姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio

文字の大きさ
68 / 193
2章 学園生活

68話 訪問(1)


 結婚式の日、結局お姉様と話す時間はなくて聞きたいことがあるという話をすると次の日に王宮で話そうという話になった。おもてなしの準備をして待っていてくれるそうだ。疲れているだろうに申し訳ない気持もあったが、やっぱり気になるのでお願いすることにした。

「では、行ってまいりますね。
 お姉様に会ってこのまま学園に戻りますね」

「ええ。
 でも、せっかく戻ってきたのにすぐに学園に行ってしまうなんて寂しいわ」
 
 お母様にしゅん、とした顔をされてしまうと申し訳なくなる。でも、規定があるから戻らないといけないんだよ~。

「申し訳ありません」

「責めているわけではないのよ⁉」
 でも、やっぱり寂しいと思ってしまって」

 最後にまた帰ってきてね、とお母様に見送られて私は今日も王宮へと向かいました。


 馬車を出してもらってさっそく王宮へと向かう。今日も今日とて門で特に止められることもなく中に入ることができた。何気に王宮に一人で行くのは初めてだから少し緊張していたんだよね。

「また呼び出してしまってごめんなさいね」

「いえ! 
 こちらこそ疲れていらっしゃるところに申し訳ございません」

「なんだか久しぶりだもの、お話しできるのは嬉しいわ」

 お姉様が学園に通われているときはもっと長い間会っていなかったのに、確かになんだか久しぶりに感じてしまう。なんとなく甘えたい気持ちになってそっとお姉様のそばに行くと、お姉様は笑って頭をなでてくれた。
 
「アゼリア様、ウェルカ様、紅茶が入りました」

「ありがとう。
 それで?
 今日は何か聞きたいことがあってこちらに来たのでしょう?」

 そうだった! それが目的だったけど、忘れてしまうところだった。私は慌てて席に座り直すと、一口紅茶を飲んでひとまず落ち着くことにした。
 
 一つ息を吐きだして、ほっと一息ついてから私はようやく本題を切り出すことができた。

「あの、聞きたいのはここに来る途中に強盗に襲われた時のことなのです」

 強盗のことを口にした瞬間に驚いたようにお姉様が固まる。きっとお姉様にとってもあのできごとは怖くて思い出したくないことだったんだろうな。そう思うと申し訳ない気持になってくる。

「どうして、急に?」

「お姉様はあの時私が光魔法を使ったとおっしゃいましたが、授業を受けてみてそれは違うのではないかと思ったのです。
 光魔法ではあのような大きな傷を治すことができないのでは、と」

「なるほどね。
 確かに、治癒魔法ではあまり大きな傷は治せないわね。
 でも、あの時私にウェルカから何かが流れてくるのを短い時間だったけど感じたのよ。
 そのあとはまたなにか力が入ってくるのをどこかで感じながら気を失ったわ。 
 そして目を覚ましたときには傷は治っていて、護衛以外は皆も重症ではなくなっていたから本当に驚いたのよ。
 あの時の感覚と状況から、あなたしかあの場を救えなかったと思ったの」

 だから、私はそう言う風に言ったの、とお姉様は締めくくる。うーん、じゃあなんとなくの勘だったってことかな? 
 それにしてももう一つ気になることがある。

「強盗はどうなったのですか?」

「気が付いた時は倒れて、と言うよりも死んでいたの。
 でもどうして亡くなったのかがよくわからないのよ」

 今もわからないままだわ、と言うと話題を変えるようにお菓子に手を伸ばす。そしておいしいわ、と顔をほころばせた。
 
 お姉様が今このタイミングでどこまでを知っているのかは分からない。でも、それ以上は特にいうことはないというように完全に話を切り上げられてしまった。
感想 9

あなたにおすすめの小説

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。

ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。 こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。 (本編、番外編、完結しました)

緑の指を持つ娘

Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。 ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・ 俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。 第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。 ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。 疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】サリシャの光 〜憧れの先へ〜

ねるねわかば
恋愛
大商会の娘サーシャ。 子どもの頃から家業に関わる彼女は、従妹のメリンダとともに商会の看板娘として注目を集めていた。 華々しい活躍の裏で努力を重ねるサーシャが初めて抱いた淡い恋。 けれどその想いは、メリンダの涙と少年の軽率な一言であっさり踏みにじられてしまう。 サーシャはメリンダたちとは距離をおき、商会の仕事からも離れる。 新たな場所で任される仕事、そして新たな出会い。どこにあっても、彼女は居場所を築いていく。 一方、光に囚われた人たちは後悔と執着を募らせていき── 大切なものを守りたい少女が、もがきながら光を紡いでいく。 ※前作「ルースの祈り」と同じ世界観で登場人物も一部かぶりますが、単体でお読みいただけます。 ※作中の仕事や制作物、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。

崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜

束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。 家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。 「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。 皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。 今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。 ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……! 心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。

【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
 ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。  第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。 「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。 「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。  だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。 全43話+番外編です。

塔に住むのは諸事情からで、住み込みで父と暮らしてます

ちより
恋愛
魔法のある世界。 母親の病を治す研究のため、かつて賢者が住んでいたとされる古塔で、父と住み込みで暮らすことになった下級貴族のアリシア。 同じ敷地に設立された国内トップクラスの学園に、父は昼間は助教授として勤めることになる。 目立たないように暮らしたいアリシアだが、1人の生徒との出会いで生活が大きく変わる。   身分差があることが分かっていても、お互い想いは強くなり、学園を巻き込んだ事件が次々と起こる。 彼、エドルドとの距離が近くなるにつれ、アリシアにも塔にも変化が起こる。賢者の遺した塔、そこに保有される数々のトラップや魔法陣、そして貴重な文献に、1つの意思を導きだす。 身分差意識の強い世界において、アリシアを守るため、エドルドを守るため、共にいられるよう2人が起こす行動に、新たな時代が動きだす。 ハッピーエンドな異世界恋愛ものです。

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。 2/26 番外編を投稿しました。 読んでいただけると嬉しいです。 思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。 とてもとてもありがとうございます!! 3/31 恋愛小説大賞に参加しておりました。最終順位27位です!嬉しすぎですっ!100位に入るのが目標でした。投票してくださった方、読んでくださった方、本当にありがとうございました!!本当に本当に感謝しております!!は~、やめないでよかった~いいこともあった~よかった~~ ありがとうございました!!!