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閑話 引きの強い後輩 クロード視点
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新たに友好を深めたいと遠方から訪問される小さな島の姫と王子の接待を任された。
母上が療養中のため成人したばかりの姫の接待役は外国語が得意なレティシアに頼んだ。覚えていない言語なのでレティシアに教わりながら急ぎで習得した。受け入れ準備は慌ただしかったが滞りなく迎えられたことに安堵している。普段なら付き添うリオはレティシアと喧嘩中のため不在。エドワードは別件で動いているため王子の接待役の補助はレティシアの希望でロダに侍従の服を着せて傍に控えさせている。
王宮で出迎えると毛皮で作られた暑そうな服を着ている身長が高い姫と王子。警戒したレティシアが私の前に出たがすぐに礼をして後に控えた。
自己紹介を終えて兄妹でよく似た丸い顔から滝のように汗を流す二人。挨拶を忘れて毛皮に魅入っているレティシアに視線を送ると頷き微笑んで礼をした。
「ご挨拶をさせてください。ビアード公爵家長女レティシア・ビアードと申します。お美しいお二人にフラン王国の服を献上させてくださいませ。お茶会の前にフラン王国のおもてなしを受けていただけますか?」
機嫌よく頷く二人をレティシアが部屋に案内し服と湯あみの用意を整えた。異臭が凄く、後に控えたロダが魔法で空気を洗浄した。
レティシアとロダが二人の支度に付き合うので用意ができれば声を掛けるので内務に戻っていいと言われたので言葉に甘える。父上が留守のため内務が貯まっていた。
三時間後に呼ばれたのでフラン王国の衣装に着替えた大柄な二人を迎えにいくと驚く。真っ黒だった顔は日に焼けた肌色に変わり、真っ赤な袖のない所々穴が開いている服を着ている兄にそっくりな男らしい顔立ちの姫は手合わせのあとの騎士のような装いである。
シャツにズボンだけの軽装の王子。あまり文化が発展してない国ゆえ仕方ないだろう。
「お洋服はお二人が選ばれました。私は関与してません」
湯浴みの文化がない二人に湯浴みを教え、服を選ばせるのは大変だったのだろう。レティシアが破れた服を手配しないことはわかっている。耳元で力なく呟くレティシアの声に静かに頷く。
お茶を用意してある部屋に案内すると姫に呼ばれて足を止めた。
「突然の訪問を受け入れていただき感謝します。こちらはお近づきの印に。うちの国以外で栽培されることはありません。管理が難しいものですがクロード様のために用意しました」
献上されたのは守り草と呼ばれる初めて見る甘い匂いの草。
管理が難しく、取引にも向かないためほとんど知られていない貴重なもの。調合するのもコツが必要で取り扱える者はほとんどいないため守り草を扱えるものは守りの一族と呼ばれ従者のローブの男が守りの一族の長と説明を受けていると瓶に入っている草を流れるようにロダが受け取り後に控えた。
レティシアが用意したお茶の席に案内すると姫に欲の籠った目で見つめられている。上座を二人に譲り、姫の隣に座らないことへの不満は気付かないフリをしてレティシアを隣に座らせた。
「この薬を使えば魔力の合わない者も子を成せます。フラン王国では妃を国外から選ばれないのは魔力の相性のためでしょう?他国の血を入れるのも」
姫が胸に手を入れて小瓶を取り出した。茶色の液体の入った瓶の蓋を開けると甘い匂いが充満する。濡れている瓶には触れたくない。王妃になりたいと堂々と話す姫に笑みを浮かべて情報を引き出す。
茶色い液は媚薬。
守り草には様々な作用があるが一番重宝されているのは魔力を馴染ませる作用。
魔力の合わない夫婦の子孫繁栄を助ける薬として高値で取引されているらしい。
魔力には相性があり合わない魔力は害になる。魔力を使いすぎない限り魔力を送り合う習慣はほとんどない。生まれる子供の属性をコントロールするために魔力を送り染めることもあるが、魔力の強いものの血が引き継がれやすいため欲しい属性の魔力が強い者を配偶者に選べばいいだけである。そのため自分の魔力より少ない配偶者を迎える上位貴族が多い。父上が母上を選ばれた理由の一つは婚約者候補の中で一番魔力量が多かったからと昔の私は思っていた。私は魔力量の多い両親を持つため同世代では一番の魔力量を持つ。
