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元夫の苦難8
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レティシアの外泊届が出ていたのでビアード領の森を訪ねた。王国で一番危険な森は魔物が多く訓練に丁度いい。ビアードの森は風の魔力に満ちているから魔法が使いやすく体が軽い。
読みが甘く、避けられなかった魔鳥の羽が首に当たり小さい傷ができたがすぐに治るだろう。魔鳥の額の魔石を魔法で砕くと消える。強くなるためにはまだまだ先が長い。ウォントによるとレティシアもビアードも森の魔物に遅れをとることはない。視察で魔物の話を聞くと、散歩に行く感覚で倒して帰るらしい。頼りになる次期領主兄妹と慕われている。
泉に行くとレティシアが泳いでいた。泉から上がったレティシアと目が合い笑いかけるとニコリの笑い物欲しげな顔でじっと見られている。両手を広げると濡れた体のまま近づいてきたので抱き寄せると目を細めて口元を緩ませている。
俺を別人と思い込んでる時のレティシアの瞳は普段が嘘のように色んな感情を語る。髪を梳いたり、頬を撫でたり些細なことで極上の笑みを浮かべ、甘えているときに貴族の顔なんて全く見せない。
俺の胸に顔を埋めて何度か瞬きをして眠そうなレティシアを抱きしめたまま座りこむ。頭を撫でると小さく笑う声が聞こえた。胸に顔を埋めていたレティシアがゆっくりと顔をあげたので、笑いかけると目を大きく開け、じっくりと見つめられた。
「マール様?」
呼ばれるはずのない名前が聞こえた。
徐々に瞳が潤み、流れる雫を指で拭う。
「リオじゃない。なんで、どうして」
小声で零した言葉と迷子のような顔をするレティシアに気付かれたことがわかった。俺にとっては至福の時間でも、気付いたらやめようと決めていた。疑念を抱かれ騙し続ける自信もない。
「ごめん。気づいてた。代わりでいい。俺を利用していい」
胸を強く押され、レティシアが腕から離れて頭を下げた。
「いらない。間違えてごめんなさい」
唇を強く噛んで、握った拳が震えていた。涙を必死に堪えて、貴族の顔を作ろうとしていた。
俺ってわかったら、やはり駄目だろうか。
「シア、愛してる」
「やめてください。惑わさないで」
いつもなら幸せそうな顔で微笑む彼女は顔をあげ、消えそうな声で儚い笑みを浮かべて耳を塞いだ。
儚くて消えそうだった。彼女に想われるリオが羨ましい。でもこんなに想われてるのに彼女の傍を離れた男になんて渡したくない。彼女を悲しませないためならなんでもしてやりたかった。
耳を塞ぐ手をとり、抵抗しないレティシアの手の甲に口づけを落とす。
「俺はレティシアが好きだ。君の瞳に俺が映らなくてもいい。君のリオになるよ。俺には君だけだ。だから俺を選んで。ずっと傍にいる。一人で泣かなくていい。いつでも抱きしめるよ」
何も言わないレティシアを抱きしめ頭をゆっくりと撫でる。
「幸せになれない。私は貴方に幸せになってほしい」
しばらくして胸からゆっくりと顔をあげたレティシアはうまく笑えてなかった。騙されたことに、恨みもせずに俺の幸せを願うのか。こんなに辛そうなのに、卑怯な俺のことを。初めて俺自身に向けてくれた想いが胸にじんわり広がった。
「レティシアが俺を選んで、傍にいてくれれば幸せだよ。俺は愛しくてたまらない。想いを返してほしいなんて思わない」
「私とあなたにはなにもない」
静かに零された言葉に胸をえぐられた。俺が一方的に彼女を好きだけど何もないって・・。共有した時間も笑顔を向けられた記憶もあるのに。どうか伝わるように潤んでいる瞳を見つめて口を開く。今ならわかる。俺にとって決して色褪せない出会いの記憶。レティシアの顔が頭を離れなくなった理由も。
「出会った時から好きだった。知れば知るほど愛しくてたまらなくなった」
「おかしい」
訳のわからないと顔に書いてあるレティシアに小さく笑う。
レティシアはたぶん俺の瞳が好きだ。俺を見つめて目を逸らさない出会った頃と変わらない美しい瞳の持ち主にどうすればこの気持ちは伝わるんだろうか。
「そうだな。でも自分で制御できないんだ。レティシア以外を妻に迎えることはないと父上達にも話してある。俺は自由気ままな三男だ。俺の幸せを願うなら選んでよ。」
父上にレティシア以外は蔑ろにする自信があるから結婚しないと言ったら笑われた。絶対に落とせと強く背中を叩かれた。
