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兄の苦労日記29
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勢いよく扉が開き、部屋にマナが駆けこんできた。
「エイベル様、お嬢様がいらっしゃいません!!ローブもあり、部屋は荒らされた様子はありません。部屋で読書されていたはずですが、ナギが倒れ、ナギは何も覚えていません。お嬢様が」
真っ青な顔で口調の乱れるマナを初めて見た。人が慌てるのを見ると逆に落ち着く。
魔力を辿れるストームに妹を探すように頼むと了承の声が聞こえた。
「ロキは?」
「ナギの傍に」
「マナ、ロキ達の護衛を。レティシアの捜索は俺が任される」
混乱していても、マナならすぐに落ち着くだろう。マナが頷いて出ていくとストームが肩に止まった。
「主、レティ、見つからない。王国にいない」
「は!?ディーネは?」
「ディーネ様はロキの傍にいるよ」
女子寮には入れないので、侍従にロキ達を呼び出させる。
侍従にロキ達を預け、唯一事情を知っているだろうディーネに声を掛けるか。精霊は契約者の命令がない限りは常に近くに隠形しているはずだから。
「ディーネ」
妹の言うお澄まし顔のディーネが出てきた。
「ロキとお兄様をお願い。私は大丈夫。命の危険はないわ。一人で大丈夫ってレティから」
「攫われたのか?」
「レティが望んでない。私はロキとエイベルを守るだけ」
ディーネが姿を消した。ディーネを護衛に残し、俺にロキを任せるってやはり海の皇国関係か・・・。もう少しマトモな伝言を残せよ。あのバカ。
精霊は契約者が一番だから、これ以上呼んでもディーネは出てこない。
学園だと動きづらい。海の皇国関連の時は学園にロキを残せと妹が言っていたよな。王国で王宮の次に安全な場所。
外泊手続きをしてステラとディーネにロキを任せるか。眠っているナギを連れてビアード領に帰りローナを呼び出すと驚いている。ナギが姿を消したのに気付かなかったと頭を下げられたが侍女長に任せた。自由奔放なナギへの処遇は後でいい。確認したいことがありロダの部屋を訪ねると笑顔で迎え入れられた。学園にはナギが訪問した記録はなく、国で二番に守りの固い学園に侵入できる可能性が高いのは
「ロダ、海の魔法に転移魔法はあるか?」
「海の水さえあれば自由に渡れる魔導士はいる。なにかあったのか?」
海の水・・。水路?それとも調合用の海水?
海水は妹は部屋に常備している。魔法の訓練に海水から不純物を取り除き聖水を作りあげるのに一時期嵌っていた。神殿や商人から買い付ける聖水を作るのは妹くらい、って違う!!
あのバカは攫われたのか・・?部屋は荒らされた形跡もなく、マナも気付かなかった。ディーネにロキを任せたなら余裕があったんだよな。ビアードの救援信号も出ていない。
「レティシアが行方不明。姿を消した部屋にナギが倒れていた」
「ナギは!?」
「もう起きて、ローナの」
ロダが椅子から立ち上がり勢いよく部屋を飛び出した。ナギのところだろうが、聞きたいことが聞けたからいいか。
父上に使いを走らせ、ずっと様子を見ていた執事長が姿を消してしばらくすると戻り手紙を渡された。
「お嬢様がもし姿を消されることがあればこちらをと」
真っ白い封筒の封を開けると遺書と書かれている。
「この手紙を読む頃には私はフラン王国にはいないでしょう。
今まで慈しみ育ててくださりありがとうございました。最後まで務めを果たせず申し訳ありません。私がいなくてもエイベルなら立派なビアード公爵になれると信じています。
お父様、お母様、いつまでも健やかにお過ごしください。エイベル、信じてますわ。
ビアード領の繁栄と幸せを願ってます。幸せな生をありがとうございました。私のことは忘れてください」
中には身分証明のメダルが入っている。
あのバカは攫われることがわかっていた!?妹の部屋の中に入ると見慣れない背表紙の本を見つけ魔法の封印を解いて中を開くと始まりは7歳から毎日のことが細かく書いてある。突っ込みたい内容は多々あるが今は気にせずさらりと流し読む。「もし目を開けて、全てが変わっていても信じて大丈夫」と意味深な言葉が最後のページに綴られていた。妹のことはよくわからない。ただいつでもいなくなる準備をしていたことに腹が立って仕方ない。ベットの下には純度の高い大量の水の魔石。引き出しの中には大量の回復薬。あのバカ!!
