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第八十五話 婚約式
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婚約披露のパーティの日になりました。婚約は書類だけで整いますが、御披露目しないといけまけん。規模は様々です。身内だけですませることもありますが、公爵家となると中々盛大なんですね。王家のパーティほどではありませんが、規模の大きいパーティの用意は大変でした。他国からの来賓も多くビアードとして抜けがないように大量の招待客もきちんと頭にいれ確認も終え、会場の準備もばっちりです。
ドレスを着て髪を整えましたが目の前のビアード公爵の眉間に皺があります。
「レティが美しいのに、複雑だ」
「お父様、ビアードのために頑張りますわ。お父様の自慢の娘として立派にこなしてきます。私はお父様とお兄様が一番好きなのでご安心ください」
にっこり笑うと眉間の皺が消えて優しく笑いました。今世のお父様はにっこり笑顔が好きみたいです。
「レティ、リオに酷いことをされたら言うんだよ。お父様が」
「旦那様、落ち着いてください。レティ、綺麗ね。リオったら遠慮しないわね」
ビアード公爵夫人が楽しそうに笑っています。久々のビアード主催の夜会の所為か不機嫌そうなエイベルの頬をつねります。
「お兄様、そのお顔はいけませんよ。できるだけ助けてあげますので」
「お前は自分の心配をしろ」
「髪が崩れるので叩かないでください。婚約しても何も変わりません。行きますよ」
エイベルの腕を掴んで会場に行くとマール公爵家の皆様が揃っていました。エイベルの腕から手を離し、挨拶をおえるとビアード公爵夫妻が来ました。
両公爵夫妻が話し始めましたが、カナト様やレイヤ様やエレン様にじっと見つめられるのはどうしてでしょうか。ドレスが似合ってないでしょうか?ビアードの皆様は身内贔屓でいつもドレス姿を絶讚しますが審査眼の厳しいマール公爵家の皆様には変わった素材のドレスに平凡な私では、
「レティシア、おめでとう。よく似合っているよ。歓迎するよ。義兄様でいいから」
この姿に不満はなさそうですわ。
カナト様の穏やかな笑顔はいつの世も変わりません。
「カナ兄様?いえカナト義兄様よろしくお願いします」
「カナ兄様でいいよ。可愛い義妹は大歓迎だ」
生前の癖で呼んでしまいました。笑顔で許してくれる優しくて包容力のある素敵な所も変わりませんのね。
「俺もレイ兄様がいい。歓迎するよ。レティ」
陽気に笑うレイ兄様も変わりません。落ち着いた雰囲気のカナト様やリオと違い明るく陽気なレイヤ様。今世のリオはカナト様よりもレイヤ様に似てるのかもしれません。そっと伸ばされる手と握手します。
「レイ兄様、よろしくお願いします」
「私は義姉様でいいわ。これから厳しく指導するから覚悟してね。ドレスがよく似合っているわ。リオ、いい加減にしなさいよ。エスコート取られるわよ」
美しく微笑むエレン様の隣に赤面して手で顔を覆ったリオがいます。具合が悪いんでしょうか。
「治癒魔法かけましょうか?」
「違うのよ。情けないわ」
エレン様が呆れた笑顔を向けています。
リオから差し出された手が震えています。額に手を当てても熱はなく緊張しているんでしょうか。ビアードとして失態は避けたいですし
「リオ様、落ち着いてください。挨拶代わりましょうか?」
「いや、大丈夫。あまりにも感動して」
感動して震えるって大丈夫なんでしょうか?今回はチョコのお菓子も大量に用意してますが、そこまで感動しますか?
