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衝動愛情受け止め人
有り得ない
しおりを挟む斉藤冬樹。中学2年の僕は、不登校だ。
苛められたから?勉強についていけないから?部活が辛いから?
違う。理由はそんな大層なものじゃない。
人が嫌いなんだ。学校が嫌いなんだ。
「なぁ、もし困ってることや、辛い事があるなら教えて欲しいな。君が学校に来れない原因を、少しでも減らしてあげたいんだ。先生は君が学校に来てくれるのを待ってるね。」
少しの罪悪感、親に対しても先生に対しても。
それでも嘘はつけない。
正直に言うことしか出来ない。
きっと先生も親も理解不能だろうな。
だって理由が曖昧極まりないから。
__甘えてるだけかもな。
カラ元気で通せば学校なんて普通に通えたはずなのに、なんでだろう。どこか…疲れている。結局僕は何ひとつ青春を味わうことなく堕落していく。
今突然学校に行って、理由を聞かれても期待されてる返答は出来ないし。誰も面白くないだろう。
そんな事しか考えてない愚かな奴なんだ。もうなんか、ほんとクソだな。
ピーンポーン
…そんな、時間か。
不意に時計を見た。
最近4時頃になると、クラスメイトのやつが僕の家に来る。なぜかは分からないけど、多分…先生の差し金で交代交代で来てるんだろうが、会って話す気にはなれないのでいつも居留守を使ってやり過ごしてしまう。
この時間帯、共働きの両親はいないので僕ひとりだ。
だから余計に、会わなくていい人間と会おうとは思えなかった。
ピーンポーン
ピーンポーン
…あれ。
今日はやけにしつこいな。
下にいるであろう人物に悟らせないように静かに二階の窓のカーテンを開く。
あいつは…
ピーンポーン
桐原蒼斗…。
……なんであんな奴が。
僕はすぐに窓から離れた。そして、階段を降りてドアの近くへ行き、そっと覗き穴を見る。
…うわ、間違いない。
本当に桐原が僕の家に来てる。
今まで来るとしても、学級委員とか家近いヤツとか近くの席の大人しい奴だけだったはず。
なのに急に……。
その事実に驚いて、僕はドアの前で呆然としていた。すると
ドンドンっ
と扉をノックして「すみませーん!俺、桐原っていいます!さいと……っ冬樹くんいますかー!?」と叫んでいる。
なんて迷惑な奴。
そもそもあいつ、サッカー部でこの時間帯部活じゃないのか?
それに、桐原と僕は接点ないし。あいつは先生の言うことに関心を向ける感じの奴じゃない。
このままじゃ隣人に申し訳ないので仕方なく扉を開けることにしようか。
それにしても、本当に嫌だな。
一呼吸して、落ち着く。
「…ごめん寝てた。今開けるよ。」
ドア越しでも聞こえるような声で言う。
ガチャ__
まだ4時なのに、強い日差しが入って来て…眩しい。
思わずぎゅっと目をつぶると、急に暗くなった。
影…。人影か。
「…斉藤。今、親いないの?」
目を開けると、高身長の桐原が、上から見下ろすようにして、顔を近づけてきた。
僕は1歩だけ後ずさりする。
「えっ、と…いないけど。」
すると霧島が、…笑みを浮かべた気がした。
「……あ、あの、ん、………っ、ん…むぁっ…!」
答えた瞬間、桐原は僕の体を壁に押し当てて…キスした。
体をがっしり抑えられて、動けない。
それに突然過ぎて頭がパニックを起こす。
キスされたと分かった時にすぐ離れようとしたが、壁に押し当てられてたので、されるがままの状態。
何かの罰ゲーム?
嫌がらせ?ドッキリ?
おかしいおかしいやり過ぎだ。
「…んん……っ!!!…はぁはぁ。…お前…急に、 なんなの…」
僕は驚きすぎて、目頭が熱くなる。
それでも桐原はまだ、嫌味な微笑みを浮かべたままだろうと思っていた。
思っていたのに。
「…なぁ、頼むよ。お前…俺のこと好きになって。」
なんで……お前が
泣きそうな顔してるんだよ。
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