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しおりを挟む『お前さ、なんか変じゃね?』
中学2年生。
14年間必死になって生活してきたのに、この一言でガラリと環境が変わった。
思春期真っ只中で、他人の行動や心情の変化に目が行きやすかったのかもしれない。
『なに、俺らといるのが気に食わねぇの?』
『そんなんじゃ……』
『じゃあなんで愛想笑いばっかなんだ!』
『っ、』
生きる為どうにか身につけたそれ。
『怖い、助けて』と叫ぶ心を押し隠すための、自分を守る鎧。
それを
『お前、気持ち悪りぃんだよ。ずっと』
真正面から、打ち砕かれた瞬間だった。
(あぁ、俺はもうだめだ)
必死にこの世界の型にはまろうとしてきたのに。
両親の言う世間体にだって気を配って、近所の人たちとも愛想よくしてたのに。
成績だって常に上位になるよう勉強してきたのに。
なのに、やっぱり俺は〝違う〟。
『も…いやだ……』
気持ち悪いと言われた日から、俺の学校生活は崩れ去った。
友だちはみんな離れていって、なにをするにもひとり。
声をかけても無視され、教室にいないものとして扱われてしまう。
(誰か…誰か……)
助けてほしい。
けど、先生にも両親にも何も相談できない。
また『変だ』って…『おかしい』って言われて、終わるだけ。
あぁ、俺は……
ひとりぼっちでずっと抱えてきたものが、一気に溢れ出てきて。
もう本当に、駄目になってしまってーー
学校帰り。
財布に入ってた金全部を使って買った、1番遠くまで行ける切符。
それを握りしめ電車に乗って
たどり着いた町の、小さな崖の上から
『ご、めん…な、さ……』
眼下の暗い海の中へ
スルリと、身を投げたーー
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