「チョコケーキを先に召し上がりますか?」
厨房に言えば、すぐに用意してもらえます。チョコケーキを食べさせ気持ちを落ち着かせてからのほうがいいでしょうか?最初だけはリオには出席していただかないと困ります。
「大丈夫だから。始まるまでにはおさめる」
「別室で休まれて」
「いらない。せっかくエスコートする権利があるんだ」
目の前に差し出されている震える手にいささか不安を覚えますが仕方ないのでリオの手を取ると腰を抱かれました。
「ドレス、着てくれて嬉しいよ。一段と綺麗だよ」
「ありがとうございます」
赤面しているリオの社交辞令は流しエスコートされて会場に進みました。社交辞令よりもきちんとしてくださらないと困ります。中に入るとすでに集まっている貴族達の視線を集めるので笑みを浮かべて壇上に向かいます。
檀上に上がるのは当主である両公爵と私とリオ。両公爵が挨拶をして私達の婚約を宣言しますが私は控えて微笑んでいるのが役目です。
当主の挨拶が終われば私達が挨拶をします。婿入りなので私が挨拶を引き受けようとしたらリオに役目を譲ってほしいと言うので、次はリオの挨拶になります。顔の赤みはおさまったようですが今日は眼鏡してないんですね・・。リオの顔をうっとりと見つめる令嬢が多いですわ。一部の突き刺さる視線が痛い。政略ですので、嫉妬の視線はやめてくださいませ。祝いの場で明らかに不満のありそうなお顔をするのは貴族の令嬢として恥ですのに。派閥も違いますしうちの家門でもないので問題さえおこさないなら見逃しましょう。
「このたびはお集まりいただきありがとうございます。麗しのビアード公爵令嬢の隣に立つ権利を与えられたことに感謝申し上げます。婚約者として生涯の伴侶として彼女を愛し守ることを誓います。両家の繁栄のために二人で手を取り励んでいきたいと思います」
リオが礼をすると盛大な拍手が沸き起こりました。リオの言葉に非難の気持ちを隠して微笑み礼をしました。何てことを言うんでしょうか。やはり私が引き受ければ良かったですわ。絶対にからかわれます。
「リオ様?」
「口づけるのは自重したけど」
ニヤリと笑うリオの腕を思いっきりつねりました。
あの場で口づけなんてしたら許しません。求婚した方が良かった?と戯言を笑顔で聞き流し何度目かわからない婚約への後悔に襲われます。そんなことよりも挨拶に回らないといけませんね。
「このたびはおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「まさかお二人がとは思いましたが、仲がよさそうで安心しましたわ。今後ともよいお付き合いを」
「こちらそこよろしくお願いします」
からかわれながらも、笑顔で流します。エイベルが令嬢に囲まれてますが大丈夫でしょうか。
「助けたほうがいい?」
リオの視線の先のエイベルは曖昧に笑っています。エイベルの側に行こうとすると会場がざわめきました。目の前の夫婦が道を空けた先にはクロード殿下がいましたわ。招待状を送ってませんよ。驚きを隠して社交の笑みを浮かべるクロード殿下に微笑み礼をします。エイベル、今は自力で頑張ってください!!
「おめでとう」
「ありがとうございます」
「レティシアは体調は平気かい?」
「はい。お気遣いありがとうございます」
殿下に気づいたビアード公爵夫妻が近づき、おもてなしをはじめました。殿下に近づきたい令嬢達の目がギラギラしております。クロード殿下は両親に任せて、他の方への挨拶に回らないといけませんね。
「レティシア、お疲れ」
「フィル、ありがとう。魅力的なご令嬢はいました?」
「よくわからない」
フィルは令嬢達には人気がありません。フィルの無造作な跳ねている髪に手を伸ばします。
「正式の場は整えないと」
「必要ないだろう」
「フィルは格好良いのに」
「俺に人気が出たら困るだろ?」
ニヤリと笑う顔につられて笑ってしまいます。
「複雑です。友人を自慢したい気持ちと独占したい気持ちで」
「何があろうと俺達の関係には変わりないだろうが」
「そうですね。これからは二人で出かけられないのは残念」
「ビアードの制服借りるよ」
それなら問題ありません。すばらしい思い付きです。
「フィルが護衛なら怖いものなしですね。あんまり大変そうだったらお兄様を助けてあげて」
「了解。挨拶がんばれよ」
礼をしてフィルと別れるとステラを見つけました。
「レティシア様、おめでとうございます」
「ステラ、来てくれてありがとう」
「レティシア様、ステラ様!!」
後輩の令嬢達も集まって来たので、祝いの言葉にお礼を言います。
あれは?エドワード様が令嬢達に囲まれてます。
「リオ様、エドワード様を保護しないと」
「一人で大丈夫だよ。」
冷たいです。礼をして頼りにならないリオの手を解いてエドワード様の所に行きました。
集まっていた令嬢達はリオに任せましょう。リオなら得意ですもの。
公式の場でお会いするのは初めてです。
「エドワード様、今日はありがとうございます」
「おめでとうございます。良ければ一曲」
「光栄ですわ」
笑顔を浮かべるエドワード様の手を取り、ダンスフロアに行き踊りました。