海の皇国に行けば、見つけられるだろうか。
ストームの力だとフラン王国内しか捜索できない。妹の言葉の足りなさに頭が痛くなる。父上が帰ったと執事に呼ばれ急いで父上の所に行く。
「父上、レティシアが」
「海の皇国関係か?」
「恐らくは」
「動くことは許さん。レティシアがビアードの名前で誓約をした。海の皇族を引き取る時に全ての処遇について権限が欲しいと。その代わり何があっても、もし海の皇族に危害を加えられてもレティシア・ビアードの名において自分で責任をとり対処すると。ビアードに危険を持ち込んだ責任を取るのはレティシアであり、もし国に害悪なら首を落として反逆者として責任を一人で被らせて欲しいと。ビアードや国への被害が出るなら私の命令に従うから、それまでは信じて任せて欲しいと。あの時は冗談のように笑っていたが、こんなことになるとは。今の段階ではビアード公爵としてレティシアの要請がない限りが動かない。部屋には救援信号もないんだろう?」
眉間に皺のある父上からの言葉は初耳だった。ビアードの名において誓うなら、命をかけると同義の誓約。
何がなんでも保護するから手出し不要ってことだよな!?穏便に説得ではなく、父上達を脅したのか!?
自信満々の笑みを浮かべる姿が浮かんだ。
それでも、突然攫われたのに、
「父上、あいつは」
「むやみに動けばレティシアの矜持を傷つける。誓約がなくても、うちが動けば警戒されレティシアの邪魔になるかもしれない。攫われた証拠もない。それにレティなら大丈夫だ。機転もきき、魔法も王宮魔導士と同格の腕。ビアード家門の誰もが認めるビアード公爵令嬢。諦めが悪く生き汚いビアードの直系。必ず約束を守る子だ。きっと無事に帰ってくる」
ビアードの名は重い。父上の声は平坦だ。ナギが何も覚えていない以上は証拠がない。マナの様子だとビアードに伝わる救援信号も部屋には絶対にないだろう。救援を求めるなら父上から預かっている肌身離さず持ち歩く魔石を部屋に置いていく。
父上が強調してビアードとして動けないと言っている意味は
「ビアードとして動かなければいいんですよね?レティシアの騎士が主を探して出て行くのは」
「個人のことは関与できない。騎士が置いていかれた主を追いかけるのは止められない。ただしエイベルが行くのは許さない」
探しに行きたいのは父上も同じだ。
ビアードとしては動けない理由も。うちが動いて警戒が強くなれば妹への関心も強くなる。隠れんぼが得意な妹ならうまくやると思いたくても、妹の部屋に隠してある旅立つための道具や遺書を見て嫌な予感が消えない。
妹に仕えるマオを呼び、旅支度を整えさせメイ伯爵家を探るように送り出す。ビアードの証は一時的に返上させた。
ロダが捜索を手伝うと申し出たが、ロダに何かあれば余計に手間が増える。妹の保護したい者にはロダも含まれている。父上の命令で学園に帰ると、マールが部屋の前に待っていた。
「ビアード、レティシアに何があった?」
「は?」
「いつも休まず参加していた夜会に来なかった。ビアードにも帰省してないよな?」
調べてあるのか・・。騒がれても迷惑だからマールを部屋に誘い、防音の結界で覆う。
「留守」
「どこにいるんだ?」
「関係ないだろう」
「動揺が顔に出るのは兄妹でそっくりだよな。言わないなら俺は殿下に頼んでレティシアを呼び出してもらうけど」
王族からの直接の名指しの命令はビアードは必ず応じる。たとえ体調が悪くても、他の予定があろうとも。ビアード直系が第一に優先すべきは王族。物心ついたときから言い聞かされる言葉だ。ビアードの特性をわかって言ってるんだよな。妹の不在が知られクロード殿下に言えば騒ぎになるが目の前の冷たい瞳で見下すマールをごまかせそうにない。
「行方不明。父上は無事に帰宅を待てと命が出ている」
「捜索は!?」
「極秘でレティシアの騎士に捜索させている」
「まさか・・・。海の皇国か?」
マールにクロード殿下とそっくりな探るようにさらに冷たい瞳で見られ、敵わないから抵抗はやめろと妹の諦めた声が聞こえた気がした。
「憶測だ。証拠もないのに動けない」
「身元を明かさせ、交渉すればいい。目的はレティシアではないだろう?」
「この件の責任者はレティシアだ」
「それで何かあったらどうするんだよ!!レティシアよりも大事なのか!?」
「ビアード領民を当主一族のために差し出せない。守るべき民をないがしろにするなど許されない」
「あんなに一心に尽くしている妹をよくも」
俺だって探しに行きたい。
それは妹への裏切りになる。一人で大丈夫とディーネに残した伝言は手出しするなと言うことだ。
俺に求められたのはロキ達を守ることだけだ。ロキ達を差し出すことは妹は絶対に許さない。国のためではなく、自分の為と知ったら何するかわからない。ビアード公爵令嬢として責任をと言い確実に無茶をする。父上を脅した言葉は、嘘をつかない妹の本心だろう。
「レティシアの場所ならわかるけど」
「レオ様!?」
レオ様には俺の結界は意味はないのか。気配も一切なく、いつから聞いていたんだろうか。
「連れ戻して来ればいいのか?」
「なんで」
「リオに頼まれて転移陣入りの魔石をお守りに渡したから。捨てられてなければ」
まさかマールがそこまでしていたとは知らなかった。うちの妹はやはり付き纏われている。マールは王子を私利私欲に使うなよ。
「レティシアの誘拐の被害届は出せよ。海の皇国ならうちが動く。レオ様、俺も連れて行って下さい。転移は馴れてるんで転移酔いもしません」
明るい声で話すマールはなんで行かせようとしてるんだよ!?
