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37 恋のゆくえは
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慧吾とジルは慧吾の部屋の入口から居間に移動した。同じソファに寄りそって座っている。
慧吾はさり気なくジルの肩に手を回して引きよせ、幸せに浸っていた。さっきは勢いでキスまでしてしまったけれど、今はこれで精一杯だ。そばにいるだけでドギマギしてしまう。
しかもこれから真面目な話もしなければならなかった。慧吾は居住まいを正した。
「ジル、もうひとつ大事な話があるんだ」
転移石についての実験の成果を話すと、ジルは心配そうに手を組んで瞳を揺らめかせた。
「それは成功したって言っていいの? 危なくないの?」
「転移石を二個以上使わなかったら大丈夫だと思う。それ以上は扱いきれない感覚があるんだ。あとは時間の調整かな」
日本に帰るときも二個にすれば良さそうだ。こちらに来るときはすでに二個使用しての体調不良だったのだ。そのへんはジルには魔力が減ってちょっとダルかったとだけ報告した。
心配がなくなったわけではなかったが、ジルはひとまず納得したようだ。
「そう……でも良かったわ。ご家族とも会えたんでしょう?」
「うん、会えたよ。……これからはもし急に日本に転移したとしても必ず帰ってくるから。約束する」
胸が詰まってしまいジルは下を向いた。相手の気持ちもわからず、いつ帰ってくるかも……もしかしたら帰ってこないかもしれない人を、何年も一人ぼっちでずっと待つのはやはり辛かった。自分のことなどすぐに忘れて楽しく暮らしている可能性もあるのだ。何度待つのはもうやめて街に降りようと思ったかしれない。……でもそれももう終わりだ。
「……わかったわ。ちゃんと待ってる」
湿った声でジルは答えた。
「ありがとう。俺ずっと不安だったんだ。その言葉を聞いて安心した」
慧吾がジルの頬に手を当て親指で涙を拭うと、ジルは目を閉じて慧吾の手に自分の手を添えた。しばらくの間、二人はそのままそうしていた。
「泣いちゃってごめんなさい」
「いや俺こそ泣かせてごめん」
二人は目を合わせて同時に微笑みあった。そこにいつ帰ってきたのか突如として銀毛が間に割りこみ、憤然と慧吾を尾でバシバシ叩く。
「痛いって、銀毛。もう泣かせないからやめてくれよ」
疑り深い目で慧吾をジロリと睨むと銀毛はキャンキャンと吠えた。それからこちらにお尻を向けると台所に消え、自分の皿を加えて戻ってきた。
「あっ、お昼ごはんね。待ってて」
「ほんとだ。今日はパスタでも作ろうか」
仲良く連れ立って二人は台所に向かった。
食後、慧吾はジルに聞いてみたいことがあり遠慮がちに切りだした。
「魔力用のポーションなんて作れない?」
「魔力ポーション?」
「うん。それがあるとずいぶん楽に行き来できると思うんだ」
こちらに帰ってきたときに魔力を補充できるポーションがあれば寝込まなくていいかもしれない。ただし、それは想像の産物でしかなく、こちらには存在していなかった。ポーション自体は存在するが性能が良くないのだ。ジルのだけは評判が良く、売れている。聖女だからそういう能力も何か関係あるのだろう。
難しい顔で考えこんでいるジルを見て慧吾は慌てて発言を引っこめた。
「いや、気にしないで、変なこと言った」
「ううん、できるかも?」
「ほんと!?」
「ええ、文献を調べてみるわ」
「ありがとう!」
調べものを始めたジルにレヴィンに報告してくると行いおいて、慧吾は王宮に転移した。
慧吾は今猛烈に叱られている。――――レヴィンに。
「何日か留守にするとは言ってたが故郷に帰ってたとは! 途中で念話が効かなくなったときの私がどんな思いをしたと!?」
床に正座したまま慧吾は小さくなっていた。すっかりそのことは忘れていたのだ。念話が届かなくなるということは慧吾が日本に帰ったということだ。心配かけないようこっそり行ったつもりだったのに思いっきり心配させていた。
「それで……故郷とは安全確実に行き来できるようになったんだろう、ね?」
「いやそれは……でももうちょっとだから」
ごにょごにょ濁す慧吾をもっと叱ろうと、レヴィンは口を開けパクパクさせたあと、言葉を吐きだす代わりにため息をついた。
