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3章 冒険者養成校
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しおりを挟む「ハール、知り合いなの?」
「あ、ああ。
昔、一度だけ会ったことがある」
イシューさん、だよな。何も答えてもらえないと不安になっていく。なにせ、5、6年前に一度会ったきりだ。
「あれ、イシューさんハールと知り合いだったんですか?
っと、とにかく今は外に行かないと。
ここも崩れ始める」
そうだった! ダンジョンって長倒したら崩れるんだ!
そのあとは皆そろってとにかく逃げる。一応登りながらめぼしい資材は回収していったからそれでいいが。そして塔から逃げ出してしばらくすると、やはり崩れ始めた。なんだかどっと疲れた……。
「それでハールって言ったか?」
「あ、はい」
呆然と崩れていく塔を見ていたら、急に明るい声で話しかけられたからものすごくびっくりした……。って、シャリラント?
『よお!
なんだか久しぶりに会うじゃないか!』
『騒々しい。
私は今は身を潜めているんです。
ばらしたら承知しませんから』
『へいへい』
これは、一体?
「うちのファーラがすまないな。
君もしん「わ――――!」」
あ、危ない! これ絶対シャリラント見えてるよね!? これ言おうとしたよね!? ここで言われるのまずい。何となくファーラと呼ばれた人? がシャリラントと同じ存在なのはわかったがまずい。
「お願いです、何も言わないで」
「お、おう」
慌ててイシューさんに耳打ちすると、戸惑いながらもうなずいてくれる。二人は知っているからいいが、先生たちには知られたくないのだ。
「ハール?
どうした?」
「いえ、何でも!」
あー、もう。一体なんでこうなったんだ。
「えーっと、ハールは知り合いみたいだが一応紹介しておくね。
SSランク冒険者のイシューさんだ」
……SSランク? そんなランクがあったのか?
「ま、固くならずによろしくな。
SSって言ってもファイガーラがいるからってだけだし」
「ファイガーラ、ですか?」
おう! というと、先ほどシャリラントと話していた人が実体化する。先ほどまで見えていたのは俺とイシューさんだけ。つまり、神剣の持ち主だけだろう。
「俺は戦いの神剣、ファイガーラ。
よろしくな!」
「よ、よろしくお願いします……」
「よろしく……」
あー、そんな顔でこっち見るなよ。ひとまず俺も初対面をよそおって挨拶をしておく。やはり神剣か。
「なあ、ハールって言ったか?
このあと時間は?」
「え?」
時間って言われても、今は授業中だ。どうしたら、と先生の方を見ると言ってこいと示される。行っていいなら行くか。
「あ、その前に。
言っておくと、このダンジョンはAランクだ。
まあ、お前らが戦っていたエリアはDランク程度だが」
あれが、Dランク? というかこれはAランクのダンジョンだったのか!? 一体どこに驚けばいいんだ……。だが行ってよし、と言われるとそれ以上聞くこともできない。いったんイシューさんと離れることにした。
「ああ、そういえば思い出したぞ!
お前、ドベルのとこであった迷子か!
雰囲気も背丈も、何もかも変わったから全然気が付かなかった」
「あ、はい。
そうです。
というか、迷子ではありません」
「はは、そうか。
まあ、ちょっと付き合ってくれよ」
そういって近くの軽食屋に入っていく。適当に何かを頼むとイシューさんはまた口を開いた。それにしても一体なぜここに?
『おう、久しぶりだな、坊主!』
坊主って……。それにしても久しぶり?
「お会いしたことありましたか?」
『ああ、そうか。
あの時は俺のこと見えていなかったのか。
何かを持っていることはわかったが、シャリラントとわからなかったこと含めてもまだ契約が終わってなかった?』
『ええ、そうですよ。
おかげであなたに眠りを邪魔されずに済みました』
『お前は眠りすぎなんだよ。
……大丈夫か?』
『……何のことか』
シャリラントと話し始めてしまった。なんか空気固いが一応仲良しか?
「そう言えば、なぜあそこに?」
「あー、もともとあそこは俺に依頼が来ていたんだ。
そのうえで、あのダンジョンを体験させたい学生がいるっているから協力していただけだ」
「そうだったんですね。
さすがですね、あそこを一人でクリアできてしまうなんて」
「神剣を持っているんだ。
お前もいつかできるさ」
いつか、か。
「そういえばどうして俺をここに?」
「ファーラがそこの、シャリ? と話したがっていたからな。
俺としても同族と会えるのは嬉しいさ」
同族。同じ神剣の主、ということだろうか? と言っても本当にそれだけだよな。
そのあとはなぜか普通に軽食を楽しんできてしまった……。
「今度、俺のパーティにも会ってくれよ。
皆、まだまだ初心者だが、よく頑張っている」
「あなたのような、強い冒険者がパーティ?」
「ああ。
と言っても、見捨てきれなくて俺のところに置いているだけ。
実力自体はまだまだだな」
まあ一度会ってみろ、と言ってくれる。だが正直今忙しいんだよな。すると好きな時でいいから、と言われてしまった。まあ、好きな時ならいつでもいいか。
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