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4章 皇国
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しおりを挟むさて、ようやく復活しました! あいかわらず忙しい日々なのに休んでしまって申し訳ない……。でも、皆気にするなと笑ってくれた。食事を終えるとまずはお掃除。休んでしまった分もと張り切って掃除用具を持つ。廊下の端まで道具を使ってきれいにする。
「ずいぶんと張り切ってるな。
もう終わってしまったじゃないか」
「休んでしまった分も頑張らないと。
次はどこをやりましょうか」
そうだなと周りを見渡すグルーさん。そしてあそこに行こうかと示した先はマーシェさんたちが担当の場所だった。
「マーシェ、手伝うか?」
「あれ、そっちはもう終わったのか?」
「ああ。
ハールが張り切ってくれてな」
「じゃあお願いするわ」
どこか眠そうな目でマーシェさんが言う。最近ぼーっとしていることが多い気がしたけど、今日もまたどこかぼーっとしている。心配にはなったが、グルーさんが手を動かし始めたのを見て、慌てて俺も掃除を再開した。本当に進んでいなかったのだろう。そこからは無心で掃除をすることになった。
あれ。これなんだろう。部屋の端に近いところ、ぽつりと落ちていたのは紙に包まれたなにかだった。きょろきょろと周りを見るもそれぞれ離れていてすぐに声をかけられる人はいない。ひとまずポケットにでも入れておくか。
ようやく昼を迎えるころにはすっかりと担当部分はぴかぴかに。なかなかの達成感。ぶう、と汗をぬぐっていると、マーシェさんがそろそろとこちらに近づいてきた。
「な、ハール。
今晩ちょっと時間いいか?」
「大丈夫ですけど……。
何か用事が?」
そわそわとした様子で話しかけてきたけど一体何の用が? それに今じゃなくて夜というからにはそれなりに時間がかかる用事なんだろうか。
その時にな、というと詳細を伝えることなくマーシェさんたちが去っていく。え、目的地一緒なんだから一緒に行けばいいのに。それにしても本当になんなんだ? グルーさんの方を見るも当然ながら何のことかわからないらしい。首を静かに振るだけだった。
「一応気を付けろよ。
最近のマーシェはどこか変だからな」
「変、ですか?」
「明確に何かがあるわけではないんだが、どこか引っかかるんだよな」
わかりましたと返事をするも一体どう気を付ければいいのか。なんだか余計に謎が深まった気がする。
そして夜。時間があるか、と言われたはいいがどこでいつという話は一切していない。どこで待っているのが正解なんだ、と迷いながらもひとまず自分の部屋で待つことに。自由時間になり少しすると誰かが扉をノックしてきた。外に出るとマーシェさんがいた。
「ここにいたんだな。
じゃあ行こうか」
「あの、どこに?」
「いいからいいから。
ちょっと借りてくなー」
部屋の中にいたグルーさんに声をかけると俺の背をぐいぐいと押す。いや、いいからじゃなくて説明をしてほしいんだが!? 結局特に説明もないまま、俺は入ったこともない部屋に案内された。
その中には数人の男性が集まっている。同じ下働きとして知っている人もいれば知らない人もいる。一体何の集まりだ……?
「おい、マーシェ。
そいつは誰だ?」
「ハールだ。
新しく下働きに入ったやつでな、すごいいいやつなんだ」
「信頼できるのか?」
「仲間にできれば大きいだろ?」
か、会話に入っていけない。どうしてそんなに警戒されているのかもよくわからない。鋭くこちらを見る男性とマーシェさんが何やら言い争いを始めてしまったし。俺、別に来たくてここに来たわけでもないし……。
それにしてもなんだか異様だ。男が所狭しと部屋に集まっていて、明かりは中央にあるくらいだから薄暗い。
「まあいい。
マーシェは人を連れてきてもいいと認められているしな。
時間がない。
さっさとやるか」
何やら話はまとまったらしい。マーシェさんと言い争っていた男性がこちらを見た。この男性どこかで……、厨房の料理人か? 本当にいろんなところから人が集まっているみたいだ。
「ようこそ、ハール。
歓迎するよ」
「え、あの……?」
にこやかな笑みを浮かべて手を差し伸べる人物。顔を知っているけれど、名前は知らないし。でもその後ろにいるマーシェさんから手をとれ、というように指示されている。ここは従っておくか、とその男性の手を取った。
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