レオ様の御身を危険にさらす行為を…。さっきまでの冷たい空気はどこいった!?
「レオ様、危険です」
「転移魔法だからすぐすむよ。それに心配だろう?」
レオ様に苦笑され、見抜かれている。そしてレオ様は頑固だから止めても無駄と諦め、ストームに二人を守るように頼み見送った。意思はなくても、俺が正規以外の手続きで訪問すれば、ビアード公爵家嫡男が動いたと言われ、一歩間違えれば侵略ととらえられる。
しばらくして転移から帰ってきたマールは部屋を出て行き、レオ様は笑っている。
「レティシアは元気で無事だよ。やることがあるからまだ帰らないって。魔封じを外してきたから大丈夫だよ。主犯はメイ伯爵夫人」
「ありがとうございます。」
レオ様の顔を見ると妹は大丈夫そうだ。ストームから話を聞くとレオ様の訪問を怒り、無邪気に笑っていたらしい。本気で余裕がありそうだ。頭がようやく回ってきた。
やはりロキ関連か。余計なことは話さないほうがいい。
結界のある学園に誰も気付かずに侵入者を許すのは・・。クロード殿下の傍に控えないとか。
俺の最優先はクロード殿下の護衛だからビアードとしてできることをやるしかないか。レオ様にも隠れて護衛を手配するか。脳裏に浮かんだ勝気な妹の笑顔に腹が立つから、帰国したら説教してやる。
母上から暗号で手紙が届いた。
一時的なマールと妹の婚約、救出にはマール公爵家が動く。最後に殿下の傍を離れるなと綴られているので、事を大きくするのか。学園に侵入者を許したとなれば荒れる。そして王族を責めるバカもでるかもしれない。
レオ様にも護衛を増やすか。ビアード直系の最優先はどんな時でも王族だから。
ロキは俺の目が届く学園に残すか。ディーネがいるなら大丈夫だろうが念の為。
ロキをお願いしますと、能天気に笑っている妹を想像して遺書を握り潰した。
「ストーム、レティシアの捜索を手伝い安全に帰国させてほしい。レティシアに会ったら頼みをきいてやれ」
「わかった」
白い鳥に変身したストームを鳥籠に入れて、マールに一時的に貸し出す。
俺は行けないが行方を探すには役に立つだろう。俺が妹のためにできるのはここまで。
***
レティシアの誘拐が王家と一部の者に伝えられた。
私室で書類を読んでいるクロード殿下が顔を上げた。
「エイベル、ここにいていいのか?」
「学園の守りが破られた今、殿下のお側を離れるわけにはいきません」
「レティシアは」
「うちの妹はビアード公爵令嬢です。無事に帰国でしてくるのを信じて待ちます。それにもし俺が私情で動けば妹が一番怒るでしょう。」
「ビアードは揺るがないな。もしも、駄目なら?」
クロード殿下に探られるように見られ、私情で動かないか試されている。考えたくないが、私情で報復に動けば怒る姿が脳裏に浮かんだ。「お兄様、ビアードとして相応しい行動を」と言うだろう。
「願わくば体だけは返していただけるように交渉していただきたい。最後はビアードで安らかに」
「冗談だ。忠儀には報いる。国防の見直しだ。あとはマールがどこまで成果をあげるか・・。リオならきっと期待以上に働くだろう」
「レティシアの遺書もありますが、使いますか?」
遺書を渡すと、クロード殿下の口角を上げる。
「脅されて遺書を残したか。文字に一切の動揺がないから余裕があるな。内容もよく考えられている。ビアードのことを想う健気な令嬢に貴族達も動き出すな。武門貴族の彼女の人気は凄いからな。メダルも一旦預かる。海の皇国の出方が楽しみだな」
クロード殿下も妹の無事を疑っていない。
しばらくすると学園内には妹が攫われた噂が広まった。
王宮の魔導士が調べても侵入の形跡はわからず、ロダはビアードで監視している。海の皇子が信用できるかわからないため、まだ協力を求められない。ロダは快く了承してナギと遊びながら部屋に籠もっている。
学園では緊張感の溢れるピリピリとした空気が漂いながらも時間だけが過ぎていく。ディーネがロキの側にいる限りは妹は無事だろう。それにストームが帰ってこないのも無事な証拠だ。
