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第八十一話 勧誘
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目を覚ますと保健室にいました。
エイベルの背中で眠っていたんですがどうしてでしょうか。起こしてって頼みましたのに。
「レティシア様」
愛らしい声に視線を向けるとステラが手を握って隣に座っていました。
「殿下よりゆっくり休むようにと言付かってます。魔力切れを起こして眠られました」
「武術大会は?」
「団体戦はエイベル様が優勝されました。個人戦はまだ試合中です」
「見たかったのに。ありがとうございます」
ステラが優勝の証のメダルを渡してくれました。エイベルが・・。頬が緩んでしまいます。
喜ぶのは後です。
殿下のもとに行かないといけません。ゆっくり起き上がろうとすると力が入りません。
「お休みください。レティシア様の代わりにベリー様が頑張ってます。師匠の代りを務めると。アロマさんも補佐についているので心配ありません」
「ありがとうって伝えてください」
今は動けないので何もできません。ステラの笑顔に笑い返して再び目を閉じました。まさか魔力が切れたとは思いませんでした。ベリー達のおかげで殿下達に迷惑をかけなくてよかったです。ベリー達にお礼をしないと。助けられてばかりですわ。今は眠って魔力を回復させましょう。
***
私は5日間眠り続けたそうです。起きると体が動いてほっとしました。個人戦はエイベルは準決勝で負けたそうです。でも前回よりも好成績です。まさか優勝するとは思いませんでした。
「エイベル、おめでとうございます。さすがですわ」
「体は?」
「大丈夫です。魔力切れを起こしていたのは気づきませんでした」
「訴状はどうする?」
「武術大会への不正だけでいいですよ。ビアードは揺るがないことも今回の件で証明されました」
「訴状は俺が引き受けてもいいか?」
「学園でのビアードの責任者はエイベルなのでお任せしますわ」
エイベルに手を引かれて保健室から生徒会室に移動しました。殿下に謝罪すると、咎められませんでした。
武術大会は無事に終わったようです。男子生徒は退学処分が決まりました。神聖な武術大会に不正をして勝とうとするなんて、騎士として失格ですわ。訓練の森に仕掛けられた魔封じはすでに解除されました。
魔封じについて勉強をしないといけませんね。魔力の吸われる魔封じがあるとは知りませんでした。
ベリーとアロマにお礼を言うと、弟子として当然のことをしたまでですと胸を張って言われました。こんなに慕われるのはくすぐったいです。3度目の人生なのに慣れない感情に笑みがこぼれます。
エイベルの優勝のお祝いどうしましょう。仕事を引き受けて訓練の時間を作るのが一番喜びますかね…。
「すみません。大丈夫ですか!?」
誰かにぶつかって、持っていた本をバラまいてしまいました。声の主はラウルでした。座り込んだ私に手を差し出すラウルは優しいです。いつも優しいラウルを見ると笑みがこぼれます。ラウルの手を借りて立ち上がり、集めてもらった本を受け取りました。
「大丈夫です。こちらこそすみません。ありがとうございます」
優しいラウルのお嫁さんになる人はきっと幸せでしょう。
「レティシア様、本当に大丈夫ですか?」
心配そうなラウルに笑みを浮かべます。
「ラウル様のお嫁さんになれたら幸せですわね」
「私に、嫁ぎたい奇特な方がいますかね。苦労をかけさせてしまいます」
「たくさんいますわ。ラウル様は優しく誠実ですもの。お金で買えない価値のあるものをたくさん持ってます。ビアードに来てくださるなら歓迎します」
「お気持ちだけありがたくいただきます」
私は図書室に着いたので、ラウルと別れました。ラウルから厚い本を渡され、運んでもらったことに今更気づきました。自然な気遣いも魅力的です。ラウルのファンクラブがあるのはよくわかります。ラウルに馬鹿なことする生徒がいれば遠慮なく私も取り締まりますわ。
***
久しぶりに平穏な時間を過ごしています。レオ様がクラスに溶け込むまでは3年1組で食事を共にしています。