「わからなくなる」
零した言葉に笑ってしまった。俺はその誤解を利用して近づいたから、似てる容姿でよかったと感謝していると彼女に告げれば怒るだろうか・・。
「いいよ。他の男は許さないけど、君のリオだけは。リオを想う君が好きだ。レティシアがリオを想う以上に俺が愛すよ」
「ありえません」
迷いなく即答した声に力が戻っていた。
「生涯かけて証明してよ。君のリオが迎えにきても返してやるかはわからないけど」
「凄い自信ですね」
レティシアは俺の外見に弱い。リオの前のレティシアは寂しがりやで甘えたがりで、警戒さえ解ければいけると思う。
「甘やかして依存させて離れさせなくする気満々だから」
「私はいつ消えるかわかりません」
さらりとこぼされた言葉に苦笑する。放っておいたら攫われそうだし、すぐに死にそうだよな。
「逃がす気はないから」
「私はお父様の判断に従います」
元気が出たみたいだな。瞳に強さが戻り素っ気ない俺にとってはいつものレティシアだ。リオを想うレティシアは可愛いけど、泣いてほしくない。そして、無理な笑顔もさせたくない。
「今日から恋人って公言していいか?」
「恋してません」
頬に手を添えて顔を近づけると、うっとりと見つめられる。ゆっくりと口づけると、俺の胸を掴んでいる。目を開けると笑みを浮かべる彼女にもう一度口づけ、さらに甘くなった瞳に笑いかける。はたから見れば俺に恋い焦がれてるようにしか見えない。それに俺とわかっても拒まなかったのはレティシアだ。俺は拒まれたらやめるつもりだった。
「その顔で充分だよ。さっさと婚約許可とってくるから待っててよ」
とろんとしていたレティシアが目を大きく開けていきなり首を横に振った。
「数ある恋人の一人になる気はありません」
やはり誤解されてる。俺の初めてを奪ったのはレティシアだ。
「俺に初めて口づけたのはレティシアだよ。君以外に口づけたことはない」
「違います。先にしたのはマール様です」
先ほどのとろけた顔が嘘のように俺を冷たい瞳で睨んでいる。
「え?」
「寝ぼけて口づけましたわ」
「嘘、どこで?」
「書庫で。私を抱き枕にして眠った時です」
「あれって、俺の妄想じゃ・・・。」
「私は寝ぼけて令嬢に手を出す方は嫌です」
昔、レティシアとうちの書庫で過ごしたことがあった。俺に全く気付かずに本を読んでいる姿を見つめて、二人っきりの時間に幸せに浸っていた。無邪気な笑みで俺の腕の中で甘えるレティシアに口づけた夢を見て、目を醒ますと腕の中で彼女が眠っていた。俺が先に手を出したのか・・・・。なんでそんな幸せを夢だと思ったんだよ。
「責任とるから安心してほしい」
「口づけで責任を迫ったりしません」
「俺は既成事実も大歓迎だけど」
「お断りです」
レティシアは寝ぼけたとはいえ俺を拒まなかったのか?俺でも受け入れてくれるのか?素っ気ないレティシアとの知らない思い出に顔が緩みそうになるのを堪えると見慣れた髪色に目を止めて悪戯心が沸いた。
「シア」
睨むレティシアの顎に手をあて強引に唇を重ねる。拒もうとするのでレティシアが教えてくれた濃厚なものにすると、徐々に抵抗がなくなる。何度口づけても甘さに酔いしれるのは変わらない。吐息と零れる甘い声にどんどん熱が上がる。
「何してる!?」
咎められる声に唇を離して力が抜けているレティシアを抱いて眉間に皺のあるビアードに笑いかける。
「レティシア!?マール、覚悟はあるんだろうな!?」
「婿入りするよ」
「誰が許すか。婚姻前に」
「同意ならいいだろう。ほら、妹の顔見ろよ。俺に惚れてるよ」
「レティシア、好きなのか!?」
我に返ったレティシアの拒否の仕草にビアードの顔が赤くなり鬼のような顔で睨まれた。外堀を埋めたかったけど無理だったか。魔法の気配がして慌てて躱した。名残惜しいけどレティシアと離れてビアードの相手をするか。勝てないけど負けなければいい。どこまで力量に差があるか見るには丁度いい。怒りで冷静さのかけらもないビアードの攻撃は躱しやすかった。
「レティシアに近づくなと言っているだろうが!!」
「兄の過干渉はやめろよ。いずれ義兄弟になるんだから勘弁してほしい」
「誰がお前に妹をやるか」
埒があかない俺達の攻防はビアードを使用人が呼びにくるまで続いていた。
俺もそろそろ帰るか。レティシアをどうやって落とすかまた考えないとだな。こんなに早くバレるのは想定外だ。
***
後輩からレティシアが池で一人で訓練していると教えてもらった。
