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文化祭編
sideアキ: 調査中です。
しおりを挟む「こ、こんにちはっ」
「………入るぞ」
初めて寮の7階に来て、インターホンを押してレイヤの部屋に入った(インターホン付いてた…流石7階!)
「うわぁ…広いね佐古くん……」
「そうだな」
(こんな部屋に1人でいるんだ、レイヤ)
流石、生徒会長様々だな。
廊下や部屋を突っ切って、リビングらしき部屋へと向かう。
ガチャッ
「お邪魔しm……わっ!」
「ハル!」「ハル様!!」
ぎゅぅぅっと体に抱きついてくる小さいのが、2つ。
「イロハ、タイラ……」
「ハルッ、ハルごめんね!おれたち全然気づかなくて……っ!」
「ハル様大丈夫ですか!? もう安心してくださいね!」
涙目になりながらグズグズになってる2人に、心がほんわりする。
「ふふふっ、もう大丈夫だよ2人とも。有難う心配してくれて。カズマも、有難う」
「いや。まさかこんな事になっていたとは……本当に気づかなかった。悪い」
「んーん。僕も撮られてるの全然分からなかったし、大丈夫」
後から来てくれたカズマが、ぎゅぅぎゅぅ抱きついて離れないイロハとタイラを引き取ってくれた。
「よぉ佐古、丸雛と矢野元には状況共有しといたから」
「あぁ」
「にしても、お前ら随分来るの遅かったなぁ。ゆっくり眠れたのか小鳥遊?」
「うぅ…はい、ぐっすりでした……」
クククと梅谷先生に笑われ、恥ずかしくなる。
長く付き合ってたストレスから解消されたからか昨日は凄く良く眠れて、目が覚めた時はお昼をとっくに過ぎていた。
(まさかこんなに寝るなんて…自分でもびっくりだ……)
人間、心理的何かから解放されたらこうなるもんなのかなぁ……
「クスクスッ。こんにちは、小鳥遊くん」
「こ、こんにちは櫻さんっ」
「さぁ、佐古くんはこちらに来て私たちと調べましょう。小鳥遊くんはあちらへ。龍ヶ崎くんと月森くんがお待ちですよ」
「分かりました」
「レイヤ、月森先輩っ」
「ん、来たかハル」
「こんにちは、ハル様。今朝は良く眠れたようですね」
「は、はぃ」
「ククッ、良かった。ほらハル、こっち来い」
綺麗なフローリングの床に座っているレイヤの横にちょこんと座る。
床には、貰った写真が大量に並べられていた。
思わずそれらをじぃ…っと凝視していると、「大丈夫だ」と言うようにレイヤの手がよしよし背中をさすってくれて。
「ハル。来たばっかりのところ悪いが、いくつか訊きたい事がある。いいか?」
「はい、勿論です」
それから、レイヤと月森先輩から投げられる質問ひとつひとつに丁寧に答えていった。
(…………暇、だ……)
質問に全て答えきって「有難う。後はゆっくりしといていいぞ」と解放され。
梅谷先生たちの処へ行ったら「ハルは参加しちゃ駄目!ソファーにでも座ってて!!」と追い出されてしまい。
ただ今、絶賛暇人……
(ん、あれ? 何でこうなってんの?)
そもそも今回の事件って俺が中心にいる筈だよな?
何で1番蚊帳の外にいるんだ?
なんかこの構図おかしくね? え、おかしいよね?
(つまんねぇよ本当……)
あー、どうしよう。
このソファー確かに凄いフカフカで気持ちいいけど、でも座ってるばっかなのは流石に飽きた。
梅谷先生たちのとこはどうせ行ったらまた押し返されるし……
レイヤたちのとこ、行こうかな。
「よし!」とソファーから立ち上がって、とてとてレイヤの元に歩いて行く。
レイヤと月森先輩は、凄く真剣な表情をしながら床の写真を見て話し合っていた。
(うわぁ…凄い真剣な顔してる、かっこいい……)
場違いにも程があるが思わずキュンッと胸が鳴って、2人の邪魔をしないよう静かに静かに近く。
そしてレイヤの斜め後ろに座って、控えめに小さく服の裾を引っ張った。
………クィ…ッ
「ーーん? あぁ、何だハルか」
僅かな振動にもかかわらず真剣な顔のままこちらを振り返ったレイヤの顔が
俺を見つけた瞬間、優しく綻ぶ。
「ーーーーっ!」
(や、やばっ! ちょっと待ってそれやばいっ)
「どうしたハル。みんな構ってくれなくてつまらないのか?」
「ぇっ、ぁ、ぇえと……っ」
「ハハッ、図星か。 ほら、おいでハル」
「~~っ」
「しょうがねぇな」と言うように笑うレイヤにキュウキュウ鳴る胸が止まらず、そのままポンポンと指示されたレイヤの隣に体育座りして座り込んだ。
密着するように擦り寄ると、頭をよしよし撫でられて凄く嬉しい。
「……ハル様、何だか今日はとても可愛らしいですね」
「ぇ?」
「心配事が解消されたからでしょうか…? クスッ、ハル様は本当、自由気ままな野良猫のようです。」
真剣な表情だった月森先輩も優しく微笑んでくれて、ほっと安心する。
「野良…猫……?」
(それ確か、前にイロハたちにも言われた気が……)
「ふふふ。今日は大きな黒いパーカーを着てらっしゃるので、黒猫ですかね?」
今日の俺の服装は、細身のジーンズにお尻まで隠れる黒のパーカーというラフな格好。
「ねぇ、龍ヶ崎。ハル様のパーカーに猫耳と尻尾が付いていたら完璧だと思いませんか?」
「あー、それには同意だな」
「ぇ、」
「やっぱりですか。ふふふ、可愛らしい黒猫の完成ですね」
「いやぁ、懐くまで時間かかったぜ本当」
「ん、んん?」
〝?〟がいっぱいの俺に苦笑しながら、2人が頭を撫でてくれて。
そのまま、残りの時間はずっとこの場所で過ごした。
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