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第七十六話 婚約後
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マートン様に絡まれることはよくあることですが相手をするのは面倒です。
「ビアード様はやはり不要ですのね。攫われても家が動かないなんて。あなたの大事なお兄様はずっと学園にいらしたわ」
私が攫われた件は落ち着いたと思ってました。
今更マートン様は何を言い出すんでしょうか。エイベルが殿下の警護を疎かにして、捜索に乗り出したら怒りましたけど。ビアードの嫡男の自覚が足りませんと。そんなこともわからないんでしょうか…。でも彼女は武門貴族ではないので仕方ありません。文官と武官は考え方が違いますもの。
「兄はビアードの務めを果たしました。優先すべきは殿下の御身です」
「見捨てられたのに?」
私の言葉は流されました。
帰国しても私の籍はあり、ここにいることが見捨てられなかった証です。本当に見捨てたなら私の誘拐を表にしません。ビアード令嬢が相手に遅れを取り誘拐されたなんて恥なので極秘で病死で処理しますわ。もともとビアード公爵夫妻には海の皇国関連は手出しはしないでくださいとも頼んでましたが、それは口には出しません。
「無事を信じて待っていてくれました。それだけで十分です。他国とのことゆえ迂闊に動けば争いを生みます。ビアードの名前の重さをご存知ありませんの?」
「どうしてマール様は貴方なんかを」
悔しそうな声はビアードではなくリオのことですか?
詳しいことは話せません。どこまで当事者以外に情報開示されているか不明です。
「よくわかりません。ただ両当主が決めましたので」
「全く興味なさそうだったのに」
眉を吊り上げ睨むマートン様の口調が崩れています。マートン様もリオのファンだったとは知りませんでした。
「正直、興味は今もありません」
「なんですって!?」
声を荒げることを嗜めるべきでしょうか。侯爵令嬢なら恋愛結婚に夢を見るのはやめたほうが賢明ですのに。私は公爵令嬢時代に一度も恋愛結婚なんて夢見たことはありませんでしたわ。私は自分の意思でリオと婚約する気は全くありませんでした。特に今世のリオは頭がおかしいですから。
「私はマール様の魅力はわかりません」
「そこまではっきり言われると傷つくんだけど」
リオに肩を抱かれて驚きました。気配を消して近づくのはやめてほしいんですけど・・。笑いかけられても困ります。
「俺が必死に口説いて婚約の了承をもらった。レティシア以外は興味ないから。婚約のことで文句があるなら俺に言ってよ。ビアードとマールで抗議するから楽しみにしてほしい」
口説かれたから婚約の了承したわけではありませんよ。マールに借りを作って、全てを押し付けることが許せなかっただけですが。ビアードは実利が優先のルーンと違い、誠意や忠節を大事にします。物騒なことが聞こえたような…。
「え?」
見上げると微笑みかけられました。眼鏡をしていなければ、令嬢達か頬を染めたでしょうに。
「レティシア、行こうか。カーチス、今日は会議中止だから。書類明後日までにまとめろよ」
カーチス様の悲鳴が聞こえました。
強引に手を引かれて、リオの部屋に連れて来られましたが状況がわかりません。
「マール様、なにかご用でしょうか?」
「婚約者と共に過ごしたい」
眼鏡を外して見つめられましたが特に用はないみたいです。
「失礼しますわ」
「待って。母上から君に仕事を頼まれた」
渡される書類を見ると翻訳でした。教室で渡してくれればよかったのに。
「辞書も揃ってるし、ここでやればいいよ」
「お気遣いなく」
辞書なんて使いません。せっかく生徒会がないなら訓練に行きましょう。ありがたいことに今日は訓練室の開放日です。この書類は寝る前にやりましょう。退室しようとすると侍従に出されたお茶とお菓子に迷いました。用意された物を断るのは無礼です。
「叔父上からもらった。良ければ食べてって」
お茶一杯ならお付き合いしましょう。座るとリオに嬉しそうに笑いかけられました。
眼鏡を外していることには突っ込みません。お茶に手を伸ばし口に含むとマール領の懐かしい味がします。リオの部屋を見渡すと部屋の雰囲気は生前と変わりません。目の前に用意されたケーキを口に入れるとほのかな甘さがたまりません。やはりルーンの蜂蜜ケーキが一番美味しい。久しぶりの蜂蜜の幸せに浸り、目の前の優しい顔をしているリオは見ないようにします。うっかり間違いそうになります。いつもさりげなく取り寄せてくれたのはリオでしたわ。
浮遊感がして気付くとリオに抱き上げられてました。抱きしめられて頭を撫でられると何も考えたくなくなります。私はこのままでいいんでしょうか。
いつも面影を探してしまう私は目の前のリオを大事にすることはできるんでしょうか。リオの顔に手を添えてじっと見つめます。彼のことで私が知ってるのは、優しくて、性格が悪くて、必死に鍛錬していることくらいです。少しづつ知っていけば、目の前のリオを受け入れられるんでしょうか?