池に行くと水に足をつけてピチャピチャと遊んでいる。隣に座っても気づいていない。
「シア」
ゆっくりと振り向いたレティシアは悲しそうな顔を一瞬したけどすぐにいつもの顔に戻った。
「その呼び方やめてください」
「胸、貸すよ」
「いりません」
意地っ張りなレティシアの腕を引いて抱きしめた。
「俺の中に君のリオがいるならそれでいいだろう?」
「違います。マール様とリオは違うんです。別の人です。触れないでください」
離れようとするレティシアの頭を撫でて、逃がさないように腕に力をこめる。
「君のリオと間違えて俺の腕の中にいた時は幸せじゃなかった?」
動かなくなったレティシアの動揺がわかった。どう見ても幸せそうにしか見えなかった。俺は集めた情報でリオの動作を真似たけど、気持ちは嘘じゃなかった。彼女に笑いかけられ甘えられ、最初は照れたけど、俺を見て楽しそうな様子に一緒に笑ったのも、愛しくて口づけたのも俺の意思だった。会うたびに愛しさが溢れそうだった。レティシアのためならリオになっても構わなかった。
「焦がれて、自分ではどうしようもない気持ちはよくわかるよ。君が笑うならなんでもしてあげたくなる。俺は君の涙を止められて嬉しかったよ。君が俺の中に見てるリオが別でも」
「貴方を愛してくれる令嬢はたくさんいます。偽りの愛情ではなく」
優しい声で話すレティシアは俺が彼女以外を選べば幸せになれると思っているんだろうか。彼女はたった一人に恋い焦がれ、自分では制御できない気持ちを知ってるはずだ。
「レティシアはリオが他の誰かを愛したら諦められた?」
「諦められません。でもリオの幸せが一番です。だから身を引きましたわ。でも想いは捨てられません」
レティシアは俺と似ているけど違う。俺は身を引いたりできない。俺を見上げて切ない笑みを浮かべる自分よりも相手を優先するレティシアが切なく、愛しくて、手に入れたくてたまらない。
「俺はリオを好きな君に惹かれた。だから捨てなくていい。リオが恋しいならいつで胸を貸す。いずれ君は婚姻する。それなら似ている俺が一番じゃないか?」
「どうして、みんな代わりでいいって言うんですか。そんな悲しいこと」
みんな?彼女に焦がれる男は多いから、仕方ないか。
相手の幸せを想い身を引ける真っ直ぐで純粋なレティシアには理解できないだろう。想いに色がつくなら俺とは正反対の澄んだ青空のような綺麗な色だろう。
「欲しい物を手に入れるために少しでも可能性があるなら縋る。俺は君のリオを利用してレティシアを手に入れるつもりだった。だから君が俺の中に別のリオを探すのも歓迎するよ。リオの前の君は格別に可愛いから、愛でられるなんて幸運だよ」
「マール様はおかしい」
理解不能って顔に書いてあるけど男とくに貴族の狡猾な男はそんなもんだ。
「俺をおかしくしたのはレティシアだ。リオのことを教えてくれるなら、真似るのも大歓迎だよ。ただ一人で泣くのはやめてほしい」
「私は貴方より物凄く年上ですわ」
レティシアの零した言葉に噴き出した。どう見ても年上には見えない。
「そうは見えないけど」
「私は生前の記憶があります。生前が幸せすぎて、今はこんなに恵まれてるのに寂しくてたまりません」
嘘だろうと本当だろうと構わない。レティシアには悪いけど君のリオが迎えに来ないならありがたい。
「傍にいるよ。まだまだ人生はこれからだ」
目を丸くしているレティシアが可愛い。俺の前でこんなに無防備なのは珍しい。
「マール様は私ではなく殿下のために。今世はリオは殿下に返そうと決めてました」
俺は最低限の義務をこなせばいいと思っている気ままなマールの三男だ。レティシアのように全力で家のために動く心意気は持っていない。それに俺は殿下のものではなく、殿下もいらないと言うだろう。
「貴族の義務は果たすよ。臣下として。ただ俺は不真面目だからレティシアが見張ってないとサボるけど。君のリオは違うの?」
「リオは優秀でいつも殿下に頼りにされてましたわ。リオはいつもたくさんの仕事をして殿下を支えてましたわ。リオ兄様にはできないことはありません」
まさかリオのことを話してくれるとは思わなかった。迷いもなく誇らしそうに浮かべる笑顔で物凄く信頼されているのはよくわかった。できないことはないって・・・。
「俺は君のリオ兄様にはなれないな」
「ならなくていいです。私のリオ兄様はただ一人です。貴方は貴方らしく好きなように生きてください」
好きなように生きろというのに、俺を殿下に返すとか言っていなかったか?
