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6章 再会と神島
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呆然としたまま、ぱっと隣にいるリーンスタさんを見る。リーンスタさんも驚いた様子だ。あたりまえだ。急に怒鳴られるなんて考えてもいなかったはず。それも何も悪くないことで。
「あの……」
「申し訳ございませんでした」
考えがまとまらないままに口にした言葉を遮ったのはリーンスタさんの声だった。思わぬ謝罪に驚くも頭を下げてしまったリーンスタさんの表情は見えない。って、ちゃんと説明しないと。
「謝らないでください、リーンスタさん!
あの、心配してくれてありがとう。
でもリーンスタさんと初めて会ったのはつい最近なんだ。
だからリーンスタさんは何も悪くなくて……」
どうしたらわかってもらえるんだろう。商会の皆もリーンスタさんも、大切な存在だから紹介したかった。仲良くしてもらえたらって思った。それなのに、どうして。
「そんな泣きそうな顔をしないでくれ」
ぽん、と頭に重さがかかる。そしてそのままゆっくりと頭をなでてくれた。予想外の行動にとっさにリーンスタさんのほうを見るとリーンスタさんのほうこそ泣きそうな顔をしていた。
ああ……。きっと今この人は傷ついている。だって、この人もずっと後悔しているのだ。その傷を今えぐられている。
「う、う、うわぁぁぁぁん!!」
「る、ルゼッタ⁉
大丈夫、大丈夫よ」
唐突に部屋に響いた泣き声にナミカさんが慌てたように男の子をあやし始めた。その子の泣き声にシラジェさんは気まずそうに視線を下げる。次に口を開けたのはシラジェさんの奥さんであるミグナさんだった。
「リーンスタさん、ごめんなさいね。
旦那も、私たちもハールが大切なのよ。
でも今のはちょっと踏み込みすぎたわね」
「いいえ……」
「さあ、ご飯にしましょう!
せっかくの料理が冷めてしまうわ!」
明るいミグナさんの声に空気が変わっていく。そうね、とてきぱきと動き始めた女性陣のおかげで何とか空気は軽くなった。
そのあとはさきほどのことがなかったかのように夕食を楽しめた。言い始めたシラジェさんだけはずっと何とも言えない表情だったけれど、ほかの人たちがリーンスタさんにも気を配りながら話している。
俺も話しかけられては答えながらこの後のことを考えていた。
俺のもう一つの家族。俺をこんなに大切に思っていてくれているなんて知らなかった。だからこそ。今までずっと話してこなかった俺の過去を伝えたい。今初めてそう思っていた。全部は話せないけれど、話せるところだけでも。
「あの、夕食後に少し時間とってもらってもいい?」
ぎゅっとこぶしを握り締めて勇気を振り絞る。すると、ふっと軽い笑いが耳に届いた。
「何そんなに緊張してるんだよ。
もちろんいいさ」
ケリーがなんでもないように言ってくれる。それになんだか救われた気持ちになった。
「ありがとう。
あの、リーンスタさん。
申し訳ないのですが先に帰ってもらってもいいですか?」
ここまで付き合ってもらってこんなことを言うのは申し訳ない。だが、リーンスタさんはそんな俺の言葉に優しく微笑んでくれた。
「ああ、もちろん。
もし王城へ戻ってこなかったとしても私から伝えておこう」
「え、あ、よろしくお願いします」
後半の言葉は俺だけに聞こえるように小さく伝えてくれる。夜どうするかなんて考えていなかったけれど、万が一戻らなくて大事になったら嫌だ。だから伝言してもらえるのはありがたい。
「ゆっくり話してごらん。
……いい方たちだね」
「はい!」
何も悪くないのに、あんなことを言われて。それでもみんなのいいところをしっかり認めてもらえたことがうれしかった。後で改めてお礼と謝罪をしなければ……。
夕食後、王城へ戻るリーンスタさんを見送りながら話していいところを軽く確認する。すると、神剣の主ということはすでによく知られていることだから大丈夫だがミラの民であることは伏せてほしいとのこと。しっかりうなずいてから、俺はリーンスタさんと別れた。
さて、と気を引き締めて俺は再び家のなかへと入っていった。どこからどう話をしようか。まだ考えがまとまったわけではないけれど、それでもきっとあの人たちは真剣に聞いてくれるだろう。
「あの……」
「申し訳ございませんでした」
考えがまとまらないままに口にした言葉を遮ったのはリーンスタさんの声だった。思わぬ謝罪に驚くも頭を下げてしまったリーンスタさんの表情は見えない。って、ちゃんと説明しないと。
「謝らないでください、リーンスタさん!