馴染まない魔力を受け入れるのは不快感を伴う。守り草の甘い香りは感覚を麻痺させ、不快感さえ快楽に感じさせると謳う高級な媚薬を作りだす。目の前にあるのは最高級の媚薬……。体がこの甘みで満たされればどうなるだろうか。
机の下に置いてある手に冷たい手が重なり体に冷たい魔力が巡る。甘みの含んだ香りが霧散して思考がクリアになっていく。
「思考力を低下させるなんていささか」
「時には辛い現実を忘れさせる甘美な夢も必要ですのよ。ねぇ?」
欲のある笑いを向ける姫に当たり障りのない返答を返す。
時々レティシアに手を握られ魔法をかけられると思考がクリアになる。情報を引き出していると王子も欲のある視線をレティシアに向けている。警戒させるように手を強く握ると視線を合わせた銀の瞳には警戒の色があるから大丈夫だろう。レティシアに魔法をかけられながらお茶会を終えた。
甘い香りを漂わせ私に触れようとする姫はレティシアが笑顔で牽制し壁になる。レティシアを誘う王子はロダが応対している。
「殿下、今日はレオ様とうちに泊まってください。寝室に訪問されるかもしれません。レオ様は会せてはいけませんわ」
姫は積極的である。惜しげもなく肌を見せ、エスコートすると体を密着させ素肌に触れさせようとする。
不快さを堪えて微笑み対応するが、足に力づくで触らせようとするのに気付いたレティシアが冷たい笑みで引き剥がした。邪魔、私と二人っきりになりたいと口にする姫にレティシアが王族に触れるなら斬ると応戦しているが不敬は見逃す。二人が口論しているが不機嫌そうな姫は段々楽しそうに応戦をはじめた。
レオが相手をするには荷が重そうなのでレオは接待から外し王宮には帰らないようい使いを出した。
非常識な姫達が何をするかわからない。時々漂う甘い香りは思考を鈍くさせるから。
接待を滞りなく終えると転移魔法で飛びビアード公爵邸に泊まった。
レティシアの予想通り姫は迷ったフリをして護衛を薬で陥落させて寝室に押し入っていた。
私の部屋には甘い香りが充満しており、影武者として配置した影と姫との情事がなされた。影に変装はさせていない。暗闇にまぎれ忍びこんで間違えたとしても、護衛を排除し忍びこむのは重罪。経験豊富な姫を王家が迎え入れることはない。姫に陥落された影を処罰するつもりはない。
王子を呼んで、穏便に納めるための取引を持ち掛けた。他の男を間違えて襲った妹を庇うことはなく妾話も断った。そして懲りない姫の奇襲をレティシアが追い払いながら滞在期間が終わり帰国した。
守り草をはじめフラン王国にはない貴重な植物が多いため今後も良いお付き合いをしていく予定である。私の部屋はレティシアが水魔法で浄化した。そして影の男に場所を選ばなかったことを怒り水攻めしようとしていたので止めた。王宮ではレティシアに魔法の使用は許しているが制裁に使うのはやめるように言い聞かせた。
レティシアの引きの良さに感心するのはその後だった。
父上が極秘で処理を決められた案件がある。
ブローダ伯爵家ではフラン王国では自然に育つことはない守り草の育成を成功させた。極寒地域で栽培される守り草は温暖な気候のフラン王国では育たない。この草を育てられたブロード伯爵夫人や令嬢の腕は罪人であっても貴重な財産になると判断された。
ブローダ伯爵夫人が常用していたのは守り草を使った香水とエキスを一滴いれたチョコレート。甘い匂いで充満させた部屋に招き思考力を低下させ洗脳していた。もともとは上位伯爵令嬢であり言葉巧みに洗脳するのは容易。当時は地属性を生かしてフラン王国でも栽培の難しい植物を育てるノーム様の加護が強いブローダ一族は人気が高く先代国王陛下も目をかけられていた。シオン一族も認める家でありブローダ伯爵夫人は社交界でも羨望される立ち位置。ブローダ伯爵家は贅沢を好まず植物の栽培に力を入れるシオン一族に近い立ち位置のため同派閥のパドマ公爵家が庇護して取引等を引き受けていた。ブローダ伯爵夫人を迎えてしばらくして前ブローダ伯爵夫妻が病で亡くなりはブローダ伯爵家は衰退の道を辿る。ブローダ伯爵は立場をよく理解していたのでパドマ公爵夫妻の命令に常に従っていたが不満を持ったのがブローダ伯爵夫人。社交界で羨望されると意気込み嫁いだのに常にパドマ公爵夫人の取り巻き扱いであり、伯爵邸では質素倹約な生活。熊のような外見のブローダ伯爵への不満を我慢をできずに、フラン王国一のブローダ一族自慢の植物園を訪問した自分に優しくしてくれる見目麗しい男に夢中になった。