ゆっくりと近づく顔に目を閉じると口づけされました。すぐ口づけるのは同じです。いつもより長い口づけに頭がぼんやりしします。
「駄目だ。あと4年」
口づけが終わり、凄い力で強く抱きしめられました。
「マール様?」
「ごめん。少しこのままで」
よくわかりませんが、耳に聴こえる心臓の音が速く思わず笑ってしまいました。私もリオと両思いになったばかりの頃はいつもこんな感じでしたわ。令嬢慣れしてるのに、初心なところもありますのね。しばらくそのまま静かにしてますが全然心臓の音は収まりません。
「レティシア、もし俺が怖くなったら倒していいから」
「想像できませんがわかりました」
「無理して俺を見なくていいよ。君のリオでいい。君の目の前にいるのは俺だから」
「マール様?」
「俺は君が傍にいてくれるだけでいい。できれば笑ってほしいけど。あともう少し甘えてほしい。自覚ないだろうけど、君がリオに甘える姿はかなり可愛いんだよ。あれが見れるなら、なんでもしたくなる」
要求が多いですわ。このリオはやはり頭がおかしいかもしれません。うっとりと言う言葉ではありません。
「変わってますわ」
「シアって呼んでいい?」
「やめてください。」
「寂しいなら、いくらでも抱きしめるよ。記憶があるならいくらでも思い通りにできるだろう?」
このリオは頭がやはりおかしいです。婚約は早まったかもしれません。ポンコツエイベルに頭のおかしいリオ。ビアードの未来が心配になってきました。生前のこの頃は頼もしい弟のおかげでルーンの未来に不安を感じることは一切ありませんでした。
「できません。すべてが違いますもの。私はビアード公爵令嬢として平穏に過ごせればいいんです」
「投げやりすぎないか?」
過去に拘っても悲しくなるだけですもの。譲れないことだけ動けばいいんです。記憶があっても一番の願いは叶えられません。一応目標は立てましたが、王家に関わらないと令嬢に嫌われないのは達成できる気がしません。
「人生諦めが肝心ですわ。気にしないことが一番です」
「そのわりに、こだわっているよな?なら俺がシアって呼んでもいいよな?いい加減リオって呼んでくれないか?」
名前で呼んでリオのファンを刺激したくありません。婚約は諦めましたが、平穏生活は諦めていません。愛称呼びなんて絶対に嫌ですわ。
「家格の低い者の無礼は許されませんわ」
「兄上はカナト様って呼んでなかったか?」
だってカナ兄様って呼びそうになったのでごまかしてカナト様と呼び直しましたわ。呼び方をかえるのも不自然ですし。そうするとリオをマール様呼びはおかしいですか?
