指先で描く恋模様

三神 凜緒

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第二章

乙女たちの談義2

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「は~い、終了~お前ら時間だぞ? さっさとテスト用紙回収するぞ~」

田辺先生の声と、チャイムが鳴るのはほぼ同時であった。やっと終わった~っと背筋を伸ばしてる者、ぐったりと机に突っ伏して脱力してる者、ごくごく少数ではあるがガッツポーズをしている者もチラホラと…
一つ分かるのは、テストという重荷からの解放感が教室全体を包み込んでいたという事だ。
アタイは他の二人を前に、真剣な表情で口元を隠すようにしながら、重々しい口調で呟く。

「さて、それでは…どうやって猫を被って意中の男を射止めるかの会議の続きをしたいのだが…」
「………おい、何があった?」
「単純にミニテストの結果が良くなくて、知性や教養で口説き落とす自信がなくなったんじゃない?」
「ふふふっ…鋭いな葵君」
「えばるな~!」

テストからの解放感からか、各々がそれぞれの場所で集まり話を始める教室。いつものお決まりの集まりが小さなコロニーを作り出し…アタイの窓際の机の周りに集まった二人に対して無意味にポーカーフェイスを気取っていたのだけど…
口元を隠していた手を掴まれ、引き寄せられるとアタイの口元が歪んでいるのを見たのだろう、飽きれたのか…ため息を吐かれてしまった。
アタイは目の上を平らにして、葵や樹の表情を見比べながら…少しすねた口調で…

「だってさ~~攻略方法が複数あるなら、全部試すほうがより成功率があがるじゃないか! この際猫を被ろうが、子猫をダシに使おうがこの際手段は選ばぬ!」
「うあ~ 何て鋼の精神を持ったお言葉だろう…」
「まあ、その心持ちは分かったけど‥真面目に口説く方法があるなら、ボクも東谷相手にしてるんだよな~何でこうも‥はあぁ~」


三人それぞれに微妙に違う悩みを抱いた表情を浮かべている事に、気づいた者は誰もいない。
そうこうしている家に休み時間が終わってしまい、また皆が慣れた様子で次の授業の教科書とノートなどを取り出し授業の準備をしていた。
うちの学校は校長先生の方針でタッチパネルなどを使ったタブレットなどを使った授業などがない。若い先生からは一定の反発もあったらしいのだが…

「個人的な感覚だけど、氷雨先輩って絶対に人見知りだよね? 猫好きっぽいし…動物好きな人って結構…他人と一緒にいるのが疲れちゃうってタイプに見えるんだよな…」
「あ~あるある、でも氷雨先輩ってそういうタイプなのかな?」

時々‥そう時々だ。窓の下にある木をじっと見てしまう事がある。そこにまた氷雨先輩が登って、猫にエサを与えてるんじゃないかって‥そう思ってしまう。
アタイは手に持っている六角エンピツの先に書かれている、ハートマークや、×と書かれた絵を見ては…何とも言えない笑みを浮かべてしまった。
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