男に短時間だけ人の思考力を低下させ意のままに操る惚れ薬を渡す代わりに育ててほしいものがあるという甘言に乗った。ブローダ伯爵夫人は男と守り草のエキスが入った香水に夢中になり、男の言いなりになった。そしてブローダ伯爵を操り頼まれた植物を植えるとブローダ伯爵家自慢の植物園の植物は全て枯れた。フラン王国にとって価値のない植物の栽培に夢中になり、求められた植物を育てることをやめたブローダ伯爵家をパドマ公爵家は後見を降り、王家も見切りをつけた。精霊の加護を受けた地で力に溺れ私利私欲に駆られてフラン王国貴族の役目を放棄して下落していく愚かな一族として有名になった。
ブローダ伯爵が育てさせたのは守り草。
守り草の栽培に成功したブローダ伯爵夫人は愛人となった男に言われるままに守り草で調合した薬を売り、富を手に入れ幾つかの名家を没落させた。愛人はフラン王国を衰退させ中から壊したかったようだが没落したブローダ伯爵家にはそのような力はない。そして王国で力を持つ公爵夫人達は怪しい媚薬に手を出すことはない。
そこで目をつけられたのはブローダ伯爵令嬢。
ブローダ伯爵と違い美しい容姿を持つ男はブローダ伯爵令嬢の前で伯爵夫人を王族でも扱うようなそぶりで見せつけた。そして母親が特別な薬を持っていることを匂わせた。
ステイ学園に入学しフラン王国の未来を担う若者を堕落させるために。
ブローダ伯爵令嬢は社交デビューでリオと出会ってからずっと憧れていた。外交一家のリオはフラン王国の紳士として厳しく教育を受けているので社交界ではどんな相手でも爽やかな笑みを浮かべて称賛する。容姿を利用して相手をいい気分にさせて有利に取引するのはマールの十八番。そんなリオに夢中になる令嬢は昔から多かった。リオは無自覚なためそれが人気の原因と気付いていない。
社交デビューの令嬢にはダンスを申し込むのは暗黙の了解であり、ダンスの誘いを断るのはマナー違反。ブローダ伯爵令嬢にダンスに誘われ笑みを浮かべて踊っていた。そしてブローダ伯爵令嬢は入学すると熱狂的なファンとして追いかけ、リオに特別扱いされるレティシアに嫉妬していた。
ブローダ伯爵令嬢は母親が愛人に夢中なことを知っていた。愛人に薬を使っていることに気付きしつこく母親に付き纏い薬を手に入れた。
この令嬢の執念は恐ろしく、守り草の思考力を低下させる香水だけでは満足できずにさらなる改良を進めた。守り草のエキスを大量に抽出する方法を見つけ、自分の魔力に富んだものを混ぜ合わせる偉業を成し遂げた。馴染まない魔力に富んだものを口にいれると不快感に襲われる。
守り草の効果で異物を吸収しても気付かない。そして守り草は不快感さえも快楽に感じさせるという強い効果を発揮した。
リオは大量に与えられる守り草のエキスに夢中になり、馴染まない魔力に体を染められた。口から含む守り草のエキスは媚薬であり、後継作りに励むことが一番の体からエキスを抜く方法。そのため使い方さえ間違えなけば依存性のない無害な媚薬として取引されている。
守り草について姫から聞いた情報は誤っていた。
未知のものが好きなレオがサラ様とシオン嬢と献上された守り草を調べてフラン王国では栽培を断念した。
守り草は太い根を持ち無尽蔵に栄養を吸収する特性を持つ。土の栄養を全て奪うため他の植物は育たず、収穫後に枯れた土壌は新たな芽を実のらすことはない。育成が難しいのではなく、草の特性ゆえ手を出す者がいない。
高値で取引されると聞いた媚薬も物々交換が主流の国のため、正当な取引は行われていない。世界でも育てるのが危険なものや違法なものも扱うゆえに利用価値を見出した国の暗部が有効活用している国。
ブローダ伯爵邸を襲撃したルーン公爵夫人が捕えた愛人の男は他国の隠密。世界にはフラン王国の力を削ごうとする国も多い。ルーン公爵夫人の尋問により全てを話した男の関係した国は砂嵐に襲われて消えた。国が突然滅びるのはよくあること。そして臣下が勝手に動いても証拠がなければ裁かない。自然災害によって滅びた国々へ救援物資や支援に魔導士を送るがうちの関与は見つかっていない。せっかく友好を深め良い取り引きしたのに台無しである。
私は調査の概要を全て開示してもいいが父上は甘いとおっしゃられ箝口令を敷いている。