「リオ様とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「様がいらない」
「マール公爵家の方を呼びつけにできません」
「エドワードは?」
エディと張り合わないでほしい。このリオも中々しつこくて面倒ですわ。私のリオも細かいことにうるさいところがありました。
「エディは子供です」
「子供って・・・」
「マール様、私はそろそろ失礼しますわ。ご馳走様でした」
不満そうに見られても困ります。腕から抜け出そうにも腰に添えられている手が解けません。
「腕を解いてくれませんか?」
「俺はそんなに駄目?」
「はい?」
「男として全く興味持てない?」
どうして不機嫌なんでしょうか。ため息を我慢します。無言で見つめられ、もう面倒なので正直に話してしまいましょう。
「マール様というより、私は他人に興味がありません。貴族らしく家に必要な者としか関わる気はありませんわ」
「君からそんな言葉が出るとは」
驚いた顔の理由はわかりません。私が関わることを選ぶのは平穏を崩さずにビアードとして利がある方だけです。私個人は心の平穏が一番大事です。
「私は自身の務めを果たすだけですわ。ただ貴方とはどうお付き合いするか試行錯誤中です」
「もう少し俺との時間を増やして欲しい」
生前の婚約者のクロード殿下ともリオともそれほど一緒にいなかったんですが。学園では執務のためにか偶然会って一緒にいるくらいでしたわ。
「婚約者って、そこまで一緒にいるものではないような…。マール様、私はこれでも多忙です。最近は自分の訓練の時間もとれません」
「もう少し人を使えばいいんだよ。全部自分でやるから忙しい」
私はリオほどたくさんのお友達はいません。
「マール様、私にはエイベルとステラとフィルとアロマしかいません」
「騎士の訓練の手配は俺が引き受けるよ。」
「いえ、お気持ちだけで」
「とりあえず任せてみてよ。その代わり空いた時間を俺に譲って」
「何がしたいんですか?」
「俺の側にいてほしい。俺の部屋で好きに過ごしていい。ただ共に時間を」
「私はマール様の部屋で仕事をすればいいんですか?」
上機嫌にうなずくリオの求めることがわかりませんが、それくらいなら妥協しましょう。ビアードを支えてくれる気があるなら様子をみましょうか。
考え込んでいると手を解かれて手に何かを握らされました。鍵?
「キッチンも自由に使っていいよ。卒業する時はレティシアに譲るよ」
「本当ですか!?」
「ああ。君以外に譲りたい後輩はいないから。引っ越してきてもいいよ」
「カーチス様に怒られますわ。」
「そんなことさせないよ。好きな時においで。もう帰る?」
「これだけここですませますわ」
膝の上から降ろしてもらえないので向きをかえて、そのまま手を動かすことにしました。私、婚約は早まったかもしれません。マトモなのかおかしいのかわかりません。ビアードにとって害がないことを祈りましょう。
「ビアード様はやはり不要ですのね。攫われても家が動かないなんて。あなたの大事なお兄様はずっと学園にいらしたわ」
私が攫われた件は落ち着いたと思ってました。
今更マートン様は何を言い出すんでしょうか。エイベルが殿下の警護を疎かにして、捜索に乗り出したら怒りましたけど。ビアードの嫡男の自覚が足りませんと。そんなこともわからないんでしょうか…。でも彼女は武門貴族ではないので仕方ありません。文官と武官は考え方が違いますもの。
「兄はビアードの務めを果たしました。優先すべきは殿下の御身です」
「見捨てられたのに?」
私の言葉は流されました。
帰国しても私の籍はあり、ここにいることが見捨てられなかった証です。本当に見捨てたなら私の誘拐を表にしません。ビアード令嬢が相手に遅れを取り誘拐されたなんて恥なので極秘で病死で処理しますわ。もともとビアード公爵夫妻には海の皇国関連は手出しはしないでくださいとも頼んでましたが、それは口には出しません。
「無事を信じて待っていてくれました。それだけで十分です。他国とのことゆえ迂闊に動けば争いを生みます。ビアードの名前の重さをご存知ありませんの?」
「どうしてマール様は貴方なんかを」
悔しそうな声はビアードではなくリオのことですか?
