『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

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6章 再会と神島

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 さて、俺たちも皇都に戻ろうと準備を始めることに。ミーヤのことも気になるし、俺は行き同様シャリラントと二人で飛ばして帰ろうかと考えていた。だが、それはカンペテルシア殿に止められてしまった。どうか自分たちと共に馬車で帰ってほしいと言われたのだ。この使節団はオースラン王国との同盟を結びに行き、見事にその役目を果たした。同盟が結ばれてすぐに早馬が皇帝のもとへと飛んでおり、使節団の帰還を祝う準備が進められているという。その祝いの場に(カンペテルシア殿曰く)立役者である俺がいないのはまずいというのだ。

 なんて面倒な。というか、今そんなことをしている余裕はないのでは?と疑問を口にするも暗い話題ばかりだったので民にとっても明るい話題で盛大に盛り上がれる場は必要だ、と言われてしまった。納得してしまったよ……。

 ということでしぶしぶではあるが、俺はおとなしく馬車に乗って皇都へと向かうことになってしまいました。

 そして特に大きなトラブルもなく皇都へと到着した。そのまま皇宮へと向かっていく。だが、皇都に入ってから馬車の速度は目に見えて遅くなっていた。ずらずらと続いていく使節団の馬車たち、その周りと民たちが囲んでいたのだ。

「スーベルハーニ、民たちに手を振ってあげてくれ」

「え、手を、ですか?」

「ああ。
 民たちはまだお前のことをあまり知らないだろう。
 自分がこの同盟の、ダンジョン攻略の立役者なのだと主張してやればいい」

「で、ですが……」

「それが皇家への信頼にも繋がる」

「カンペテルシア殿……」

「皇子さまー!
 ありがとうございます!」

「皇子様!」

「あっ……」

 一刻もはやく皇宮へと戻りたい。その気持ちはもちろんあるが、こんなにも笑顔で祝われてお礼を言われると無下にもできない。カンペテルシア殿に言われたように若干ひきつった顔を外に向ける。そしてぎこちなく手を振ってみる。とたん、わっと歓声が上がる。

「な、なにこれ……」

「スーベルハーニは顔も整っているし、早くも民から人気を集めそうだな」

「本当にやめてください」

 それは俺のタイプではないから! 頬が本格的にひきつってきたところで俺は顔をひっこめることにした。

 いや、これは向かないわ、うん。

 そうこうしていると、ようやく馬車は皇宮の敷地へと入っていった。さすがにここは静かでしょう、と思っていたら馬車から降りたとたん人に囲まれましたが。


 待ち構えていた貴族たちを何とか抜けて、そのあとは陛下への帰還の挨拶、簡単な報告を済ませる。詳しい話はあとで、と許可していただいたところでようやく自室へと戻ることができた。

 すぐに旅の汚れを落としてさっぱりとする。このまま寝てしまいたい……。だが、夕飯は皇族みんなで、と言われているからそういうわけにもいかない。

「あの、よろしいでしょうか……?」

 さてどうしよう、と考えていると飲み物を運んできてくれた侍従に小さく声を掛けられる。うなずくと俺が不在の間の簡単な報告をしてくれた。

「まず、数日前にミーヤ様がお目覚めになりました。
 スーベルハーニ皇子のよきタイミングでお話したいとのことでした。
 また、皇子が国境へと出立して2日後にリキッドレート様方が領地へと向かいました。
 もう一つ、イシュー様が皇国を出立しました」

「イシューさんが……。
 最後にきちんとお礼をしたかったのだけれど仕方ないね。
それと、ミーヤが目覚めたんだね。
 そうだな、後で伺える時間を聞いてきてもらっていいか?」

「かしこまりました。
 また、本日の夕食後ですが陛下とカンペテルシア様からお誘いがあります」

「わかった」

 それらを伝えると、ゆっくりお休みくださいと言って侍従は一礼して部屋から出て行った。ようやく一息つける。そうか、リキートとフェリラは領地に行ってしまったのか。別に会いに行けない距離ではない。領地に戻ることも知っていた。でも、なんだか寂しい、気がする。今まで会おうと思えばいつでも会えたし、会おうと思わなくても一緒にいたのにな、なんて。

 でも、それはリキートが踏み出した証だから。ちゃんと応援しないとね。今度落ち着いたら領地に遊びに行こう。

 少しするとミーヤのところに伺いに行っていた侍従が帰ってきた。どうやらいつでもいいとのこと。できるだけ早く、と言ったら今から部屋を準備してくれることになった。さすがに女性の部屋に行くのはまずいらしい。うん、だよね。

 その支度もさすがとしか言いようがない早さだった。夕飯前に十分話せる時間が取れそうだ。案内にしたがって部屋に入ると、そこは女性が好きそうな雰囲気の部屋だった。壁紙は小花が描かれていて、全体的に柔らかい雰囲気。そして家具は白を中心に配置されている。これはミーヤに配慮しているのだろうな。

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