エドワード様が社交の笑みを上手くまとえることは驚きません。ルーン公爵家の教育は厳しいのです。やはりダンスも上手です。
「お上手ですね。さすがルーン公爵家です」
「レティシアも。踊ってて楽しいのは久しぶりです」
「将来が楽しみですわ。捕まる前に逃げましょうか」
エドワード様の手をとって、隅に移動します。
ここは死角になるので、休憩には最適です。グラスを渡して、談笑していると腰を抱かれた腕の主は不機嫌そうなリオでした。
「そのお顔はこの場にふさわしくありません」
「俺が先に踊りたかったのに」
何を言ってるんでしょうか。踊りたいなら自由に踊ればいいのに。
「この場のダンスに意味はありませんよ。新たな従弟となったエドワード様なら踊ることを許されますわ。男性同士で踊るのは目立つので」
「俺と踊って欲しい」
この場で断るのは不自然です。ここならエドワード様も令嬢達に囲まれないでしょう。
「よろしくお願いします」
上機嫌に笑ったリオに笑みを返してエドワード様に挨拶をして、ダンスフロアに戻りました。
リオはあまりダンスがうまくありません。2曲ほど踊り、挨拶回りを再開しました。
挨拶回りが終われば私達のお役目は終わりです。
そろそろ助けにいかないといけません。
リオの手を解き、令嬢達に囲まれているエイベルに近づき腕に抱きつきました。
「お兄様、踊ってくださいませ」
「ああ。失礼します」
兄に甘える妹は有名です。皆様は微笑ましく譲ってくれます。
「お兄様、大丈夫ですか?」
「レティシアのいない夜会が、ここまで大変とはな」
エイベルは一人で夜会に参加することはほとんどありません。
いつも私のエスコートとして参加してました。相当大変でしたのね。
「今日だけは頑張ってください」
「これからはマールのエスコートだろう?」
「お兄様の婚約者が決まるまでは、お兄様に甘えます。リオ様よりもお兄様とのダンスが楽しいですわ」
得意げに笑ったエイベルにつられて、笑ってしまいました。
リオはお友達や令嬢と一緒に楽しんでいるので、エイベルの隣で過ごすことにしました。
何事もなく終わって良かったです。
不機嫌なエイベルの機嫌が直りましたわ。
社交慣れしてない手のかかる兄はこれからも放っておけません。
ドレスを着て髪を整えましたが目の前のビアード公爵の眉間に皺があります。
「レティが美しいのに、複雑だ」
「お父様、ビアードのために頑張りますわ。お父様の自慢の娘として立派にこなしてきます。私はお父様とお兄様が一番好きなのでご安心ください」
にっこり笑うと眉間の皺が消えて優しく笑いました。今世のお父様はにっこり笑顔が好きみたいです。
「レティ、リオに酷いことをされたら言うんだよ。お父様が」
「旦那様、落ち着いてください。レティ、綺麗ね。リオったら遠慮しないわね」
ビアード公爵夫人が楽しそうに笑っています。久々のビアード主催の夜会の所為か不機嫌そうなエイベルの頬をつねります。
「お兄様、そのお顔はいけませんよ。できるだけ助けてあげますので」
「お前は自分の心配をしろ」
「髪が崩れるので叩かないでください。婚約しても何も変わりません。行きますよ」
エイベルの腕を掴んで会場に行くとマール公爵家の皆様が揃っていました。エイベルの腕から手を離し、挨拶をおえるとビアード公爵夫妻が来ました。
両公爵夫妻が話し始めましたが、カナト様やレイヤ様やエレン様にじっと見つめられるのはどうしてでしょうか。ドレスが似合ってないでしょうか?ビアードの皆様は身内贔屓でいつもドレス姿を絶讚しますが審査眼の厳しいマール公爵家の皆様には変わった素材のドレスに平凡な私では、
「レティシア、おめでとう。よく似合っているよ。歓迎するよ。義兄様でいいから」
この姿に不満はなさそうですわ。
カナト様の穏やかな笑顔はいつの世も変わりません。
「カナ兄様?いえカナト義兄様よろしくお願いします」
「カナ兄様でいいよ。可愛い義妹は大歓迎だ」
生前の癖で呼んでしまいました。笑顔で許してくれる優しくて包容力のある素敵な所も変わりませんのね。
「俺もレイ兄様がいい。歓迎するよ。レティ」
陽気に笑うレイ兄様も変わりません。落ち着いた雰囲気のカナト様やリオと違い明るく陽気なレイヤ様。今世のリオはカナト様よりもレイヤ様に似てるのかもしれません。そっと伸ばされる手と握手します。
「レイ兄様、よろしくお願いします」
「私は義姉様でいいわ。これから厳しく指導するから覚悟してね。ドレスがよく似合っているわ。リオ、いい加減にしなさいよ。エスコート取られるわよ」
美しく微笑むエレン様の隣に赤面して手で顔を覆ったリオがいます。具合が悪いんでしょうか。
「治癒魔法かけましょうか?」
「違うのよ。情けないわ」
エレン様が呆れた笑顔を向けています。
リオから差し出された手が震えています。額に手を当てても熱はなく緊張しているんでしょうか。ビアードとして失態は避けたいですし
「リオ様、落ち着いてください。挨拶代わりましょうか?」
「いや、大丈夫。あまりにも感動して」
感動して震えるって大丈夫なんでしょうか?今回はチョコのお菓子も大量に用意してますが、そこまで感動しますか?