「俺の恋人になってくれる?」
「嫌です」
「何度も言うけど、君以外と口づけをかわしたことはない。恋人も作ったことはない。手を出した女性はレティシアだけだ。俺は君以外を想ったことはない。証人が欲しいならいくらでもいる。俺を女に見境のない男と思うのやめてくれないか」
言葉を重ねるほど冷たい視線を向けられている。
「あんなに令嬢と抱き合っていたのに信じてもらえると思うのはどうかと思います」
「ないから。見間違いだよ」
「私への行為も慣れてますわ」
「それはレティシアの所為だよ。何度抱き合って口づけたか・・・。」
「止めてくれれば良かったんです。貴方の力なら引き離せました」
非難の視線を向けられるけど好きな子に甘えられて拒む男はいない。
「見惚れて動けなかったんだよ。それに役得だったし」
「私は人気のある殿方とは関わる気はありません。他をあたってください」
俺の邪魔をするのはレティシアだ。俺の努力をことごとく潰していく。彼女じゃなければ報復している。
「令嬢に嫌われようとする俺を邪魔したのは君だろうが。断れば贈り物をかわりに押し付けるし、俺の魔石を令嬢に贈るし、素っ気なくすると嗜めるし」
「貴方が私に付き纏うからです。迷惑ですわ。目をつけられて、エイベルが女嫌いになったら許しませんわ」
睨まれているけど意味が全くわからない。
「なんでビアードが女嫌いになるんだよ!?」
「令嬢達の嫌がらせを見たエイベルはきっと令嬢嫌いになりますわ。なんのためにずっと手を回してきたのか・・」
「ずっと俺を避けてたのはビアードのため?」
「当然ですわ。貴方のファンを見てエイベルが令嬢嫌いになるなんて恐ろしい。それに私も令嬢の相手をするのは面倒ですわ。今後も関わらないでください。いい加減に離してください」
ずっと俺を悩ませていた理由はとんでもない答えだった。しかも全く俺には関係ないことだった。嫌われてるのかと陰で悩んだ数年を返してほしい。今までの親しみの視線が嘘のように冷たい視線を向けられている。
「態度が違いすぎないか」
「レティシア、そろそろ、は!?」
聞き覚えのある声に邪魔が入ったのでレティシアを腕から解放するとすぐに離れて立ち去った。風の一族のビアードらしい速さだった。
「お前、いい加減にしろよ。女遊びにレティシアを巻き込むな」
「本気だから」
「妹に苦労をさせる婿は認めない」
「俺は女遊びなんてしたことないから、その誤解やめて」
「信用できるか」
ビアードの風の刃を跳んで避ける。
この兄妹の誤解を解く方法を考えないといけない。レティシアを落とすことよりも難解かもしれない。頭に血がのぼったビアードの攻撃は読みやすいけど、これでいいんだろうか?将来のビアード公爵は感情のコントロールをそろそろ覚えないとまずいんじゃないか・・。
レティシアも感情に振り回されるけど、ビアード公爵家は大丈夫なのか・・。俺が婿入りして手を回せばいいのか。ビアード公爵の説得も考えないとだな・・。
レティシアに嫌われてないなら遠慮はいらないよな。俺らしく攻略しやすい外堀を埋めるか。
読みが甘く、避けられなかった魔鳥の羽が首に当たり小さい傷ができたがすぐに治るだろう。魔鳥の額の魔石を魔法で砕くと消える。強くなるためにはまだまだ先が長い。ウォントによるとレティシアもビアードも森の魔物に遅れをとることはない。視察で魔物の話を聞くと、散歩に行く感覚で倒して帰るらしい。頼りになる次期領主兄妹と慕われている。
泉に行くとレティシアが泳いでいた。泉から上がったレティシアと目が合い笑いかけるとニコリの笑い物欲しげな顔でじっと見られている。両手を広げると濡れた体のまま近づいてきたので抱き寄せると目を細めて口元を緩ませている。
俺を別人と思い込んでる時のレティシアの瞳は普段が嘘のように色んな感情を語る。髪を梳いたり、頬を撫でたり些細なことで極上の笑みを浮かべ、甘えているときに貴族の顔なんて全く見せない。
