追憶令嬢のやり直し

夕鈴

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第百三十九話 気づき

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ごきげんよう。レティシアです。5年生になりました。
レオ様が生徒会長に就任されロキとエドワードは補佐官から生徒会役員に昇格しました。ロキは補佐官のままでいいと言いましたが生徒会役員をすれば箔がつき将来が有利になります。また平等精神を掲げる生徒会役員に平民の生徒も選ばれてほしいと思います。貴族と平民が互いの知恵を合わせてよりよい学園を作り上げていければと。私は後任を育てないといけないので補佐官にはマートン侯爵令嬢のアリス様とルーン領民ですが平民のロンを指名しました。ロンは将来は民を守る騎士になりたいと意気込んでおり魔力はありませんが武術に熱心で向上心がある生徒です。資質を感じるので鍛えています。アリス様は恋するノア様に嫁入りすれば武門貴族入りします。武門貴族の妻になる心得も含めて指導します。お姉様のアリッサ・マートン様からの不満は聞き流します。マートン様の非常識は気にしませんが、武門貴族入りするなら常識的な行動を求めます。武門名家の女性貴族をまとめるのは未来のビアード公爵夫人とイナリアですもの。
生徒会は特に問題はありません。
目の前の事態と比べれば全てが些細なことに思えてきました。
生前より運の悪さは自覚してました。私はやはり運が悪いようです。
話があると真剣な顔で縋られ、部屋に通した少女?の言葉に戸惑っています。たぶん貴族令嬢ではありません。名乗ってくださらないので名前もわかりません。

「私は好きな人のお嫁さんになったの。その人は違う人を見ていた。子供の頃に救ってくれた人だけを追いかける人。夫の好きな人は誰よりも美しく気高い人。だから気づかないフリをするの」

ずっと語り続ける豊満な胸とふくよかなお腹の少女のお腹には新たな命が授かっているかもしれません。卒業してないので成人資格はないのに婚姻?貴族ではなく平民なら珍しいことではないでしょう。成人前に結ばれ、成人後に手続きするの珍しいことではありません。いつまでも終わらない話に付き合えるほど暇ではないので口を挟みましょうか。

「申し訳ありませんがご用件は?」

「私は幸せです。好きな人の―」

話が通じません。ずっと同じ話を延々と繰り返されてます。部屋に通したのが間違えでしたわ。これは生徒会よりも教師が動く案件ですわ。生徒会は治安維持はしますが色恋や婚姻には関与しません。ノックの音に入室許可を出します。もう用事を見つけて逃げるしかありませんわ。先生を呼んで来ましょうか。


「手伝うよ」
「私は貴方の妻です。だから貴方が誰を想っても許してあげます」

入ってきたリオを見て嬉しそうに笑いお腹をさする少女。理解しましたわ。頭が痛くなってきましたわ。私も三度目の人生ですので愛人を持つのは道理さえ守ってくだされば受け入れますわ。それにこのリオは危ない所もありますし…。熱に溺れてうっかりでも驚きませんわ。ビアード公爵家の反応を考えるとお腹が痛くなりそうですが。

「直接お話してください。この部屋を使って構いませんわ。終われば結界を。挨拶はいりません。失礼しますわ」

愛人?がいたとは知りませんでしたわ。もしもお腹にいるのがリオの子供ならば面倒なことがおきますわ。子供に手を出したなんて…。婚約破棄でも構いませんわ。書類を持って部屋を出ようとすると腕を掴まれました。

「誤解。知らない。誰」
「私に弁解よりも」
「ないから。本当に、俺はシアしか」

焦った顔のリオを嬉しそうに見ている少女。とりあえず今は関わりたくありませんわ。やるべきことがたまってますので巻き込まないで欲しいですわ。とりあえず移動しましょう。