フラン王国でも力を持つ上位貴族、とくに公爵家は危機管理能力と有事の際に対処する力を求められる。
他国の間者に惑わされ、没落した伯爵家はマール公爵家が取り潰した。
ブローダ伯爵夫人とブローダ伯爵令嬢は病で亡くなったことにして研究所に送られ、生涯研究者として過ごすだろう。
被害者のブローダ伯爵達は療養所に送られ、そのあとは関与しない。
父上は関係者に箝口令を敷かれ、王家からの情報を教えることを禁じた。
全てを知るのは一部の影と父上と私だけ。レオにも教えていない。
ビアード公爵にはルーン公爵夫人達が国を滅ぼしたことだけは話してある。
マール公爵家が持つのはブローダ伯爵令嬢と伯爵夫人の記憶晒しの情報だけ。愛人の記憶晒しの情報は持っていない。
父上は各々で情報を集めて対処することを望まれている。没落した家が取り潰される理由を調べる家があるかはわからないが。もしも証拠を集め裁判するための訴状を用意し、きちんとした判決を求める家があれば考慮されるかもしれないが期待は薄いだろう。リオを含め薬の被害者達は危機管理不足と判断され恩情を見せない。母上の件から父上は厳しくなられた。
学園では懐かしい光景が広がっている。
リオを徹底的に避けるレティシア。
リオは素っ気なくされることに落ち込んでいる。リオが薬を盛られて伯爵令嬢に夢中になっていたとは気づかない生徒達が二人が近づくことを徹底的に邪魔している。レティシアへの砂糖菓子のような空気を出すリオを見慣れていたため伯爵令嬢との雰囲気も相手が変わっただけで違和感はなく盛られていたと気付けるものはほとんどいないだろう。
リオの周囲には新たな恋人になろうとする令嬢達が常に付き添っている。レティシアは私の部屋で窓から見えるリオ達を微笑ましいと眺めている。
「学園生活を満喫されてますわね。令嬢達が淑女らしく過ごしていただければ何も言いませんわ」
「何も思わないのか?」
「殿下が不快に思われるなら対処致しますが」
「平等の学園か」
「そんなことよりもお休みはいただけますか?この国のサーカスのチケットを殿下の分も手配しますわ。一緒に行きましょう」
よく働くレティシアにサーカスが有名な国の訪問に誘ってからは頭の中はサーカスのことだらけ。急な接待もよく務めてくれ感謝している。リオを徹底的に避けていること以外はいつもと変わらない。どちらかというとまずいのは常に眉間に皺のあるエイベルである。
「いい加減に」
「殿下は不敬罪に問いませんわ。お兄様も一緒にお茶をしましょう。ほら、座ってくださいませ」
能天気なレティシアと真面目なエイベルは正反対。リオとレティシアの婚約がどうなっても王家は干渉しない。隠密の男は甘かった。王家の側近候補は毒の耐性を持っている。リオが耐性を持たずに引っ掛かるとは思わなかったよ。伯爵令嬢もある意味引きが強かった。
「やはり王宮のお菓子は美味しいですわ。お茶も絶品」
レティシアの中ではリオの心変わりはどうでもいいことか。貴族らしくあることしか求めていない。学園内で殺傷が起きないようにだけ警告したほうがいいか。特にエイベルに。
リオが迷って止まっているうちに忘れっぽいレティシアの中で存在が希薄になっていくだろう。レティシアの頭の中にはやりたいことばかり。容量が超えないようにいらない記憶はすぐに忘れる便利な特技を持っている。
「殿下、そちらの本は?」
「図鑑だ。新しいものを育てようかと」
「新しい植物図鑑がもうすぐ販売されますのね。研究生達も励んでいますし、いずれ新たな奇跡の一族が生まれればいいですわね。殿下の部屋は珍しい植物も多く楽しいですわ。今度はどちらを」
「興味があるなら貸そうか?」
「ありがたいですが販売まで待ちますわ。セリアに持ち出されたら大変ですから。勝手に私の本を持ち出しますのよ。道理を持たないシオン一族に」
シオン一族への不満を語り出したレティシア。箝口令が敷かれているが図鑑を渡すくらいならいいだろう。守り草についても記載のある世界の稀少な植物を集めた図鑑は父上からの土産。リオに聞くとお気持ちだけでと一切興味を示さなかった。植物図鑑が愛読書のレティシアに図鑑を餌にすれば話すくらいはできただろう。そしてマールには必要な情報の記載があった。父上の命令には逆らえないか。
レティシアが避けるのをやめた時に二人の関係は変わるだろう。終わりか始まりかはわからない。