クロード殿下が生徒会入りを考えているならこれから生徒との交流も増えていきます。変装した姿ではなく、レオ様としてお付き合いする方が増えても問題はありません。ただ王族の仮面を被っているレオ様は無愛想で素っ気ないんですよね…。ラウル様達は気にしてませんが、穏やかな笑みを浮かべる国王陛下やクロード殿下に慣れている他の方々は違います。今世の私の従兄は図太いので、問題ないようですが。実際はレオ様よりもクロード殿下のほうが怖いんですが・・・。貴族も王族も私情を顔に出したりしませんから、きっと生涯気付くことはないかもしれませんわ。
最近はラウルの畑のお世話を手伝わせてもらってます。ラウルの話は参考になります。知識と経験のある人は違いますわ。ラウルの畑の作物は美味しく、私が生前栽培した野菜とは一味も二味も違います。
本気でビアードに来てほしいですが、しつこい勧誘は迷惑なので控えてます。もともと生徒会に勧誘するために近づいたのですが…。
栄養剤を注いでいると変装しているレオ様が隣にしゃがんで作業をはじめました。
「レティシア、迷惑はかからないだろうか」
「お友達は助け合うものですわ。私はフィルとステラに多大な迷惑をかけても、二人はいつも側にいてくれます。もしレオ様に意地悪する方がいるなら報復しますわ」
「俺は・・・・」
レオ様ににっこりと笑いかけます。生前のアナを真似て覚えた笑みは警戒心を解くのに一番効果があります。
「私は一緒にお仕事できたら嬉しいですわ。私と殿下は喜びます。殿下の怒られ方も教えてあげますわ」
「兄上の言葉に従うと伝えてほしい」
手を差し出そうとして、汚れていることに気づきました。レオ様が苦笑して握ってくれました。
よく見るとお互い泥だらけです。思わず笑みが零れましたわ。
「歓迎致します。これからよろしくお願いします」
「気が早い」
レオ様と一緒に作業して、ラウルに分けてもらった野菜を使い夕食を共にしました。
翌日にクロード殿下に報告すると静かに頷かれました。
来年の新入生に優秀な平民が入学するように祈るばかりです。ロキの入学はまだ先ですし…。平等の学園作りに尽力する殿下のお役に立ちたいんですが中々うまくいきません。
エイベルの背中で眠っていたんですがどうしてでしょうか。起こしてって頼みましたのに。
「レティシア様」
愛らしい声に視線を向けるとステラが手を握って隣に座っていました。
「殿下よりゆっくり休むようにと言付かってます。魔力切れを起こして眠られました」
「武術大会は?」
「団体戦はエイベル様が優勝されました。個人戦はまだ試合中です」
「見たかったのに。ありがとうございます」
ステラが優勝の証のメダルを渡してくれました。エイベルが・・。頬が緩んでしまいます。
喜ぶのは後です。
殿下のもとに行かないといけません。ゆっくり起き上がろうとすると力が入りません。
「お休みください。レティシア様の代わりにベリー様が頑張ってます。師匠の代りを務めると。アロマさんも補佐についているので心配ありません」
「ありがとうって伝えてください」
今は動けないので何もできません。ステラの笑顔に笑い返して再び目を閉じました。まさか魔力が切れたとは思いませんでした。ベリー達のおかげで殿下達に迷惑をかけなくてよかったです。ベリー達にお礼をしないと。助けられてばかりですわ。今は眠って魔力を回復させましょう。
***
私は5日間眠り続けたそうです。起きると体が動いてほっとしました。個人戦はエイベルは準決勝で負けたそうです。でも前回よりも好成績です。まさか優勝するとは思いませんでした。
「エイベル、おめでとうございます。さすがですわ」
「体は?」
「大丈夫です。魔力切れを起こしていたのは気づきませんでした」
「訴状はどうする?」
「武術大会への不正だけでいいですよ。ビアードは揺るがないことも今回の件で証明されました」
「訴状は俺が引き受けてもいいか?」
「学園でのビアードの責任者はエイベルなのでお任せしますわ」
エイベルに手を引かれて保健室から生徒会室に移動しました。殿下に謝罪すると、咎められませんでした。
武術大会は無事に終わったようです。男子生徒は退学処分が決まりました。神聖な武術大会に不正をして勝とうとするなんて、騎士として失格ですわ。訓練の森に仕掛けられた魔封じはすでに解除されました。
