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2章 学園生活
68話 訪問(1)
結婚式の日、結局お姉様と話す時間はなくて聞きたいことがあるという話をすると次の日に王宮で話そうという話になった。おもてなしの準備をして待っていてくれるそうだ。疲れているだろうに申し訳ない気持もあったが、やっぱり気になるのでお願いすることにした。
「では、行ってまいりますね。
お姉様に会ってこのまま学園に戻りますね」
「ええ。
でも、せっかく戻ってきたのにすぐに学園に行ってしまうなんて寂しいわ」
お母様にしゅん、とした顔をされてしまうと申し訳なくなる。でも、規定があるから戻らないといけないんだよ~。
「申し訳ありません」
「責めているわけではないのよ⁉」
でも、やっぱり寂しいと思ってしまって」
最後にまた帰ってきてね、とお母様に見送られて私は今日も王宮へと向かいました。
馬車を出してもらってさっそく王宮へと向かう。今日も今日とて門で特に止められることもなく中に入ることができた。何気に王宮に一人で行くのは初めてだから少し緊張していたんだよね。
「また呼び出してしまってごめんなさいね」
「いえ!
こちらこそ疲れていらっしゃるところに申し訳ございません」
「なんだか久しぶりだもの、お話しできるのは嬉しいわ」
お姉様が学園に通われているときはもっと長い間会っていなかったのに、確かになんだか久しぶりに感じてしまう。なんとなく甘えたい気持ちになってそっとお姉様のそばに行くと、お姉様は笑って頭をなでてくれた。
「アゼリア様、ウェルカ様、紅茶が入りました」
「ありがとう。
それで?
今日は何か聞きたいことがあってこちらに来たのでしょう?」
そうだった! それが目的だったけど、忘れてしまうところだった。私は慌てて席に座り直すと、一口紅茶を飲んでひとまず落ち着くことにした。
一つ息を吐きだして、ほっと一息ついてから私はようやく本題を切り出すことができた。
「あの、聞きたいのはここに来る途中に強盗に襲われた時のことなのです」
強盗のことを口にした瞬間に驚いたようにお姉様が固まる。きっとお姉様にとってもあのできごとは怖くて思い出したくないことだったんだろうな。そう思うと申し訳ない気持になってくる。
「どうして、急に?」
「お姉様はあの時私が光魔法を使ったとおっしゃいましたが、授業を受けてみてそれは違うのではないかと思ったのです。
光魔法ではあのような大きな傷を治すことができないのでは、と」
「なるほどね。
確かに、治癒魔法ではあまり大きな傷は治せないわね。
でも、あの時私にウェルカから何かが流れてくるのを短い時間だったけど感じたのよ。
そのあとはまたなにか力が入ってくるのをどこかで感じながら気を失ったわ。
そして目を覚ましたときには傷は治っていて、護衛以外は皆も重症ではなくなっていたから本当に驚いたのよ。
あの時の感覚と状況から、あなたしかあの場を救えなかったと思ったの」
だから、私はそう言う風に言ったの、とお姉様は締めくくる。うーん、じゃあなんとなくの勘だったってことかな?
それにしてももう一つ気になることがある。
「強盗はどうなったのですか?」
「気が付いた時は倒れて、と言うよりも死んでいたの。
でもどうして亡くなったのかがよくわからないのよ」
今もわからないままだわ、と言うと話題を変えるようにお菓子に手を伸ばす。そしておいしいわ、と顔をほころばせた。
お姉様が今このタイミングでどこまでを知っているのかは分からない。でも、それ以上は特にいうことはないというように完全に話を切り上げられてしまった。
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