「心配させてすみません……」
慧吾はもういちど頭を下げた。
「まあまあレヴィン。反省しているしそれくらいで……」
ありがたいことにリーンハルトがレヴィンの肩に手を乗せなだめてくれる。慧吾はぶんぶん縦に首を振った。
「それにシスイ殿はドランス帝国を見事に牽制してくれた。これで数年は攻めては来るまい」
「それも! 対人戦などできもしないのにひとりで王宮に行くとは!」
やぶ蛇だった。慧吾は追いつめられ、苦しい言い訳を続けた。
「ひとりじゃないよ。眷属の魔獣を連れていった。吠えたのはその子」
「眷属だと?」
不意に煌々と目を輝かせたリーンハルトにぐいぐい迫られ、慧吾は後ろに背を反らした。仕方なく顛末を語る。
「シロトラという白ウサギがトラのようなすごい咆哮をあげるんだ。だからその子に影から吠えてもらった。それで王が逃げ出したんで氷魔法で椅子を固めたら割れた……」
「してそのシロトラとやらはどのような姿をしておるのだ? うつくしいか?」
「うーん、うつくし……かわいいかな。大きさは俺の腹くらい? まるまるふくふくしてる」
「おお! 会ってみたいぞ!」
手を振りまわして騒ぎはじめたリーンハルトに側近のルークが書類を突きつける。
「殿下、そろそろこちらに目を通していただきたいのですが」
リーンハルトは興奮冷めやらぬまま目の前に出された書類を手にとり、上から下まで目線を動かしたがちゃんと読めているのかどうか怪しい感じだ。
「ああそれと……レヴィン、女騎士さんはどうなったの?」
説教があやふやに終わったらしいので慧吾が聞くと、レヴィンは上機嫌に頷いた。
「シスイのおかげで来年婚儀を上げることになった」
「え、はや!!」
「相手も貴族だから、きちんと婚約期間を設けなければならない。早くない」
「そっかあ。おめでとう!! 騎士さんと結婚かあ。好みもおんなじなんだな……」
レヴィンは照れながら礼を言った。
「名はアリシア・モートンだ。昔砦でいっしょになったモートン第四騎士団長の妹になる」
「ああ、あの人の! へえ。あまり似ていないね。すごい美人さんだったもんな」
「アリシアはうつくしいだけじゃなくて性格もいいんだ」
得意そうなレヴィンに慧吾もうれしかった。
「そっかあ、お似合いだよ。ほんとにおめでとう。レヴィンが幸せだと俺もうれしい。良かったなあ。……なあこの世界は結婚ってどうするんだ? 俺の故郷は役所に届けるんだ」
後学のためにぜひ聞いておきたい内容だ。
「一般の庶民は領主だ。貴族は王に届ける。騎士もだな」
「うーん。あのさ、俺が結婚するとしたら?」
「えっ!?」
慧吾の発言に全員が声を上げ、慧吾にぎゅうぎゅう詰めよった。
「結婚するのか!? ついに!?」
「え、いや俺まだ学生だし……」
赤くなって慧吾はしどろもどろに答えた。
「それはあちらの話であろう! こちらはこちらだ。届け出を持て」
「いやいやいや!」
暴走したリーンハルトは婚姻届の用紙を持ってこさせた。それを渡された慧吾は途方にくれている。
「シスイ殿と聖女殿の婚姻なら当然王に提出すべきだ。大々的に婚儀の義を……」
「待って待って! それは困る! するにしてもこじんまりでいいから」
「殿下、気を落ちつけてください」
「うーむ、そうか……」
リーンハルトは残念そうだったが、ルークにもたしなめられて諦めてくれたので慧吾はほっとした。なぜかレヴィンまで残念そうだ。いっしょにしたかったらしい。
「それならすぐにでも提出できるな」
リーンハルトは気を取り直したらしくそんなことを言いだしてしまった。
「ま、まあ折を見て話してみます。じゃ、俺帰るんで! 失礼します!」
「あ、逃げた」
家に転移で逃げ出した慧吾は、結界石のことを話しわすれたことに気がついた。だがまた王宮に引きかえすのも面倒だ。報告前にもっと作っておこうかと思いギルドに行くことにした。転移石もまだ作る予定だし、魔石のストックが多いに越したことはない。
ギルドのドアをくぐるといつもの職員さんと目があった。口が「あ」と開いている。それからバタバタとどこかへ立ちさってしまった。なんだか避けられたみたいだとショックを受けていると、やがて無精髭を生やした年配の男性とともに戻ってきた。その男性はにこやかに慧吾のところまで歩いてきたと思うと慧吾の腕をやにわに掴み、口の端をニヤリと持ちあげた。