俺がクロード殿下の傍に控えていることの不満も聞こえるが相手にしない。妹の死亡や自作自演など嫌な噂はステラ達が動いている。妹の友人達は無事に帰ってくると信じて動いている。
ステラがマートン嬢と喧嘩している姿を見たら妹は頭を抱えるだろうか。フィルも挑発しながら撃退し、妹を慕う生徒達も嬉々として応戦している。武門貴族の令嬢は実力行使はやめろと言い聞かせてあるから問題ないだろう。
姿を消して一月経つ頃にビアードから妹の帰国の知らせを聞いて力が抜けた。
「主、ただいま」
「おかえり。ありがとな」
消えていったストームを見て、会ったら説教する内容を頭にまとめる。
学園に戻った妹は呼び出した俺を睨んでいる。
「レオ様を転移魔法で送るなどバカなんですか!?大事な御身を危険に晒すなど許されません。臣下と言えども愚行は止めてください」
レオ様の件は同意するけど、人に説教できる立場じゃないと自覚しろ。
「迂闊な自分を反省しろ。状況のわかる伝言を残せ。ディーネは最低限しか話さない」
「言いましたよ。ロキ達さえ守ってくれれば、私は一人で大丈夫ですもの。伝言通りです。マール公爵家が動くのはいささか予想外でしたが・・・。まぁ国として考えれば動いていただいたほうが良かったかもしれませんね。攫われたのが殿下でなくて良かったですわ」
つり上がった眉が下がり気楽に笑っている顔に怒る気が失せた。
「お前はなんで遺書なんて書いてあるんだよ」
「いつ何があるかわかりませんから。まさか今回渡されるとは思いませんでしたわ。お父様達の目に入れなかったことだけは感謝しますわ」
遺書はクロード殿下に渡したことは話さない。能天気に話す様子にため息をつく。
「バカ」
「ご心配をおかけしました。わざわざストーム様を送ってくれるとは思いませんでした。私、マール様と婚約しました」
「折を見て破棄するんだろう」
「いえ、婚約破棄の非難はマール様が引き受けてくださると言われたんですがお断りしました。私の迂闊さでおこしたことを全部押し付けるわけにはいきません。両当主が反対しないのならこのまま受けようと思います」
静かに語る妹の言葉は他人事のようだ。仮初の婚約を本気で受け入れるのか?
「あれでいいのか?」
「エイベルの苦手を補ってくださるそうです。それに、きちんと責任とりますわ。私を助けるために婚約を結び、事がすんだら破棄なんてビアードの人間として許されません。相手なんて誰でも良かったのでお気遣いなく。エイベルと仲が悪いのは目を瞑りましょう。当分は騒がしいと思いますが直に収まりますわ。面倒ですがしばし時間を下さい」
「投げやりすぎないか」
「切り替えは大事ですわ。どなたと婚姻しようとやることは変わりません」
「お前は幸せになれるのか?」
「私は幸せですのでご心配なく。ただ婚姻するときにはいくつかの条件を飲んでいただきます。マール様と愛人の子供にはビアードの財産は一銭たりとも渡しませんわ」
「まさかな。本当に婚約するとは」
「人生なにがあるかわかりません」
苦笑している妹を抱きしめる。何はともあれ無事で良かったよ。
「おかえり」
「ただいま帰りました。さて、お兄様の溜まった仕事を片付けます。倒れてないか心配で急いで帰ってきました。お土産がないんですが」
「無事ならそれでいい」
笑った妹の頭を乱暴に撫でるとレオ様が訪ねて来たので腕を離す。
「帰ったか。お帰り」
「ただいま帰りました。レオ様、他国への転移魔法は控えてください。大事な御身です」
「臣下を守るのは俺達の務めだろう?」
「国王陛下の許可を取ってからなら何も言いませんわ。転移陣が仕込んであるならもう持ち歩きません。ビアード公爵家に置いてきました」
レオ様を窘めていた妹はいつの間にか茶の準備を始めた。
「エイベル、良かったな」
「人の気も知らないで。」
久しぶりにレオ様と妹と3人でゆっくり過ごすか。
学園の結界は新しく構築されたので、いつもの日々が戻ってきた。明日から騒がしくなるだろうが、いつも通りか。大変なのは俺よりも無邪気に笑っている妹の方だろう。