引きの強い後輩達が先輩を振り回すのはレティシアが入学してから生徒会に広がっている光景である。
母上が療養中のため成人したばかりの姫の接待役は外国語が得意なレティシアに頼んだ。覚えていない言語なのでレティシアに教わりながら急ぎで習得した。受け入れ準備は慌ただしかったが滞りなく迎えられたことに安堵している。普段なら付き添うリオはレティシアと喧嘩中のため不在。エドワードは別件で動いているため王子の接待役の補助はレティシアの希望でロダに侍従の服を着せて傍に控えさせている。
王宮で出迎えると毛皮で作られた暑そうな服を着ている身長が高い姫と王子。警戒したレティシアが私の前に出たがすぐに礼をして後に控えた。
自己紹介を終えて兄妹でよく似た丸い顔から滝のように汗を流す二人。挨拶を忘れて毛皮に魅入っているレティシアに視線を送ると頷き微笑んで礼をした。
「ご挨拶をさせてください。ビアード公爵家長女レティシア・ビアードと申します。お美しいお二人にフラン王国の服を献上させてくださいませ。お茶会の前にフラン王国のおもてなしを受けていただけますか?」
機嫌よく頷く二人をレティシアが部屋に案内し服と湯あみの用意を整えた。異臭が凄く、後に控えたロダが魔法で空気を洗浄した。
レティシアとロダが二人の支度に付き合うので用意ができれば声を掛けるので内務に戻っていいと言われたので言葉に甘える。父上が留守のため内務が貯まっていた。
三時間後に呼ばれたのでフラン王国の衣装に着替えた大柄な二人を迎えにいくと驚く。真っ黒だった顔は日に焼けた肌色に変わり、真っ赤な袖のない所々穴が開いている服を着ている兄にそっくりな男らしい顔立ちの姫は手合わせのあとの騎士のような装いである。
シャツにズボンだけの軽装の王子。あまり文化が発展してない国ゆえ仕方ないだろう。
「お洋服はお二人が選ばれました。私は関与してません」
湯浴みの文化がない二人に湯浴みを教え、服を選ばせるのは大変だったのだろう。レティシアが破れた服を手配しないことはわかっている。耳元で力なく呟くレティシアの声に静かに頷く。
お茶を用意してある部屋に案内すると姫に呼ばれて足を止めた。
「突然の訪問を受け入れていただき感謝します。こちらはお近づきの印に。うちの国以外で栽培されることはありません。管理が難しいものですがクロード様のために用意しました」
献上されたのは守り草と呼ばれる初めて見る甘い匂いの草。
管理が難しく、取引にも向かないためほとんど知られていない貴重なもの。調合するのもコツが必要で取り扱える者はほとんどいないため守り草を扱えるものは守りの一族と呼ばれ従者のローブの男が守りの一族の長と説明を受けていると瓶に入っている草を流れるようにロダが受け取り後に控えた。
レティシアが用意したお茶の席に案内すると姫に欲の籠った目で見つめられている。上座を二人に譲り、姫の隣に座らないことへの不満は気付かないフリをしてレティシアを隣に座らせた。
「この薬を使えば魔力の合わない者も子を成せます。フラン王国では妃を国外から選ばれないのは魔力の相性のためでしょう?他国の血を入れるのも」
姫が胸に手を入れて小瓶を取り出した。茶色の液体の入った瓶の蓋を開けると甘い匂いが充満する。濡れている瓶には触れたくない。王妃になりたいと堂々と話す姫に笑みを浮かべて情報を引き出す。
茶色い液は媚薬。
守り草には様々な作用があるが一番重宝されているのは魔力を馴染ませる作用。
魔力の合わない夫婦の子孫繁栄を助ける薬として高値で取引されているらしい。
魔力には相性があり合わない魔力は害になる。魔力を使いすぎない限り魔力を送り合う習慣はほとんどない。生まれる子供の属性をコントロールするために魔力を送り染めることもあるが、魔力の強いものの血が引き継がれやすいため欲しい属性の魔力が強い者を配偶者に選べばいいだけである。そのため自分の魔力より少ない配偶者を迎える上位貴族が多い。父上が母上を選ばれた理由の一つは婚約者候補の中で一番魔力量が多かったからと昔の私は思っていた。私は魔力量の多い両親を持つため同世代では一番の魔力量を持つ。
馴染まない魔力を受け入れるのは不快感を伴う。守り草の甘い香りは感覚を麻痺させ、不快感さえ快楽に感じさせると謳う高級な媚薬を作りだす。目の前にあるのは最高級の媚薬……。体がこの甘みで満たされればどうなるだろうか。