俺の胸に顔を埋めて何度か瞬きをして眠そうなレティシアを抱きしめたまま座りこむ。頭を撫でると小さく笑う声が聞こえた。胸に顔を埋めていたレティシアがゆっくりと顔をあげたので、笑いかけると目を大きく開け、じっくりと見つめられた。
「マール様?」
呼ばれるはずのない名前が聞こえた。
徐々に瞳が潤み、流れる雫を指で拭う。
「リオじゃない。なんで、どうして」
小声で零した言葉と迷子のような顔をするレティシアに気付かれたことがわかった。俺にとっては至福の時間でも、気付いたらやめようと決めていた。疑念を抱かれ騙し続ける自信もない。
「ごめん。気づいてた。代わりでいい。俺を利用していい」
胸を強く押され、レティシアが腕から離れて頭を下げた。
「いらない。間違えてごめんなさい」
唇を強く噛んで、握った拳が震えていた。涙を必死に堪えて、貴族の顔を作ろうとしていた。
俺ってわかったら、やはり駄目だろうか。
「シア、愛してる」
「やめてください。惑わさないで」
いつもなら幸せそうな顔で微笑む彼女は顔をあげ、消えそうな声で儚い笑みを浮かべて耳を塞いだ。
儚くて消えそうだった。彼女に想われるリオが羨ましい。でもこんなに想われてるのに彼女の傍を離れた男になんて渡したくない。彼女を悲しませないためならなんでもしてやりたかった。
耳を塞ぐ手をとり、抵抗しないレティシアの手の甲に口づけを落とす。
「俺はレティシアが好きだ。君の瞳に俺が映らなくてもいい。君のリオになるよ。俺には君だけだ。だから俺を選んで。ずっと傍にいる。一人で泣かなくていい。いつでも抱きしめるよ」
何も言わないレティシアを抱きしめ頭をゆっくりと撫でる。
「幸せになれない。私は貴方に幸せになってほしい」
しばらくして胸からゆっくりと顔をあげたレティシアはうまく笑えてなかった。騙されたことに、恨みもせずに俺の幸せを願うのか。こんなに辛そうなのに、卑怯な俺のことを。初めて俺自身に向けてくれた想いが胸にじんわり広がった。
「レティシアが俺を選んで、傍にいてくれれば幸せだよ。俺は愛しくてたまらない。想いを返してほしいなんて思わない」
「私とあなたにはなにもない」
静かに零された言葉に胸をえぐられた。俺が一方的に彼女を好きだけど何もないって・・。共有した時間も笑顔を向けられた記憶もあるのに。どうか伝わるように潤んでいる瞳を見つめて口を開く。今ならわかる。俺にとって決して色褪せない出会いの記憶。レティシアの顔が頭を離れなくなった理由も。
「出会った時から好きだった。知れば知るほど愛しくてたまらなくなった」
「おかしい」
訳のわからないと顔に書いてあるレティシアに小さく笑う。
レティシアはたぶん俺の瞳が好きだ。俺を見つめて目を逸らさない出会った頃と変わらない美しい瞳の持ち主にどうすればこの気持ちは伝わるんだろうか。
「そうだな。でも自分で制御できないんだ。レティシア以外を妻に迎えることはないと父上達にも話してある。俺は自由気ままな三男だ。俺の幸せを願うなら選んでよ。」
父上にレティシア以外は蔑ろにする自信があるから結婚しないと言ったら笑われた。絶対に落とせと強く背中を叩かれた。
「わからなくなる」
零した言葉に笑ってしまった。俺はその誤解を利用して近づいたから、似てる容姿でよかったと感謝していると彼女に告げれば怒るだろうか・・。
「いいよ。他の男は許さないけど、君のリオだけは。リオを想う君が好きだ。レティシアがリオを想う以上に俺が愛すよ」
「ありえません」
迷いなく即答した声に力が戻っていた。
「生涯かけて証明してよ。君のリオが迎えにきても返してやるかはわからないけど」
「凄い自信ですね」
レティシアは俺の外見に弱い。リオの前のレティシアは寂しがりやで甘えたがりで、警戒さえ解ければいけると思う。
「甘やかして依存させて離れさせなくする気満々だから」
「私はいつ消えるかわかりません」
さらりとこぼされた言葉に苦笑する。放っておいたら攫われそうだし、すぐに死にそうだよな。
「逃がす気はないから」
「私はお父様の判断に従います」