「後日報告を聞きますわ」

手を離そうとしても解放されません。力では敵わないので魔法を使って部屋を出ました。レオ様の部屋は行きたくありません。令嬢達が争奪戦をしていますので。レオ様は気づかずに楽しそうに料理を振る舞っているので介入はしません。あの鈍さは才能ですわ。図書室は混んでますし、エドワードの部屋に行きましょうか。
エドワードの部屋に行くと快く受け入れてくれました。簡単に説明すると静かに頷きました。二人の時は無表情が多いですが、社交の顔よりマシですわ。ペンを進めていると勢いよく扉が開きました。

「勘違い。人違い」
「きちんと責任を取らないのはどうかと」
「違うんだって。彼女の妄想。妊娠もしていない。手を繋いだくらいで子供はできない」
「エディ、どう思いますか?」
「シア、なんでエドワードに」
「妊娠されてないなら構いませんわ。成人前に」

強引に手を引かれて連れて行かれ見た光景に固まりました。濃紺髪の生徒に嬉しそうに抱きついている少女がいました。

「視力が悪く俺の髪色を見て勘違いしたらしい。恋人は忙しく学年が違うから全然会ってなかった。シアの授業を受けている生徒だから勘違いして」

リオの話を聞いて少女に眼鏡を贈るとリオの顔を見て首を傾げました。髪色で全てを判断していたみたいです。私の隣には不機嫌な顔のリオがいます。

「俺はシアしかいない」
「申し訳ありません」
「信用されてないリオが悪い」

エドワードが私を庇ってくれました。無表情でも優しい子ですわ。私は自分の心に抗うのはやめました。それでも一番恋しい人は揺ぎません。ですから、目の前のリオにもそんな方ができても仕方ないことだと思います。変わらないものはありません。そして表面的には取り繕っても自身の心を偽ることはできません。どうしてもと望むなら夫婦となっても秘密の愛人を見ないフリをしてビアードから隠すのも協力しますわ。
リオよりも目の前の少女の方が問題です。目の前の男子生徒とリオの髪色は似ていますが艷やかさが違います。

「健康診断も必要でしょうか?」
「そうだね。次の会議にかけようか」

不機嫌なリオには後でチョコレートケーキを送りましょう。優先すべきはクロード様に任された学園をきちんと掌握することですわ。私達には優秀な臣下を育てる義務がありますわ。信頼に応えられるように頑張りましょう。
エドワードと相談して、健康診断を導入する施策を話し合います。時間は有限です。
様々な反発もありましたが健康診断を導入した後に私は頭を抱えました。研究者を目指す生徒の不健康な生態に。生徒会で相談して来年度より健康管理についての授業を取り入れることにしました。今年度は朝礼の時間にエドワードが基本を教えます。

「手伝いはいらないからレティシアはきちんと聞いて」
「もちろんエディの勇姿を目に焼き付けますわ」

なぜか役員の皆様の視線が痛いですわ。そして私は視線の理由に気づきました。生徒会役員の中で一番会議の出席率が悪いのは私です。体調不良ではありませんがわざわざ休みの理由を全員に説明しませんわ。社交やクロード様のお手伝いのために休んでいるだけですが誤解を解くのも面倒なので気にするのはやめましたわ。


「レティシア、これを。魔力を注げば俺の居場所がわかる」

リオから追跡魔法を仕込んだ地図を渡されましたが首を横に振り拒否します。

「俺はシアしかいないから。常に俺の行動を把握すれば」
「誤解して申し訳ありませんでした。追跡魔法をかけることはありませんのでお持ち帰りを。興味がありませんし」

あまりにリオがしつこいので地図を受け取り魔封じして引き出しに片付けました。追跡魔法は追跡者に気づかれれば逆探知されてしまうこともあります。リオに逆探知され常に一緒にいることになれば厄介事がおきますので遠慮したいですわ…。時々物騒な思考の持ち主のリオは勘違いし惨事を起こします。私が手紙をもらった生徒をボロボロに…。治癒魔法をかければすみますが明らかにやりすぎです。リオの勘違いの被害者にはいつもお見舞いを用意し問題にならないように処理しています。リオを評価している執事長の考えが心配になってきました。両殿下の明るい未来にビアードが影を作ることがないように気合いをいれて今日も頑張りましょう。
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