机の下に置いてある手に冷たい手が重なり体に冷たい魔力が巡る。甘みの含んだ香りが霧散して思考がクリアになっていく。
「思考力を低下させるなんていささか」
「時には辛い現実を忘れさせる甘美な夢も必要ですのよ。ねぇ?」
欲のある笑いを向ける姫に当たり障りのない返答を返す。
時々レティシアに手を握られ魔法をかけられると思考がクリアになる。情報を引き出していると王子も欲のある視線をレティシアに向けている。警戒させるように手を強く握ると視線を合わせた銀の瞳には警戒の色があるから大丈夫だろう。レティシアに魔法をかけられながらお茶会を終えた。
甘い香りを漂わせ私に触れようとする姫はレティシアが笑顔で牽制し壁になる。レティシアを誘う王子はロダが応対している。
「殿下、今日はレオ様とうちに泊まってください。寝室に訪問されるかもしれません。レオ様は会せてはいけませんわ」
姫は積極的である。惜しげもなく肌を見せ、エスコートすると体を密着させ素肌に触れさせようとする。
不快さを堪えて微笑み対応するが、足に力づくで触らせようとするのに気付いたレティシアが冷たい笑みで引き剥がした。邪魔、私と二人っきりになりたいと口にする姫にレティシアが王族に触れるなら斬ると応戦しているが不敬は見逃す。二人が口論しているが不機嫌そうな姫は段々楽しそうに応戦をはじめた。
レオが相手をするには荷が重そうなのでレオは接待から外し王宮には帰らないようい使いを出した。
非常識な姫達が何をするかわからない。時々漂う甘い香りは思考を鈍くさせるから。
接待を滞りなく終えると転移魔法で飛びビアード公爵邸に泊まった。
レティシアの予想通り姫は迷ったフリをして護衛を薬で陥落させて寝室に押し入っていた。
私の部屋には甘い香りが充満しており、影武者として配置した影と姫との情事がなされた。影に変装はさせていない。暗闇にまぎれ忍びこんで間違えたとしても、護衛を排除し忍びこむのは重罪。経験豊富な姫を王家が迎え入れることはない。姫に陥落された影を処罰するつもりはない。
王子を呼んで、穏便に納めるための取引を持ち掛けた。他の男を間違えて襲った妹を庇うことはなく妾話も断った。そして懲りない姫の奇襲をレティシアが追い払いながら滞在期間が終わり帰国した。
守り草をはじめフラン王国にはない貴重な植物が多いため今後も良いお付き合いをしていく予定である。私の部屋はレティシアが水魔法で浄化した。そして影の男に場所を選ばなかったことを怒り水攻めしようとしていたので止めた。王宮ではレティシアに魔法の使用は許しているが制裁に使うのはやめるように言い聞かせた。
レティシアの引きの良さに感心するのはその後だった。
父上が極秘で処理を決められた案件がある。
ブローダ伯爵家ではフラン王国では自然に育つことはない守り草の育成を成功させた。極寒地域で栽培される守り草は温暖な気候のフラン王国では育たない。この草を育てられたブロード伯爵夫人や令嬢の腕は罪人であっても貴重な財産になると判断された。
ブローダ伯爵夫人が常用していたのは守り草を使った香水とエキスを一滴いれたチョコレート。甘い匂いで充満させた部屋に招き思考力を低下させ洗脳していた。もともとは上位伯爵令嬢であり言葉巧みに洗脳するのは容易。当時は地属性を生かしてフラン王国でも栽培の難しい植物を育てるノーム様の加護が強いブローダ一族は人気が高く先代国王陛下も目をかけられていた。シオン一族も認める家でありブローダ伯爵夫人は社交界でも羨望される立ち位置。ブローダ伯爵家は贅沢を好まず植物の栽培に力を入れるシオン一族に近い立ち位置のため同派閥のパドマ公爵家が庇護して取引等を引き受けていた。ブローダ伯爵夫人を迎えてしばらくして前ブローダ伯爵夫妻が病で亡くなりはブローダ伯爵家は衰退の道を辿る。ブローダ伯爵は立場をよく理解していたのでパドマ公爵夫妻の命令に常に従っていたが不満を持ったのがブローダ伯爵夫人。社交界で羨望されると意気込み嫁いだのに常にパドマ公爵夫人の取り巻き扱いであり、伯爵邸では質素倹約な生活。熊のような外見のブローダ伯爵への不満を我慢をできずに、フラン王国一のブローダ一族自慢の植物園を訪問した自分に優しくしてくれる見目麗しい男に夢中になった。