魔封じについて勉強をしないといけませんね。魔力の吸われる魔封じがあるとは知りませんでした。
ベリーとアロマにお礼を言うと、弟子として当然のことをしたまでですと胸を張って言われました。こんなに慕われるのはくすぐったいです。3度目の人生なのに慣れない感情に笑みがこぼれます。
エイベルの優勝のお祝いどうしましょう。仕事を引き受けて訓練の時間を作るのが一番喜びますかね…。
「すみません。大丈夫ですか!?」
誰かにぶつかって、持っていた本をバラまいてしまいました。声の主はラウルでした。座り込んだ私に手を差し出すラウルは優しいです。いつも優しいラウルを見ると笑みがこぼれます。ラウルの手を借りて立ち上がり、集めてもらった本を受け取りました。
「大丈夫です。こちらこそすみません。ありがとうございます」
優しいラウルのお嫁さんになる人はきっと幸せでしょう。
「レティシア様、本当に大丈夫ですか?」
心配そうなラウルに笑みを浮かべます。
「ラウル様のお嫁さんになれたら幸せですわね」
「私に、嫁ぎたい奇特な方がいますかね。苦労をかけさせてしまいます」
「たくさんいますわ。ラウル様は優しく誠実ですもの。お金で買えない価値のあるものをたくさん持ってます。ビアードに来てくださるなら歓迎します」
「お気持ちだけありがたくいただきます」
私は図書室に着いたので、ラウルと別れました。ラウルから厚い本を渡され、運んでもらったことに今更気づきました。自然な気遣いも魅力的です。ラウルのファンクラブがあるのはよくわかります。ラウルに馬鹿なことする生徒がいれば遠慮なく私も取り締まりますわ。
***
久しぶりに平穏な時間を過ごしています。レオ様がクラスに溶け込むまでは3年1組で食事を共にしています。
クロード殿下が生徒会入りを考えているならこれから生徒との交流も増えていきます。変装した姿ではなく、レオ様としてお付き合いする方が増えても問題はありません。ただ王族の仮面を被っているレオ様は無愛想で素っ気ないんですよね…。ラウル様達は気にしてませんが、穏やかな笑みを浮かべる国王陛下やクロード殿下に慣れている他の方々は違います。今世の私の従兄は図太いので、問題ないようですが。実際はレオ様よりもクロード殿下のほうが怖いんですが・・・。貴族も王族も私情を顔に出したりしませんから、きっと生涯気付くことはないかもしれませんわ。
最近はラウルの畑のお世話を手伝わせてもらってます。ラウルの話は参考になります。知識と経験のある人は違いますわ。ラウルの畑の作物は美味しく、私が生前栽培した野菜とは一味も二味も違います。
本気でビアードに来てほしいですが、しつこい勧誘は迷惑なので控えてます。もともと生徒会に勧誘するために近づいたのですが…。
栄養剤を注いでいると変装しているレオ様が隣にしゃがんで作業をはじめました。
「レティシア、迷惑はかからないだろうか」
「お友達は助け合うものですわ。私はフィルとステラに多大な迷惑をかけても、二人はいつも側にいてくれます。もしレオ様に意地悪する方がいるなら報復しますわ」
「俺は・・・・」
レオ様ににっこりと笑いかけます。生前のアナを真似て覚えた笑みは警戒心を解くのに一番効果があります。
「私は一緒にお仕事できたら嬉しいですわ。私と殿下は喜びます。殿下の怒られ方も教えてあげますわ」
「兄上の言葉に従うと伝えてほしい」
手を差し出そうとして、汚れていることに気づきました。レオ様が苦笑して握ってくれました。
よく見るとお互い泥だらけです。思わず笑みが零れましたわ。
「歓迎致します。これからよろしくお願いします」
「気が早い」
レオ様と一緒に作業して、ラウルに分けてもらった野菜を使い夕食を共にしました。
翌日にクロード殿下に報告すると静かに頷かれました。
来年の新入生に優秀な平民が入学するように祈るばかりです。ロキの入学はまだ先ですし…。平等の学園作りに尽力する殿下のお役に立ちたいんですが中々うまくいきません。
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