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第八十七話 指導
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私はセント侯爵令嬢の指導を任されています。全然意思疎通が取れません。
彼女は私の後ろをただ付いてくるだけです。
セント様とハリーを連れて1年生の教室に挨拶に回りました。
「入学おめでとうございます。生徒会役員のレティシア・ビアードと申します。平等の学園ですが校則を守って品行方正に過ごしてください。何かお困りの際は生徒会まで。また月に2回自由参加の勉強会を開いているので希望の方は参加を。何か質問のある方はいらっしゃいますか?」
手は上がりませんね。私は礼をして立ち去ることにしました。
各クラスに挨拶に回ります。生徒会の挨拶回りで騎士見習いの訓練参加への呼びかけはやめるようにと他の家門から苦情があったので、今年は訓練の呼びかけはしません。個人的に動くのは別の日にします。
殿下に任された執務を説明していきます。セント様は一言も話しません。ただ書類を渡すと手を動かします。わかってはいるんですね。もう話すことは諦めました。
さすがにセント様がいるのでエイベルの部屋では仕事ができません。私の部屋で過ごすのが日課になりました。
***
生徒会のない日もセント様が後ろを付いてきます。ただ気付くといなくなります。思い切ってお昼に誘ったら無言で離れていきました。
エイベルの部屋に逃げて防音の結界を貼りました。
「エイベル、意思疎通が取れずに後をつけられるのが怖いんですが」
エイベルの溜めた書類仕事にペンを走らせます。
「普通に会話できるけど」
「私が嫌われてるんですかね。もう気にしても仕方ありません。指導係なんて無理です。でも殿下に言えません。」
モヤモヤして集中できません。エイベルの書類を片付けるのは後日にしましょう。
エイベルの部屋を出て、生前にディーネと出会った池を目指します。荷物を置いて潜ることにしました。水の中に入ると気持ちが良いです。誰の視線も感じない環境がほっとします。最近、ねっとりとして嫌な視線を感じてたまりません。
段々眠くなってきました。水の中で眠るのはふわふわして気持ちが良いんです。今日は休憩です。このまま目を閉じてしまいましょう。
「レティ、起きて、レティ」
声に目を開けるとストーム様がいました。
「主が上がって来いって」
池の中から上がるとあたりは真っ暗でした。
「レティシア、一人で潜るなと言っただろうが」
「最近、視線を感じて一人になりたかったんです。エイベルは飛べるけど私は飛べないんです」
「ビアード落ち着けよ」
暖かい風が吹いて体が乾きました。
怒っているエイベルと穏やかな顔のリオがいました。
リオに上着を掛けられました。確かに冷えますね。返そうとすると腰を抱かれました。
「離れろ」
「俺が送るよ」
このまま逃げましょう。リオの手を解いて言い争いに夢中な二人からそっと離れました。お説教を忘れてくれることを祈りましょう。リオは私の婚約者ですがエイベルと仲が悪いのは大丈夫なんでしょうか・・。
私は一人で寮に帰りました。上着は明日返しに行きましょう。
セント様は何がしたいんでしょうか・・。
***
最近、また不眠です。
ディーネを抱っこしてもうまく眠れません。視線を感じるのは嫌で木の上でぼんやり過ごしています。高い場所だと視線を感じません。レオ様とエイミー様が仲良く散歩している姿を見て頬が緩みました。
二人はお似合いですよね。ただレオ様のお気持ちがわかりません。
ロベルト先生達の訓練も終わったのでそろそろ教室に行かないとですよね・・・。
ねっとりとした視線の正体がわからず気持ちが悪いです。
セント様とも相変わらずうまく意思疎通が取れません。
!?
木が激しく揺れて、投げ出されました。宙返りして着地しようにも体が動きません。なんで?