男に短時間だけ人の思考力を低下させ意のままに操る惚れ薬を渡す代わりに育ててほしいものがあるという甘言に乗った。ブローダ伯爵夫人は男と守り草のエキスが入った香水に夢中になり、男の言いなりになった。そしてブローダ伯爵を操り頼まれた植物を植えるとブローダ伯爵家自慢の植物園の植物は全て枯れた。フラン王国にとって価値のない植物の栽培に夢中になり、求められた植物を育てることをやめたブローダ伯爵家をパドマ公爵家は後見を降り、王家も見切りをつけた。精霊の加護を受けた地で力に溺れ私利私欲に駆られてフラン王国貴族の役目を放棄して下落していく愚かな一族として有名になった。
ブローダ伯爵が育てさせたのは守り草。
守り草の栽培に成功したブローダ伯爵夫人は愛人となった男に言われるままに守り草で調合した薬を売り、富を手に入れ幾つかの名家を没落させた。愛人はフラン王国を衰退させ中から壊したかったようだが没落したブローダ伯爵家にはそのような力はない。そして王国で力を持つ公爵夫人達は怪しい媚薬に手を出すことはない。
そこで目をつけられたのはブローダ伯爵令嬢。
ブローダ伯爵と違い美しい容姿を持つ男はブローダ伯爵令嬢の前で伯爵夫人を王族でも扱うようなそぶりで見せつけた。そして母親が特別な薬を持っていることを匂わせた。
ステイ学園に入学しフラン王国の未来を担う若者を堕落させるために。
ブローダ伯爵令嬢は社交デビューでリオと出会ってからずっと憧れていた。外交一家のリオはフラン王国の紳士として厳しく教育を受けているので社交界ではどんな相手でも爽やかな笑みを浮かべて称賛する。容姿を利用して相手をいい気分にさせて有利に取引するのはマールの十八番。そんなリオに夢中になる令嬢は昔から多かった。リオは無自覚なためそれが人気の原因と気付いていない。
社交デビューの令嬢にはダンスを申し込むのは暗黙の了解であり、ダンスの誘いを断るのはマナー違反。ブローダ伯爵令嬢にダンスに誘われ笑みを浮かべて踊っていた。そしてブローダ伯爵令嬢は入学すると熱狂的なファンとして追いかけ、リオに特別扱いされるレティシアに嫉妬していた。
ブローダ伯爵令嬢は母親が愛人に夢中なことを知っていた。愛人に薬を使っていることに気付きしつこく母親に付き纏い薬を手に入れた。
この令嬢の執念は恐ろしく、守り草の思考力を低下させる香水だけでは満足できずにさらなる改良を進めた。守り草のエキスを大量に抽出する方法を見つけ、自分の魔力に富んだものを混ぜ合わせる偉業を成し遂げた。馴染まない魔力に富んだものを口にいれると不快感に襲われる。
守り草の効果で異物を吸収しても気付かない。そして守り草は不快感さえも快楽に感じさせるという強い効果を発揮した。
リオは大量に与えられる守り草のエキスに夢中になり、馴染まない魔力に体を染められた。口から含む守り草のエキスは媚薬であり、後継作りに励むことが一番の体からエキスを抜く方法。そのため使い方さえ間違えなけば依存性のない無害な媚薬として取引されている。
守り草について姫から聞いた情報は誤っていた。
未知のものが好きなレオがサラ様とシオン嬢と献上された守り草を調べてフラン王国では栽培を断念した。
守り草は太い根を持ち無尽蔵に栄養を吸収する特性を持つ。土の栄養を全て奪うため他の植物は育たず、収穫後に枯れた土壌は新たな芽を実のらすことはない。育成が難しいのではなく、草の特性ゆえ手を出す者がいない。
高値で取引されると聞いた媚薬も物々交換が主流の国のため、正当な取引は行われていない。世界でも育てるのが危険なものや違法なものも扱うゆえに利用価値を見出した国の暗部が有効活用している国。
ブローダ伯爵邸を襲撃したルーン公爵夫人が捕えた愛人の男は他国の隠密。世界にはフラン王国の力を削ごうとする国も多い。ルーン公爵夫人の尋問により全てを話した男の関係した国は砂嵐に襲われて消えた。国が突然滅びるのはよくあること。そして臣下が勝手に動いても証拠がなければ裁かない。自然災害によって滅びた国々へ救援物資や支援に魔導士を送るがうちの関与は見つかっていない。せっかく友好を深め良い取り引きしたのに台無しである。
私は調査の概要を全て開示してもいいが父上は甘いとおっしゃられ箝口令を敷いている。
フラン王国でも力を持つ上位貴族、とくに公爵家は危機管理能力と有事の際に対処する力を求められる。
他国の間者に惑わされ、没落した伯爵家はマール公爵家が取り潰した。