詳しいことは話せません。どこまで当事者以外に情報開示されているか不明です。
「よくわかりません。ただ両当主が決めましたので」
「全く興味なさそうだったのに」
眉を吊り上げ睨むマートン様の口調が崩れています。マートン様もリオのファンだったとは知りませんでした。
「正直、興味は今もありません」
「なんですって!?」
声を荒げることを嗜めるべきでしょうか。侯爵令嬢なら恋愛結婚に夢を見るのはやめたほうが賢明ですのに。私は公爵令嬢時代に一度も恋愛結婚なんて夢見たことはありませんでしたわ。私は自分の意思でリオと婚約する気は全くありませんでした。特に今世のリオは頭がおかしいですから。
「私はマール様の魅力はわかりません」
「そこまではっきり言われると傷つくんだけど」
リオに肩を抱かれて驚きました。気配を消して近づくのはやめてほしいんですけど・・。笑いかけられても困ります。
「俺が必死に口説いて婚約の了承をもらった。レティシア以外は興味ないから。婚約のことで文句があるなら俺に言ってよ。ビアードとマールで抗議するから楽しみにしてほしい」
口説かれたから婚約の了承したわけではありませんよ。マールに借りを作って、全てを押し付けることが許せなかっただけですが。ビアードは実利が優先のルーンと違い、誠意や忠節を大事にします。物騒なことが聞こえたような…。
「え?」
見上げると微笑みかけられました。眼鏡をしていなければ、令嬢達か頬を染めたでしょうに。
「レティシア、行こうか。カーチス、今日は会議中止だから。書類明後日までにまとめろよ」
カーチス様の悲鳴が聞こえました。
強引に手を引かれて、リオの部屋に連れて来られましたが状況がわかりません。
「マール様、なにかご用でしょうか?」
「婚約者と共に過ごしたい」
眼鏡を外して見つめられましたが特に用はないみたいです。
「失礼しますわ」
「待って。母上から君に仕事を頼まれた」
渡される書類を見ると翻訳でした。教室で渡してくれればよかったのに。
「辞書も揃ってるし、ここでやればいいよ」
「お気遣いなく」
辞書なんて使いません。せっかく生徒会がないなら訓練に行きましょう。ありがたいことに今日は訓練室の開放日です。この書類は寝る前にやりましょう。退室しようとすると侍従に出されたお茶とお菓子に迷いました。用意された物を断るのは無礼です。
「叔父上からもらった。良ければ食べてって」
お茶一杯ならお付き合いしましょう。座るとリオに嬉しそうに笑いかけられました。
眼鏡を外していることには突っ込みません。お茶に手を伸ばし口に含むとマール領の懐かしい味がします。リオの部屋を見渡すと部屋の雰囲気は生前と変わりません。目の前に用意されたケーキを口に入れるとほのかな甘さがたまりません。やはりルーンの蜂蜜ケーキが一番美味しい。久しぶりの蜂蜜の幸せに浸り、目の前の優しい顔をしているリオは見ないようにします。うっかり間違いそうになります。いつもさりげなく取り寄せてくれたのはリオでしたわ。
浮遊感がして気付くとリオに抱き上げられてました。抱きしめられて頭を撫でられると何も考えたくなくなります。私はこのままでいいんでしょうか。
いつも面影を探してしまう私は目の前のリオを大事にすることはできるんでしょうか。リオの顔に手を添えてじっと見つめます。彼のことで私が知ってるのは、優しくて、性格が悪くて、必死に鍛錬していることくらいです。少しづつ知っていけば、目の前のリオを受け入れられるんでしょうか?
ゆっくりと近づく顔に目を閉じると口づけされました。すぐ口づけるのは同じです。いつもより長い口づけに頭がぼんやりしします。
「駄目だ。あと4年」
口づけが終わり、凄い力で強く抱きしめられました。
「マール様?」
「ごめん。少しこのままで」
よくわかりませんが、耳に聴こえる心臓の音が速く思わず笑ってしまいました。私もリオと両思いになったばかりの頃はいつもこんな感じでしたわ。令嬢慣れしてるのに、初心なところもありますのね。しばらくそのまま静かにしてますが全然心臓の音は収まりません。
「レティシア、もし俺が怖くなったら倒していいから」
「想像できませんがわかりました」
「無理して俺を見なくていいよ。君のリオでいい。君の目の前にいるのは俺だから」
「マール様?」
「俺は君が傍にいてくれるだけでいい。できれば笑ってほしいけど。あともう少し甘えてほしい。自覚ないだろうけど、君がリオに甘える姿はかなり可愛いんだよ。あれが見れるなら、なんでもしたくなる」
要求が多いですわ。このリオはやはり頭がおかしいかもしれません。うっとりと言う言葉ではありません。