落ちたら治癒魔法をかければいいでしょう。
風に包まれました。リオの魔石はもう使い終わったので持ってないのになんででしょう。
地面に降りると体が動きます。焦った顔のリオが駆け寄ってきました。
「大丈夫か!?」
リオが風で包んでくれたんでしょう。
「はい。ありがとうございました」
「俺の贈った魔石は?」
「なくなりました」
「贈るから教えてよ。危ないよ」
「リオ様、もう一度だけ落ちてもいいですか?体がうまく動かなかったんです」
抱き上げられました。
「保健室に」
「怪我してません。今は動くんです。あの高さならいつもなら着地できるんですが」
「レティシア、休もうか」
「大丈夫です。そろそろ行かないと授業に遅れます。降ろしてください」
リオの手が離れません。リオの部屋に連れていかれました。
椅子に座って抱きしめて頭を撫でられても寝ませんよ。抱き上げてリオの膝を枕にされてます。目の上に手が置かれました。頭を撫でられる手に力が抜けてきました。離してもらえないなら、諦めましょう。このリオは強引なんです。3年生の授業は3度目なのでわかります。
***
起きると暗くなってました。私は1日リオを枕にして眠ってたんですか。
頭の上には書類を読んでるリオがいました。頭を撫でられましたが、寝ませんよ。
ゆっくりと膝の上から抜け出しました。
目元を撫でられます。心配そうな顔はそっくりです。
「すみません。」
「いいよ。ゆっくり眠れた?」
「お世話になりました」
「明日も寝かしつけてあげるよ」
「お気持ちだけで。失礼します」
今日は生徒会はないので、寮に帰ることにしました。授業を休んだのに学園にいたらおかしいです。
「待って。これを」
風の魔石を渡されました。
「本当は飛び降りるのやめてほしいんだけど。せめてこれを持っていてくれないか」
風に包まれる魔法が閉じ込めてある魔石は楽しいのです。ありがたくいただきましょう。
「ありがとうございます。」
礼をして立ち去ることにしました。人に合わないように気をつけて寮に戻りました。視線を感じなかったことにほっとしました。どうして体が動かなくなったんでしょう。
また後日試してみましょう。
彼女は私の後ろをただ付いてくるだけです。
セント様とハリーを連れて1年生の教室に挨拶に回りました。
「入学おめでとうございます。生徒会役員のレティシア・ビアードと申します。平等の学園ですが校則を守って品行方正に過ごしてください。何かお困りの際は生徒会まで。また月に2回自由参加の勉強会を開いているので希望の方は参加を。何か質問のある方はいらっしゃいますか?」
手は上がりませんね。私は礼をして立ち去ることにしました。
各クラスに挨拶に回ります。生徒会の挨拶回りで騎士見習いの訓練参加への呼びかけはやめるようにと他の家門から苦情があったので、今年は訓練の呼びかけはしません。個人的に動くのは別の日にします。
殿下に任された執務を説明していきます。セント様は一言も話しません。ただ書類を渡すと手を動かします。わかってはいるんですね。もう話すことは諦めました。
さすがにセント様がいるのでエイベルの部屋では仕事ができません。私の部屋で過ごすのが日課になりました。
***
生徒会のない日もセント様が後ろを付いてきます。ただ気付くといなくなります。思い切ってお昼に誘ったら無言で離れていきました。
エイベルの部屋に逃げて防音の結界を貼りました。
「エイベル、意思疎通が取れずに後をつけられるのが怖いんですが」
エイベルの溜めた書類仕事にペンを走らせます。
「普通に会話できるけど」
「私が嫌われてるんですかね。もう気にしても仕方ありません。指導係なんて無理です。でも殿下に言えません。」
モヤモヤして集中できません。エイベルの書類を片付けるのは後日にしましょう。
エイベルの部屋を出て、生前にディーネと出会った池を目指します。荷物を置いて潜ることにしました。水の中に入ると気持ちが良いです。誰の視線も感じない環境がほっとします。最近、ねっとりとして嫌な視線を感じてたまりません。