ブローダ伯爵夫人とブローダ伯爵令嬢は病で亡くなったことにして研究所に送られ、生涯研究者として過ごすだろう。
被害者のブローダ伯爵達は療養所に送られ、そのあとは関与しない。
父上は関係者に箝口令を敷かれ、王家からの情報を教えることを禁じた。
全てを知るのは一部の影と父上と私だけ。レオにも教えていない。
ビアード公爵にはルーン公爵夫人達が国を滅ぼしたことだけは話してある。
マール公爵家が持つのはブローダ伯爵令嬢と伯爵夫人の記憶晒しの情報だけ。愛人の記憶晒しの情報は持っていない。
父上は各々で情報を集めて対処することを望まれている。没落した家が取り潰される理由を調べる家があるかはわからないが。もしも証拠を集め裁判するための訴状を用意し、きちんとした判決を求める家があれば考慮されるかもしれないが期待は薄いだろう。リオを含め薬の被害者達は危機管理不足と判断され恩情を見せない。母上の件から父上は厳しくなられた。
学園では懐かしい光景が広がっている。
リオを徹底的に避けるレティシア。
リオは素っ気なくされることに落ち込んでいる。リオが薬を盛られて伯爵令嬢に夢中になっていたとは気づかない生徒達が二人が近づくことを徹底的に邪魔している。レティシアへの砂糖菓子のような空気を出すリオを見慣れていたため伯爵令嬢との雰囲気も相手が変わっただけで違和感はなく盛られていたと気付けるものはほとんどいないだろう。
リオの周囲には新たな恋人になろうとする令嬢達が常に付き添っている。レティシアは私の部屋で窓から見えるリオ達を微笑ましいと眺めている。
「学園生活を満喫されてますわね。令嬢達が淑女らしく過ごしていただければ何も言いませんわ」
「何も思わないのか?」
「殿下が不快に思われるなら対処致しますが」
「平等の学園か」
「そんなことよりもお休みはいただけますか?この国のサーカスのチケットを殿下の分も手配しますわ。一緒に行きましょう」
よく働くレティシアにサーカスが有名な国の訪問に誘ってからは頭の中はサーカスのことだらけ。急な接待もよく務めてくれ感謝している。リオを徹底的に避けていること以外はいつもと変わらない。どちらかというとまずいのは常に眉間に皺のあるエイベルである。
「いい加減に」
「殿下は不敬罪に問いませんわ。お兄様も一緒にお茶をしましょう。ほら、座ってくださいませ」
能天気なレティシアと真面目なエイベルは正反対。リオとレティシアの婚約がどうなっても王家は干渉しない。隠密の男は甘かった。王家の側近候補は毒の耐性を持っている。リオが耐性を持たずに引っ掛かるとは思わなかったよ。伯爵令嬢もある意味引きが強かった。
「やはり王宮のお菓子は美味しいですわ。お茶も絶品」
レティシアの中ではリオの心変わりはどうでもいいことか。貴族らしくあることしか求めていない。学園内で殺傷が起きないようにだけ警告したほうがいいか。特にエイベルに。
リオが迷って止まっているうちに忘れっぽいレティシアの中で存在が希薄になっていくだろう。レティシアの頭の中にはやりたいことばかり。容量が超えないようにいらない記憶はすぐに忘れる便利な特技を持っている。
「殿下、そちらの本は?」
「図鑑だ。新しいものを育てようかと」
「新しい植物図鑑がもうすぐ販売されますのね。研究生達も励んでいますし、いずれ新たな奇跡の一族が生まれればいいですわね。殿下の部屋は珍しい植物も多く楽しいですわ。今度はどちらを」
「興味があるなら貸そうか?」
「ありがたいですが販売まで待ちますわ。セリアに持ち出されたら大変ですから。勝手に私の本を持ち出しますのよ。道理を持たないシオン一族に」
シオン一族への不満を語り出したレティシア。箝口令が敷かれているが図鑑を渡すくらいならいいだろう。守り草についても記載のある世界の稀少な植物を集めた図鑑は父上からの土産。リオに聞くとお気持ちだけでと一切興味を示さなかった。植物図鑑が愛読書のレティシアに図鑑を餌にすれば話すくらいはできただろう。そしてマールには必要な情報の記載があった。父上の命令には逆らえないか。
レティシアが避けるのをやめた時に二人の関係は変わるだろう。終わりか始まりかはわからない。
引きの強い後輩達が先輩を振り回すのはレティシアが入学してから生徒会に広がっている光景である。
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