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しおりを挟む莉緒の手料理も、最初の頃は本当に莉緒が作っているのだと、その調理工程を見ないと怖くて食べられなかった梁都だが、今ではそんなことをしなくても大丈夫だ。
それまでサプリメントのみで補っていた栄養を食事で摂取するようになった結果、梁都の肌艶が良くなり、外出時に女性からナンパされることが増えた。まぁ、梁都が絶対零度で睨みつけて寄せ付けないので、特に心配していない。体調も良くなったらしく、絶倫度が増したことの方が莉緒としては困っている。
「莉緒、俺を人間にしてくれて有り難う」
味噌汁を一口飲むなり、意味の分からない感謝を口にした梁都に、莉緒は面食らう。
「なんだよ、急に」
照れくさくなって視線を逸らす。が、意を決して莉緒は梁都に向き直った。
「俺を必要としてくれて、俺を愛してくれて有り難う」
ちゅ、と。莉緒は梁都の頬にキスをした。
二人で暮らし始めて数年経ち、ふと、そういえば、と莉緒は実母のことを思い出した。
「あのババアが梁都を諦めるとは思えないんだけど」
旦那がいるのに、その息子に性的な目を向けるような女だ。梁都がひとり暮らしなんて始めたら、母親であるという事実を盾にストーカー化しそうなものである。だが、一緒に暮らしていても、特にそのような影響は感じない。
「あー、莉緒は知らなかったのか。一応莉緒は実の息子だし、親父も言いづらかったんだろうなぁ…」
梁都は困ったように笑っている。
「言いたくないなら別に───」
莉緒としても実母のことが知りたいわけではない。梁都のことが知りたいのだ。
「あの女なら児童虐待容疑で捕まったよ。もちろん離婚。僕も親父も接近禁止令を申し立てたんだ。その後何回か会いに来て、何回か警察のお世話になって。結局、精神病院に強制入院して、その後は知らないな」
「児童虐待って、何かされたのか!?」
「わざと性的に襲われかけたところを、意図的に親父に目撃させただけ。後は主に莉緒があの女にされていたことの記録を提出したんだ。僕が莉緒から距離をとって、ただ大人しくしてたと思うのか?」
───あぁ、この男は、あの頃から既に壊れていたんだな。
そう憐れむと同時に、梁都の重い重い執着に莉緒は頬を染める。
「やばい、俺、今すぐ梁都が欲しい…。おなかが疼いて止まんない」
「もし莉緒が女性と恋に落ちてフツウの幸せとやらを手に入れてたら僕だって諦めたのに…、可哀想で可愛いね、僕の莉緒」
[完]
蛇足:母親の再婚時に、莉緒は義父と養子縁組をしている為、両親が離婚しても梁都と莉緒は戸籍上の兄弟です。
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