「エイベル様、お嬢様がいらっしゃいません!!ローブもあり、部屋は荒らされた様子はありません。部屋で読書されていたはずですが、ナギが倒れ、ナギは何も覚えていません。お嬢様が」
真っ青な顔で口調の乱れるマナを初めて見た。人が慌てるのを見ると逆に落ち着く。
魔力を辿れるストームに妹を探すように頼むと了承の声が聞こえた。
「ロキは?」
「ナギの傍に」
「マナ、ロキ達の護衛を。レティシアの捜索は俺が任される」
混乱していても、マナならすぐに落ち着くだろう。マナが頷いて出ていくとストームが肩に止まった。
「主、レティ、見つからない。王国にいない」
「は!?ディーネは?」
「ディーネ様はロキの傍にいるよ」
女子寮には入れないので、侍従にロキ達を呼び出させる。
侍従にロキ達を預け、唯一事情を知っているだろうディーネに声を掛けるか。精霊は契約者の命令がない限りは常に近くに隠形しているはずだから。
「ディーネ」
妹の言うお澄まし顔のディーネが出てきた。
「ロキとお兄様をお願い。私は大丈夫。命の危険はないわ。一人で大丈夫ってレティから」
「攫われたのか?」
「レティが望んでない。私はロキとエイベルを守るだけ」
ディーネが姿を消した。ディーネを護衛に残し、俺にロキを任せるってやはり海の皇国関係か・・・。もう少しマトモな伝言を残せよ。あのバカ。
精霊は契約者が一番だから、これ以上呼んでもディーネは出てこない。
学園だと動きづらい。海の皇国関連の時は学園にロキを残せと妹が言っていたよな。王国で王宮の次に安全な場所。
外泊手続きをしてステラとディーネにロキを任せるか。眠っているナギを連れてビアード領に帰りローナを呼び出すと驚いている。ナギが姿を消したのに気付かなかったと頭を下げられたが侍女長に任せた。自由奔放なナギへの処遇は後でいい。確認したいことがありロダの部屋を訪ねると笑顔で迎え入れられた。学園にはナギが訪問した記録はなく、国で二番に守りの固い学園に侵入できる可能性が高いのは
「ロダ、海の魔法に転移魔法はあるか?」
「海の水さえあれば自由に渡れる魔導士はいる。なにかあったのか?」
海の水・・。水路?それとも調合用の海水?
海水は妹は部屋に常備している。魔法の訓練に海水から不純物を取り除き聖水を作りあげるのに一時期嵌っていた。神殿や商人から買い付ける聖水を作るのは妹くらい、って違う!!
あのバカは攫われたのか・・?部屋は荒らされた形跡もなく、マナも気付かなかった。ディーネにロキを任せたなら余裕があったんだよな。ビアードの救援信号も出ていない。
「レティシアが行方不明。姿を消した部屋にナギが倒れていた」
「ナギは!?」
「もう起きて、ローナの」
ロダが椅子から立ち上がり勢いよく部屋を飛び出した。ナギのところだろうが、聞きたいことが聞けたからいいか。
父上に使いを走らせ、ずっと様子を見ていた執事長が姿を消してしばらくすると戻り手紙を渡された。
「お嬢様がもし姿を消されることがあればこちらをと」
真っ白い封筒の封を開けると遺書と書かれている。
「この手紙を読む頃には私はフラン王国にはいないでしょう。
今まで慈しみ育ててくださりありがとうございました。最後まで務めを果たせず申し訳ありません。私がいなくてもエイベルなら立派なビアード公爵になれると信じています。
お父様、お母様、いつまでも健やかにお過ごしください。エイベル、信じてますわ。
ビアード領の繁栄と幸せを願ってます。幸せな生をありがとうございました。私のことは忘れてください」
中には身分証明のメダルが入っている。
あのバカは攫われることがわかっていた!?妹の部屋の中に入ると見慣れない背表紙の本を見つけ魔法の封印を解いて中を開くと始まりは7歳から毎日のことが細かく書いてある。突っ込みたい内容は多々あるが今は気にせずさらりと流し読む。「もし目を開けて、全てが変わっていても信じて大丈夫」と意味深な言葉が最後のページに綴られていた。妹のことはよくわからない。ただいつでもいなくなる準備をしていたことに腹が立って仕方ない。ベットの下には純度の高い大量の水の魔石。引き出しの中には大量の回復薬。あのバカ!!