「俺はギルド長のシドだ。ケイだな? ちょーっと話があるんでこっちにいいか?」
良くないです、と内心で思いながら慧吾はしぶしぶあとに続いた。ギルドマスターがいったい何の用だろう。
慧吾はさり気なくジルの肩に手を回して引きよせ、幸せに浸っていた。さっきは勢いでキスまでしてしまったけれど、今はこれで精一杯だ。そばにいるだけでドギマギしてしまう。
しかもこれから真面目な話もしなければならなかった。慧吾は居住まいを正した。
「ジル、もうひとつ大事な話があるんだ」
転移石についての実験の成果を話すと、ジルは心配そうに手を組んで瞳を揺らめかせた。
「それは成功したって言っていいの? 危なくないの?」
「転移石を二個以上使わなかったら大丈夫だと思う。それ以上は扱いきれない感覚があるんだ。あとは時間の調整かな」
日本に帰るときも二個にすれば良さそうだ。こちらに来るときはすでに二個使用しての体調不良だったのだ。そのへんはジルには魔力が減ってちょっとダルかったとだけ報告した。
心配がなくなったわけではなかったが、ジルはひとまず納得したようだ。
「そう……でも良かったわ。ご家族とも会えたんでしょう?」
「うん、会えたよ。……これからはもし急に日本に転移したとしても必ず帰ってくるから。約束する」
胸が詰まってしまいジルは下を向いた。相手の気持ちもわからず、いつ帰ってくるかも……もしかしたら帰ってこないかもしれない人を、何年も一人ぼっちでずっと待つのはやはり辛かった。自分のことなどすぐに忘れて楽しく暮らしている可能性もあるのだ。何度待つのはもうやめて街に降りようと思ったかしれない。……でもそれももう終わりだ。
「……わかったわ。ちゃんと待ってる」
湿った声でジルは答えた。
「ありがとう。俺ずっと不安だったんだ。その言葉を聞いて安心した」
慧吾がジルの頬に手を当て親指で涙を拭うと、ジルは目を閉じて慧吾の手に自分の手を添えた。しばらくの間、二人はそのままそうしていた。
「泣いちゃってごめんなさい」
「いや俺こそ泣かせてごめん」
二人は目を合わせて同時に微笑みあった。そこにいつ帰ってきたのか突如として銀毛が間に割りこみ、憤然と慧吾を尾でバシバシ叩く。
「痛いって、銀毛。もう泣かせないからやめてくれよ」
疑り深い目で慧吾をジロリと睨むと銀毛はキャンキャンと吠えた。それからこちらにお尻を向けると台所に消え、自分の皿を加えて戻ってきた。
「あっ、お昼ごはんね。待ってて」
「ほんとだ。今日はパスタでも作ろうか」
仲良く連れ立って二人は台所に向かった。
食後、慧吾はジルに聞いてみたいことがあり遠慮がちに切りだした。
「魔力用のポーションなんて作れない?」
「魔力ポーション?」
「うん。それがあるとずいぶん楽に行き来できると思うんだ」
こちらに帰ってきたときに魔力を補充できるポーションがあれば寝込まなくていいかもしれない。ただし、それは想像の産物でしかなく、こちらには存在していなかった。ポーション自体は存在するが性能が良くないのだ。ジルのだけは評判が良く、売れている。聖女だからそういう能力も何か関係あるのだろう。
難しい顔で考えこんでいるジルを見て慧吾は慌てて発言を引っこめた。
「いや、気にしないで、変なこと言った」
「ううん、できるかも?」
「ほんと!?」
「ええ、文献を調べてみるわ」
「ありがとう!」
調べものを始めたジルにレヴィンに報告してくると行いおいて、慧吾は王宮に転移した。
慧吾は今猛烈に叱られている。――――レヴィンに。
「何日か留守にするとは言ってたが故郷に帰ってたとは! 途中で念話が効かなくなったときの私がどんな思いをしたと!?」
床に正座したまま慧吾は小さくなっていた。すっかりそのことは忘れていたのだ。念話が届かなくなるということは慧吾が日本に帰ったということだ。心配かけないようこっそり行ったつもりだったのに思いっきり心配させていた。
「それで……故郷とは安全確実に行き来できるようになったんだろう、ね?」
「いやそれは……でももうちょっとだから」
ごにょごにょ濁す慧吾をもっと叱ろうと、レヴィンは口を開けパクパクさせたあと、言葉を吐きだす代わりにため息をついた。
「心配させてすみません……」
慧吾はもういちど頭を下げた。
「まあまあレヴィン。反省しているしそれくらいで……」
ありがたいことにリーンハルトがレヴィンの肩に手を乗せなだめてくれる。慧吾はぶんぶん縦に首を振った。