段々眠くなってきました。水の中で眠るのはふわふわして気持ちが良いんです。今日は休憩です。このまま目を閉じてしまいましょう。
「レティ、起きて、レティ」
声に目を開けるとストーム様がいました。
「主が上がって来いって」
池の中から上がるとあたりは真っ暗でした。
「レティシア、一人で潜るなと言っただろうが」
「最近、視線を感じて一人になりたかったんです。エイベルは飛べるけど私は飛べないんです」
「ビアード落ち着けよ」
暖かい風が吹いて体が乾きました。
怒っているエイベルと穏やかな顔のリオがいました。
リオに上着を掛けられました。確かに冷えますね。返そうとすると腰を抱かれました。
「離れろ」
「俺が送るよ」
このまま逃げましょう。リオの手を解いて言い争いに夢中な二人からそっと離れました。お説教を忘れてくれることを祈りましょう。リオは私の婚約者ですがエイベルと仲が悪いのは大丈夫なんでしょうか・・。
私は一人で寮に帰りました。上着は明日返しに行きましょう。
セント様は何がしたいんでしょうか・・。
***
最近、また不眠です。
ディーネを抱っこしてもうまく眠れません。視線を感じるのは嫌で木の上でぼんやり過ごしています。高い場所だと視線を感じません。レオ様とエイミー様が仲良く散歩している姿を見て頬が緩みました。
二人はお似合いですよね。ただレオ様のお気持ちがわかりません。
ロベルト先生達の訓練も終わったのでそろそろ教室に行かないとですよね・・・。
ねっとりとした視線の正体がわからず気持ちが悪いです。
セント様とも相変わらずうまく意思疎通が取れません。
!?
木が激しく揺れて、投げ出されました。宙返りして着地しようにも体が動きません。なんで?
落ちたら治癒魔法をかければいいでしょう。
風に包まれました。リオの魔石はもう使い終わったので持ってないのになんででしょう。
地面に降りると体が動きます。焦った顔のリオが駆け寄ってきました。
「大丈夫か!?」
リオが風で包んでくれたんでしょう。
「はい。ありがとうございました」
「俺の贈った魔石は?」
「なくなりました」
「贈るから教えてよ。危ないよ」
「リオ様、もう一度だけ落ちてもいいですか?体がうまく動かなかったんです」
抱き上げられました。
「保健室に」
「怪我してません。今は動くんです。あの高さならいつもなら着地できるんですが」
「レティシア、休もうか」
「大丈夫です。そろそろ行かないと授業に遅れます。降ろしてください」
リオの手が離れません。リオの部屋に連れていかれました。
椅子に座って抱きしめて頭を撫でられても寝ませんよ。抱き上げてリオの膝を枕にされてます。目の上に手が置かれました。頭を撫でられる手に力が抜けてきました。離してもらえないなら、諦めましょう。このリオは強引なんです。3年生の授業は3度目なのでわかります。
***
起きると暗くなってました。私は1日リオを枕にして眠ってたんですか。
頭の上には書類を読んでるリオがいました。頭を撫でられましたが、寝ませんよ。
ゆっくりと膝の上から抜け出しました。
目元を撫でられます。心配そうな顔はそっくりです。
「すみません。」
「いいよ。ゆっくり眠れた?」
「お世話になりました」
「明日も寝かしつけてあげるよ」
「お気持ちだけで。失礼します」
今日は生徒会はないので、寮に帰ることにしました。授業を休んだのに学園にいたらおかしいです。
「待って。これを」
風の魔石を渡されました。
「本当は飛び降りるのやめてほしいんだけど。せめてこれを持っていてくれないか」
風に包まれる魔法が閉じ込めてある魔石は楽しいのです。ありがたくいただきましょう。
「ありがとうございます。」
礼をして立ち去ることにしました。人に合わないように気をつけて寮に戻りました。視線を感じなかったことにほっとしました。どうして体が動かなくなったんでしょう。
また後日試してみましょう。
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