「変わってますわ」
「シアって呼んでいい?」
「やめてください。」
「寂しいなら、いくらでも抱きしめるよ。記憶があるならいくらでも思い通りにできるだろう?」
このリオは頭がやはりおかしいです。婚約は早まったかもしれません。ポンコツエイベルに頭のおかしいリオ。ビアードの未来が心配になってきました。生前のこの頃は頼もしい弟のおかげでルーンの未来に不安を感じることは一切ありませんでした。
「できません。すべてが違いますもの。私はビアード公爵令嬢として平穏に過ごせればいいんです」
「投げやりすぎないか?」
過去に拘っても悲しくなるだけですもの。譲れないことだけ動けばいいんです。記憶があっても一番の願いは叶えられません。一応目標は立てましたが、王家に関わらないと令嬢に嫌われないのは達成できる気がしません。
「人生諦めが肝心ですわ。気にしないことが一番です」
「そのわりに、こだわっているよな?なら俺がシアって呼んでもいいよな?いい加減リオって呼んでくれないか?」
名前で呼んでリオのファンを刺激したくありません。婚約は諦めましたが、平穏生活は諦めていません。愛称呼びなんて絶対に嫌ですわ。
「家格の低い者の無礼は許されませんわ」
「兄上はカナト様って呼んでなかったか?」
だってカナ兄様って呼びそうになったのでごまかしてカナト様と呼び直しましたわ。呼び方をかえるのも不自然ですし。そうするとリオをマール様呼びはおかしいですか?
「リオ様とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「様がいらない」
「マール公爵家の方を呼びつけにできません」
「エドワードは?」
エディと張り合わないでほしい。このリオも中々しつこくて面倒ですわ。私のリオも細かいことにうるさいところがありました。
「エディは子供です」
「子供って・・・」
「マール様、私はそろそろ失礼しますわ。ご馳走様でした」
不満そうに見られても困ります。腕から抜け出そうにも腰に添えられている手が解けません。
「腕を解いてくれませんか?」
「俺はそんなに駄目?」
「はい?」
「男として全く興味持てない?」
どうして不機嫌なんでしょうか。ため息を我慢します。無言で見つめられ、もう面倒なので正直に話してしまいましょう。
「マール様というより、私は他人に興味がありません。貴族らしく家に必要な者としか関わる気はありませんわ」
「君からそんな言葉が出るとは」
驚いた顔の理由はわかりません。私が関わることを選ぶのは平穏を崩さずにビアードとして利がある方だけです。私個人は心の平穏が一番大事です。
「私は自身の務めを果たすだけですわ。ただ貴方とはどうお付き合いするか試行錯誤中です」
「もう少し俺との時間を増やして欲しい」
生前の婚約者のクロード殿下ともリオともそれほど一緒にいなかったんですが。学園では執務のためにか偶然会って一緒にいるくらいでしたわ。
「婚約者って、そこまで一緒にいるものではないような…。マール様、私はこれでも多忙です。最近は自分の訓練の時間もとれません」
「もう少し人を使えばいいんだよ。全部自分でやるから忙しい」
私はリオほどたくさんのお友達はいません。
「マール様、私にはエイベルとステラとフィルとアロマしかいません」
「騎士の訓練の手配は俺が引き受けるよ。」
「いえ、お気持ちだけで」
「とりあえず任せてみてよ。その代わり空いた時間を俺に譲って」
「何がしたいんですか?」
「俺の側にいてほしい。俺の部屋で好きに過ごしていい。ただ共に時間を」
「私はマール様の部屋で仕事をすればいいんですか?」
上機嫌にうなずくリオの求めることがわかりませんが、それくらいなら妥協しましょう。ビアードを支えてくれる気があるなら様子をみましょうか。
考え込んでいると手を解かれて手に何かを握らされました。鍵?
「キッチンも自由に使っていいよ。卒業する時はレティシアに譲るよ」
「本当ですか!?」
「ああ。君以外に譲りたい後輩はいないから。引っ越してきてもいいよ」
「カーチス様に怒られますわ。」
「そんなことさせないよ。好きな時においで。もう帰る?」
「これだけここですませますわ」
膝の上から降ろしてもらえないので向きをかえて、そのまま手を動かすことにしました。私、婚約は早まったかもしれません。マトモなのかおかしいのかわかりません。ビアードにとって害がないことを祈りましょう。
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