元気が出たみたいだな。瞳に強さが戻り素っ気ない俺にとってはいつものレティシアだ。リオを想うレティシアは可愛いけど、泣いてほしくない。そして、無理な笑顔もさせたくない。
「今日から恋人って公言していいか?」
「恋してません」
頬に手を添えて顔を近づけると、うっとりと見つめられる。ゆっくりと口づけると、俺の胸を掴んでいる。目を開けると笑みを浮かべる彼女にもう一度口づけ、さらに甘くなった瞳に笑いかける。はたから見れば俺に恋い焦がれてるようにしか見えない。それに俺とわかっても拒まなかったのはレティシアだ。俺は拒まれたらやめるつもりだった。
「その顔で充分だよ。さっさと婚約許可とってくるから待っててよ」
とろんとしていたレティシアが目を大きく開けていきなり首を横に振った。
「数ある恋人の一人になる気はありません」
やはり誤解されてる。俺の初めてを奪ったのはレティシアだ。
「俺に初めて口づけたのはレティシアだよ。君以外に口づけたことはない」
「違います。先にしたのはマール様です」
先ほどのとろけた顔が嘘のように俺を冷たい瞳で睨んでいる。
「え?」
「寝ぼけて口づけましたわ」
「嘘、どこで?」
「書庫で。私を抱き枕にして眠った時です」
「あれって、俺の妄想じゃ・・・。」
「私は寝ぼけて令嬢に手を出す方は嫌です」
昔、レティシアとうちの書庫で過ごしたことがあった。俺に全く気付かずに本を読んでいる姿を見つめて、二人っきりの時間に幸せに浸っていた。無邪気な笑みで俺の腕の中で甘えるレティシアに口づけた夢を見て、目を醒ますと腕の中で彼女が眠っていた。俺が先に手を出したのか・・・・。なんでそんな幸せを夢だと思ったんだよ。
「責任とるから安心してほしい」
「口づけで責任を迫ったりしません」
「俺は既成事実も大歓迎だけど」
「お断りです」
レティシアは寝ぼけたとはいえ俺を拒まなかったのか?俺でも受け入れてくれるのか?素っ気ないレティシアとの知らない思い出に顔が緩みそうになるのを堪えると見慣れた髪色に目を止めて悪戯心が沸いた。
「シア」
睨むレティシアの顎に手をあて強引に唇を重ねる。拒もうとするのでレティシアが教えてくれた濃厚なものにすると、徐々に抵抗がなくなる。何度口づけても甘さに酔いしれるのは変わらない。吐息と零れる甘い声にどんどん熱が上がる。
「何してる!?」
咎められる声に唇を離して力が抜けているレティシアを抱いて眉間に皺のあるビアードに笑いかける。
「レティシア!?マール、覚悟はあるんだろうな!?」
「婿入りするよ」
「誰が許すか。婚姻前に」
「同意ならいいだろう。ほら、妹の顔見ろよ。俺に惚れてるよ」
「レティシア、好きなのか!?」
我に返ったレティシアの拒否の仕草にビアードの顔が赤くなり鬼のような顔で睨まれた。外堀を埋めたかったけど無理だったか。魔法の気配がして慌てて躱した。名残惜しいけどレティシアと離れてビアードの相手をするか。勝てないけど負けなければいい。どこまで力量に差があるか見るには丁度いい。怒りで冷静さのかけらもないビアードの攻撃は躱しやすかった。
「レティシアに近づくなと言っているだろうが!!」
「兄の過干渉はやめろよ。いずれ義兄弟になるんだから勘弁してほしい」
「誰がお前に妹をやるか」
埒があかない俺達の攻防はビアードを使用人が呼びにくるまで続いていた。
俺もそろそろ帰るか。レティシアをどうやって落とすかまた考えないとだな。こんなに早くバレるのは想定外だ。
***
後輩からレティシアが池で一人で訓練していると教えてもらった。
池に行くと水に足をつけてピチャピチャと遊んでいる。隣に座っても気づいていない。
「シア」
ゆっくりと振り向いたレティシアは悲しそうな顔を一瞬したけどすぐにいつもの顔に戻った。
「その呼び方やめてください」
「胸、貸すよ」
「いりません」
意地っ張りなレティシアの腕を引いて抱きしめた。
「俺の中に君のリオがいるならそれでいいだろう?」
「違います。マール様とリオは違うんです。別の人です。触れないでください」
