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2章 学園生活
63話 相談(2)
しおりを挟む「聞きたいことが、あります。
光魔法について。
神国から来たというあなたならわかるので詳しいのではないかと思ったのです」
あまり考えないようにしていた、と言うか考えようがなかった光属性のことを知りたいと思った。本格的に習い始める今この時だからこそかもしれないけれど。
「ウェルカがこうして頼ってくれるのは嬉しいですね。
普段は全然頼ってくださらないですが、魔法に関することなら頼ってくださるのですね」
この前も、と言われてふと入学前に商業区に行った時のことを思い出した。確かにあの時、倒れた少女を見てとっさにセイットに治癒魔法をお願いした。あれも魔法に対するお願いだね。
「そういえば、あの時の少女はどうどうしたのでしょか?
無事だとよいのですが……」
「きっと大丈夫ですよ」
やわらかく笑ってそう言われるとそんな気がしてくる。不思議だけれどそれがなんだか心地よかった。
「それでどうしたのですか?
答えられるかわかりませんが、善処します」
「あの、光属性はどんな力を持っているのですか?
えっと、例えばこの前の少女のような深手を負った場合、完璧に治すことはできますか」
もしかしたらあれよりも深いだろうけど、まあ最初の基準としてはいいと思う。ちらりとセイットの方を見てみると、うーんと考え込むようにしていた。難しい質問だったのかな。
「そう、ですね。
難しいと思います。
できないと断言をすることもできないのですが、見たことがありませんね」
「では、もっと深手の、死んでしまうような傷を治すことは?」
あの傷で難しいのならば、あの時のことは? 予想外の言葉に少し焦った私が重ねた言葉にセイットは不思議そうな顔をする。そして私の意図を問うようにこちらをまっすぐに見てきた。
「それは、できません。
できるとしたら光魔法とはまた別の何かではないでしょうか。
治癒魔法は決して万能ではなく、できることはとても限られています」
下を向いて、絞り出すように、それでもはっきりとセイットは言い切った。回答も予想外だったけれど、そんなセイットはもっと予想外だった。でも、だとしたらあの時は何が起きていたの? 私はおそらく何かの力を使った。でも、すぐに気を失ってしまったから何が起きたかも、どんな力が使われたのかも知らない。だからこそお姉様の言葉をすんなり信じたのだ。え、ええ?
この時の私はセイットが深く息を吐きだしたことにも気が付かないほど混乱しきっていた。
「なぜ、急にそんなことを?」
そう聞かれて、私はようやくまだ事件のことを話していないことに気が付いた。
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