「それにシスイ殿はドランス帝国を見事に牽制してくれた。これで数年は攻めては来るまい」
「それも! 対人戦などできもしないのにひとりで王宮に行くとは!」
やぶ蛇だった。慧吾は追いつめられ、苦しい言い訳を続けた。
「ひとりじゃないよ。眷属の魔獣を連れていった。吠えたのはその子」
「眷属だと?」
不意に煌々と目を輝かせたリーンハルトにぐいぐい迫られ、慧吾は後ろに背を反らした。仕方なく顛末を語る。
「シロトラという白ウサギがトラのようなすごい咆哮をあげるんだ。だからその子に影から吠えてもらった。それで王が逃げ出したんで氷魔法で椅子を固めたら割れた……」
「してそのシロトラとやらはどのような姿をしておるのだ? うつくしいか?」
「うーん、うつくし……かわいいかな。大きさは俺の腹くらい? まるまるふくふくしてる」
「おお! 会ってみたいぞ!」
手を振りまわして騒ぎはじめたリーンハルトに側近のルークが書類を突きつける。
「殿下、そろそろこちらに目を通していただきたいのですが」
リーンハルトは興奮冷めやらぬまま目の前に出された書類を手にとり、上から下まで目線を動かしたがちゃんと読めているのかどうか怪しい感じだ。
「ああそれと……レヴィン、女騎士さんはどうなったの?」
説教があやふやに終わったらしいので慧吾が聞くと、レヴィンは上機嫌に頷いた。
「シスイのおかげで来年婚儀を上げることになった」
「え、はや!!」
「相手も貴族だから、きちんと婚約期間を設けなければならない。早くない」
「そっかあ。おめでとう!! 騎士さんと結婚かあ。好みもおんなじなんだな……」
レヴィンは照れながら礼を言った。
「名はアリシア・モートンだ。昔砦でいっしょになったモートン第四騎士団長の妹になる」
「ああ、あの人の! へえ。あまり似ていないね。すごい美人さんだったもんな」
「アリシアはうつくしいだけじゃなくて性格もいいんだ」
得意そうなレヴィンに慧吾もうれしかった。
「そっかあ、お似合いだよ。ほんとにおめでとう。レヴィンが幸せだと俺もうれしい。良かったなあ。……なあこの世界は結婚ってどうするんだ? 俺の故郷は役所に届けるんだ」
後学のためにぜひ聞いておきたい内容だ。
「一般の庶民は領主だ。貴族は王に届ける。騎士もだな」
「うーん。あのさ、俺が結婚するとしたら?」
「えっ!?」
慧吾の発言に全員が声を上げ、慧吾にぎゅうぎゅう詰めよった。
「結婚するのか!? ついに!?」
「え、いや俺まだ学生だし……」
赤くなって慧吾はしどろもどろに答えた。
「それはあちらの話であろう! こちらはこちらだ。届け出を持て」
「いやいやいや!」
暴走したリーンハルトは婚姻届の用紙を持ってこさせた。それを渡された慧吾は途方にくれている。
「シスイ殿と聖女殿の婚姻なら当然王に提出すべきだ。大々的に婚儀の義を……」
「待って待って! それは困る! するにしてもこじんまりでいいから」
「殿下、気を落ちつけてください」
「うーむ、そうか……」
リーンハルトは残念そうだったが、ルークにもたしなめられて諦めてくれたので慧吾はほっとした。なぜかレヴィンまで残念そうだ。いっしょにしたかったらしい。
「それならすぐにでも提出できるな」
リーンハルトは気を取り直したらしくそんなことを言いだしてしまった。
「ま、まあ折を見て話してみます。じゃ、俺帰るんで! 失礼します!」
「あ、逃げた」
家に転移で逃げ出した慧吾は、結界石のことを話しわすれたことに気がついた。だがまた王宮に引きかえすのも面倒だ。報告前にもっと作っておこうかと思いギルドに行くことにした。転移石もまだ作る予定だし、魔石のストックが多いに越したことはない。
ギルドのドアをくぐるといつもの職員さんと目があった。口が「あ」と開いている。それからバタバタとどこかへ立ちさってしまった。なんだか避けられたみたいだとショックを受けていると、やがて無精髭を生やした年配の男性とともに戻ってきた。その男性はにこやかに慧吾のところまで歩いてきたと思うと慧吾の腕をやにわに掴み、口の端をニヤリと持ちあげた。
「俺はギルド長のシドだ。ケイだな? ちょーっと話があるんでこっちにいいか?」
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