジョンに挑戦したが、次回からは違う。
前回の結果からそれぞれ個人の実力にあったダンジョンに挑戦してもらう。
ま、実際に行くことになったら案内する。
そして今回買取は俺たちの方で行ったが、次回からは自分でやってもらう。
魔獣を倒し、素材を回収し、そして売る。
ここを卒業したらDランク冒険者になる君らにとっては当たり前になる。
まあ、その練習みたいな感じだな」
先生の言葉に反応した人数人。まあ、売れと言われても、売る先がないから困っているのだ。そんな反応はわかっていたのだろう、大丈夫、と言ってくれる。
「初めは俺たちが普段売っている先に一緒に売りに行く。
それを何回か繰り返して、信頼を自分で勝ち取ってくれ」
あ、そこは各自なのか。まあ俺たちの場合、サーグリア商会にお願いすれば買い取ってくれるだろう。俺がいなくなっても、たぶん紹介しておけば大丈夫。あの人たちはやさしいし、二人も変なものを持ち込んだりはしないだろう。
それじゃあ、それぞれの先生のところで買取額、そして商会を確認してくれ、という言葉にほかの先生たちが入ってきた。
先ほどの話を聞いて、話題の中心は主に皇后と第一皇子だということが分かった。つまり、今の皇族で力を持っているのはその二人、皇后はあり得ないので、第一皇子しかいない。
『どうやってですか?』
(そこが問題なんだよな。
接触できさえすれば、俺が第七皇子だっていう証明は簡単なんだが)
『そうなのですか?』
シャリラントの言葉にうなずく。そう、身分の証明自体は簡単なのだ。今まで疎ましい気持ちしかなかったが、これ以上の証明はない。魔力を通すと浮かび上がる皇国の国章。これは皇族の直系しか出ないと言っていた。そして、おそらく行方が分からなくなっている皇子は俺くらいだろう。
問題はどうやって皇后にばれずに接触するか……。そういえば、養成校の卒業時に剣術、魔法大会があるという話をしていた。それに王族が来るとも。王族ならばこれの意味が分かる可能性が高い。ばれるようにするのは恐らくできる。
だが、それだとほぼ確実に皇帝にも伝わるだろう。なにせ他国に皇族が保護されるのだ。どうするべきか……。
いや、待てよ。別にばれてもいいのでは? 今は俺にも力がある。おそらくそうやすやすと殺されることはないだろう。問題はシャリラントが奪われた時か。
(なあ、シャリラント。
もしもこの本体が奪われたら、俺はお前の力を使えないのか?)
『そうですね……。
以前も言った通り、そちらの剣は私たちの依り代です。
ですが、すでにあなたが私の主となっていますので、正直その剣がなくてもあなたの側にいることはできます。
まあ、その分負担は増えるかと思いますが』
まあ、それでも側にいてくれるならば心強い。
(というか、これが依り代というならば、これ自体に何か意味はあるのか?)
『ありますよ。
なにせそれは神の創造物ですから。
はぁ……、安心してください。
その剣はあなた以外何者にも扱えませんから』
(え、それはどういう?)
『神剣は使い手を選ぶ。
相性が悪い人間はそもそも神剣に触れません。
皇国の人間はほぼ無理でしょうね』
(からかったのか?)
『いいえ。
あなたが奪われたら、と言ったから答えたまで。
まあ、せいぜいできるだけ小さくなりましょう。
ほかの人にばれないくらい……』
そういえば、こいつ形を変えられたか。それなら、やはりこそこそする必要ないな。とにかく皇宮の内部に入るのが先決か。さすがにあいつらも数年ぶりに帰ってきた皇子を即殺すことはないだろう。相手にとって、おそらく俺は無力な存在だし。
あの商会にいたときもかすかにしか聞こえていなかった、俺を探しているという噂。今では全く聞かなくなっている。まあ、どこぞで野垂れ死んだと思われているだろう。それに、先ほどの話ほど国が衰弱しているならば、おそらく他国にまで介入する余裕がない。
とにかく皇帝、皇后が俺に構う前になんとか第一皇子に接触を図ろう。いくらでも手出しできただろうに、傍観したあいつも許したわけではないが、あの二人を罰することができるならば耐えられる、はずだ。それに俺は玉座はいらない。手は取りやすいはずだ。
よし、方針は決まった。とにかく今は潜んで力をためよう。そして、大会の時にどうにか王族の目に留まらねば。
『あなたがそう決めたのならば、喜んで手伝いましょう』
(うん、ありがとう)
正直、シャリラントが側にいてくれるという安心感もあって、行動に移せる。本当に、ありがたい。
『あのお二人は?』
(二人は……、まあきっとこの国で冒険者としてやっていくよ)
『そうですか』
俺の個人的な事情に二人を巻き込めるわけがない。だって、二人は自由を求めているんだ。それを邪魔する権利は誰にもない。皇国では何があるかわからないから、一緒に来てほしいなんて、言えるわけがない。
だから。あの人たちに再会して、こうして考えられるきっかけをくれた二人がちゃんとここで自由に生きて行けるように。そのためにも頑張ろう。
――――――――――――――――――――
翌日、いつものように教室に向かう。そして、時間ぴったりに先生が入ってくると、教壇に立った。本当に、ここは学校をなぞらえている。教えてくれる人が現役の冒険者だったり、王宮の魔法師だったり、豪華だが。
「さて、前回は全員で同じダンジョンに挑戦したが、次回からは違う。
前回の結果からそれぞれ個人の実力にあったダンジョンに挑戦してもらう。
ま、実際に行くことになったら案内する。
そして今回買取は俺たちの方で行ったが、次回からは自分でやってもらう。
魔獣を倒し、素材を回収し、そして売る。
ここを卒業したらDランク冒険者になる君らにとっては当たり前になる。
まあ、その練習みたいな感じだな」
先生の言葉に反応した人数人。まあ、売れと言われても、売る先がないから困っているのだ。そんな反応はわかっていたのだろう、大丈夫、と言ってくれる。
「初めは俺たちが普段売っている先に一緒に売りに行く。
それを何回か繰り返して、信頼を自分で勝ち取ってくれ」
あ、そこは各自なのか。まあ俺たちの場合、サーグリア商会にお願いすれば買い取ってくれるだろう。俺がいなくなっても、たぶん紹介しておけば大丈夫。あの人たちはやさしいし、二人も変なものを持ち込んだりはしないだろう。
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