海の皇国に行けば、見つけられるだろうか。
ストームの力だとフラン王国内しか捜索できない。妹の言葉の足りなさに頭が痛くなる。父上が帰ったと執事に呼ばれ急いで父上の所に行く。
「父上、レティシアが」
「海の皇国関係か?」
「恐らくは」
「動くことは許さん。レティシアがビアードの名前で誓約をした。海の皇族を引き取る時に全ての処遇について権限が欲しいと。その代わり何があっても、もし海の皇族に危害を加えられてもレティシア・ビアードの名において自分で責任をとり対処すると。ビアードに危険を持ち込んだ責任を取るのはレティシアであり、もし国に害悪なら首を落として反逆者として責任を一人で被らせて欲しいと。ビアードや国への被害が出るなら私の命令に従うから、それまでは信じて任せて欲しいと。あの時は冗談のように笑っていたが、こんなことになるとは。今の段階ではビアード公爵としてレティシアの要請がない限りが動かない。部屋には救援信号もないんだろう?」
眉間に皺のある父上からの言葉は初耳だった。ビアードの名において誓うなら、命をかけると同義の誓約。
何がなんでも保護するから手出し不要ってことだよな!?穏便に説得ではなく、父上達を脅したのか!?
自信満々の笑みを浮かべる姿が浮かんだ。
それでも、突然攫われたのに、
「父上、あいつは」
「むやみに動けばレティシアの矜持を傷つける。誓約がなくても、うちが動けば警戒されレティシアの邪魔になるかもしれない。攫われた証拠もない。それにレティなら大丈夫だ。機転もきき、魔法も王宮魔導士と同格の腕。ビアード家門の誰もが認めるビアード公爵令嬢。諦めが悪く生き汚いビアードの直系。必ず約束を守る子だ。きっと無事に帰ってくる」
ビアードの名は重い。父上の声は平坦だ。ナギが何も覚えていない以上は証拠がない。マナの様子だとビアードに伝わる救援信号も部屋には絶対にないだろう。救援を求めるなら父上から預かっている肌身離さず持ち歩く魔石を部屋に置いていく。
父上が強調してビアードとして動けないと言っている意味は
「ビアードとして動かなければいいんですよね?レティシアの騎士が主を探して出て行くのは」
「個人のことは関与できない。騎士が置いていかれた主を追いかけるのは止められない。ただしエイベルが行くのは許さない」
探しに行きたいのは父上も同じだ。
ビアードとしては動けない理由も。うちが動いて警戒が強くなれば妹への関心も強くなる。隠れんぼが得意な妹ならうまくやると思いたくても、妹の部屋に隠してある旅立つための道具や遺書を見て嫌な予感が消えない。
妹に仕えるマオを呼び、旅支度を整えさせメイ伯爵家を探るように送り出す。ビアードの証は一時的に返上させた。
ロダが捜索を手伝うと申し出たが、ロダに何かあれば余計に手間が増える。妹の保護したい者にはロダも含まれている。父上の命令で学園に帰ると、マールが部屋の前に待っていた。
「ビアード、レティシアに何があった?」
「は?」
「いつも休まず参加していた夜会に来なかった。ビアードにも帰省してないよな?」
調べてあるのか・・。騒がれても迷惑だからマールを部屋に誘い、防音の結界で覆う。
「留守」
「どこにいるんだ?」
「関係ないだろう」
「動揺が顔に出るのは兄妹でそっくりだよな。言わないなら俺は殿下に頼んでレティシアを呼び出してもらうけど」
王族からの直接の名指しの命令はビアードは必ず応じる。たとえ体調が悪くても、他の予定があろうとも。ビアード直系が第一に優先すべきは王族。物心ついたときから言い聞かされる言葉だ。ビアードの特性をわかって言ってるんだよな。妹の不在が知られクロード殿下に言えば騒ぎになるが目の前の冷たい瞳で見下すマールをごまかせそうにない。
「行方不明。父上は無事に帰宅を待てと命が出ている」
「捜索は!?」
「極秘でレティシアの騎士に捜索させている」
「まさか・・・。海の皇国か?」
マールにクロード殿下とそっくりな探るようにさらに冷たい瞳で見られ、敵わないから抵抗はやめろと妹の諦めた声が聞こえた気がした。
「憶測だ。証拠もないのに動けない」
「身元を明かさせ、交渉すればいい。目的はレティシアではないだろう?」
「この件の責任者はレティシアだ」
「それで何かあったらどうするんだよ!!レティシアよりも大事なのか!?」
「ビアード領民を当主一族のために差し出せない。守るべき民をないがしろにするなど許されない」
「あんなに一心に尽くしている妹をよくも」
俺だって探しに行きたい。
それは妹への裏切りになる。一人で大丈夫とディーネに残した伝言は手出しするなと言うことだ。
俺に求められたのはロキ達を守ることだけだ。ロキ達を差し出すことは妹は絶対に許さない。国のためではなく、自分の為と知ったら何するかわからない。ビアード公爵令嬢として責任をと言い確実に無茶をする。父上を脅した言葉は、嘘をつかない妹の本心だろう。
「レティシアの場所ならわかるけど」
「レオ様!?」
レオ様には俺の結界は意味はないのか。気配も一切なく、いつから聞いていたんだろうか。
「連れ戻して来ればいいのか?」
「なんで」
「リオに頼まれて転移陣入りの魔石をお守りに渡したから。捨てられてなければ」
まさかマールがそこまでしていたとは知らなかった。うちの妹はやはり付き纏われている。マールは王子を私利私欲に使うなよ。
「レティシアの誘拐の被害届は出せよ。海の皇国ならうちが動く。レオ様、俺も連れて行って下さい。転移は馴れてるんで転移酔いもしません」
明るい声で話すマールはなんで行かせようとしてるんだよ!?
