『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

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6章 再会と神島

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    そこでようやく俺と共にいる人に気が付いたのか、ケリーはリーンスタさんのほうを見た。

「あなたは?」

「あ、この人は……。
 みんなに会えた時にぜひ紹介したくて。 
 だから紹介はまた今度ね」

「ふーん?
    あ、今晩にでも来れるか?
    皆には俺から連絡しとくからさ」

「そんな急で大丈夫なの?」

 心配になった俺をよそにケリーは大丈夫大丈夫と軽く返した。

「それより、ずっとハールに会えていないからきっとみんな喜ぶよ」

「俺もみんなに会いたいよ。
 じゃあまた後で」

「え、もう行くの?
    親父に会っていけばいいのに」

「まあ、後で会えるなら今は邪魔しちゃ悪いかな」

「そう?
    まあいいや。
 じゃあまた後で」

 じゃあね、と手を振ってケリーは奥へと入っていく。それを見送って俺はリーンスタさんと共に街へと出て行った。

 安くて重宝した服飾店、フェリラがケーキを買ったお菓子屋さん、よく3人でご飯を食べた屋台。いろいろなものがすでに懐かしい。そしてここでの思い出は常に3人でのものだ。今はどちらもそばにいないことがふとした時に寂しくなる。

「……リーンスタさんが一緒にいてくれてよかったかもしれません」

「どうして?」

 ぽつりとこぼした言葉はしっかりとリーンスタさんに聞こえていたらしい。返ってきた言葉に苦笑いした。

「なんだかここを歩いているとリキートたちといたことを思い出してしまって。
 寂しい気持ちに。
 でも、こうしてリーンスタさんと一緒に歩くことでまた違ったところみたいに見れて」

「リキート、というと……。
 君と一緒に冒険者になったという?」

「はい。
 ここで一緒に冒険者になったんです。
 全然活動しなかったんですけどね」

 いやー、結局本当に冒険者らしいことしなかったわ。自由に冒険に出かけたい。その思いがなかったわけではないけれど。まあ、選ばなかった未来を考えても仕方がない。

 少しずつ思い出話もしながらいろいろとめぐっていく。再び訪れた伯父との時間はやはり穏やかに過ぎていった。基本的にこの人は聞き上手で、思わずいろいろと話してしまうのだ。それを穏やかに聞いてくれるんだよな。

 そうこうしているうちに夜は更けていく。俺たちは一番の目的であるシラジェさんたちの家へと向かった。

 家を訪ねるとすぐに扉が開かれた。

「ハール!
 本当に来たのね!」

「み、ミグナさん⁉」

「ケリーから聞いてはいたんだけれどね、なかなか信じられなくて」

 あ、ケリーはちゃんと伝えてくれたらしい。忙しそうだったのに申し訳ない。でも、よかった。

 さあさあ入って、と促されるままに俺はリーンスタさんと共に家の中へと入っていった。

 あっというまに整った夕食には全員がそろっていた。今日はたまたま皆そろう日だったらしい。せっかくなら皆に会いたかったからよかった。
 
 では食べようか、と席に着く直前。俺は慌ててみんなに話しかけた。さすがにそろそろリーンスタさんを紹介したい。

「あの、この方を紹介してもいいですか?」

「あ、ああ、ごめんなさい。
 ついついうれしくなってしまって……。 
 ハール、紹介してくれる?」

 聞く体勢が整ったことを見て、俺はようやく紹介できることにほっとした。

「この方はリーンスタさん。
 俺の母親の兄、つまり俺の伯父です。
 親族に、皆を紹介したくて」

 俺のもう一つの家族を。小さくなってしまった声でそう付け足す。何となくみんなの顔を見られなくて、俺はうつむいてしまった。

「本当に、ハールの親族なのか?」

 ふいに聞こえたのは思っていたのと違う声音だった。その声は固く、怒りを押し殺しているかのよう。お、俺何か怒らせるようなこといったか?

「はい。
 私は確かにこの子の伯父です」

「なら……、なら、どうしてこの子を一人きりにした⁉
 あんなに人の目にもおびえて、一体ハールに何をしたんだ」

 予想外すぎる言葉にぱっと顔を上げる。声の主はシラジェさんだった。だが、その近くにいる皆も硬い表情でこちらを見ていた。なんだか怒っている?

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