佐々木玲人と富田涼太の薄いお話。

春待ち木陰

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06/06(終)

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 びくんッ、びくんッと玲人のペニスが震える。併せて、どくんッ、どくんッとその先端から精液が溢れ出る。

「ふぁ――ッ!?」と涼太が鳴いた。

 涼太の尻中にどろりとした熱い液体が流し込まれる。大量に注がれる。

 勢いも良くまだまだ出続けていた玲人の精液が、まさか、涼太の肉体を突き抜けてしまったのではないかと思ってしまいそうなそのタイミングで、

「ご、ごめッ、玲人くぅッ、お、俺もッ。俺もッ」

 涼太もまた射精した。強く上に向けられていたペニスから白い粘液を噴射させた。

「出るッ、出てるッ、ああッ、玲人くぅんッ、玲人ッ、あッ、あぁッ」

 腰を震わせて涼太は射精し続けた。涼太のザーメンが背の高い弧を描いて、玲人の大きな腹に落ちる。豊満な胸に落ちる。

 脱ぎ捨てるようなタイミングも無かったが、制服を着たままでいた事は失敗だったかもしれない。汚れてしまった。……まあ、仕方が無い。

 涼太の精液は少量ながら玲人の顔にも掛かってしまってはいたが、玲人は別に「汚い」などとは感じていなかった。

「あ、ゴメ、その、悪い。すまん」

 涼太はその尻穴に玲人のペニスを収めたまま、汚してしまった玲人の顔に手だけを伸ばす。顔に付いた精液を拭ってくれるつもりなのか。

 玲人は目の前に来た涼太の手をぱっと掴んでしまった。

「え?」と涼太が驚いた。

「逃げられるから追い掛ける」じゃないが、普段からは想像も出来ないような意外な甲斐甲斐しさを垣間見せてくれた涼太に対して、玲人もまた普段なら見せないようなちょっとしたイタズラ心を見せてしまった。

「舐めて」

「あ……?」と涼太が再び驚く。

「手じゃなくて。舐めて」

 玲人はもう一度、言ってみた。……拒否られたり笑われたりしてしまったら冗談で済まそうなどと玲人はちょっとズルい事を考えていた。

「ん……」と一瞬だけ考えたような後、涼太は「…………」と無言で行動に移った。

 尻穴から玲人のペニスを抜き落として、小柄なその身を玲人の上半身に這わせる。最早、硬くもなく柔らかくもなかった半勃ち状態の大きいなペニスがぐりぐりぐりと無遠慮に玲人の制服に擦り付けられていた。玲人の肩に両の手を置いて首を伸ばす。その頬に掛かってしまっていた自分の精液を涼太はぺろりと舐めた。ぺろぺろと舐め取った。

 先程に見せた一瞬の躊躇の理由は、自分の精液を舐める事にあったのか、それとも玲人の顔を舐めるという事に抵抗があったのか、まさかとは思うが、そうする為には尻穴から玲人のペニスを引き抜かなければいけないという事を惜しんだのだろうか。

 玲人は、

「ありがとう。富田君」

 犬みたいに顔を寄せてきていた涼太の頭を撫でてやった。

「ん。んん……」

 涼太は、動物がするマーキングみたいにその顔を玲人の頬に擦り付けてきていた。

 そのまま。少しの時間が過ぎる。やがて、涼太が呟いた。

「……イっちまったなあ。もう終わっちまった……」

 玲人が応える。

「まあ、今日のところは」

「え……あ」と何かに気が付いた涼太が「……はは」と小さく微笑んだ。

「ふふふ」と玲人が微笑み返す。

 涼太は上目遣いに玲人の事を見ていた。玲人が目を細める。

 こんな穏やかな気持ちで富田涼太と向かい合える日が来るなんて、玲人は思ってもいなかった。涼太の顔が近付いてくる。

 玲人はそっと目を閉じた。恐怖の為でも痛みや快感に耐える為でもなかった。

 ――唇に唇が触れる。

 これまであれだけ好き勝手に玲人の肉体に触っていた撫でていた揉んでいた涼太とは思えない、ただ触れ合わせただけの挨拶のような軽いキスだった。



 なんだかんだありながらもすんでのところで破かれずには済んだパンツとズボンを穿きながら、

「あのさ」

 と玲人は尋ねてみた。

「コトの途中、スキとか言ってくれてたけど。富田君は俺の何処をスキになってくれたわけ? ……変な事を聞いちゃって悪いんだけどさ」

 富田涼太は色々と言ってくれてはいたが、その涼太のペニスと比べてしまえば明らかに確実にちんちんの小さかった玲人はやっぱり自信を持ち直し切れずにいた。また事実としても見目麗しくて他人から一目惚れされ慣れているような人間ではなかった佐々木玲人としてみれば、富田涼太にこうも懐かれてしまった理由を知りたくなるのは当然の事かもしれない。友達未満のクラスメートだった彼と急に親しくなるような劇的なキッカケは何もなかったはずなのだが。思い出せないだけなのだろうか。

「んー……」と軽く考えてみせた後、涼太は言った。

「デブなところ?」

「……はあ?」

「だって。超キモチ良いじゃん」

 涼太は悪気の欠片も無さそうな顔で言った。玲人は、

「か、カラダが目当てかよ……」

 と頭を抱えてしまった。背中が丸まる。密度の上がったそのお腹に涼太が、

「これこれ。こういうところが」

 強く抱き着いた。ぶよんぼよん――。


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