レオ様の御身を危険にさらす行為を…。さっきまでの冷たい空気はどこいった!?
「レオ様、危険です」
「転移魔法だからすぐすむよ。それに心配だろう?」
レオ様に苦笑され、見抜かれている。そしてレオ様は頑固だから止めても無駄と諦め、ストームに二人を守るように頼み見送った。意思はなくても、俺が正規以外の手続きで訪問すれば、ビアード公爵家嫡男が動いたと言われ、一歩間違えれば侵略ととらえられる。
しばらくして転移から帰ってきたマールは部屋を出て行き、レオ様は笑っている。
「レティシアは元気で無事だよ。やることがあるからまだ帰らないって。魔封じを外してきたから大丈夫だよ。主犯はメイ伯爵夫人」
「ありがとうございます。」
レオ様の顔を見ると妹は大丈夫そうだ。ストームから話を聞くとレオ様の訪問を怒り、無邪気に笑っていたらしい。本気で余裕がありそうだ。頭がようやく回ってきた。
やはりロキ関連か。余計なことは話さないほうがいい。
結界のある学園に誰も気付かずに侵入者を許すのは・・。クロード殿下の傍に控えないとか。
俺の最優先はクロード殿下の護衛だからビアードとしてできることをやるしかないか。レオ様にも隠れて護衛を手配するか。脳裏に浮かんだ勝気な妹の笑顔に腹が立つから、帰国したら説教してやる。
母上から暗号で手紙が届いた。
一時的なマールと妹の婚約、救出にはマール公爵家が動く。最後に殿下の傍を離れるなと綴られているので、事を大きくするのか。学園に侵入者を許したとなれば荒れる。そして王族を責めるバカもでるかもしれない。
レオ様にも護衛を増やすか。ビアード直系の最優先はどんな時でも王族だから。
ロキは俺の目が届く学園に残すか。ディーネがいるなら大丈夫だろうが念の為。
ロキをお願いしますと、能天気に笑っている妹を想像して遺書を握り潰した。
「ストーム、レティシアの捜索を手伝い安全に帰国させてほしい。レティシアに会ったら頼みをきいてやれ」
「わかった」
白い鳥に変身したストームを鳥籠に入れて、マールに一時的に貸し出す。
俺は行けないが行方を探すには役に立つだろう。俺が妹のためにできるのはここまで。
***
レティシアの誘拐が王家と一部の者に伝えられた。
私室で書類を読んでいるクロード殿下が顔を上げた。
「エイベル、ここにいていいのか?」
「学園の守りが破られた今、殿下のお側を離れるわけにはいきません」
「レティシアは」
「うちの妹はビアード公爵令嬢です。無事に帰国でしてくるのを信じて待ちます。それにもし俺が私情で動けば妹が一番怒るでしょう。」
「ビアードは揺るがないな。もしも、駄目なら?」
クロード殿下に探られるように見られ、私情で動かないか試されている。考えたくないが、私情で報復に動けば怒る姿が脳裏に浮かんだ。「お兄様、ビアードとして相応しい行動を」と言うだろう。
「願わくば体だけは返していただけるように交渉していただきたい。最後はビアードで安らかに」
「冗談だ。忠儀には報いる。国防の見直しだ。あとはマールがどこまで成果をあげるか・・。リオならきっと期待以上に働くだろう」
「レティシアの遺書もありますが、使いますか?」
遺書を渡すと、クロード殿下の口角を上げる。
「脅されて遺書を残したか。文字に一切の動揺がないから余裕があるな。内容もよく考えられている。ビアードのことを想う健気な令嬢に貴族達も動き出すな。武門貴族の彼女の人気は凄いからな。メダルも一旦預かる。海の皇国の出方が楽しみだな」
クロード殿下も妹の無事を疑っていない。
しばらくすると学園内には妹が攫われた噂が広まった。
王宮の魔導士が調べても侵入の形跡はわからず、ロダはビアードで監視している。海の皇子が信用できるかわからないため、まだ協力を求められない。ロダは快く了承してナギと遊びながら部屋に籠もっている。
学園では緊張感の溢れるピリピリとした空気が漂いながらも時間だけが過ぎていく。ディーネがロキの側にいる限りは妹は無事だろう。それにストームが帰ってこないのも無事な証拠だ。