「チョコケーキを先に召し上がりますか?」
厨房に言えば、すぐに用意してもらえます。チョコケーキを食べさせ気持ちを落ち着かせてからのほうがいいでしょうか?最初だけはリオには出席していただかないと困ります。
「大丈夫だから。始まるまでにはおさめる」
「別室で休まれて」
「いらない。せっかくエスコートする権利があるんだ」
目の前に差し出されている震える手にいささか不安を覚えますが仕方ないのでリオの手を取ると腰を抱かれました。
「ドレス、着てくれて嬉しいよ。一段と綺麗だよ」
「ありがとうございます」
赤面しているリオの社交辞令は流しエスコートされて会場に進みました。社交辞令よりもきちんとしてくださらないと困ります。中に入るとすでに集まっている貴族達の視線を集めるので笑みを浮かべて壇上に向かいます。
檀上に上がるのは当主である両公爵と私とリオ。両公爵が挨拶をして私達の婚約を宣言しますが私は控えて微笑んでいるのが役目です。
当主の挨拶が終われば私達が挨拶をします。婿入りなので私が挨拶を引き受けようとしたらリオに役目を譲ってほしいと言うので、次はリオの挨拶になります。顔の赤みはおさまったようですが今日は眼鏡してないんですね・・。リオの顔をうっとりと見つめる令嬢が多いですわ。一部の突き刺さる視線が痛い。政略ですので、嫉妬の視線はやめてくださいませ。祝いの場で明らかに不満のありそうなお顔をするのは貴族の令嬢として恥ですのに。派閥も違いますしうちの家門でもないので問題さえおこさないなら見逃しましょう。
「このたびはお集まりいただきありがとうございます。麗しのビアード公爵令嬢の隣に立つ権利を与えられたことに感謝申し上げます。婚約者として生涯の伴侶として彼女を愛し守ることを誓います。両家の繁栄のために二人で手を取り励んでいきたいと思います」
リオが礼をすると盛大な拍手が沸き起こりました。リオの言葉に非難の気持ちを隠して微笑み礼をしました。何てことを言うんでしょうか。やはり私が引き受ければ良かったですわ。絶対にからかわれます。
「リオ様?」
「口づけるのは自重したけど」
ニヤリと笑うリオの腕を思いっきりつねりました。
あの場で口づけなんてしたら許しません。求婚した方が良かった?と戯言を笑顔で聞き流し何度目かわからない婚約への後悔に襲われます。そんなことよりも挨拶に回らないといけませんね。
「このたびはおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「まさかお二人がとは思いましたが、仲がよさそうで安心しましたわ。今後ともよいお付き合いを」
「こちらそこよろしくお願いします」
からかわれながらも、笑顔で流します。エイベルが令嬢に囲まれてますが大丈夫でしょうか。
「助けたほうがいい?」
リオの視線の先のエイベルは曖昧に笑っています。エイベルの側に行こうとすると会場がざわめきました。目の前の夫婦が道を空けた先にはクロード殿下がいましたわ。招待状を送ってませんよ。驚きを隠して社交の笑みを浮かべるクロード殿下に微笑み礼をします。エイベル、今は自力で頑張ってください!!
