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本編
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水の豊かな国は、小さな国です。
大国に周囲を囲まれている水の豊かな国は弱い立場にありました。
ですが、あることをきっかけに小国は領土を押し広げ、強大な軍事力を持った大国へと発展していきます。
その『あること』とは国王と魔物の契約です。
水の豊かな国の深い森の奥に、硬い鱗に覆われた巨体をもつ恐ろしい魔物をが潜んでいるのでした。
魔物は代償と引き換えに、繁栄をもたらす力がありました。それを聞きつけた水の豊かな国の国王は、自ら魔物の元に赴き契約を結んでしまうのです。
それは、100年に一度の祝祭の日に、姫を生贄に捧げる。その代わりに、魔物は国に繁栄をもたらすという契約でした。
契約から800年が経とうとしている今もなお、水の豊かな国は100年に一度、姫を捧げています。
歴代の姫たちの犠牲により、国は栄えたままです。
100年に一度の、8回目の祝祭の日が近づく水の豊かな国には、双子の姫がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしいお姫様。
もうひとりは、銀色の髪をもつ、表情が乏しい物静かなお姫様。
ふたりとも美しい姫であり、それぞれ金のお姫様、銀のお姫様と呼ばれています。
ですが、このお姫様たちが16歳になる年には100年に一度の祝祭の日があるのでした。
王様はどちらの姫を生贄に差し出すか悩みます。王様は金のお姫様が可愛くて仕方なく、手放したくはありませんでした。
なので、銀のお姫様を仕方なく生贄に選びました。
銀のお姫様が生贄に決まると、周囲の者は態度を変えてきました。銀のお姫様は愛想もなく周りを見下していると陰で囁くのです。
罪悪感からなのか、金のお姫様ではなく銀のお姫様が生贄ではならなかった理由が欲しかったのかは分かりません。
金のお姫様が後ろめたく感じないようにするためだけのことかもしれません。
「お父様、新しいティアラが欲しいわ」
「前にもルビーのティアラを作らせたばかりだろう。まったく、仕方のない子だなぁ」
「ふふ、誰に似たのかしらね」
食事の時間は、銀のお姫様にとって辛い時間でした。
双子の妹である金のお姫様が、両親からの愛情を一心に受けるのを間近で目の当たりにするのですから。
「おい、何をじっと見ている。言いたいことがあるなら言えばいいだろう」
「いえ、なんでもありません」
父である王様に声をかけられた銀のお姫様は、内心どきりとしてしまいます。そんなに見てしまっていただろうかと思いつつ、なんでもないと伝えるのでした。
「はぁ…まったく、何を考えているか分からない不気味なやつだ」
「お姉様はいつも暗いわよね。もっと笑ったらいいのに」
金のお姫様は無邪気にそう言います。
こんな状況で、どう笑えばいいのでしょうか。銀のお姫様は自分がとても惨めに感じました。
大国に周囲を囲まれている水の豊かな国は弱い立場にありました。
ですが、あることをきっかけに小国は領土を押し広げ、強大な軍事力を持った大国へと発展していきます。
その『あること』とは国王と魔物の契約です。
水の豊かな国の深い森の奥に、硬い鱗に覆われた巨体をもつ恐ろしい魔物をが潜んでいるのでした。
魔物は代償と引き換えに、繁栄をもたらす力がありました。それを聞きつけた水の豊かな国の国王は、自ら魔物の元に赴き契約を結んでしまうのです。
それは、100年に一度の祝祭の日に、姫を生贄に捧げる。その代わりに、魔物は国に繁栄をもたらすという契約でした。
契約から800年が経とうとしている今もなお、水の豊かな国は100年に一度、姫を捧げています。
歴代の姫たちの犠牲により、国は栄えたままです。
100年に一度の、8回目の祝祭の日が近づく水の豊かな国には、双子の姫がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしいお姫様。
もうひとりは、銀色の髪をもつ、表情が乏しい物静かなお姫様。
ふたりとも美しい姫であり、それぞれ金のお姫様、銀のお姫様と呼ばれています。
ですが、このお姫様たちが16歳になる年には100年に一度の祝祭の日があるのでした。
王様はどちらの姫を生贄に差し出すか悩みます。王様は金のお姫様が可愛くて仕方なく、手放したくはありませんでした。
なので、銀のお姫様を仕方なく生贄に選びました。
銀のお姫様が生贄に決まると、周囲の者は態度を変えてきました。銀のお姫様は愛想もなく周りを見下していると陰で囁くのです。
罪悪感からなのか、金のお姫様ではなく銀のお姫様が生贄ではならなかった理由が欲しかったのかは分かりません。
金のお姫様が後ろめたく感じないようにするためだけのことかもしれません。
「お父様、新しいティアラが欲しいわ」
「前にもルビーのティアラを作らせたばかりだろう。まったく、仕方のない子だなぁ」
「ふふ、誰に似たのかしらね」
食事の時間は、銀のお姫様にとって辛い時間でした。
双子の妹である金のお姫様が、両親からの愛情を一心に受けるのを間近で目の当たりにするのですから。
「おい、何をじっと見ている。言いたいことがあるなら言えばいいだろう」
「いえ、なんでもありません」
父である王様に声をかけられた銀のお姫様は、内心どきりとしてしまいます。そんなに見てしまっていただろうかと思いつつ、なんでもないと伝えるのでした。
「はぁ…まったく、何を考えているか分からない不気味なやつだ」
「お姉様はいつも暗いわよね。もっと笑ったらいいのに」
金のお姫様は無邪気にそう言います。
こんな状況で、どう笑えばいいのでしょうか。銀のお姫様は自分がとても惨めに感じました。
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