俺がクロード殿下の傍に控えていることの不満も聞こえるが相手にしない。妹の死亡や自作自演など嫌な噂はステラ達が動いている。妹の友人達は無事に帰ってくると信じて動いている。
ステラがマートン嬢と喧嘩している姿を見たら妹は頭を抱えるだろうか。フィルも挑発しながら撃退し、妹を慕う生徒達も嬉々として応戦している。武門貴族の令嬢は実力行使はやめろと言い聞かせてあるから問題ないだろう。
姿を消して一月経つ頃にビアードから妹の帰国の知らせを聞いて力が抜けた。
「主、ただいま」
「おかえり。ありがとな」
消えていったストームを見て、会ったら説教する内容を頭にまとめる。
学園に戻った妹は呼び出した俺を睨んでいる。
「レオ様を転移魔法で送るなどバカなんですか!?大事な御身を危険に晒すなど許されません。臣下と言えども愚行は止めてください」
レオ様の件は同意するけど、人に説教できる立場じゃないと自覚しろ。
「迂闊な自分を反省しろ。状況のわかる伝言を残せ。ディーネは最低限しか話さない」
「言いましたよ。ロキ達さえ守ってくれれば、私は一人で大丈夫ですもの。伝言通りです。マール公爵家が動くのはいささか予想外でしたが・・・。まぁ国として考えれば動いていただいたほうが良かったかもしれませんね。攫われたのが殿下でなくて良かったですわ」
つり上がった眉が下がり気楽に笑っている顔に怒る気が失せた。
「お前はなんで遺書なんて書いてあるんだよ」
「いつ何があるかわかりませんから。まさか今回渡されるとは思いませんでしたわ。お父様達の目に入れなかったことだけは感謝しますわ」
遺書はクロード殿下に渡したことは話さない。能天気に話す様子にため息をつく。
「バカ」
「ご心配をおかけしました。わざわざストーム様を送ってくれるとは思いませんでした。私、マール様と婚約しました」
「折を見て破棄するんだろう」
「いえ、婚約破棄の非難はマール様が引き受けてくださると言われたんですがお断りしました。私の迂闊さでおこしたことを全部押し付けるわけにはいきません。両当主が反対しないのならこのまま受けようと思います」
静かに語る妹の言葉は他人事のようだ。仮初の婚約を本気で受け入れるのか?
「あれでいいのか?」
「エイベルの苦手を補ってくださるそうです。それに、きちんと責任とりますわ。私を助けるために婚約を結び、事がすんだら破棄なんてビアードの人間として許されません。相手なんて誰でも良かったのでお気遣いなく。エイベルと仲が悪いのは目を瞑りましょう。当分は騒がしいと思いますが直に収まりますわ。面倒ですがしばし時間を下さい」
「投げやりすぎないか」
「切り替えは大事ですわ。どなたと婚姻しようとやることは変わりません」
「お前は幸せになれるのか?」
「私は幸せですのでご心配なく。ただ婚姻するときにはいくつかの条件を飲んでいただきます。マール様と愛人の子供にはビアードの財産は一銭たりとも渡しませんわ」
「まさかな。本当に婚約するとは」
「人生なにがあるかわかりません」
苦笑している妹を抱きしめる。何はともあれ無事で良かったよ。
「おかえり」
「ただいま帰りました。さて、お兄様の溜まった仕事を片付けます。倒れてないか心配で急いで帰ってきました。お土産がないんですが」
「無事ならそれでいい」
笑った妹の頭を乱暴に撫でるとレオ様が訪ねて来たので腕を離す。
「帰ったか。お帰り」
「ただいま帰りました。レオ様、他国への転移魔法は控えてください。大事な御身です」
「臣下を守るのは俺達の務めだろう?」
「国王陛下の許可を取ってからなら何も言いませんわ。転移陣が仕込んであるならもう持ち歩きません。ビアード公爵家に置いてきました」
レオ様を窘めていた妹はいつの間にか茶の準備を始めた。
「エイベル、良かったな」
「人の気も知らないで。」
久しぶりにレオ様と妹と3人でゆっくり過ごすか。
学園の結界は新しく構築されたので、いつもの日々が戻ってきた。明日から騒がしくなるだろうが、いつも通りか。大変なのは俺よりも無邪気に笑っている妹の方だろう。
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