あの、心配してくれてありがとう。
でもリーンスタさんと初めて会ったのはつい最近なんだ。
だからリーンスタさんは何も悪くなくて……」
どうしたらわかってもらえるんだろう。商会の皆もリーンスタさんも、大切な存在だから紹介したかった。仲良くしてもらえたらって思った。それなのに、どうして。
「そんな泣きそうな顔をしないでくれ」
ぽん、と頭に重さがかかる。そしてそのままゆっくりと頭をなでてくれた。予想外の行動にとっさにリーンスタさんのほうを見るとリーンスタさんのほうこそ泣きそうな顔をしていた。
ああ……。きっと今この人は傷ついている。だって、この人もずっと後悔しているのだ。その傷を今えぐられている。
「う、う、うわぁぁぁぁん!!」
「る、ルゼッタ⁉
大丈夫、大丈夫よ」
唐突に部屋に響いた泣き声にナミカさんが慌てたように男の子をあやし始めた。その子の泣き声にシラジェさんは気まずそうに視線を下げる。次に口を開けたのはシラジェさんの奥さんであるミグナさんだった。
「リーンスタさん、ごめんなさいね。
旦那も、私たちもハールが大切なのよ。
でも今のはちょっと踏み込みすぎたわね」
「いいえ……」
「さあ、ご飯にしましょう!
せっかくの料理が冷めてしまうわ!」
明るいミグナさんの声に空気が変わっていく。そうね、とてきぱきと動き始めた女性陣のおかげで何とか空気は軽くなった。
そのあとはさきほどのことがなかったかのように夕食を楽しめた。言い始めたシラジェさんだけはずっと何とも言えない表情だったけれど、ほかの人たちがリーンスタさんにも気を配りながら話している。
俺も話しかけられては答えながらこの後のことを考えていた。
俺のもう一つの家族。俺をこんなに大切に思っていてくれているなんて知らなかった。だからこそ。今までずっと話してこなかった俺の過去を伝えたい。今初めてそう思っていた。全部は話せないけれど、話せるところだけでも。
「あの、夕食後に少し時間とってもらってもいい?」
ぎゅっとこぶしを握り締めて勇気を振り絞る。すると、ふっと軽い笑いが耳に届いた。
「何そんなに緊張してるんだよ。
もちろんいいさ」
ケリーがなんでもないように言ってくれる。それになんだか救われた気持ちになった。
「ありがとう。
あの、リーンスタさん。
申し訳ないのですが先に帰ってもらってもいいですか?」
ここまで付き合ってもらってこんなことを言うのは申し訳ない。だが、リーンスタさんはそんな俺の言葉に優しく微笑んでくれた。
「ああ、もちろん。
もし王城へ戻ってこなかったとしても私から伝えておこう」
「え、あ、よろしくお願いします」
後半の言葉は俺だけに聞こえるように小さく伝えてくれる。夜どうするかなんて考えていなかったけれど、万が一戻らなくて大事になったら嫌だ。だから伝言してもらえるのはありがたい。
「ゆっくり話してごらん。
……いい方たちだね」
「はい!」
何も悪くないのに、あんなことを言われて。それでもみんなのいいところをしっかり認めてもらえたことがうれしかった。後で改めてお礼と謝罪をしなければ……。
夕食後、王城へ戻るリーンスタさんを見送りながら話していいところを軽く確認する。すると、神剣の主ということはすでによく知られていることだから大丈夫だがミラの民であることは伏せてほしいとのこと。しっかりうなずいてから、俺はリーンスタさんと別れた。
さて、と気を引き締めて俺は再び家のなかへと入っていった。どこからどう話をしようか。まだ考えがまとまったわけではないけれど、それでもきっとあの人たちは真剣に聞いてくれるだろう。
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