「おめでとう」
「ありがとうございます」
「レティシアは体調は平気かい?」
「はい。お気遣いありがとうございます」
殿下に気づいたビアード公爵夫妻が近づき、おもてなしをはじめました。殿下に近づきたい令嬢達の目がギラギラしております。クロード殿下は両親に任せて、他の方への挨拶に回らないといけませんね。
「レティシア、お疲れ」
「フィル、ありがとう。魅力的なご令嬢はいました?」
「よくわからない」
フィルは令嬢達には人気がありません。フィルの無造作な跳ねている髪に手を伸ばします。
「正式の場は整えないと」
「必要ないだろう」
「フィルは格好良いのに」
「俺に人気が出たら困るだろ?」
ニヤリと笑う顔につられて笑ってしまいます。
「複雑です。友人を自慢したい気持ちと独占したい気持ちで」
「何があろうと俺達の関係には変わりないだろうが」
「そうですね。これからは二人で出かけられないのは残念」
「ビアードの制服借りるよ」
それなら問題ありません。すばらしい思い付きです。
「フィルが護衛なら怖いものなしですね。あんまり大変そうだったらお兄様を助けてあげて」
「了解。挨拶がんばれよ」
礼をしてフィルと別れるとステラを見つけました。
「レティシア様、おめでとうございます」
「ステラ、来てくれてありがとう」
「レティシア様、ステラ様!!」
後輩の令嬢達も集まって来たので、祝いの言葉にお礼を言います。
あれは?エドワード様が令嬢達に囲まれてます。
「リオ様、エドワード様を保護しないと」
「一人で大丈夫だよ。」
冷たいです。礼をして頼りにならないリオの手を解いてエドワード様の所に行きました。
集まっていた令嬢達はリオに任せましょう。リオなら得意ですもの。
公式の場でお会いするのは初めてです。
「エドワード様、今日はありがとうございます」
「おめでとうございます。良ければ一曲」
「光栄ですわ」
笑顔を浮かべるエドワード様の手を取り、ダンスフロアに行き踊りました。
エドワード様が社交の笑みを上手くまとえることは驚きません。ルーン公爵家の教育は厳しいのです。やはりダンスも上手です。
「お上手ですね。さすがルーン公爵家です」
「レティシアも。踊ってて楽しいのは久しぶりです」
「将来が楽しみですわ。捕まる前に逃げましょうか」
エドワード様の手をとって、隅に移動します。
ここは死角になるので、休憩には最適です。グラスを渡して、談笑していると腰を抱かれた腕の主は不機嫌そうなリオでした。
「そのお顔はこの場にふさわしくありません」
「俺が先に踊りたかったのに」
何を言ってるんでしょうか。踊りたいなら自由に踊ればいいのに。
「この場のダンスに意味はありませんよ。新たな従弟となったエドワード様なら踊ることを許されますわ。男性同士で踊るのは目立つので」
「俺と踊って欲しい」
この場で断るのは不自然です。ここならエドワード様も令嬢達に囲まれないでしょう。
「よろしくお願いします」
上機嫌に笑ったリオに笑みを返してエドワード様に挨拶をして、ダンスフロアに戻りました。
リオはあまりダンスがうまくありません。2曲ほど踊り、挨拶回りを再開しました。
挨拶回りが終われば私達のお役目は終わりです。
そろそろ助けにいかないといけません。
リオの手を解き、令嬢達に囲まれているエイベルに近づき腕に抱きつきました。
「お兄様、踊ってくださいませ」
「ああ。失礼します」
兄に甘える妹は有名です。皆様は微笑ましく譲ってくれます。
「お兄様、大丈夫ですか?」
「レティシアのいない夜会が、ここまで大変とはな」
エイベルは一人で夜会に参加することはほとんどありません。
いつも私のエスコートとして参加してました。相当大変でしたのね。
「今日だけは頑張ってください」
「これからはマールのエスコートだろう?」
「お兄様の婚約者が決まるまでは、お兄様に甘えます。リオ様よりもお兄様とのダンスが楽しいですわ」
得意げに笑ったエイベルにつられて、笑ってしまいました。
リオはお友達や令嬢と一緒に楽しんでいるので、エイベルの隣で過ごすことにしました。
何事もなく終わって良かったです。
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