離れようとするレティシアの頭を撫でて、逃がさないように腕に力をこめる。
「君のリオと間違えて俺の腕の中にいた時は幸せじゃなかった?」
動かなくなったレティシアの動揺がわかった。どう見ても幸せそうにしか見えなかった。俺は集めた情報でリオの動作を真似たけど、気持ちは嘘じゃなかった。彼女に笑いかけられ甘えられ、最初は照れたけど、俺を見て楽しそうな様子に一緒に笑ったのも、愛しくて口づけたのも俺の意思だった。会うたびに愛しさが溢れそうだった。レティシアのためならリオになっても構わなかった。
「焦がれて、自分ではどうしようもない気持ちはよくわかるよ。君が笑うならなんでもしてあげたくなる。俺は君の涙を止められて嬉しかったよ。君が俺の中に見てるリオが別でも」
「貴方を愛してくれる令嬢はたくさんいます。偽りの愛情ではなく」
優しい声で話すレティシアは俺が彼女以外を選べば幸せになれると思っているんだろうか。彼女はたった一人に恋い焦がれ、自分では制御できない気持ちを知ってるはずだ。
「レティシアはリオが他の誰かを愛したら諦められた?」
「諦められません。でもリオの幸せが一番です。だから身を引きましたわ。でも想いは捨てられません」
レティシアは俺と似ているけど違う。俺は身を引いたりできない。俺を見上げて切ない笑みを浮かべる自分よりも相手を優先するレティシアが切なく、愛しくて、手に入れたくてたまらない。
「俺はリオを好きな君に惹かれた。だから捨てなくていい。リオが恋しいならいつで胸を貸す。いずれ君は婚姻する。それなら似ている俺が一番じゃないか?」
「どうして、みんな代わりでいいって言うんですか。そんな悲しいこと」
みんな?彼女に焦がれる男は多いから、仕方ないか。
相手の幸せを想い身を引ける真っ直ぐで純粋なレティシアには理解できないだろう。想いに色がつくなら俺とは正反対の澄んだ青空のような綺麗な色だろう。
「欲しい物を手に入れるために少しでも可能性があるなら縋る。俺は君のリオを利用してレティシアを手に入れるつもりだった。だから君が俺の中に別のリオを探すのも歓迎するよ。リオの前の君は格別に可愛いから、愛でられるなんて幸運だよ」
「マール様はおかしい」
理解不能って顔に書いてあるけど男とくに貴族の狡猾な男はそんなもんだ。
「俺をおかしくしたのはレティシアだ。リオのことを教えてくれるなら、真似るのも大歓迎だよ。ただ一人で泣くのはやめてほしい」
「私は貴方より物凄く年上ですわ」
レティシアの零した言葉に噴き出した。どう見ても年上には見えない。
「そうは見えないけど」
「私は生前の記憶があります。生前が幸せすぎて、今はこんなに恵まれてるのに寂しくてたまりません」
嘘だろうと本当だろうと構わない。レティシアには悪いけど君のリオが迎えに来ないならありがたい。
「傍にいるよ。まだまだ人生はこれからだ」
目を丸くしているレティシアが可愛い。俺の前でこんなに無防備なのは珍しい。
「マール様は私ではなく殿下のために。今世はリオは殿下に返そうと決めてました」
俺は最低限の義務をこなせばいいと思っている気ままなマールの三男だ。レティシアのように全力で家のために動く心意気は持っていない。それに俺は殿下のものではなく、殿下もいらないと言うだろう。
「貴族の義務は果たすよ。臣下として。ただ俺は不真面目だからレティシアが見張ってないとサボるけど。君のリオは違うの?」
「リオは優秀でいつも殿下に頼りにされてましたわ。リオはいつもたくさんの仕事をして殿下を支えてましたわ。リオ兄様にはできないことはありません」
まさかリオのことを話してくれるとは思わなかった。迷いもなく誇らしそうに浮かべる笑顔で物凄く信頼されているのはよくわかった。できないことはないって・・・。
「俺は君のリオ兄様にはなれないな」
「ならなくていいです。私のリオ兄様はただ一人です。貴方は貴方らしく好きなように生きてください」
好きなように生きろというのに、俺を殿下に返すとか言っていなかったか?
