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未来へ編
sideアキ: プレゼントの準備
しおりを挟むコンコンッ
「アキくんっ、お茶しない?」
「ぁ、はい!」
忙しなく動かしてた手を止めて、ドアの方へ向かった。
「まぁ!大分進んだわね!!」
「凄いー!」と、トウコさんがまだ完成しきってないそれを手にする。
「うん…うんいいわね!飲み込み早いし編み目も綺麗だし、言う事ないわ」
「本当ですか?」
「えぇ、アキくん器用ね。私覚えるの大変だったのに…」
『私、編み物が得意なの!』
だから毛糸いっぱい持ってるし、編み物の本も持ってるわ!
たくさん余ってるから使いなさいな!
自分の部屋から色んな種類の毛糸と本を持って、ガバッとテーブルいっぱいに広げられて。
「これならお金もかからないわよっ」と目をキラキラさせながら熱弁された。
実は、前に貸してもらったポンチョもトウコさんの手作りだったらしい…全然気づかなかった……
で、トウコさんに教えてもらって何とか編んでるんだけど……
正直、面白くてめちゃめちゃハマってしまってる。
(貰った宿題も終わってるし、時間は有り余ってたしな)
誰に何作ろうかと本を見ながら考えて、付箋をつけて毛糸の色を選んで……
少しずつ少しずつ出来ていくのが目に見えて分かって、本当に楽しい。
「この調子ならクリスマスまでに間に合うんじゃない?」
「はい、でも余裕持ってちょっと早めで進めてます」
「うんうん、それがいいわね」
「私も此処で本読んでいいかしら?」と言われ「勿論です」と返して、それぞれ時間を過ごした。
静かで、窓の外からは時々鳥の鳴き声が聞こえて、部屋の中は暖かくて……
(あぁ、本当に……)
「いい時間ねぇ、アキくん」
「クスッ、俺も今同じこと考えてました」
「ふふふ」
(本当、いい時間だ……)
そのままリラックスしてプレゼントを編んで、夕方頃「そろそろ夕飯の支度をするわ」と出て行くトウコさんを見送った。
それから、学園では期末テストがあった。
ハルと佐古は相変わらずの満点だったらしい。
カズマも点数が良くて、イロハとタイラは前回よりも順位が上がったって喜んでた。
レイヤと月森先輩も変わらずの満点。
期末テストが終わると、一気にクリスマスモードになったのだそうな。
「学園のあちこちにクリスマスツリーが立っててね、キラキラしてて凄い綺麗なんだ!中学校の頃とは大違い、流石高校って感じ。学園全体がおもちゃ箱みたいになってるんだよっ!」とイロハが興奮気味に教えてくれて、それだけで想像が膨らんだ。
(学園全体がおもちゃ箱…それは綺麗だろうなぁ)
どんな感じなんだろうか、クリスマスツリーって部屋に飾る小さいのしか見たことない。
大きなツリーなんて、テレビの中でしか……
(ふふっ、みんなが楽しめるといいな)
俺も頑張って作らなきゃ!と忙しなく手を動かして。
みんなが訪ねてきた時は、そっと編み物を隠して秘密にして。
それ以外の時間帯はひたすら編んで編んで編みまくって。
そうして、
あっという間に、クリスマスの日がやって来たーー
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