「俺の恋人になってくれる?」
「嫌です」
「何度も言うけど、君以外と口づけをかわしたことはない。恋人も作ったことはない。手を出した女性はレティシアだけだ。俺は君以外を想ったことはない。証人が欲しいならいくらでもいる。俺を女に見境のない男と思うのやめてくれないか」
言葉を重ねるほど冷たい視線を向けられている。
「あんなに令嬢と抱き合っていたのに信じてもらえると思うのはどうかと思います」
「ないから。見間違いだよ」
「私への行為も慣れてますわ」
「それはレティシアの所為だよ。何度抱き合って口づけたか・・・。」
「止めてくれれば良かったんです。貴方の力なら引き離せました」
非難の視線を向けられるけど好きな子に甘えられて拒む男はいない。
「見惚れて動けなかったんだよ。それに役得だったし」
「私は人気のある殿方とは関わる気はありません。他をあたってください」
俺の邪魔をするのはレティシアだ。俺の努力をことごとく潰していく。彼女じゃなければ報復している。
「令嬢に嫌われようとする俺を邪魔したのは君だろうが。断れば贈り物をかわりに押し付けるし、俺の魔石を令嬢に贈るし、素っ気なくすると嗜めるし」
「貴方が私に付き纏うからです。迷惑ですわ。目をつけられて、エイベルが女嫌いになったら許しませんわ」
睨まれているけど意味が全くわからない。
「なんでビアードが女嫌いになるんだよ!?」
「令嬢達の嫌がらせを見たエイベルはきっと令嬢嫌いになりますわ。なんのためにずっと手を回してきたのか・・」
「ずっと俺を避けてたのはビアードのため?」
「当然ですわ。貴方のファンを見てエイベルが令嬢嫌いになるなんて恐ろしい。それに私も令嬢の相手をするのは面倒ですわ。今後も関わらないでください。いい加減に離してください」
ずっと俺を悩ませていた理由はとんでもない答えだった。しかも全く俺には関係ないことだった。嫌われてるのかと陰で悩んだ数年を返してほしい。今までの親しみの視線が嘘のように冷たい視線を向けられている。
「態度が違いすぎないか」
「レティシア、そろそろ、は!?」
聞き覚えのある声に邪魔が入ったのでレティシアを腕から解放するとすぐに離れて立ち去った。風の一族のビアードらしい速さだった。
「お前、いい加減にしろよ。女遊びにレティシアを巻き込むな」
「本気だから」
「妹に苦労をさせる婿は認めない」
「俺は女遊びなんてしたことないから、その誤解やめて」
「信用できるか」
ビアードの風の刃を跳んで避ける。
この兄妹の誤解を解く方法を考えないといけない。レティシアを落とすことよりも難解かもしれない。頭に血がのぼったビアードの攻撃は読みやすいけど、これでいいんだろうか?将来のビアード公爵は感情のコントロールをそろそろ覚えないとまずいんじゃないか・・。
レティシアも感情に振り回されるけど、ビアード公爵家は大丈夫なのか・・。俺が婿入りして手を回せばいいのか。ビアード公爵の説得も考えないとだな・・。
レティシアに嫌われてないなら遠慮はいらないよな。俺らしく攻略しやすい外堀を埋めるか。
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